りしゃこ達が魔法特訓をしている頃― 

別動隊でモモ達は、この街に来たもうひとつの目的―謎の占い師・メーグルを捜していた 

メーグルは、サキ・モモと同じく王都・ハロモニアでの特殊行動部隊『EX-ZYX』のメンバーだった 
今まで消息不明だったのに、つい最近、急にりしゃこに接触を図ってきた… 
結果、りしゃこは以前に比べて、精神年齢以外が格段に成長してしまったのだ… 
りしゃこの成長はある意味喜ばしいことだが、接触の意図を探るべく、聞き込みして回っているのだ… 

と、言えば聞こえはいいが、面子が面子なんで、人捜しがほとんど観光に変化しつつある… 
珍しいお土産品を物色するユリーナに、次々と建物に不法侵入するチナリに、食い倒れのマァ… 

モモは気まぐれ妖精さん達を押しつけたサキを心底恨めしく思った…



メーグルを捜してはいるものの、手掛かりゼロの上、妖精たちの活躍期待度ゼロの状況で早くも挫けそうなモモ… 

そんな時、3人が一斉に「怪しい…」と、ある店を見て口々に呟く…。 
すっかりしょげていたモモもちょっと期待してしまう 
そして、妖精たちがその『怪しい店』に向かって走り出した!すぐさま後を追いかけるモモ… 
妖精たちが店に突入し、時間差でモモも店内に入った!!。そこは… 


街一番のレストランだった… 

ちゃっかり3人は着席してもうメニューを頼んでいる…。後から入ったモモが 
「ちょっと!!どーゆうことぉ!!」と苦言を呈するが、妖精たちは 
「まぁまぁまぁ…」「いいジャンいいジャン!」「ハラが減っては戦はできぬ、とゆいたい…」といって全くこたえてる様子がない… 
仕方なく諦めたモモも同席した… 

次々と運ばれてくる料理…それを「怪しい怪しい…」「これも怪しい…あれも怪しい」と次々に片付けいく妖精たち… 

ひと通り食事を平らげた妖精たちが、しょげてるモモにいった… 
「実は、もう目星はついてるの!!」



「『目星がついてる』ですって!?」と思わず声をあげてしまったモモ 
それを「しーっ!!」と抑える妖精たち 

「…なんかさ、朝から妙な視線を感じてたんだよね…」「そうそう!」「…でさ、試しにこの店に急ぎで入ってみたのよ…そしたら…」 
「そしたら!?」 
「後から店に入ってきたやつがいた…とゆいたい」 
「つまり、そいつが怪しい、ってワケね!!」 
「そう!ウチが色んな店に入っていったのは、そいつが後追いで店に入ってくるか、試してたの!」 
「ウチも!」「ウチも!」 
次第に笑顔になっていくモモ…。まさか、こんなトリッキーな作戦を考えているとは思わなかった… 
「で、この後どうする?」と、モモが聞くと、 
「この後支払いを済ませたら、ウチらは怪しい人物の『店』に行くの!で、モモは別行動で、ウチらの後追いする人物をマークして!」 
「わかった!」 
「じゃあ、支払いよろしく〜」と言うなり、店の出口に向かって走り出す妖精たち… 
モモは少しでも妖精たちを見直したのを後悔しながらおあいそを済ませるのだった…



レストランの食事を済ませて、満足顔で店を後にする4人 
そして、打ち合わせ通り二手に別れて妖精たちは怪しい店へ、モモは妖精たちを尾ける怪しい人物を後追いするために待機することにした… 

すると、5分も経たないうちに妖精たちの後を尾ける人物があらわれた… 
その姿はフード付きのローブを纏っているため、性別や人相までは窺い知ることは出来ない… 

気付かれないよう、モモは気配を消して、慎重に怪しい人物の後を追う… 


5分くらいは歩いたろうか…妖精たちはある一軒の古びた店にスーッと入っていく… 
モモはその店には見覚えがあった…。そこは、りしゃこ達が行った『魔法の杖』の店だった 

「こんにちは〜!」と店を覗く妖精たち…。だが、店番のお婆さんがいないらしい… 
すると、 
「おやおや、お客さんかね…」 
と、妖精たちの後を尾けていたローブの人物が尋ねる… 
妖精たちが言ってた『怪しい人物』とは、店番のお婆さんだったのだ!!



