二人でトラブルを乗り越えたことで、いつもの二人に戻れた…。二人の顔に自然と笑みがこぼれる… 

が、その一部始終を見ていたノノタンが、 
「…あんた達、何やってんの!?」と、冷ややかな眼差しをしていた… 

「…それより、お腹空いてたんでしょ?これでも食べて!」と言って、料理を差し出した… 
香ばしい匂いのするパスタとお腹に優しそうなスープとパン… 
「あまり大したおもてなしはできないけど…」とちょっぴり照れながらノノタンが言った… 
それでも、腹ペコの二人にとっては飛びっきりのご馳走だ…。考えてみれば、口を聞かなかったあまり、ご飯も口に運んでなかった… 
「…おかわり!」またもや二人同時にノノタンにお皿を差し出す… 
そんな二人を目を細めて眺めるノノタン… 


「ご馳走様でした!」二人がノノタンにお礼を言う…「どういたしまして!!」と、嬉しそうにノノタンも返事する… 

「…さてと…ところで二人は『おやびん』に言われてここに来たの?」 
「『おやびん?』」 
「あ、ゴメンゴメン…。ヤグっさんからの紹介で来たの?」 
コクコクと頷く二人…



「…じゃあ、どこから話そうかな…」と、ノノタンが言葉を選んでいるところに玄関先から、 

「スミマセ〜ン!あの〜ヤグーさんからの使いで来たものなんですけど〜?」と、どこかで聞いたような声がする… 

二人にはピンときた!(サキ達だ!!) 
すぐさま玄関先まで出迎えに行く二人… 

案の定、声の主はサキだった… 
「…二人とも、大丈夫?ケガはない?」と、相当うろたえている… 
ユリーナのケガのことはナイショにして、サキを安心させるために、 
「…大丈夫!へーきへーき!」と言ってみせる… 
ホッとするサキ… 

ところが、モモがユリーナを見かけると、 
「いや〜ん!もう!心配したんだから〜!!」とジャンプしてユリーナに飛び付いたものだから、再びユリーナの足首は 

グキッ!! 

という鈍い音を立ててしまった! 
うずくまるユリーナ…



再度、無事みんなが合流出来たことで話を仕切り直すことに… 

やはり、後からきたサキ達も腹ペコだったので、ノノタンがまた、料理を振る舞う… 
先に食べたユリ・チーが食事の手伝いをかって出る 
料理を作ってるときのノノタンはとても嬉しそうだ…何でも、こんな大人数の来客は初めてらしい… 

でも、時折、寂しそうな表情をするのが気になった… 

そして一時間後… 

みんなが食事を終えて、ノノタンが話し始める… 

まずは、手紙の内容について…だ 
「みんなの訓練を頼む…と書いてある」と、言うノノタン… 
「…特にコンビネーションを強化してくれ…って書いてあるよ」とも言う 

その時、サキが、 
「確かノノさんって、アイヴォンさんとコンビで大活躍してたんですよね!!」とノノタンを持ち上げたつもりで言うが… 
その『アイヴォン』という言葉を聞いて、今まで明るかったノノタンの表情が急に曇った… 

(…あちゃ〜〜〜!地雷踏んだ〜〜〜!)と誰もが感じた… 

少し宙を見上げて、大きく吸い込んだ息を吐き出し、口を真一文字に結んだ後、決意してノノタンが話し出す… 

「『アイヴォン』はね…、もうこの世界にはいないんだ…」



かつての相棒『アイヴォン』の名前を聞いて、表情が急に曇り出したノノタン… 
だが、その後、何か吹っ切れたように語り出す… 
「…もう、『アイヴォン』は、この世界にはいないんだ…」 

その場にいた全員が、頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた… 
昔、ハロモニア世界の誰もが憧れた『暁の乙女』がやられてしまったなんて…にわかに信じられなかった… 
だが、真実は少し違ったようだ… 

「…いなくなった、って言っても別に死んだワケじゃないの…ただ、『向こう側の世界』に行ってしまっただけなの…」 

それを聞いた全員が、何のことだかさっぱりわからなかった… 

「…あのー、『向こう側の世界』って…何です?」と、一番年長のサキが尋ねる… 
「…あっ、ヤグっさんから何も聞いてなかったんだ…。じゃあ…みんな、よく聞いてね…」 

…その後、その場にいた全員が、今回の事件のあらましを聞くことになる…



「…みんなはどこまで話を知ってるの?」と、ノノタンがみんなに質問する… 

そこから出た答えは… 
今、ハロモニア世界の崩壊が始まっていること… 
その原因か、世界のあちこちに発生している『時空の歪み』であること… 
ノノタンがまだ『仲間』かどうか判断出来ないので、『時空の歪み』の原因=ヤグー、という推測は話さなかった… 

