カンニャの『クンカクンカ騒動』も一段落して、カフェテリアを後にするりしゃこ達一行… 

「…じゃあ、私はウッドベルさんのところへ向かうよ…カンニャ、来なさい。それと、ナッキー達はゆっくりしといで…」 
双子に案内されてアリ氏はカンニャと一緒にウッドベル家に向かった 


「あ!そろそろお城に戻る時間なの!」 
「戻りますよ?」 
「…じゃあ、レイニャもお城に戻るニャ!」 
そう言い残し、レイニャ達も任務をするべく、ハロモニア城へと戻っていった 


「…じゃあ、ウチらは…」と、言いかけたサキの言葉を遮るように 
「…りしゃこ達はちょっと気になることがあるから、『魔術師の館』まで付き合って!」と、メーグルに引っ張られる… 
すると、 
「…ちょっと調べたいことがあるから、ついていく、とゆいたい」と、珍しくマァもりしゃこ達についていく、と言い出した… 
「…じゃあ、オレも行く!」「あたしも!」 
オ・カール姉妹もりしゃこ達についていくようだ… 

「…あとは…遊びにでも行くか!」と、マイミンとエリカンが残りのメンバーを後押しする… 
特に用事の無かったモモ、ユリーナ、チナリ、ナッキーが、二人の引率の元、娯楽を求めて街の探索に出かけるのだった…



メーグルに引っ張られて、『魔術師の館』まで来たりしゃこ達… 
なんでも、気になることがあるという… 

ハロモニア城の西側に位置する『魔術師の館』… 
厳かな空気が漂う煉瓦造りの建物だ… 
現在、ハロモニアに住むものにとっての『研究所』でもあり、『最高学府』でもある… 

誰でも出入りできる訳ではないが、メーグルが先頭切って入っていくと、顔パスだった… 
意外なVIPぶりに驚きを隠せないりしゃこ達…涼しい顔でツカツカと歩いていくメーグル… 

そして、メーグルが立ち止まったところが、窓のない、周りの壁が分厚い石でできた大広間だった 

「ここは魔法の訓練場。ここなら思う存分、屋内で訓練できるわ…」 
と、前置きしながら、 
「…サキ、ちょっと魔法をやってみせて」と言うメーグル… 
よくわからないまま、魔法を使ってみせるサキ… 


しばらくして、メーグルが一言呟く… 
「…器用なものね…違う『属性』の魔法を、こんなに上手に使いこなせるなんて…」




その一言にサキが絶句した…そして、しばらく時間を置いて、 
「…ねぇメグゥ〜?今、何て言った!?ねぇ、今、何て言った!?」と、明らかに動揺しながら尋ねた… 

その、サキの質問に対し、「…『属性』が違う、って言ったのよ」 
と答えるメーグル 

「…自分でも思ってるでしょ?何かの『壁』にぶち当たっているって…」 
そのメーグルの質問に、しばらく躊躇った後、ゆっくり頷くサキ… 
「…最初は『壁』にぶち当たっているだけだって思ってた…でも、次第に伸び悩んでることに気付いて、それを認めたくなくて…」 

サキの激白を黙って聞いていたメーグル 
「…いい?まだ、時間は1ヶ月あるわ…。大丈夫、まだやり直せる…。私も協力したげるから…」 
と、サキを落ち着かせたメーグル… 

先程まで曇っていたサキの表情も明るくなった… 


そんな二人のやりとりが一区切りついたところへマァが相談を持ちかけた…






サキとメーグルのやりとりに一区切りがついたところで、マァがメーグルに相談を持ちかけた 

「…相談事がある、とゆいたい…」 
「…何?私で良ければ協力させてもらうけど…」 
「少し違う場所で話をしたい…とゆいたい」 
「…ええ、わかったわ…」 
そう言うと、二人は訓練場から退室した… 

取り残されたりしゃこ達…やや、手持ち無沙汰になった… 
そんな中、サキが気になっていた『属性』の再確認をする準備をしてる… 

その様子を見てたチッサーが面白がる… 
「…ねぇねぇ!今から何やんの!?」 
サキが 
「…これはね、魔法使いが生まれながらにして持ってる『属性』を調べるために行うテストよ…」と、答える… 
「…へぇ〜。面白そうじゃん!ねぇねぇ!オレにもやらせてよ!」と、サキにおねだりするチッサー… 
「…あ〜!お姉ちゃんズル〜い!あたしもやりた〜い!」と、アッスーまでおねだりしてきた… 