店を覗く妖精たちを後から追いかけて 

「いらっしゃい…今日は何のようかな…?」と尋ねる『魔法の杖』のお婆さん… 
「ええ、杖を見たくて…」と返事するユリーナ 
なるべく密室の方が逃げ場が少なくなるため、意図的店の中へ誘導する会話をする… 
「…では、中の品物を見ていくといいよ」と、中へ案内するお婆さん… 

店の中に入る際に合図を送るユリーナ…。それを確認して、時間差で店に入るモモ… 

店内を物色しながら時間を潰す妖精たち…。3人ばらけて行動することによってモモの店内侵入を円滑にさせた… 

そして、作戦決行 


「ねえ、お婆さん…さっきからウチらの後、尾けてたでしょ!?」と問い詰めるユリーナ 

「はぁ!?」とお婆さんは返事をするが、 
「とぼけたってムダだよ!」とチナリ 
「何故、尾けてたのかを教えろ、とゆいたい」とマァ… 
あっという間にお婆さんを囲い込んだ



ユリーナたちに囲まれて、答えに困るお婆さん… 

お婆さんが答えに行き詰まっているところへモモが駆けつける 

モモの姿を見て、一瞬、驚く顔をしたお婆さん… 
その表情をモモは見逃さなかった… 
そして、一言… 

「…アンタ、メーグルでしょ!?」 

突然のモモの発言にビックリするユリーナたち…。どう考えても、目の前にいるのは老婆なのだ… 

信じられない…といった表情のユリーナたちをよそに、突然、老婆とは思えない、甲高い声で笑いだすお婆さん… 

「…よくわかったわね。見破られない自信はあったんだけどね…」と老婆、改めメーグルが言う 

「簡単よ…。アンタから少し香水に匂いがしたし…それに…」 
「…それに?」 
「こんな巨乳のお婆さんなんているワケないでしょ!?」と言うなり、メーグルの胸を鷲掴みにするモモ… 
「ち、ちょっとやめなさいよ!!」



「な、何すんのよ!?」 
自慢の、形が良くて垂れていない巨乳を鷲掴みにされて驚くメーグル 

「あなたに聞きたいことがあるわ…素直に応じてくれると助かるんだけど…」 
「…もし、応じなかったら…?」 
「…握り潰す!」 
そう言って、メーグルの胸を掴む力を上げていくモモ…。どうやらハッタリではなく本気らしい… 
だが、メーグルは 
「やれるんなら、やってご覧なさいよ!」と向こう気の強いところをみせる 
「泣いたって…知らないわよ!」と言って力をめいっぱい加えるモモ… 

グチャ…!! 

嫌な音がして、メーグルの巨乳が潰れてもげてしまった!! 
「ぎゃあ〜〜〜!!」 
慌てふためくモモたち… 
その隙にメーグルが包囲網を突破して店の外に出てしまう!! 
急いで後を追うモモたち…



隙を突いて逃げ出したメーグルと追いかけるモモたち… 

だが、メーグルの逃げ足が早く、一向に差が縮まらない… 
そこで、走るのをやめたマァがいきなり四股を踏み出す! 
「わ、わ、ちょっとタンマ!!」「ま、待って!!」ユリーナとチナリの言葉も聞かず、高く上げた足を一気に地面に振り下ろす! 

ズシーン!! 

その時、地面が大きく揺れた!マァが得意の土系魔法だ! 
メーグルが地震のショックでずっこけている…。もっとも、モモたちも転んでいるのだが… 

その隙に、マァが距離を縮めてメーグルに詰め寄る!その差、僅か5m… 
そこへ急に黒い人影が二つ現れて、マァの行く手を阻む!! 

「待たせたな…」「もう、もうちょっと早く来てよ!」「ゴメン!ウチらも忙しくって…」 
どうやら、仲間のようだ… 
「そこをどけ!と、ゆいたい」 
行く手を阻まれて怒りに燃えるマァがメーグルたち3人に突っ込んでいくが、その後、信じられない光景が待っていた―



メーグルと仲間たちに突っ込んでいくマァ 
だが、次の瞬間には信じられない光景が待っていた 

マァのタックルにあわせて、ローブを放り投げるメーグル 
一瞬、視界が狭まって隙ができてしまう 
そこにメーグルの仲間が、一人は大剣を、もう一人は薙刀を取り出し、頭上と足元を殴打する!! 