「…じゃあ、『時空の歪み』は解ってると思うけど、あれは、『違う世界』に繋がっているの…」 
「『違う世界』?」 
「…うん…。このハロモニア世界と全く別の世界に住んでいる人達もいるの…。…だけど、この世界には相容れない関係の人達…」 
ノノタンが語る一言一言に、全員が固唾を呑む… 

「…きっとおやびん…じゃなかった、ヤグっさんはね…この世界を『新しい世界』にしたくて『時空の歪み』を創っていると思うの…」 
驚愕の言葉がノノタンの口から語られた!! 

やはり、ヤグーは『時空の歪み』を自らの手で創り出しているのだ!! 

それを聞いて、サキが熱くなって核心を突く!! 

「…でも、それって、この世界を『破壊する』ことですよね!?それって、悪いことですよね!?」 

その言葉に、ノノタンは即答しなかった…いや、出来なかった…



サキの言い放った「世界を『破壊』するって悪いことですよね!?」という言葉に、しばらく何も言えなかったノノタン… 

「…アタシには、どっちが正しいのか、わかんないの…」とだけ語った… 

「…今、アタシには、新しい『生命』が宿っているの…」 
また、ノノタンから衝撃的な事実が明かされた!! 

「さっき、『時空の歪み』が『向こう側の世界』に繋がっている、ってこと、話したよね?」 
全員が無言で頷く… 
「そして『向こう側の世界の人達』はアタシ達とは相容れない関係、ってことも…」 
また、全員が頷く… 
「アタシとアイヴォンはヤグっさんに依頼されて、『時空の歪み』を調査しに行ったの…そしたら、二人とも向こう側の世界に飛ばされて…」 
言葉を続けるノノタン… 
「アイヴォンは…その世界の人達に連れていかれてしまって…向こう側の人達に染まってしまった…」 
…一つ一つのノノタンから語られる言葉を聞き漏らすまい、と耳を傾けるみんな… 
「…きっと、ヤグっさんは、自分の理想を…アタシ達二人に知ってほしかったんだと思う…」 
「…アイヴォンは受け入れて…アタシは受け入れられなかった…」



みんなが真剣な面持ちでノノタンの話を聞いている… 
何が『正義』で、何が『悪』なのか…判断するのは、そう…自分達なのだ… 

「…向こう側の人達を受け入れられなかったアタシは…あの世界から離れようとしたの…。でも、一人では戻れなかった…」 
話を聞いているサキ達も、何か胸苦しくなるような気分になってきた… 

「…その時なの…『あの人』が助けてくれたの…」 
「『あの人』って!?」 
「…この子の父親…」と、言ってお腹をさするノノタン… 

「…確かに『あの人』は『向こう側の人』なんだけど…向こうの側の世界を嫌がるアタシを理解してくれたの… 
そして、この世界にまた戻れるように、色々と調べてくれたり、寂しがるアタシを笑わせて、励ましてくれたの… 
…いつの間にか、アタシ…あの人のことが好きになっちゃって…一緒にいたい…って、思うようになったの… 
最初はヤグっさんのことを恨んだこともある…でも、『向こう側の世界』に行ったから、『あの人』とも、巡り逢えた…って…」 

ひとしきり語ったノノタンの、『時空の歪み』の功罪…それがサキ達に重い現実として、のしかかる…



『時空の歪み』の功罪… 

新しい世界を生み出すための『破壊』… 
このことが、果たして『正義』なのか『悪』なのか? 
最後にノノタンが語る… 
「…アタシは…アタシは『新しい世界』は素晴らしいって思うけど…でも、『今の世界』を犠牲にしてまでは、ほしくない… 
…だって『今の世界』だって十分素敵だから…」 

