見事、究極兵器・ゴーレムを破壊したサキ達… トールはゴーレムの“核”の破片を手に入れ、ハロモニアにある“魔法アカデミー”で分析するという… 再度、馬車に乗り込み、ハロモニアへ向かう一行… その頃、王都・ハロモニアの某所― 「…さぁ、こっちへ運んで頂戴!!」 「ったく…!人使いが荒いこって…」 「ホラ〜!ボヤかないボヤかない!」 「…んー!!」「…むー!むぐー!!」 「わーったわーった!!出してやるって!!」 「もう〜暴れないの!めーっ!!」 「…ぷはっーー!!」「ふぅ…」 「ゴメンね、手荒なマネして…」 「?…ねえ、ここ、どこ?…みんなは?ねえ?」「ミヤ…」「…りしゃこ?」「…ミヤ…」 「時間が無かったの…。悪いけど、二人には猛特訓をしてもらいたくて、ここに連れてきたの…」 「…あなた、誰…?」「あーーーっ!!」 「あーーーっ!!」「ど、どうしたの?りしゃこ!!」「占い師のオバさんだもん!!」 りしゃこが話しかけてきた人物を見て、占い師と言い出す… ミヤビは改めて、占い師の顔を見た… (…この人がメーグル?) ミヤビが見たメーグルは…目尻と眉毛が吊り上がった、鬼のような形相をした人だった… 「なんですって〜!!」と言いながら、りしゃこのほっぺを思い切りつねるメーグル! 余程、オバサンと言われたのが嫌だったのだろう… 「いいこと!!アタシのこと、今後オバさんって言ったら承知しないからね!」とヒスを起こしている… …と、その後ろで 「おー、またやってるよ…」「ホント、子供相手に嘆かわしいですわ…」 と、聞き覚えのある声がする… その二人の姿を見て、ミヤりしゃが「あ〜〜〜っ!!」と声をあげる… 再会の喜びもあって、ミヤりしゃにニッコリと微笑む二人… だが、その笑顔もつかの間のものだった… 「誰だっけ?」「えーと…?」 次の瞬間、ミヤりしゃのほっぺは思い切りつねられたのだった… 思い出さないミヤりしゃのほっぺを思い切りつねる二人… 「あーっ!わかったぁー!」「わかったもん!!」 「ほほぉー。じゃあ…」「アタシ達はだぁ〜れ?」 「ピグモンと!」「バルタン!」 「『ン』しか合ってねぇーわ、ボケ!!」と言うが早いか、デコピンを連発するピグモンとバルタン…じゃなくてマイミンとエリカン… 「…あの、ちょっと!話を前に進めたいんだけど…!」と引きつった表情を浮かべるメーグル… それを見て、「ヒュー…♪おっかねぇー…」「アラアラ…」と、デコピンをやめるキューティーペア… メーグルが改めてりしゃこ達に、ここ、ハロモニアまで緊急に連れてきたのかを話した… 内容は奇しくも、トールの推測した通りであった… ハロモニアの女王の体調不良による『歪み』の出現、女王の『魔力』を引き継ぐには、王家に縁のあるものしか受け入れられないこと… 王家の血筋を引くものは数少なく、貴重だ… 現在の混乱を鎮めるためにも、早ければ魔導大会後にも女王の『魔力』の引き継ぎを行いたい…というのが王室の希望だ… 魔力を引き継ぐ『器』として、りしゃこの成長が必要だったのだ… 「へぇ〜この子が例の“王家の血筋”の子なの〜?」 後ろから突然、声が聞こえてきた… 「ちょ、長官…!」 メーグルが急に立ち上がり、敬礼する 同じくマイミンもエリカンも敬礼する 「別にそんなに畏まらなくてもいーよー♪」 「いえ…、それでは示しがつきません!」 「オイラ、そーゆーのってあんまし好きじゃないんだー♪それより、この子達、紹介して♪」 「…わかりました。向かって右側が…」 「あーっ!!この子が『りしゃこ』ちゃん?へぇー!可愛いじゃん!」 「あ、いえ…、その隣の…子なんですが…」 「あっ!そうだったんだ!ゴメンゴメン!へぇー!あなたが『りしゃこ』ちゃん…?