りしゃこ達一行がノノタンの住む集落に来てから一週間が経過した… 

今日も朝から特訓をするべく準備をする面々…。ここに来てから新しい発見ばかりだ… 
魔法の『属性』、『相性』、そして、『属性』と『相性』を上手く組み合わせて威力を倍増させる『合体魔法』… 
毎日、筋肉痛や疲労感に襲われるけど、新しいことの発見の方が楽しくて、不思議と一眠りしたら、疲れがぶっ飛んでしまう… 

一週間前に来た時より、グッと精悍な顔つきになったりしゃこ達を見て目を細めるノノタン… 


そして、今日はノノタンから重大発表があった… 

「…ねぇ、みんな!今日はみんなの『卒業試験』をするからね〜♪」 

突然の発表に驚くりしゃこ達… 
「え〜〜〜っ!!」「やだ〜〜〜!けっこう楽しかったのに〜〜〜!」「…うわ〜〜〜!ショック……」 
みんなから不満と残念がる声が上がる… 
「いや〜〜〜!けっこうみんな、上達するのが早いから、もう、いい線いってると思うんだよね♪」 
と、明るく答えるノノタン… 

「じゃあ、卒業試験はアタシ対みんな!アタシが『参った』したらみんなの勝ち!!いいね!?」



突然の『卒業試験』の発表にに戸惑いを隠せないりしゃこ達… 
この一週間はとても楽しかった…。そのことを思い出すと、心の整理がつくまでけっこう時間がかかった… 
だけど、りしゃこ達の最終目標は『魔導大会』での優勝…楽しいとは言え、ずっと甘えていてばかりじゃいられない… 
今まで、コーチしてくれたノノタンへの恩返しのためにも… 

心の準備の出来たりしゃこ達は、ノノタンの待つ集落の外れの原っぱに集合した… 


いつも笑顔のノノタンが珍しく、凛々しい顔つきをしている…。言わずもがな、本気のようだ… 
りしゃこ達も、恩師とはいえ、手加減なし、悔いの無い闘いをすることを決意した… 

「…じゃあ、準備はいい…?では始め!!」



「始め!!」の合図とともに、一斉に四方に散らばるりしゃこ達… 

一斉に飛びかからないのには訳がある…。実は今の今まで、ノノタンの『魔法』を見たメンバーが殆んどいないからだ… 
ユリ・チーがグリズリーに襲われた時に、回復魔法をしてもらったぐらいで、後はデータらしいデータがない… 
相手の手の内を知らずして闘いに挑むなど、愚の骨頂だ… 
数は1対7…圧倒的に有利だ…。で、あれば、相手の出方を伺ってから行動を起こしても遅くはない… 
慎重派のサキらしい選択である… 

だが、それが全くの裏目に出た! 

四方に散らばったりしゃこ達が一斉に魔法の詠唱に入った途端、ノノタンが動いた!! 

いきなり間合いを詰めて、まずは単独のマァ目がけて拳を一閃!! 
反応の遅れたマァのみぞおちに拳がヒットする!! 
モロに食らって、その場に崩れ落ちるマァ… 

『不沈艦』のマァがやられたことで、りしゃこ達に動揺が走る!! 

更に、その動揺によってできた隙をノノタンは逃さなかった!! 

返す刀で『合体魔法』に集中していたユリ・チーに襲いかかる!!



まずは『不沈艦』マァを一瞬で仕留めたノノタン… 

あまりの早業と抜群の耐久力を誇るマァが倒れたことで、りしゃこ達に動揺が広がる! 

その隙を逃さず、一気に畳み掛けるノノタン!…その標的は、愛弟子のユリ・チー!! 