ノノタンの話が済んで、しばらく沈黙が続く… 


そして、一番早く口を開いたのが、りしゃこだった… 
「…アタシ…みんなに逢えてよかった…。でも…世界が壊れたら…きっと…みんなバラバラになっちゃう…。そんなのヤダ!! 
…だから…アタシ、世界を護る!!ずっと!ずっと一緒にいたい!!」 

…こんなに感情を顕にしたりしゃこは初めてだ… 

優しそうな眼には、いつもとは違った力強い意志が宿っている… 
固く結ばれた口元には、大きな決意を感じる… 

そのりしゃこの凛々しい姿に、サキ達はどこまでもりしゃこについて行く決心をした…



「この世界を護る!!」 

りしゃこ達の気持ちがひとつになった… 

そして、気がつけば、いつの間にか夜遅くになっていた… 

「みんな!明日から特訓だから、早く寝なさい!」 
ノノタンがそう言うと、 
「は〜い!おやすみなさ〜い」と、みんなで明るく返事をする… 


そして夜中− 


ユリーナはふと、目が覚めた… 
今日は色々なことがありすぎて、なかなか眠れないようだ… 
ちょっと外の空気を吸いに、バルコニーに出た… 
そこには先客が… 

チナリだ… 

どうやらチナリもユリーナと一緒で、眠れないようだ… 
どちらからともなく、二人で並んで月を眺め始めた…ゆっくりと過ぎていく時間…。何故か、それがとても心地いい… 

そんなとき、ふと、気になることがあって、ユリーナはチナリに質問した… 

「…ねぇ、チー…」



「この世界を護る!!」 

りしゃこ達の気持ちがひとつになった… 

そして、気がつけば、いつの間にか夜遅くになっていた… 

「みんな!明日から特訓だから、早く寝なさい!」 
ノノタンがそう言うと、 
「は〜い!おやすみなさ〜い」と、みんなで明るく返事をする… 


そして夜中− 


ユリーナはふと、目が覚めた… 
今日は色々なことがありすぎて、なかなか眠れないようだ… 
ちょっと外の空気を吸いに、バルコニーに出た… 
そこには先客が… 

チナリだ… 

どうやらチナリもユリーナと一緒で、眠れないようだ… 
どちらからともなく、二人で並んで月を眺め始めた…ゆっくりと過ぎていく時間…。何故か、それがとても心地いい… 

そんなとき、ふと、気になることがあって、ユリーナはチナリに質問した… 

「…ねぇ、チー…」



なかなか眠れないでいるユリーナとチナリ… 

ユリーナはいつも事ある毎に、ユリーナについて回るチナリが苦手だった 
思えばこうして二人でゆっくりする機会なんて一度もなかった… 

昨日まではスレ違いでケンカしてたけど、今日はお互いを理解した結果、仲直り出来た… 

だからこそ、ユリーナは知りたいことがあった… 

「…ねぇ、チー…何故ウチについてくるの?」 
決して問い詰める訳でもなく、素朴な疑問としてユリーナが尋ねた… 

ちょっと照れくさそうに、「…ユリーはね、ウチの『大事な人』だから…」と答える… 
「…『大事な人』って!?」思いがけない言葉に驚くユリーナ… 
「…うん。ねぇ、ユリー…ウチらが初めて逢ったときのこと…覚えている?」 
「…覚えてない…だって、いつの間にかウチの後を尾けてきてたから覚えてないや…」 

「…だよね…覚えてないよね…」と、寂しそうに言うチナリ 
それが気になって、 
「…ねぇ、教えて!ウチら、いつ初めて逢ったの?」と聞き返すユリーナ 

「…ウチらがね、10才くらいの頃かなぁ…」



「…ウチらがね、10才くらいの頃かなぁ…」 
当時を振り返るチナリ… 

「…実はね、ワタシ…けっこうイジメられてたんだ…」と呟く… 
(…ウザいから!?)と、いう考えがユリーナの頭に一瞬よぎったが、 
「違う違う!」と、口に出してもないのにチナリに否定されてしまった… 

「…今とは全く逆で…すごく大人しくて…むしろ暗い子だったの…」 
チナリの発した言葉が意外だった…。いつも明るく振る舞っていたチナリが暗かったなんて… 

「…だから、よくイジメられて…森にある大きな池、あるじゃん?あそこで独りぼっちで泣いてたんだ…」…チナリの言葉が続く… 
「…ワタシの住んでる森はダークエルフって少ししかいないから、よく肌の色でイジメられたりもしたんだ…」 
そう言うと、当時のことを思い出したのか、少し辛そうな顔をする…。その顔が急に、パッと明るくなって 
「…そんなときに…ユリーに出逢えたの…」



イジメられっ子だった過去を明かしたチナリ… 
とても今の姿からは想像出来ないのだが? 