大きくひっくり返ってしまうマァ… 

そこへ呪文の詠唱をいつの間にか終えたメーグルが魔法を解き放つ!! 
大きな水球がマァめがけて飛んでゆき、そのままマァの顔をすっぽりと覆う… 

このままでは窒息してしまう!!完全に攻守が逆転してしまった…



今まで追い詰めていたハズのメーグルとモモの攻守が、謎の二人組の見事なコンビネーションであっという間に逆転した… 
顔を水球に覆われて、苦しそうなマァ…。きっとその気になれば、マァを殺すことだって容易いだろう… 
悔しがるモモ…。どうやらメーグルの要求を呑まざるを得ないようだ… 

だが、メーグルの要求は意外なものだった… 
「これ以上、私達を嗅ぎまわらないで頂戴」 

呆気にとられるモモたち… 
「…あまり多くは語れないけど、今、この国の未来がかかった、大事なことをやってるの…」 
そう語るメーグルの眼差しには強い意志が宿っている… 
昔からそうだった― 

一度決めたことは頑として譲らない…時には上官にだて食って掛かる… 
メーグルは変わってない…あの頃の、仲間だった頃のメーグルのままだ… 

きっと交渉しても堂々巡りになる、と感じたモモは、今後、メーグルたちのことを嗅ぎまわらないことを約束する… 

立ち去っていくメーグルたちにモモが一言、 
「…あたし達、仲間、だよね!?」 

メーグルが答えた 
「これだけは信じて…。ずっと仲間だよ…」



立ち去っていくメーグルを眺めながら物思いに耽るモモ… 
出来れば、事情を話して欲しかった…幾多の任務を潜り抜けてきた、かけがえのない仲間なのに… 
それが、モモには寂しかった… 

だが、落ち込んでいるヒマはなかった。まずはハロモニアまでたどり着かないことには始まらない… 
精一杯の元気を出して 
「…みんな、りしゃこ達を迎えに行こっか!?」と声をかける… 
無言で頷くユリーナたち… 

やがて、りしゃこ達の特訓している広場にたどり着いたモモたち 
モモたちの姿を見るなり、嬉しそうに駆けてくるりしゃこ… 

「ねえ、モモ…。りーちゃんスゴい魔法が使えるようになったんだもん!!」 
と、胸を突き出し、エッヘン!と威張ってみせる… 
とても天真爛漫なりしゃこを…改めて護ってあげたい…と感じたモモだった 

そして、りしゃこがモモたちに魔法をお披露目する 
水に入ったバケツに念を送り、そこから出てきたのは…ガマガエルだった!! 

「ぎゃあ〜〜〜!!」とパニック状態のモモたち…



りしゃこがお披露目したガマガエルにパニック状態に陥ったモモたち… 
逃げ回るモモたちを見て、みんなが笑っている 

「もぉ〜!!何てことすんのよ!!」とプリプリ怒っているモモに対して 
「でも、元気になったでしょ?」と言うりしゃこ… 

「何が『元気に』…」 
言葉を言いかけて、モモはハッと気付いた… 
りしゃこの目には、モモは元気がないように映ったのだろう…。だから、わざとビックリさせるイタズラをしたのだ… 

さりげないりしゃこの気遣いに嬉しくなって、モモはりしゃこを優しく抱き締めた… 

そんなやりとりを見て、ユリーナたちもりしゃこを抱き締め… 

…ではなかった 

「ママはりしゃこをそんな悪い子に育てた覚えはない!とゆいたい」と、マァがりしゃこにベアハッグをかましている! 
「さっき笑っていたのはこの口か!?」とユリーナはりしゃこのほっぺたをつねり、チナリはデコピンを乱打する… 