「…ダメ!これは遊びじゃ…ない…」 
サキを見つめる二人の真っ直ぐな目… 

しばらく躊躇った後、二人の熱意に負けて、 
「…わかった、わかった!二人とも、やらせてあげるから…」と、許可したサキだった… 

当然ながら、二人は大喜び…



早速、属性テストを行うことに… 

やり方はいたってシンプル…魔法付加効果のかかった黒い『絵の具』を盥一杯に入った水に溶かして、その中に手を入れて念じる… 
その『絵の具』の色が何になるかで『属性』がわかる…という 

「…じゃあ、始めるわよ…」と、言ってサキが盥の中の水に手をつける…そして念じ始める… 
初めて見る光景に固唾を呑むりしゃこ達… 

すると、予想よりも早く、みるみるうちに色が変わっていった… 
黒い色が少しずつ薄くなって、綺麗なグラデーションが盥の中の水に映し出される…藍色から鮮やかな青へ…そして、そこで変化が止まった… 
驚いたのはサキ… 
「…ふぉえ!?」と、一言発してしまう… 

みんながサキに 
「…ねぇ!この場合の『属性』って何なの?」と、質問する… 
肩を落としたサキが答える… 
「…これは『水』なの…」 
ふーん…と言った感じの表情を浮かべるりしゃこ達…肩を落としてガッカリしているサキ… 

そこへ、 
「…サキ、現実から逃げちゃダメ!…まずは現実を受け止めることから始めるのよ…」と、いつの間にか戻ってきたメーグルが忠告する… 

…が、メーグルとマァの傍には、見たことのない少女が一人…



部屋に戻ってきたメーグルとマァの傍には、見たことのない少女が一人… 

見慣れない少女がマァの傍にぴったりと寄り添うように立っていたので、どうしても視線が少女に集中してしまう… 
すると、恥ずかしかったのか、少女はサッとマァの後ろに隠れてしまった… 

? 

りしゃこ達は既視感に襲われた… 
…どこかで見たような行動…だけど、すぐに口に出てこない…そんなもどかしさ… 

りしゃこ達が記憶を辿っていると、マァが少女に向かって一言、 
「…恥ずかしがらなくてもいい、とゆいたい、マイハ…」と、言った 


(…あー、そうね、なるほどですねー、ハイハイ、マイハマイハ………!?) 

りしゃこ達の顔が口を大きく開いたまま、固まってしまった… 
そして、30秒後、遅れて「「「え〜〜〜〜っ!!」」」というりしゃこ達の叫び声が、訓練場に響き渡った… 
(マイハをよく知らないオ・カール姉妹は、りしゃこ達の驚き様に目を白黒させていただけだった) 

そして、りしゃこ達の口から出てきた言葉は 
「…え〜〜〜っ!!何で何で〜!?」と、喜びより驚きの方が大きかった…



突如として現れた少女の正体に驚きを隠せないりしゃこ達… 

だが、どことなく面影が残っているところはある… 
もじもじしてて、恥ずかしがり屋なところ、愛くるしい目もとや口もと… 

はじめは驚きでしかなかったが、やがて、それが喜びに変化するのも遅くはなかった… 

「…うわぁ〜!マイハ可愛いもん!!」と、言うなり、マイハに突進するりしゃこ…。そして、ムギュッと抱きしめる… 
りしゃこの力が強すぎたのか、 
「…ちょっと…痛い…」と、呟くマイハ… 
か細く、やや舌っ足らずなしゃべり方がまた、可愛いらしい… 


そこへ、別行動をしていたハズのマイミン達も顔を出した… 

「…ん?何だ、そのリスみたいな可愛い子ちゃんは?」と、マイミンが目ざとくマイハを発見する 
“可愛い子ちゃん”という言葉に瞬時に反応して、マイミンの脇腹に肘鉄を食らわせたエリカン… 
見事にクリティカルヒットして、その場にうずくまるマイミン… 