向かって来るノノタンに対して、マァとは違い、迎撃準備をする時間はあった… 
…だが、二人が迎撃体勢に入る前に、今度は両の手から雷球を発射する!! 
間合いが詰まっていたため、ユリ・チーは雷球の直撃を被弾してしまう!! 
なまじ、間合いが詰まっていたから飛び道具を躱すことは出来なかったのだ… 

あっという間に1対4になってしまったりしゃこ達…やられた3人は、ピクリとも動かない… 

(…まさかこんなに実力差があるなんて…) 
茫然自失するキャプテンのサキ…。自分の采配ミスで、3人もやられてしまったのだ… 

立ち竦んでいるサキに容赦なく襲いかかるノノタン… 
その時! 

パシーン!! 

モモの平手打ちが飛んだ! 
「サキ!しっかりしてよ!!あなたがしっかりしないでどうするのよ!?」 

平手打ちと喝で目が覚めたサキ…



マァに続いて、ユリ・チーまでもがノノタンの餌食になってしまった…!! 

そして、次なる標的は司令塔のサキ!! 
飢えた獣の如く、サキに向かって一直線に駆けてくる!! 

度重なる失敗で茫然自失のサキ… 
そんなサキに平手打ちと喝を入れるモモ… 

我に返ったサキは素早くりしゃこ達の元に走る!…そして、りしゃこ達の護りにはいったのだ! 

尚も執拗にサキを狙うノノタンの前に、モモが立ち塞がった!! 
「ここは通さないわよ!!」と言って、腰から短刀、改め忍者刀を抜いてノノタンに挑みかかるモモ… 

ノノタンの拳がモモに絶え間なく襲いかかるが、なんとか弾いて防ぐことが出来た… 
そして、接近戦の膠着状態から、ノノタンの顔面目がけて何かを発射した!! 
あっという間にノノタンの顔面が真っ白に染まる!! 
「…う、ぺっぺっ!!何これ〜!!」 
ノノタンが得体の知れない液体まみれになって苦しむ… 

「あ、それ?牛乳…今朝の朝食の!」 
さらりと言ってのけるモモ…。どうやら口に含んだ牛乳を毒霧で噴射したようだ… 

「…確かノノさんって、牛乳はお嫌いでしたよね?」



接近戦になって、ノノタンの一瞬の隙を突いて顔に毒霧を浴びせるモモ!! 
しかも、成分はノノタンの苦手な牛乳…と、抜け目のないことこの上ない… 

だが、その攻撃が、却ってノノタンの逆鱗に触れてしまった!! 

「…よくも、よくもやったわねぇ〜!!」 
と、言うが早いか、高速で呪文を詠唱し始めるノノタン… 

「…サキ!ちょっとマズいわよ〜!」 
「何言ってんの!?あなたが怒らせたんでしょ!?責任取りなさいよ!!」 
二人の間で、つい口論が起きてしまう… 

「…じゃあ、サキ!アタシが突撃するから、援護ヨロシク!…アレを止めないと激マズよ!」 
「…わかってるわよ!!援護するから、なんとか止めて頂戴!!」 

そう言い終えると、モモはノノタンに一直線に向かった!! 
もしもに備えて、詠唱し終えた風の魔法を、モモの援護射撃で放つサキ!! 

魔法と物理攻撃が同時に襲いかかる!避けるのは至難の業だ… 
そして、サキの放った風の魔法がノノタンに綺麗にヒットする!加えて、モモの突撃が待ち構えている! 


…だが、モモはノノタンに近づく手前で失速した… 

当然ながら、 
「…ちょっと!何やってんのモモ!!早く仕留めないと!!」と、叫ぶサキ…



目の前に標的がいながら、何も行動を起こさないモモに対して 
「…ちょっと!何やってんの!!」と、苛ついてしまうサキ… 

…だが、その理由はものの数秒後にわかった… 

風の魔法で若干悪くなった視界が晴れてきた… 
そして、中から浮かびあがってきたシルエットは… 

やや大きめの、金属の塊だった… 
どうやら、これがノノタンの『切り札』らしい… 

金属に身を包んだノノタンが中から叫ぶ… 
「…アタシにこの魔法を出させたのは立派だけど…後悔させてあげる!!…いくわよ!ロボロボ!!」 

そう言い終えると、早速、モモに標的を代えて攻撃を開始するノノタン… 
…モモも、突然の『変身』に驚くが、「やらなきゃやられる」という場面なので、すぐさま反撃に移る… 

幸いにして、先程より身体が重くなったせいか、隙が多くなったノノタン… 
だが、何度か攻撃を加えるが、全く効いている感じがしない!!