だが、よく見てみると、イタズラされた、みんなの顔は笑顔だ… 

モモたちはりしゃこの魔法に癒されたのだ…



魔法の特訓を終えて、コーチしてくれたトールにお礼を言って宿屋へと戻っていくりしゃこ達… 

帰り道はりしゃこ達の特訓の話ばかりだった… 
そして、宿屋にたどり着き、一日の疲れを癒すため、再び温泉に入るりしゃこ達 
まず、りしゃことミヤビを入れることになった 

無論、りしゃこ達がお風呂に入ってる間に、サキがメーグル探索の結果を聞くためだ… 


静かな部屋の中で、モモが要点だけを言葉少なに語った… 

今、メーグル達はハロモニアにとって重大な任務を行っていること… 
そのことを詮索して欲しくないこと… 
そして…メーグル達はずっと、これからも『仲間』だと… 

昔の仲間と再会して、また行動を供にすることが出来ず、サキも残念がった…



何だかしんみりとした雰囲気になりそうなのを察知したモモが話題を代える 

「あっ、そういえばさ〜、メーグルって昔と全然変わってなかったよ!」 
「ふーん…」 
「向こう気の強いトコとか…頑固なトコとか…あと、見栄っ張りなトコ!!」 
「ん?何があったの?」 
「それがサイコーでさー、アイツ、水の魔法で変装してたんだけどぉ〜、胸も大きくしてたのよ!!」 
「えー!やだー!」 
「チョ〜〜〜ウケるでしょ!?」 
「ウケるウケる!!」 
と、すっかりその場の雰囲気が和んだ… 


そして、サキ達の会話を実は屋根裏で聞いていたメーグル達… 

(おい!お前おっぱいを魔法でおっきくしてたのw)(ヤダー!偽乳は犯罪ですわw)(ちょ、な、何よ!!…別に…いいじゃない…)(良くない!×2) 

(…モモめ!殺す!!)



サキ達がメーグルの話題で盛り上がっている一方… 

りしゃことミヤビは宿屋の温泉に来ていた… 
どうやら、まだ、誰もいないらしい… 
「やったー!一番乗りー!!」「あー!ミヤずるいもん!!」と、仲良く温泉に入ろうとする二人… 

まず、湯船に浸かる前に身体を洗う訳だが、りしゃこの姿を見て、ミヤビがため息をつく… 
「ミヤ?どうしたんだもん?」と尋ねるが、 
ミヤビは自分の胸とりしゃこの胸を見比べた後「…ううん、何にも…」と答えた 
ミヤビが元気がないと思ったりしゃこは 
「ねえーミヤー!りーちゃんが背中流してあげるもん!」と久しぶりのスキンシップを図ろうとする… 
「べ、別にいいわよ…」と遠慮するミヤビだったが、「えー!やだやだー!!」と駄々をこねるりしゃこに根負けして 
「…わかったわかった…。じゃあ、お願いするよ」とOKする



「…じゃあ、お願いするよ…」とりしゃこに背を向けて、背中を流してもらうことにしたミヤビ 

ミヤビの背中にタオルの感触がする… 
(そういえば、りしゃこと背中流しっこするの、いつぶりだろうな〜) 
と、思い返すミヤビ… 
思いの外りしゃこの流し方が上手なので、思わず 
「…う〜ん、気持ちいい〜!!」と声に出すミヤビ 
そして、背中を流すタオルは徐々に前に移ってゆく… 
「…りしゃこ、もういいよぉ〜。前は自分でやるからぁ〜!」 
と言うミヤビだったが、タオルはもう完全にミヤビの胸に来ていた… 

「ち、ちょっと!りしゃこ!もういいって!!」とミヤビはりしゃこに呼び掛けるが、りしゃこから返事が返ってこない… 

「…もう!いいかげんにしてっ!!」と後ろを振り返るミヤビ… 

そこには…水の人形に羽交い締めにされたりしゃこと… 


洲*` v ´)<やっほー!!>(・ v ・`州



りしゃこに背中を流してもらってたハズが、いつの間にか双子にすり替わっていた!! 

りしゃこは双子の魔法の人形のせいで身動きも呪文を唱えることも出来ない… 

「ほ〜れほれほれ♪」「ええんか!?ここがええのんか!?」と前から後ろからミヤビを責め立てる! 