「…あーっ!マイハー♪」「…やっと、元に戻れたんだー!」と、ユリーナとチナリは姿の変わったマイハを見て、大喜びする… 

そのはしゃぎぶりを見て、サキが二人に、 
「…ねぇ…二人はマイハが『女の子』って知ってたの…?」と尋ねる



ユリーナとチナリの、 
『元に戻れたんだー!』発言が気になって、真意を尋ねるサキ 

「…そっか。みんな知らなかったんだね…」と、チナリが言う… 
「元々はマイハはね、ウチらの中でも一番の魔法の使い手だったの!」続けてユリーナも言う… 

「…ところが、魔法の研究中に事故が発生して、栗鼠になってしまったんだ…、とゆいたい…」とマァが語る… 
「…魔力さえ元に戻れば、姿も元に戻るんだけど、それまでに、けっこう時間がかかったみたいね…」と、メーグルが言う… 


それまで黙っていきさつを聞いていた面々だったが、「ガリ勉優等生萌え〜!」「ドジっ子萌え〜!」と、マイミン・エリカンが絶叫する… 

恥ずかしそうに顔を赤らめるマイハ…その仕草がまた、可愛いらしい… 


「…で、ところで何してたんだ?」とマイミンがりしゃこ達に向かって尋ねた 
「『属性テスト』よ!」と、サキの代わりにメーグルが答える 
「…へぇ〜。随分懐かしいな…」と、マイミンが言えば、 
「…そうだ!せっかくだから、コレ、みんなでやってみない?」と、エリカンが提案する… 

みんなが賛同して、急遽、『属性テスト』が行われることになった…



急遽、ヒマだったので、『属性テスト』を行うことになった一同… 

まずは、新しく仲間?になったマイハからだ… 
「…こう?」 
しばらくして、黒い水が次第に薄くなっていき、藍色から青、そして明るい水色へと変化した… 

メーグルが、 
「…ふぅん…珍しいのね…」と、言う… 
それに対し、サキが、 
「…『氷』の属性、か…」と、続ける… 

「…それって、珍しいの?」と、よくわかってないりしゃこが質問する 
「…ええ、私達の住む世界を構成する元素は『地水火風』の『四大元素』で成り立っているけど、たまに、それ以外の属性の子もいるのよ…」 
と、わかり易くメーグルが解説する… 

「…じゃあ、次、次、アタシ!」と、チナリが素早く手を上げる… 
あまりのはしゃぎっぷりに気の毒に思ったみんなが素直に譲ってあげる… 
結果は黒い水が緑色になって、案の定、『風』と判明する… 

「…予想はつくが、やってみる、とゆいたい」と、マァが手を上げた… 
マァの結果は、黒い水が茶色から赤、そして黄色になり、『地』と判明する… 

それからも『属性テスト』は続いた…



まだまだ『属性テスト』は続く… 

「…じゃあ、次はモモがやる〜♪」と、モモが立候補した… 
モモが黒い水に手をつける…やがて、黒が茶色から赤、赤が淡くなり、そして、なんとピンクになってしまった… 

これにはみんな吹いてしまった… 
メーグルも「…わかんないけど、『火』じゃないのかな〜?」としか答えられなかった… 

「次はウチがやる!」と、鼻息荒く、ユリーナが挑戦した… 
黒い水が少しだけ薄くなって、藍色から紫へと変化した… 
「…これは『雷』よね?…これも珍しいわね…」と、判定するメーグル… 

「…次はウチがやる!」と、ミヤビが挑戦した 
ミヤビが黒い水に手をつけると、かなり早いスピードで黒から茶色、赤…それも紅に変化する… 
「…やっぱり『火』の属性だったわね…でも、とても綺麗な紅…」 


そして、いよいよ、りしゃこの番だ… 
今までずっと、属性のことなど考えずに魔法を使ってきたりしゃこ… 
みんなもどんな結果が飛び出すのか、興味津々だ… 
ゆっくりと、盥に入った水に手をつける… 

そして、その結果は…?



いよいよ、りしゃこの『属性テスト』となった… 

今までずっと、自分の『属性』を知らないまま魔法を使ってきたりしゃこにとって、気になるところだ… 

盥の中に入った黒い水に手をつける… 
すると、黒い水の色がゆっくりと薄くなっていく… 
黒から藍色…青…水色… 
りしゃこの『色』が、自分の『属性』に近づくと騒つくメンバー… 
水色…緑…黄色… 
変化が止まらない… 
黄色…ピンク…赤…紫… 