遂に『切り札』を出してきたノノタン… 
その魔法は、身体中が金属に覆われる…といったものだった… 

全身が金属で重くなったせいか、隙が多くなった… 
…が、しかし、攻撃に関しては全く効いている様子がない!! 

モモも、忍者刀による斬撃、忍法…と、何度か攻撃を試みるも、何の変身もないのが実状だ… 
そして、少し攻め疲れたところでノノタンの繰り出す打撃の嵐を食らってしまう!! 
ほんのかすったぐらいの打撃でモモが吹っ飛んだのだ… 

「…悪いけど、コイツはちょっと触れただけでも、凄い威力だからね!」と、余裕で忠告するノノタン… 
それが今度はモモの癇に障る… 
「…ちょっと待ってなさいよ!アタシが倒してあげますよ!」と、吹っ飛ばされたモモが立ち上がろうとするが、立ち上がれない!! 
その様子を見て、ニンマリするノノタン… 
「立てないわよね…。だって、この子には『風』と『雷』の属性が付加してあるから! 
ちょっとでも触れたら『風』の衝撃で吹っ飛ぶし、『雷』の効果で痺れちゃうもんね!!」と、勝ち誇る…



ノノタンの前になす術がないサキ達… 

早い時間に3人が倒され、今、モモも動けない状態に陥った… 
しかも、現在のノノタンは全身を鎧のような金属で覆われており、物理攻撃や魔法でダメージを受けている様子がないのだ… 
加えて、ノノタンから攻撃する時には金属に『風』、『雷』の効果が付加されているため、吹っ飛んだり痺れたり…と反則モノだ… 

それでも、りしゃこ達は挫けない…。まだ、チャンスはある… 


ノノタンが、 
「悪いけど…そろそろケリをつけさせてもらうわね!!」と、言って、ミヤりしゃサキに向き直った… 

だが、りしゃこ達も手をこまねいてやられるのを待っていた訳じゃない… 
待っていたのは…『合体魔法』の完成!! 
これが、ノノタンを倒す、最後のチャンスかも知れない… 

当然ながら、その狙いに気付いているノノタンは詠唱が終わる前にカタをつけるべく一直線に突進する!! 
4人が動けない中、ミヤりしゃを護る最後の砦はサキしかいない!! 
サキ必死に考えた… 

(…なんとしてでも、止めなければ!!)



無敵の『鎧』を身に纏ったノノタンが、ミヤりしゃの『合体魔法』を阻止するべく、地鳴りを上げて突き進んでくる!! 

それに対して、サキは必死に考えた… 
(…このままじゃマズい…なんとかしなきゃ!!) 

目の前に迫ってくるノノタンに対して、ギリギリまで引き付けるサキ… 

あと20m…15m…10…9…8…7…6…5!! 
ノノタンとサキとの距離があと5m、となったところで、サキが動いた!! 

大地に手をつき、地面を魔法の力で隆起させて、ノノタンを下から突き上げた!! 
意表を突く奇襲作戦に、ノノタンの身体が高く宙に舞う!! 

…やがて、不様な格好でノノタンが空から降ってきた… 


ドサッ!! 

地面に身体をしこたま打ってしまい、なかなか起き上がれないノノタン… 

そして!! 

「サキ!!」「準備完了たもん!!」



ノノタンの猛攻を瀬戸際でなんとか食い止めたサキ…。もし、あのまま止められなかったら…きっと、敗北が決定してただろう… 

…ピンチを凌ぎ切ったサキ達に、チャンスが訪れた! 
サキの魔法によって、全身を地面に強打したノノタンは、しばらく動けないでいる… 
そこへミヤりしゃの『合体魔法』の詠唱が完了した!! 