ふーん…いいじゃんいいじゃん!!」 まるでマシンガンのようなしゃべくりで圧倒されてしまう… 「あ、言い忘れてたけど、オイラ、『ヤグー』って言うからヨロシク〜♪」 と言って立ち去っていった…。まるで嵐のような女だ… まるで嵐のような女…ヤグー長官… 立ち去った後に、ミヤりしゃが質問する… 「あの人がマイミン達の上司なの?」 「…まぁね」 「…いつもあんな調子なの!?」 「…ま、まぁね…」 「…正直、疲れない?」 「…疲れる…」 「…でもさ、ウチらをさらったの、あの人なんでしょ!?」 ミヤビがズバリと切り出した 「…そうなるわね…。でも、それはさっき言った理由で…とにかく、少しでも多くりしゃこを成長させる時間が欲しかったの…」 「…でも、アタシ、あまりあの人…好きじゃない…なんとなく…」と、りしゃこが偽らない気持ちを言う 「…ウチも…。だけと、ウチらを育ててくれたのもあの人だからな…」「…そうだよね…恩があるのよね…」とマイミン、エリカンが口々に言う… 少し重たい空気になってきたので、 「りしゃこ達も長旅で疲れてるだろうから、部屋に案内するわ…」と切り出すメーグル 「うん!」「わかったもん!!」 メーグルと二人は大部屋から立ち去っていった… 「…これで、よかったのかなぁ〜?」「…わかんないけど、あいつらを応援してやろうぜ!」「そうだよね!」 ハロモニアへの道中… 最後の街を出て一週間が過ぎた… 盗賊と魔導兵器・ゴーレムに襲われた以外は特にトラブルもなく進んできた… 途中途中で小さな集落を見つけては泊めてもらったりしながら少しずつ前進した… りしゃこ達がいないのは寂しい限りだが、それでもトールや双子達もいて、とても賑やかな旅の暮らしではあった… ハロモニアまでの折り返し地点まで来て、今まで出て来なかった『刺客』がまた、あらわれた… 「自分ら、『りしゃこ』っちゅう子供、知らへん?」「知ってたら教えて欲しいんだけど…」 フードを身に纏った二人組の女が、馬に乗ってサキ達に尋ねてきた… 「知ってる…って答えたら…どうなるの?」と、サキが牽制発言をする 「なんや?お前が『りしゃこ』か!?ホナ悪いけど、ちょっと一緒に来てもらうでー」 と言うなり、グイッと手を引っ張ってサキをさらっていってしまった!! 突然の出来事に唖然とする一同…。だが、サキがさらわれたのだ!! 二人組の後を必死に追う― 突然、謎の二人組にさらわれてしまったサキ… 一瞬、何が起きたのか、さっぱりわからなかった… サキが正気に戻るのはさらわれたのがわかってからだった… 「やめてー!離してー!」と大声で叫ぶサキを謎の二人組の片割れが 「うっさいボケ!!」と、なんと、サキを片腕で締め落としてしまった…!! そんなことが起きているとは知らず、馬車で必死に追いかけるモモ達… 「待って〜〜〜!!サキを返して〜〜〜!!」 逃げている二人組にモモの悲痛な叫び声が聞こえた… 「…ねぇ…ユイヤンのさらった子…『りしゃこ』じゃないみたい…」「えっ?ホンマ!?どないしょ…」 「…もう一度、さらうしかないんじゃない?」「うわ…めっちゃメンドいなぁ〜。ダル〜…」 そんなやりとりが続いた後、二人組は踵を返して再び、馬車へ向かってきた! モモ達は戻ってきた二人組に驚く… 「アンタら、早よ『りしゃこ』出さんかい!!こっちは時間ないんや!!」 「人さらいに渡すワケないでしょ!!それよりサキを返して!!」 「アカン!『りしゃこ』と交換や!!イヤやゆうたら…」 「…望むところよ!!」 何故かサキを巡って争うことになったモモ達と二人組… 「ええか?ウチらが勝ったら『りしゃこ』を渡してもらうで!!」と、勝手に仕切るユイヤン… 「じゃあ、アタシ達が勝ったらどうなの?」