そして、また黒に戻ったかと思うと、黒が徐々に灰色へと変化し…白くなり…終には透明な、ただの水に変化してしまった… 

その様子に誰もが驚き、唖然となった… 

そして、りしゃこが盥から手を話すと、透明な水が白く濁り、そのままゆっくり灰色へと黒みがかって、また、元の黒い水に戻った… 

この結果にりしゃこ本人もすっかり動揺してしまう…どの『属性』にも属さなかったのだ… 
メーグルも、サキも首を傾げるばかり… 
周りのメンバーも、どう声をかけていいのか戸惑っている…



『属性テスト』の結果、りしゃこはどの『属性』にも属しないことが明らかになった… 

ショックを受けるりしゃこ… 
メーグルもサキも、また、みんなも落胆しているりしゃこに声をかけ辛かった… 
そんな時だ… 

「…なんや、お通夜みたいやなぁ…どうかしたん?」と、訓練場の入り口から声がする… 
みんなが一斉に振り返ると、そこには一人の女性が立っていた… 

そして、ツカツカとりしゃこ達の方へ歩み寄ると、盥の中の黒い水を見て、 
「何や、『属性テスト』やっとったんか〜?…で、どないしたん?『テスト』の結果が不満やったん?」と、女性はズバズバと聞いてくる… 
その会話のテンポにつられて、りしゃこの『属性テスト』の結果を女性に話してしまった… 

話を一通り聞いた女性が目を丸くして、 
「…へぇ〜、おるもんやねんなぁ〜。生まれながらの『光の属性』の子が…」と、感心していた… 


初めて聞く『光の属性』という言葉に、頭が真っ白になる… 
「…あ、しもた!…コレ、言うたらアカンことやった…忘れとった!」と、女性が気付くも、もう遅い… 

「…何ですか?その『光の属性』って?」と、サキが言い出した…他のメンバーも目を輝かせている…



正体不明の女性が洩らした『光の属性』という聞き慣れない言葉… 

その言葉にサキが反応して、「…あの…『光の属性』って…何ですか?」と質問する… 

女性は、(…しもた!)と、いう表情をするが、言い逃れをするのが苦手なのか、開き直り、 
「…わかったわかった!…せやけど、ぜ〜ったい!!誰にも言うたらアカンで?ええ?ぜ〜ったいやで!?」と、きつく念を押す… 

その般若のような形相とすごい剣幕に押されて、ただコクコクと頷くりしゃこ達… 


「…よっしゃ!じゃあ話すで!…みんなは『属性』が『地水火風』の四元素が基本…というのは知ってるな?」と女性は尋ねる… 
黙って頷くりしゃこ達… 

「…でも、たまにそれ以外があるのは?」 
この質問にも黙って頷くりしゃこ達… 

「…で、さっきの『光の属性』言うのは…」 
固唾を呑むりしゃこ達… 

「…ま、何や…『何でもアリ』っちゅうモンやなぁ…」と、答えにならない答えを出す女性… 
その答えに納得出来ないりしゃこ達からはブーイングが… 
ブーイングも涼しい顔で聞き流し、 
「…『何でもアリ』って事は…どの『属性』でも扱える…っちゅう事や!」と、女性が言い放った…



女性がいうには、『光の属性』というのは『何でもアリ』の事らしい… 

今一つピンと来ないりしゃこ達に、 
「…しゃあない…。『論より証拠』や!よう見とき!」と、言って呪文の詠唱を始める… 

すると、右手に雷、左手に光の『気』が宿り始めるのが見える… 
そして、詠唱を終えて両手を前方に突き出すと、電光が発射された! 

その速度といい、威力といい、普通の魔法とは明らかに違った… 


そのあっという間の出来事を見て、身動き一つ出来なかったりしゃこ達… 
「…ま、こんなモンやなぁ…」と、涼しい顔をして言う女性… 
「…要は『光の属性』言うモンは、他の『属性』と上手く融合できる、すごい『属性』ちゅう事かな?」 
そう言い残すと、りしゃこ達に背中を向け、帰っていこうとする… 

りしゃこ達は、慌てて、 
「…あの、オバサン…名前は…!?」と、尋ねる… 

すると、背中を向けたハズの女性が鬼のような形相で「…今、『オバサン』言うたんは、誰や!?」と怒り狂う… 
りしゃこ達が全員首を横に大きく振り、「…お姉さん…」と言い直す… 