「「…いくよ!!『合体魔法・ぴーちゃん』!!」」 
すると、ミヤりしゃの目の前に、真っ赤に燃え盛る球体が現れた! 
その球体が形を成し、やがて、小鳥へと姿を変えていく… 
これは以前、メグミニラの街での特訓の賜物だ… 

何が出てくるのか?と思いきや、小鳥が出てきて拍子抜けするノノタン… 
だが、決して侮ってはいなかった…。ヤグーから『王家の血筋』をりしゃこは引いている…と聞いた… 
にわかに信じ難いが、もし、それが本当だとしたら?…そんな考えがノノタンの頭をよぎる… 


その予感が的中した!! 
小さな鳥だったハズの『ぴーちゃん』がさらに勢いよく燃え盛り、大きな鳥へと変貌した!! 

「「行っけぇ〜〜!!『『ぴーちゃん』』!!」」



小さな鳥から大きな鳥へと変貌を遂げた『ぴーちゃん』… 

その美しく輝く姿を見て、サキが思わずつぶやく… 
「…あれは、『フェニックス』!!』 

『フェニックス(不死鳥)』。…それは死と再生を繰り返す『生命』の象徴として崇められた聖獣… 
ハロモニアにおいては、『フェニックス』の紋章は、それこそまさしく『王家の証』…それをりしゃこが魔法で創り出したのだ! 
…偶然か?それとも必然なのか? 

その『フェニックス』を従えて、りしゃこは強敵・ノノタンに立ち向かう!! 

勿論、『暁の乙女』時代にハロモニアの紋章を背負っていたノノタンも、さすがにこれには驚きを隠せない… 
だが、一人の人間として、『王家の血筋』の者と闘えるのはまたとない栄誉… 
大きく深呼吸して、息を整え、そして、気合いを入れる!! 

「…我こそは、元・『暁の乙女』、ノノタン=クロスロード!!王家の血筋を引きし者・りしゃこ!!いざ、尋常に…勝負!!」






いよいよ、『合体魔法』同士の闘いとなったミヤりしゃとノノタン… 

両者が睨み合う中、先仕掛けたのは以外にもミヤりしゃの方だった 

「「…行っけぇ〜!『ぴーちゃん』!!」」 
ミヤりしゃが叫ぶと、意に従って、フェニックスが翼を羽ばたかせて、一気にノノタンへ急降下する!! 
それを大きな動きで躱し、直撃を避けるノノタン… 

『空』と『地上』とでは、攻撃が届かない分…明らかにノノタンにとって歩が悪い… 

だからといって勝負を諦めない…それが、元・『暁の乙女』としてのプライドだ… 

要は、フェニックスを操るミヤりしゃを叩けばいい…。そう判断したノノタンが再度、ミヤりしゃにアタックする! 
またも、一直線にミヤりしゃに突っ込んでいくノノタン… 

それを見て、再度、フェニックスに攻撃を命じるミヤりしゃ… 
突撃には突撃を…だ 

空を旋回していたフェニックスが再びノノタンに襲いかかる! 

両者の距離が縮まっていく中、急に、ノノタンのスピードが加速して、フェニックスをやり過ごしてしまった… 

『護りの壁』がなくなり、二人がガラ空きになってしまった!



フェニックスとノノタンの正面衝突! 

だが、ノノタンはすんでのところでフェニックスをすれ違い様に躱し、その背後にいるミヤりしゃに向かっていく!! 

ミヤりしゃを護る壁はもうない… 

その時、フェニックスを操っていたミヤビがりしゃこから離れ、手にした杖でノノタンに立ち向かう! 

「そんな棒切れで、アタシの動きを止めれると思って!?」と、警告するノノタン 
「…それはどうかしら?」ニヤリと微笑むミヤビ…。手にした杖を横一文字に薙ぎ払う!! 
すると、何もなかったハズの杖から恐ろしく長い火柱が灯り、まるで薙刀のようにノノタンの身体をかすめる!! 