「よく森の中にあった大きな池の前で独りぼっちで泣いてたんだ…でも、そんなときにユリーに出逢えたんだ…」 
と、言われても、さっぱり覚えてないユリーナ… 

だが、ちょっとずつ思い出してみる… 
生まれ育った妖精の森…その中にあった大きな池…そして、少女… 

「…あ〜〜〜〜っ!!」 
どうやら幼少の頃のチーを思い出したようだ… 

「え〜〜〜っ!?全然イメージと違う!」 
「だってあの頃は髪も長かったしぃ…」 
「…でも、全然変わり過ぎだって!!」 

「…でもさ、ワタシを変えてくれたのはユリーなんだよ?」 
「…えっ!?どして?」 
「…だって、独りぼっちのワタシの…初めて『お友達』になってくれたじゃん!?」 
「…そっか…チーが独りぼっちだったから、ウチ、声かけたんだよね…」 
「そう!そう!それで『友達になってあげる!』って言ってくれたんだよね!!…すごく…嬉しかった…」 
あの時のことを思い出したのか、遠い目をするユリーナと、少し涙ぐむチナリ…



昔を懐かしむ二人… 

「…懐かしいよね…」 
「…その割にはワタシのこと、すっかり忘れてたじゃん?」 
「ゴメンゴメン!」 
「ダメ〜♪許してあげな〜い♪」 

そんな楽しいやりとりが続く… 

「…ねぇユリー…『魔法の呪文』って覚えてる?」 
「…んーと…忘れちゃった!…なんだっけ?」 
「…ホラ!アレだよアレ!…その呪文を唱えたら、みんなが笑顔になる…」 
「あ〜〜〜!アレね!」 
「…でさ、二人でやってみない?」 
「…え〜っ!?ちょっと恥ずかしいって!」 
「大丈夫!大丈夫!みんな寝てるし…じゃあいくよ!1・2・3!」 

「「エンジョ〜イ!!」」 
子供のようにはしゃぐ二人…だが… 

「…眠れない」「…うるさい」「…やかましい」「…何時だと思ってんの!?」「朝ごはんで食べてやるぞ、とゆいたい…」 

…いつの間にか、みんなが冷ややかな視線で見ていた…



翌朝― 

みんな寝不足だった… 
夜中にユリ・チーが大はしゃぎしたので、うるさくて眠れなかったのだ… 
…よって、みんな機嫌が悪い… 
無論、家の主のノノタンもだ…。やはり眠れなかったらしい… 

そんなみんなに平謝りするユリ・チー… 
許してもらう代償として、今日の料理当番に任命された… 


残りのメンバーは修行に勤しむ… 
コンビを組まれたミヤりしゃ、サキ・モモに加え、リザーバー(補欠)のマァも万が一に備えて技に磨きをかける… 

コーチ役のノノタンはというと、コンビネーションによる魔法の有効活用について、色々と教えてくれた… 
「…もう、アタシには使う機会がないだろうから…」と、幾つかのオリジナル合体魔法も教えてくれた… 
…その言葉を言った時の、寂しそうなノノタンの瞳が印象的だった… 

…だから、みんな一生懸命に練習をした…。もうノノタンに使われる機会のない『合体魔法』をこのまま風化させないためにも… 

そして、ひとしきり特訓を終えたら、もうお昼になっていた…



みんなが特訓に明け暮れた結果、あっという間にお昼になった 
ほぼ休みナシでやってきたので、ゆっくりと身体や頭を休める… 

そこへ、 
「お昼が出来たよー!」と、今日の料理当番ユリ・チーから、お昼ご飯の合図がする 
「…じゃあ、お昼にしよっか?」のノノタンの提案で一同は食事をとることにした… 