すると、女性は上機嫌になって、 
「オレの名前…?ユーコや!今度から、『ユーコお姉さん』と呼ぶんやで!」と、言い残し、立ち去っていった…



嵐のように去っていった謎の女性『ユーコ』… 
だが、たった一度だけ見た『魔法』は、りしゃこ達が今まで見てきた中で一番鮮烈なものだった… 


りしゃこ達はしばらくの間、沈黙した…。『ユーコ』の魔法が頭から離れなかったからだ… 
そんな沈黙を破る侵入者が一人… 

「…女王様!…女王様!どこですか〜!?」と、けたたましい叫び声がして何者かが訓練場に突入してきた… 
大臣・ヤスス…。ハロモニアの治世を任されている重鎮の一人であり、彼女もまた、『暁の乙女』の一員だったのだ… 

ヤススはりしゃこ達を見るなり、 
「…ねぇ、女王様を見なかった?」と、尋ねてくる… 
りしゃこ達は正直に、 
「…女王様って?」と、尋ね返す… 
「…えっ?あなた達、女王様を知らないの!?」と、ヤススが言うが、 
「…最近、姿を見せてないじゃないですか?」と、メーグルがツッ込む… 

しばし考えたヤススが 
「…そうね…怒ると鬼婆みたいな人!」と言うと、 
「…あ〜〜〜っ!!」と、りしゃこ達が思わず叫んでしまった… 

そして、出口を指差し、 
「…あっち、あっち!」と叫ぶ… 
「…ありがと!」と、お礼もそこそこに、変な走り方で走り去っていった… 

しかしながら、りしゃこ達は唖然とした…あれが女王…



ハロモニア女王・ユーコ、大臣・ヤススと相次いで来客があった… 

そして、平穏を取り戻した訓練場で、りしゃこ達が蜂の巣を突いたような大騒ぎとなった… 

「…ねぇ!あれが女王様!?」「けっこう若〜い!」「意外だよね?」「うんうん!」 

と、その話題でもちきりとなった… 


それを扉の向こう側で聞いていたのはユーコとヤスス… 
みんなに『女王様』をアピールしたくて、一芝居を打ったのだ 

りしゃこ達から出てくる賛辞の言葉の数々に、ユーコはとってもご満悦… 


だが… 

「…でも、怖いよね〜!」「怖い怖い!」「…鬼婆みたいだったよね!」「まだ独身なのかな〜」 
と、先程とは打って変わって『怖い』の連発に、堪忍袋の緒が切れたユーコが 
「オラ〜〜〜〜!!」と、怒鳴り込んでしまった! 

蜘蛛の子を散らすように逃げ出したりしゃこ達…



ハロモニア女王・ユーコに一喝されて、『魔術師の館』から、蜘蛛の子を散らすように逃げ出したりしゃこ達… 

それでも色々と収穫はあった… 
みんなの『属性』、今まで知らなかった『光の属性』など… 
ひょっとしたら、今以上に強くなれるかも知れない…そう考えていた… 


そして、帰りの道すがら、実は、りしゃこ達は全く同じことを考えていた… 
確信ではない…だけど… 

みんな一斉に声に出す… 

「「「…あの、みんな…実は私、りしゃこと同じ、『石』を持ってるの!」」」 

全く同じことをみんな一斉に言ったものだから、みんなで互いの顔を見合わせる…



りしゃことミヤビ以外の全員が同じことを考えていた… 
それを一斉に声に出す… 

「…実は私、りしゃこと同じ『石』を持ってるの!」 
全員が同じことを同時に言ったものだから、お互いが顔を見合わせる… 

…そして、口が開いた途端に、 
「…えっ!ちょ…!?うぇ…!」「え〜〜〜っ?マジで〜〜〜!?」「えっ?ウソ?ウソ?」「…すごい偶然…」「…ホントかと…ゆいたい…」 
などと言い出す… 

目を丸くしているのはりしゃことミヤビ… 
リカサークから聞いた話だと、りしゃこやミヤビの『石』は『護神石』と言って、持ち主を災厄や不幸を退ける…といった珍しい『石』だと… 

その『石』をみんなが持っているという… 
それが単なる偶然か、それとも必然なのか? 