予想外の出来事に、鳥肌が立つノノタン… 
「…そうこなくっちゃね…!」 
さらに表情を引き締める… 

ミヤビが宣言する… 
「…りしゃこには近づかせない!…冗談じゃないわ!『キラーソー』の威力!思い知るがいい!!」 

そう言って、近接格闘用魔法・『キラーソー』を手にミヤビは大見得を切ってみせた!!



フェニックスを操り、ノノタンに対抗するミヤりしゃ 
接近戦でしか勝ち目のないノノタンはフェニックスの突撃を掻い潜り、ミヤりしゃに急接近する! 

そして、りしゃこを護るべく、ミヤビは近接格闘用魔法・『キラーソー』でノノタンを迎え撃つ! 

『キラーソー』… 
ミヤビの生み出した魔法の焔が、激しく燃え盛り、まるで真紅の血塗れのノコギリに見えることからその名がついた… 

まるで意思を持つかの如く、ノノタンの行く手を阻む『キラーソー』… 
なかなか近寄れないことに次第に苛立ちを覚えるノノタン… 
両者の睨み合う中、りしゃこが叫ぶ! 

「羽ばたけ!!『ぴーちゃん』!!」 

すると、フェニックスの羽ばたきによって、熱風が巻き起こり、ノノタンを直撃する!! 

「…うわっ!熱っ!!」 
たまらず後退するノノタン!!初めて見せる劣勢… 

「…もう一息だよ、りしゃこ!!」「うん!!」



フェニックスを操り、ノノタンに対抗するミヤりしゃ 
接近戦でしか勝ち目のないノノタンはフェニックスの突撃を掻い潜り、ミヤりしゃに急接近する! 

そして、りしゃこを護るべく、ミヤビは近接格闘用魔法・『キラーソー』でノノタンを迎え撃つ! 

『キラーソー』… 
ミヤビの生み出した魔法の焔が、激しく燃え盛り、まるで真紅の血塗れのノコギリに見えることからその名がついた… 

まるで意思を持つかの如く、ノノタンの行く手を阻む『キラーソー』… 
なかなか近寄れないことに次第に苛立ちを覚えるノノタン… 
両者の睨み合う中、りしゃこが叫ぶ! 

「羽ばたけ!!『ぴーちゃん』!!」 

すると、フェニックスの羽ばたきによって、熱風が巻き起こり、ノノタンを直撃する!! 

「…うわっ!熱っ!!」 
たまらず後退するノノタン!!初めて見せる劣勢… 

「…もう一息だよ、りしゃこ!!」「うん!!」



劣勢を強いられているノノタン…。フェニックスの熱風に曝され、身体に纏った金属の鎧が熱を帯び、やがて我慢出来なくなる… 

既に4人を倒してスタミナが尽きかけている上に、熱風によるダメージ…そろそろ身体も限界を迎える… 

なんとか打開策はないか?と考えた末、 
「…一か八か、やってみるか…!」 
そう言い残すと、ノノタンは最後の力を振り絞って、ミヤりしゃに向かって再度ダッシュする… 

最後まで勝利を諦めない執念…ミヤビも心を鬼にしてノノタンを迎え撃つ… 
『キラーソー』の火力を最大にして、杖を横一文字に大きく振り抜く…! 

真紅の焔がノノタンを捕らえる!!…が、その姿はフッと消えてしまった!! 
そして、不意にミヤビの目の前に現れ手刀一閃!…当て身を食らい、ミヤビは地に伏した… 

今、目の前にいるのは、金属の鎧を脱ぎ捨てた、生身のノノタン… 
脅威のスピードで、3人があっという間にやられたノノタンだ… 

攻撃力を捨てて、その身一つで闘う覚悟…残るはりしゃこただ一人… 

生き残るのはどっちだ!?