「ち、ちょっと!!やめ、やめてよー!!」と悲痛な叫び声をあげるが、誰もいない風呂場に空しく響くだけだった… 

と、その時、風呂場の扉がガラッ!!と開いた… 

「た、助けて〜!!」と思わず叫んだミヤビ… 
だが、無情にも、入ってきたのは悪魔の微笑みをたたえたイタズラっ子・マイだった!! 

「なんか…楽しそうだね♪」とマイが言うと、 
「うん♪」「とっても楽しいよ♪」と返す双子… 

ミヤビはもう、抵抗する気力が失せてしまった…

双子の悪魔に、悪魔の申し子が一人、加わってしまった!! 
特にマイは、昨日サキから“お仕置き”の屈辱を受けているだけに、腹いせにミヤビを悪戯してもおかしくない… 

ゆっくりと、舌なめずりしながら、獲物に歩み寄るマイ… 

だが、獲物はミヤビではなく双子達だった!! 
「えい!!」というなり、双子達のバスタオルを剥ぎ取るマイ!! 
「きゃあ〜〜〜〜!!」 
いきなり裸にされて慌てる双子達…。まだ青い果実のままの身体がみんなの前に晒された… 

集中力が切れたのか、りしゃこを押さえつけていた人形の力が急に弱まる… 
その隙にりしゃこは逃げ出し、双子の片割れに反撃をする!! 
「よくもやってくれたもん!!」と言って、片割れの全身をまさぐり始めた… 

「あ、アイリーネちゃん!!」双子の片割れ・アイリーナが相方の方を振り向いた隙に、今度はミヤビが捕らえる!! 
「お返しよ!!」 
「い、いや〜〜〜!!やめて〜〜〜!!」 
アイリーナの懇願にも耳を傾けず、容赦なく全身をまさぐり倒すミヤビ… 

風呂場に双子の断末魔の叫び声がこだました―



双子の悪魔に、悪魔の申し子が一人、加わってしまった!! 
特にマイは、昨日サキから“お仕置き”の屈辱を受けているだけに、腹いせにミヤビを悪戯してもおかしくない… 

ゆっくりと、舌なめずりしながら、獲物に歩み寄るマイ… 

だが、獲物はミヤビではなく双子達だった!! 
「えい!!」というなり、双子達のバスタオルを剥ぎ取るマイ!! 
「きゃあ〜〜〜〜!!」 
いきなり裸にされて慌てる双子達…。まだ青い果実のままの身体がみんなの前に晒された… 

集中力が切れたのか、りしゃこを押さえつけていた人形の力が急に弱まる… 
その隙にりしゃこは逃げ出し、双子の片割れに反撃をする!! 
「よくもやってくれたもん!!」と言って、片割れの全身をまさぐり始めた… 

「あ、アイリーネちゃん!!」双子の片割れ・アイリーナが相方の方を振り向いた隙に、今度はミヤビが捕らえる!! 
「お返しよ!!」 
「い、いや〜〜〜!!やめて〜〜〜!!」 
アイリーナの懇願にも耳を傾けず、容赦なく全身をまさぐり倒すミヤビ… 

風呂場に双子の断末魔の叫び声がこだました―



そして夜― 

風呂上がりの双子を迎えにトールがやってきた 
「どうだ?りしゃこ達と仲直り出来たかい?」 
「うん♪」「…えへへ♪」「…そっか。良かったな…」と言ってトールは双子の頭をナデナデする… 

帰り際、トールがりしゃこ達に声をかけた 
「キミ達、本当に有難う…。あの子達は周りから“宮廷魔術師の子”ということで、大人達から過度の期待をかけられ過ぎてるんだ… 
だから、変に物分かりのいいところや大人びたところがあって、子供らしいところが無いのが心配で…それで気分転換に旅に出たんだ…」 
トールからの言葉はりしゃこ達にとって意外だった… 
トールが続ける… 
「それが、キミ達と出会って…子供らしい一面が見られたよ 
あんなにはしゃいでいる二人を見たのはいつ以来だろうなぁ…」と少し遠い目をする… 