だが、ここでも話は特訓のことばかり…。みんなの頭の中から離れないんだろう…。ああでもない、こうでもない…と会話か続く… 


そして、お昼から特訓の開始だが、料理当番だったユリ・チーの二人が個別にノノタンに呼ばれる 

「…ちょっと二人に話があるの」 
突然のことに戸惑いを隠せない二人…。緊張した面持ちでノノタンの話に耳を澄ませる… 
「そんなにかたくならなくってもいいから!」と、前置きした上で、 
「…あなた達に、今まで封印していた『合体魔法』を受け継いでほしいの」 
思わず驚いてしまう二人… 
「…でも、そんな大事なものを…」つい、そんな言葉を口走ってしまう… 
「あなた達だから、なの!アタシが見た感じ、一番使いこなせる気がするの…」



ユリーナとチナリの二人に、ノノタンが封印していた『合体魔法』を託す…と申し出た 

突然のことに二人は戸惑ってしまう… 

「…あなた達だから、なの!…きっと使いこなしてくれると思う…」 
そう言い切るノノタン 
「…でも、ウチらミヤりしゃのように、息ピッタリじゃないし…」「…むしろ正反対だと思う…」 
二人が不安な心中を打ち明ける… 

それに対し、 
「それなら大丈夫!アタシも、相方とは正反対の性格だったし!…『合体魔法』にはね…幾つか種類があるの! 
例えば、同じ『属性』同士で威力が倍増するのもあれば、反発する『属性』のもの…、相性のいい『属性』のものもあるの!」 
と、答えるノノタン 

恐る恐る 
「じゃあ、ウチらは?」 
と、ユリ・チーが尋ねると、ノノタンの返事は 
「二人はね…『相性のいい属性』だよ!」だった



ノノタンから『属性』の相性がいい、と告げられたユリ・チー… 
だが、二人にはあまり実感がない… 

「どうして、相性がいい、なんてわかるんですか?」と、二人して尋ねる… 

「…こういうことなの!」と、ノノタンが紙にメモ書きする… 


州*‘ ー‘リ…火? 
ノノl∂_∂'ル…火 
川´・_・リ…風 
ル*’ー’リ…? 
川*^∇^)|…雷 
从´∇`从…風 
从o゚ー゚从…土 

「…これがみんなの『属性』よ!」 

「…『属性』はわかったけど、それがどう繋がるの?」と、尋ねる二人… 

「…例えば、『火』と『水』って、相性良くないよね?」 
「うん!」 
「そういう風な組み合わせが幾つかあるの…」



ノノタンが話を続ける… 

「…で、ユリーナの属性が『雷』、チナリの属性が『風』、二人の属性がバラバラだから相性が良くないって思われがちだけど、 
…実は、大きく分けたら同じ属性になるから相性がいいの!」 
けっこう驚く二人… 

「…で、二人の性格が正反対だから、長所を伸ばして短所を上手く補えるの!」と力説するノノタン… 

(そうかなぁ〜?)と思っている二人に対して、 
「ホントだって〜!だってアタシと相方も、性格は正反対だったし、 
属性はあなた達と同じ『雷』×『風』の組み合わせだったんだから!!」と、言うノノタン… 

そう言われると不思議と納得する二人… 

「アタシ達と同じ組み合わせの二人が来るなんて、偶然じゃなくて、運命だと思うの!…だから、アタシの『魔法』、大事にしてね!」 
そんなノノタンの押しに負けて頷いてしまった二人… 
そして、「ありがとう!」と、大喜びをするノノタン…



大喜びするノノタンを見て、二人は想像した… 

きっと…ずっと長い間、ノノタンは独りぼっちで『魔法』を継承してくれる人を待っていたんだろう… 

そう思うと、何だか重大な使命を受け入れてしまったような気がする… 
だけど、目の前で喜ぶノノタンのためにも… 

ユリーナがチラリとチナリに目をやる…チナリもユリーナの方を見ていた… 
ただ、黙って頷く… 
言葉には出さなくっても、気持ちは同じだったようだ… 
次の瞬間には、 
「コーチ!お願いします!!」と口走っていた… 


一方… 

食後、サキとモモが話し合いをしている… 

「…ねぇモモー…あなた魔法使えないのー?」 
とサキがモモに愚痴っている… 
「…使えるよ!」 

!! 