残ったのはりしゃこと生身のノノタン… 

いくら疲れているとはいえ、6人を打ち負かしたノノタンを相手にするのはりしゃこには荷が重すぎる… 

徐々にりしゃこに対して、プレッシャーをかけていくノノタン…つい、後退りしてしまうりしゃこ… 

その時、りしゃこの頭の中に、 
『…逃げちゃダメ…』 
と、『声』が聞こえた… 

周りを見るが、誰もりしゃこに話しかけていない…。ノノタンにも『声』が聞こえていないようだ… 

『…勇気を出して、足を前に踏み出して…』 
また、『声』が聞こえた… 
戸惑うりしゃこ… 

『…大丈夫…わたしが護ってあげる…』 
その声とともに、今までりしゃこの頭上を羽ばたいていたフェニックスがりしゃこの元に舞い降りる… 

そして、スーッとペンダントの中に消えていった… 

その途端、りしゃこの全身が光り輝いて、目も眩むような閃光を放つ!! 

その一部始終の間、ノノタンは動けないでいた… 
まばゆい光に目を閉じていたノノタンの目の前に現れたのは… 

光のドレスを身に纏った美少女…りしゃこ…



ピンチに陥ったりしゃこが、聖獣・フェニックスと融合した… 
現れたのは、光輝くドレスを身に纏った魔女美少女りしゃこ… 

まさかの変身に固まってしまうノノタン…。過去、色んな魔法を見てきたが、こんなの初めてだからだ… 
逆に、変身がノノタンの好奇心をくすぐった… 

正直、身体は限界だが、体力が尽きるまで、手合わせしてみたい… 
その衝動に突き動かされて、ゆっくりと型を構える… 
一方のりしゃこは、まるで、悟りを開いたかのような眼差しだ… 


両者が向き合い、ノノタンとりしゃこが視線を合わせると、次の瞬間、互いに走りだして間合いを詰める! 
「うぉぉぉぉーー!!」 
「はぁぁぁぁーー!!」 

そして、交錯する!! 

辺りが静寂に包まれる中、ゆっくりと… 
ノノタンの身体が崩れ落ちた… 

そして、ノノタンが倒れたのを確認すると… 
りしゃこもゆっくりと、その場に崩れ落ちた…



『…起きて…』 
頭の中に声が響く… 

『…起きて…』 
また、聞こえてくる… 

「…起きて!…起きて!」今度は身体が揺さ振られている!夢なんかじゃない… 
(…起きなきゃ…!) 

そう思って、ゆっくりと瞼を開けるりしゃこ… 

微かに見えるのは… 
いつもと違って、泣き顔のミヤビだ… 

りしゃこが目を覚ますと、「…大丈夫!?」と、問いかける… 
キョトンとしながらも、 
「…うん…大丈夫…」と、りしゃこが答えると、 
急に、りしゃこを抱きしめ「…よかった…」と、泣き崩れる… 

何が起きたのか理解出来てないりしゃこだったが、心配してくれるミヤビの優しさに、身を委ねるのだった…



泣きながらりしゃこを抱きしめるミヤビ… 
その訳が知りたくて、 
「…ねぇ、ミヤ…何で泣いてるの?」と、尋ねた 

涙を拭いながら、 
「…そっか…起きたばかりだからわかんないんだよね…。…りしゃこは丸一日眠ってたんだよ…」と、ミヤビが答える 

言われてみて、周りを見回すりしゃこ…。目に飛び込んできた柱時計の針は8時を指していた… 
ノノタンとの卒業試験が始まったのが9時だったから、やはり、丸一日眠っていた計算になる… 

そんな中、みんながいないことに気付いたりしゃこがミヤビに、みんなの行方を尋ねる 

ミヤビはちょっと暗い顔になって、 
「…みんな、もう特訓を始めているの…。ノノさんに手も足も出なかったのが悔しくて…ね…」 

そう言ってミヤビは窓の外を指差した 
ミヤりしゃ以外の5人が二手に分かれて実戦さながらの訓練をしている… 
転んでも、すぐに立ち上がり、 相手に向かっていく… 

その熱気が、窓越しからビンビンに伝わってくる… 

その様子を見ていたりしゃこが、急にベッドから跳ね起きて、ミヤビの手を引っ張る 
「ミヤ、行こう!…みんなが、待ってる!」