トールがりしゃこ達にお願い事をする 
「…だからキミ達、二人の友達になってくれないか?」 

りしゃこ達の答えは勿論、「もう“友達”だもん!!」―



トール達親子と別れて、食事を済ませ、床につくりしゃこ達― 


深夜― 

みんなが寝静まった頃、ふと、ミヤビは目が覚めた… 
隣では、すやすやとりしゃこが寝息をたてている… 

思えば、いつの間にか遠くまで来た気がする… 
はじめの頃は、馴れ親しんだベリーフィールズの街が恋しくて、ひとり寂しく泣いたこともあった… 

だけど、いろんな所へ行って、いろんな人と出会ったりするうちに、寂しさが薄れていくのがわかった… 
そして、今、旅を供にしているメンバーは、まるで古くからの知り合いのように思えたりする時もある… 

そんな物思いにミヤビは耽っていた… 


だが、それは長くは続かなかった… 

突然、ミヤビの首筋に、針で刺されたような痛みが走る! 
手で痛みの場所を触って見ると、本当に針が刺さっていた! 
突然の出来事に、サキ達に知らせようと隣の部屋まで歩こうとするが、身体が痺れて動かない! 

次第にミヤビは深い眠りについた…




翌朝― 

静かな朝…。サキはまだ眠っていた…。余程、昨日の特訓で疲れていたのだろうか… 

しかし、その静けさも、突如として終わりを迎える― 

「サキ!!サキ!!起きて!!早く!!」 

この耳障りな甲高い声はモモだ…。もっと寝かしてくれよ…と思いながら、頭から布団をすっぽり被るサキ… 

いつもなら簡単に引き下がるモモだが、この日は違った… 
「りしゃことミヤビが誘拐されたのよ!!」 

誘拐…!! 

その言葉を聞いた途端、身体中のアドレナリンが沸騰して、気合いで跳ね起きる!! 

「なんですって!!」 
サキはモモに詳細を求める… 
かなり狼狽しているサキを落ち着かせて、りしゃこ達の部屋に移動する二人… 

部屋には暴れた形跡がなく、りしゃこ達のベッドには一通の封書があった―



『りしゃこ達が誘拐!?』―その言葉を聞いた瞬間、サキは心臓を鷲掴みされたような気分だった… 

『自分がいておきながら…』―昨晩、側にいなかったことを悔いるサキ… 
落胆しているサキを見て、突然、モモがサキも頬を両手でピシャリと叩いた! 

呆気にとられるサキに、 
「しっかりしなさいよ!!あなたがウチらのキャプテンでしょ!?」 
と、喝を入れるモモ 

(…。そうだよね…。しっかりしなきゃ…ウチがしっかりしなきゃ!) 

気を取り直したサキは、まず、手掛かりとなる封書を開いてみることにした… 


『サキへ― 
済まないが、りしゃことミヤビをこちらで預からせてもらう。今は言えないが、時間がない…。二人の力が必要だ…。 
決して、危害を加えないことは約束する。みんなも、追ってハロモニアに来てもらいたい…。力を貸して欲しい…。宜しく頼む。 
        EX-ZYX』



りしゃこ達の部屋に置かれてあった一通の手紙… 
それは、かつて仲間であったEX-ZYXメンバーの、サキ達にあてたものだった… 

理由は言えないが、りしゃこ達を預かる…サキ達にも力を貸して欲しい…と 

何の前触れもなく、りしゃこ達を連れ出したのは腹立たしいことだが、手紙の文字の走り書きを見れば、緊急事態とも感じとれる… 

「どうする?」とモモに尋ねるサキ… 
「どうもこうもないでしょ!…追いかけるわよ!!」即答するモモ… 
「じゃあ、すぐこの街を出ましょう!」 
「だったら、あの3人はどうする?」 
「どうしよう…。ウチらの問題に、巻き込むワケには…」 

サキの言葉を遮り、 
「聞いてたわよ!」 
「水臭いジャン!!」 
「りしゃこはウチの娘だとゆいたい」 
と、3人が口々に言う…。既に事態を察知して、一緒に行動することを申し出る3人… 