と、モモが尋ねると、 「戦う前に負けることを考えるヤツがおるかっ!!」と意味不明な逆ギレをするユイヤン… 「…まぁまぁ…。じゃあ、アタシ達が負けたら、近くの街でメシでも奢ってやるよ…」 「ちょっと、アンタ?そんなことせぇへんでもええやん!?」 「アタシ達だけ負けても何も無し、じゃあ騎士の風上にも置けないじゃない?」「…せやけど…」 二人組の一人はDQNぽいが、もう一人がまともそうでホッとするモモ達… 「いい?試合は二人一組で、どちらかが『参った』をした時点で終了、ってことで…」 「…わかった。それでいいわよ…」 ルールが決まって、後は誰が相手するかだ… 「まずはアタシがでるわ…。後はパートナーだけど…」 「…ウチが出る、とゆいたい」と自ら立候補したのはマァだった! 「ごちそうさま、とゆいたい…」 サキを巡っての2対2の勝負になったモモ達… 相手はかなりデキるのか、自信満々だ… 4人の勝負を裁くのはトールで決定した 改めてお互いが向き合う 「まずは騎士らしく名乗らないとね…。私はエローカ=ミーヨ…。そして彼女が…」「ユイヤン=ボインブラや!!」 「アタシはモモ…」「ウチはマァ=サ…」 「ホナ、ちゃっちゃって始めよか!!」 「望むところよ!!」 いよいよ決闘が始まった!! まずはユイヤンが猛然とダッシュしてくる!!その手には何やら大きな球を持っているが… 大分間合いが詰まった頃にその大きな球をブンッ!!と並んで立っていたモモ達目がけて投げつける!! 同時に左右に飛んで避けるモモ達… だが、ユイヤンの狙いは二人を分断することだった!! 投げつけた大きな球の跡を見ると、地面が大きく凹み、ひび割れが起きている… こんなのもらったら、ひとたまりもない…。背中に嫌な汗をかくモモとマァ… だが、ボーッとしている暇は無かった…。 エローカが既に間合いを詰めており、長い棒状のものでモモを攻撃し始めたのだ!! 先手を取られてピンチのモモとマァ…。 分断作戦に打って出たエローカ&ユイヤンに対し、後手に回ってしまったモモ&マァ… 巨大鉄球『ジャンボタコヤキ』を振り回しながらジリジリと間合いを詰めていくユイヤン… じっと様子を見て、隙を伺うマァだが、ビュンビュンと音を立てる鉄球の前に、迂闊に手が出せない… 「何や?びびっとるんか?ホナ、ウチから行くで!」とマァに鉄球をぶち当てにきた…!! すんでのところで躱してユイヤンの懐へ入ろうとするマァ… 「もらった!とゆいたい!」と、マァの拳がユイヤンの顔面を射抜く…! だが、次の瞬間、マァの拳が捉えたものは、顔面でなくて『盾』だった…! 「どや?ウチの盾…『モダンミックス』のお味は…」と不敵な笑みを浮かべるユイヤン… 思わず拳を押さえてしまうマァ…。その隙にユイヤンはマァを蹴り上げる!! もんどりうって倒れるマァ… そこへ再度、容赦なく鉄球が襲いかかる!! ダメージからか動けないマァ… モモはエローカと交戦中で動けない… このまま、マァは『ジャンボタコヤキ』の餌食になるのか!? 巨大鉄球『ジャンボタコヤキ』と堅固な盾『モダンミックス』の前に攻撃を阻まれるどころか大ピンチのマァ… 非情にも、『ジャンボタコヤキ』がマァを襲う!! 思わず目を背ける一同… ガキィィィン!! 激しく金属音がこだまする… 一同がマァに目を向けると、いつの間にか、マァの手に巨大な棍棒が… どうやら、それで鉄球を反らしたらしい… 「この『筋属バット一号』で成敗してやる!とゆいたい!!」とマァ… いよいよ『眠れる獅子』の目覚め、か!? 「何や?そんなモンあったんか?でも、無駄や!!」鉄球の第2投目がまたも寸分違わずマァに襲いかかる!! だが、マァはその鉄球を少し横に避けて『筋属バット一号』をフルスイングして鉄球を弾き返す!! 