「ちょっと、今、なんて言った?ねぇ、今、なんて言った?」



ミヤりしゃに続いて、ユリ・チーまでもが『合体魔法』の特訓に取り組み始めたので、焦るサキ… 

しかし、コンビを組むモモが魔法が使えないとあってはどうしようもない… 
そんな現状をサキはつい、愚痴ってしまう… 
「ねぇ、モモー?あなた魔法使えないのー?」 

モモから返ってきた答えが「…使えるよ!」 

「ちょっと、今、なんて言った?ねぇ、今、なんて言った?」 
興奮するサキ… 
「…ぢ、ぢょっど…ぐるじい…」 
…いつの間にか、モモの首根っこを掴んでしまっていたサキ…。首を絞められたモモが呼吸困難を起こしている… 

「…ゲホッ!ゲホッ!…もう、信じらんない!」と、モモがかなりご立腹だ… 
「…ゴメ〜ン!…つい嬉しくって…」と謝るサキ… 
「…だって、『魔法使って!』なんて言われなかったし…」 
「…でも、どうして教えてくれなかったの!」 
「教えたら、面倒だもん!色々と頼まれ事が増えるし、あれこれ聞かれて答えるのもねぇ…」 
「…まぁ、そうだけど…。ねぇ!早速使ってよ、魔法!」と、目を輝かせているサキ… 

「…わかったわよぅ…。やればいいんでしょ?やれば…」と、すっかり観念したモモだった



「じゃあ…いくよ…」 

全く覇気のない声で準備に取り掛かるモモ… 

モモが初めて魔法を使う!…そう思うと、ワクワクしてくるサキ… 

目を閉じて、精神統一を図るモモ… 
それを、固唾を呑んで見守っているサキ… 

そして、ゆっくりと目を開くと、気合いを込めて 
「ハッ!!」と、声を発すると同時に地面に拳を突き付ける!! 

すると、地面に沿って小さな火柱が走って行き、目の前の岩にぶち当たると、爆発が起きた!! 

初めて見るタイプの魔法に、すっかり興奮するサキ…。すぐさまモモの傍に駆け寄って、 
「…すご〜い!!ねぇねぇ!!今の魔法、どうやってやるの?教えて教えて!!」と、必死にせがむ… 

だが、「多分、ダメだと思うけど…」と、即答するモモ… 
「え〜〜〜っ!?どうして〜〜〜!?」と、残念がるサキ… 
「だって、あれ、『魔法』じゃなくて『忍法』だもの…」 

… 

「…忍法〜!?」



初めて見るモモの魔法に興奮するサキ… 

だが、モモの口から出てきた言葉は、 
「…『忍法』なの」 

初めて聞く耳慣れない言葉に戸惑うサキ… 
「…あの、『忍法』って、何…?」 
ちょっと困ったような顔をしてモモが、 
「…まぁ、魔法って言ったら魔法みたいなもんだけど…何か問題でも?」 
と答える 

今度さサキが難しい顔をして、 
「…ねぇ、どこが魔法と違うの?」と、質問するが、「…うーん…わかんない!!」と、あっけらかんとしたモモ… 
「…まぁ、魔法みたいなもんだったら、いいと思うんですけど?」という答えしか返ってこない… 

少し考えてみて、サキが 
「じゃあさ、『合体魔法』が出来るか、試してみよ!まずはそれから、ね!」と、ポジティブな意見を提案する… 
「…んじゃ、やってみよっか!?上手くいけば、ミヤりしゃにもユリ・チーにも威張れるしね!!」と、モモもノリノリだ… 

かくして、サキ・モモによる、『魔法』と『忍法』のコラボレーションが始まった…



果たして、『魔法』と『忍法』のコラボレーションは可能なのか?…それを知るために、二人で特訓を始めるサキ・モモ 


そして、独りぼっちのマァ…。今回はコンビから漏れてしまった… 
だが、少しも焦っている様子はない…。一人黙々と特訓を行っている… 
そして、マァの傍らにはマイハがちょこんと座っている…。どことなく嬉しそうな感じだ… 

しばらくして、今までぶっ通しで稽古をしてたので、マァは一休みを入れることにした… 
すると、傍で稽古の様子を見ていたマイハがマァの隣に可愛らしく、ちょこんと座る… 
そんなマイハに目を細めながら、 
「…もうちょっと、もうちょっとだとゆいたい…」と独り言を呟くマァ… 


ミヤりしゃ、ユリ・チー、サキ・モモ、マァ・マイハ…。それぞれが今、出来る全力で特訓に打ち込んだ… 
翌日も、そのまた翌日も… 
そして、集落に来てから一週間が過ぎた…