サキにとっては、とても嬉しかった…。旅の道連れだけだと思っていた3人が、今ではかけがえのない親友なのだ… 

サキは、3人の好意を有り難く受けることにした…



メーグル達EX-ZYXの後を追うように、手早く身仕度を整えて、宿屋を出発しようとするサキ達… 

誘拐?されたりしゃこ達も気にかかるが、サキ達に助力を求めたメーグル達のことも気になる… 
不安は募るばかりだ… 

そしていざ、メグミニラの街を離れようとした時、誰かに呼び止められた… 

「ちょっと待ってくれ!」 
声の主は、宮廷魔術師・トールだった 

「りしゃこ達が連れ去られたらしいね…。詳しく事情を教えてくれないか?」 

サキは考えた…。内輪事の話を、親しいとはいえ、簡単に話していいものか… 
だが、トールには色々と世話になったし、ハロモニアの人間だから今、王都で何が起きているか、など情報にも明るいだろう… 
サキがメンバーに目をやると、皆、同じ意見なのか、こくり、と頷く… 

サキはトールに、今回の事件のこと、そして、りしゃこの生い立ちなどを包み隠さず話した… 

りしゃこの生い立ちに驚きを隠せないトール…。そして、その後、ショッキングなことをサキ達は知ることになる…



「…そうか…。やはり、りしゃこは『王家の血筋』だったか…」と、トールが呟く… 
「『やはり』って?」 
サキが尋ねる 
「いや…あの子があの年齢で上級魔法を使えたのが、『王家の血筋』であれば、合点がいくんだ!」 

そこからトールは、りしゃこが特訓の際に上級魔法を使ったことを話した… 
全員が初耳だったため、一様に驚く… 

その話を伝えた上で、トールはもっとショッキングなことを語った…。それは… 
「今、このハロモニアのあちこちに『時空の歪み』が出来ていて、その歪みが大きくなれば…」 
「大きく…、なれば…?」「この世界は滅びる!!」 
!! 

いきなり、冷水をぶっかけられたような…目の前が一瞬、真っ暗になるような話だった― 

「えーーーっ!?じゃあ、ウチら、どうすればいいの!?」 
「それを今から話そうと思っている…。恐らくりしゃこが連れ去られたのは、『継承問題』だろう…」 

「…継承…、問題…?」



「…継承…問題…?」 
一同が一斉に口を開く… 

「実は、ハロモニアの学者の報告によると、今回の『時空の歪み』は、現女王の健康状態の弱まりが原因ではないか…?との説があるんだ…」 
「…女王の健康状態と、『時空の歪み』にどう関係があるの?」 
「…その学者が言うには、女王の『魔力』が今まで『時空の歪み』を押さえ込んでいた―らしいんだ」 
「…てことは…?」 
「女王の健康状態が弱まって、『時空の歪み』が発生しはじめた―ってことになるらしいね…」 
「…じゃあ、りしゃこは…?」 
「…あくまでも、僕の推測だけど…女王の『魔力』を引き継ぐことの出来る『器』として選ばれたんだろうね…」 

トールの推測を耳にして、驚きを隠せない一同 

「…でも、そんなピンチなら、わざわざコソコソやる必要ないジャン!?」 
「この世界をパニックにしたくないのだろう…。それと、権力争いに利用されるかも知れない…」 
「…だから、コソコソやる必要があったんだ!」 
「…まぁ、とにかく、親友を助けるんだろ!?帰り道だし、何かの縁だ…。一緒に行こう!」



トールからハロモニアの現状と今後の推測を聞いて、より事の重大さを感じるサキ達… 
それだけに、いち早く、ハロモニアに着いてりしゃこ達やメーグル達に会わなければならない… 

それだけに、トールの協力は有り難かった… 

「では、宜しくお願いします!!」 
サキ達はトールの同行を快諾した― 


そして一時間後― 

支度を済ませたトール達親子がやってきた 
双子はりしゃこ達が誘拐された…と聞くと、 
「「え〜〜〜っ!!ミヤビお姉様が〜〜〜〜!!」」と二人揃って驚く… 

双子の反応にビミョーに違和感を感じながら出発することにした… 

(…りしゃこ、ミヤビ、心配ないからね…。今、そっちに行くよ…。メーグル…無事でいて…) 

強い気持ちと願いを胸に、一行は、ハロモニアにへと旅立った― 

〜キュートエリア・完〜