見事に芯を捉えた鉄球はユイヤンの方へと飛んでゆく!! しゃがんでなんとか避けたユイヤンだが、勢いのついた鉄球に引き摺られて一緒に飛んでいってしまった… 一方、モモはというと、やはり、リーチの差でエローカの懐に飛び込めず苦労している… エローカの武器の前に、なかなか懐に飛び込めないモモ… そんなモモを嫐るように十字槍『三所責め』で追い込むエローカ… モモも短刀を両手に持ってなんとか躱している状態だが、攻めないことには勝利はない… そこで、モモは秘密兵器を取り出した… 短刀を一時しまって懐から取り出したのは、鎖分銅だ… 鎖分銅を勢いよく振り回し、エローカの十字槍のリーチ外から分銅を投じるモモ…。成る程、これなら場合によっては致命傷を与えられる… だが、せっかくの分銅も十字槍に絡め取られてしまった… 小柄なモモと大きくはないが、普通体型のエローカでは、やはり力比べではエローカに軍配が上がりそうだ… 「あなたの秘策も、ここまでだったようね…」と言って、空いてる手で鎖分銅を手元に引き寄せる… 必死にこらえるモモ…に見えるが、モモの口元には笑みが… 「…じゃーん!!」 何か筒状のものを取り出し、鎖に引っ掛け…そして「…ファイア!!」と言って筒状のものに火を点けた! すると、筒状のものがエローカに向かって一直線に飛んでいく!! モモの秘策・鎖分銅はエローカにガードされてしまったが、その後の火筒はエローカに向かって一直線に飛んでいった!! 「わ、わ、わ!!」 と、慌てふためくエローカ… 火筒はエローカの目の前で破裂し、白い噴煙が辺り一面に拡がる… 「ゲホッ!!ゲホッ!!」 エローカがむせ込んでいる… その隙を突いて、モモが噴煙の中にダッシュする!! エローカが十字槍を振り回してモモを近寄らせないようにしているが、全て空を切る… 噴煙の中にモモが突入し、やがて 「わ、ちょっと…やめて!やめて!!」と、エローカの悲鳴がこだまする… そして― 噴煙が晴れた頃には、エローカは鎖でがんじがらめにされていた… 「勝負あり!!」とトールが宣告する 「勝者、モモ&マァ!!」 最初は苦戦したが、見事勝利を収めたモモ&マァ… 一方のエローカとユイヤンはと言うと… 「やだー!納得できなーい!」と、負けに納得がいかずブーたれるエローカ… とは対照的に 「参ったわぁ!ウチらの負けや…ホンマ、アンタらスゴいわ!」と意外な程、すんなり負けを認めるユイヤン… 「ま、約束は約束やから、こいつ返すわ…」 そう言ってサキをマァに手渡す… 「ホナ、な…」という言葉を残し、立ち去ろうとするエローカとユイヤン… 从#゚ー゚从<ちょっと待て!とゆいたい!! と、お怒りモードのマァ… 「へ?何のことだっけ?」と、とぼけるエローカに対して、 从#゚ー゚从<メシを食わせろ!とゆいたい!! と、どんどん不機嫌になっていくマァ… 「こら、エローカの負けやな!」と相方に、覚悟を決めるように促すユイヤン… かくして、サキ達は勝負に勝ってタダメシを頂くことになった… エローカとユイヤンに先導されて、移動すること3時間… 从o゚ー゚从<メシはまだか?とゆいたい… と言って、腹の虫を鳴かせ放題のマァ… 「お待たせ〜!着いたで〜!!」とユイヤンが言うと、前方に大きな街が見えてきた… 「ここは『カワチ』言うて…ウチの生まれ故郷やねん!」と、誇らしげに話すユイヤン 成る程、街としては『ベリーナイス』や『マハ・アリ・カンナ』以上にデカイ… 「美味いメシ屋まであとちょっとの辛抱や!!」とみんなを鼓舞するユイヤン…エローカがちょっと元気がないのが気にかかったが… さて、街に入るとそこらかしこで何やらいい匂いが鼻腔をくすぐる… 「ここ、『カワチ』は別名・食い倒れの街ゆうて、とにかく色んなモンがめっちゃ美味いんや!!」と、張り切って説明するユイヤン 「それは楽しみだ…とゆいたい…ジュルリ…」とパブロフの犬よろしく、よだれの止まらないマァ… 他のみんなも、 「楽しみ〜♪楽しみ〜♪」「ゴ・ハ・ン♪ゴ・ハ・ン♪」とノリノリだ… エローカを除いては… さて、街を練り歩くこと約10分…ユイヤンおすすめの美味いメシ屋とやらに到着した… ユイヤンが店の暖簾をくぐると、 「おとん、おかん!友達連れてきたから焼いてくれへん?」と言い出す… (おとん?おかん?) 聞き慣れない言葉にぽかーんとする一行… すると、中から中年の男女が出てきて 「ユイー!おかえりー!」「久しぶりやなー!元気しとったかー?」 「ウチはめちゃめちゃ元気やゆうねん!!」 と、親しそうに話をしてる… 「お、エロちゃんや!!」「エロちゃん、元気しとったー?」 「…ええ、おかげさまで…おじさま、おばさま…」と引きつった笑顔を浮かべながら挨拶をする… あまりに「エロ」「エロ」と言うから、中にいた数名のお客さんがクスクス笑っている… (だから元気なかったんだ…)と妙に納得する一行… 「ホラホラ!みんなも座りぃや!」とイキイキとして仕切り出すユイヤン 「…あの、ここって…?」復活したサキが尋ねる 「ん?ウチの実家や!!めっちゃ美味いねん!!アンタらの食うたことない、珍しいモン食わせたるわ!!」と鼻息の荒いユイヤン… そして料理は… 小さい丸い団子みたいなものと、平べったい煎餅みたいなものが沢山出てきた 「カワチ名物の『たこ焼き』と『お好み焼き』や!!おかわりなら、いくらでもあるで!!」と太っ腹なユイヤン… ヘンテコな料理だが、何故か香ばしい匂いがする… 誘惑に負けて、マァが一口食べてみる… 从*゚ー゚从<…ブラボー!!…これは、素・晴・ら・し・い・ぞー!!、とゆいたい… と一言発して、脇目もふらずに食べまくるマァ… それをみて、サキ達も一口食べてみる… 「あーっ!美味しいー!」「えーっ!けっこうイケるジャン!?」「美味し♪」「うん♪」「…なかなか美味しいね…」 と大好評だ…。ユイヤンもすっかりご満悦だ… 食後― いよいよユイヤンとエローカが本題を切り出す 食後― それまでの和気あいあいとした雰囲気とうって変わって、シリアスな表情になるユイヤンとエローカ… 「…実は、『りしゃこ』っちゅう子を急いで連れていかなアカンのや…」と、ユイヤンが話し出す… 「…どうしてなの?」と、ユイヤンに絞め落とされたサキが尋ねる… 「…ヤグーの手に…渡る前に!!」 !! エローカの一言にサキ、モモの表情がみるみるうちに青ざめる… 「…ち、ちょっと!それ…どうゆうこと!?」といきり立つサキ… 「サキ!落ち着いて!!」とモモが止める… 「…驚くのは仕方ないわ…EX-ZYXのお二人さん…」 「!!」 「なんでそれを…!!」 今度はモモも動揺する…。特殊部隊・EX-ZYXの存在を知るものは、ハロモニアでも一握りなのに… 「…詳しいことは後で話すけど、彼女を『保護』したいの…」とエローカが真剣な眼差しで、サキ達に熱く話す… 少なからず、嘘を言ってるようには見えない… そう感じたサキとモモは、ユイヤンとエローカに事実を打ち明ける… 「…りしゃこは…ここにいない…さらわれたの…」 「何!?『さらわれた』やて!?」 突然、大声を張り上げるユイヤン!! パリーン!! 突然の大声にびっくりしたユイヤンのおかんが洗っていた皿を落っことしてしまった… それはスルーして、話を進めるサキ達… 「…ここに来る前にさらわれたの…。犯人は昔の仲間よ…」 「…それじゃあ、EX-ZYXのヤグーの手に渡ってるかも知れないの!?」 「…ええ」 「かーっ!!何てことや!!一番マズイ奴の手に渡ったんか…」 「『マズイ奴』って…」 モモが尋ねる… 「ここ最近、ハロモニアのあちこちで『時空の歪み』が発生してるのは知ってる?」 「その件なら、僕が知ってるよ…」と、答えるトールに 「おっちゃん、誰?」 と聞くユイヤン… 「…バカ!この人、宮廷魔術師のトール様よ!!」 「…え?ホンマ?」 「…いかにも。僕が宮廷魔術師・トール・B・ウッドベルだよ…」 「…し、失礼しました!」急にかしこまるユイヤン…とても気まずかったに違いない… 「…て事は、彼女が『黒幕』かも知れんな…」 「『黒幕』ぅ!?」 トールの『黒幕』発言に一瞬にして、場が静まりかえる… 「…長官が、ヤグー長官が事件の『黒幕』!?」 サキ、モモは信じられない…といった顔つきだ 「僕も断定は出来ないけどね…」と前置きしながら 「彼女が、ハロモニアの守護神・『暁の乙女』出身なのはみんな、知ってるよね…?」 「ええ…。ハロモニア女王を護る親衛隊、ですよね?」「アタシも知ってるー!」「ウチもー!」 「…そして彼女が特殊部隊・EX-ZYXの長官になって、その後、『暁の乙女』を脱退したのも…」 「…ええ」「…知ってます」「…そうだったよね」 「彼女が居なくなって以降だ…。例の『時空の歪み』が発生し始めたのは…」 「!!」 「…まだ確証は得てないが…用心には越したことがないな…」と推測を述べたトール… すると、 「一緒だ!隊長の言ってたことと一緒!!」「ホンマや!隊長、只のアホか思たらけっこうエエとこ突いてるやん!?」 と、ユイヤン・エローカが大騒ぎする… 「せやったら、話は早いわ!トールさん、隊長に会ったって!!」 ユイヤン・エローカの申し出… 今回のハロモニア崩壊の原因を探求する、『隊長』と呼ばれる人物との面会… ハロモニア王国を護る宮廷魔術師としては、重大問題の解決の糸口として、出来るだけ協力者は欲しいところだ… 「…わかった。会ってみよう…」と、トールは即断した… 「わぁー!よかったぁー!」「これで、今回のミスは帳消しやね!」 「…何が帳消しですって!?」 と、そこへ、一人の女性が現れた… 「…あっ!隊長!!」「…げぇ!!」 「…『げぇ!!』って言ったのはこの口か!!この口か!!」と、言ってユイヤンの頬っぺたをつねりあげる… そんなドタバタのやりとりを見ていたトールが、しげしげとその女性を見つめる… 「やだぁ〜パパァ〜!」「このエロオヤジ!!」 「違う、違う!!」と弁明しながらトールが言う 「この娘は、元・『暁の乙女』のリカサークくんだ…」 「え〜〜〜〜〜っ!!」と驚く一同… トールが発した言葉に一同が驚く… 目の前に、元・とは言えどハロモニア王国の守護神・『暁の乙女』の一員、リカサークが現れたからだ… 改めて対峙すると、普通の人間とオーラが段違いなのだ… その場にいた皆が、一斉にに注目する… 「…おばさんミックスモダンね!」 一同ズッコケる… 「…何よ!いージャン!?ワタシだってお腹が空くんだから!!」と、のたまうリカサーク… そりゃそうだ…。『守護神』と言っても人間なのだから… 「おじさーん!モダン最高!」と、食事を平らげた後、リカサークが切り出す… 「トール様、貴方の名声と武勇は兼ねてより伺ってます…。どうか、ワタシ達に協力して下さい!!」 「勿論、そのつもりですが…」 「…隊長」「ウチらのやりとり、見てへんかったん…!?」 「…ゴ、ゴホン!とにかく、この混乱を止めるために一緒に戦いましょう!」 「おーっ!!」 トールがリカサークに質問する 「で、今後はどうする予定で…」 「とりあえず、ハロモニアに行きましょう!協力者も紹介したいんで…」 「わかりました…じゃあ、急ごうか…」