みんなが、『護神石』と思われる『石』を取り出し始める…



みんなが『護神石』と思われる『石』を取り出し始める… 

サキは愛用の錫杖の先端から『青色の石』を… 
モモは首飾りから『桃色の石』を… 
ユリーナは愛剣『ニョキニョキチャンピオン』の柄から『紫色の石』を… 
チナリは愛用のブーメラン『呪縛くん』の、刃の部分に埋め込まれた『緑色の石』を… 
マァは愛用の棍棒『筋属バット一号』のグリップから『黄色の石』を… 
マイハは首輪…もといチョーカーから『水色の石』を… 
それぞれ取り出した… 

そして、りしゃこが『透明の石』を、ミヤビが『紅色の石』を取り出す… 

なるほど、色の違い以外は形といい、大きさといい、全く瓜二つだ… 


しばらくそのまま見比べていると、突然、りしゃこの『透明の石』が他の石に呼応して、淡く、虹色に光り始める…! 
そして段々とその色が濃くなっていく…! 

『石』の突然の変化に驚いたりしゃこ達が、それぞれ自分の『石』を手元に引っ込めると、 
りしゃこの『透明の石』の虹色が薄くなっていき…やがて、元の透明に戻った…



『石』の共鳴を見て驚くりしゃこ達… 
ますます謎が深まるばかりだ… 


そんな様子を見ていた人影が一つ… 
(…な、な、なんやアレは?…ウチも長いことお宝見てきとるけど、初めて見るわ!…こらお頭にすぐ報告せなアカンわ!) 
と、独り言を呟いて影に消えていった… 


そしてりしゃこ達は『石』の共鳴に興奮醒めやらない様子だ… 
「…ね、ねぇ…今の、見た?」「うん!見た見た!」「これ、スゴいじゃん!」 
そんな騒ぎの中でメーグルが、 
「…まだ謎が多いみたいだし、こっちで調べておくけど…このことは内緒にしていてね…」 
と、釘を刺す… 

メーグルに限らず、みんなが予感していることだが、この『護神石』は何か大事なものかも知れない… 
存在を知られてはいけない…と直感した… 

目と目を見て頷くりしゃこ達… 

だが… 

「…何が『秘密』だって?」 
不意にりしゃこ達の後ろから声がする…



「…何が『秘密』だって?」と、りしゃこ達の後ろから声がする… 

素早く後ろを振り返るりしゃこ達… 
しかし、そこには何の姿もない… 

気のせいか?と安堵するりしゃこ達…だったが、突然、 
「きゃあ〜〜〜!」と悲鳴があがる… 
声の方へ振り返ると… 

…そこには、胸を押さえているナッキーが… 
だが、様子が変だ… 

ナッキーの腕が4本ある! 
そんなバカな… 

冷静になってよく見てみると、ナッキーの腕の内、2本は後ろから生えてることに気がついた… 

ゆっくりと、ナッキーの後ろに回ってみる… 

どこかで見たことのあるちびっ子が、ナッキーの胸を触っていたのだ! 

「こら、マイ!あんた何やってんの!?」と、メーグルが叱りつける… 
「…何言ってるんでしゅか!?遅刻したのはメーグルの方でしゅよ!」と、マイも言い返す… 

「…メーグル…どういうこと!?」と、その場にいる全員の気持ちを代弁して、サキが尋ねる… 
「…マイはね、私の遠縁の親戚になるんだけど…『魔導大会』が見たい!って言うんで招待したんだけど…この通りイタズラ好きで…」 
と、意外な二人の接点を明かすメーグル…



メーグルが呼び寄せた遠縁の親戚・マイ… 
かつて温泉宿で出会い、りしゃこ達にイタズラを働いた『問題児』だ… 

「『魔導大会』を見たい!」という理由で、ここハロモニアまで来たらしいが… 
「…実はマイを呼んだのには、ちょっとした理由があるの…って、マイ!?…どうしたの!?」 

メーグルが叫んでいるのでみんながナッキーの方を振り向くと、マイが痙攣しながら倒れていた… 
りしゃこ達はどこかでみたような既視感に襲われたが、あまり気にしなかった…おおかた電気でも食らって痺れたのだろう… 

とりあえず、痺れているマイを放っておいて、話を進めるメーグル… 

「…マイには当面のライバル・『暁の乙女』の戦力分析をやってもらうつもりなの…」と、メーグルが言う… 
続けて、 
「向こう側にメイド3人娘がいるなら…ナッキーやチッサーとかがメイドつながりで取り成しをすれば 
『見学』という名目で、お城に侵入するのは簡単でしょ?」と、述べる… 

これには前回の『暁の乙女』の活躍ぶりを目の当たりにしていないオ・カール姉妹にとっては再度、活躍が見れる、願ってもないチャンスだ… 

「…と、いうことで、チッサー…マイをよろしくね!」と、メーグルがチッサーにお願いする…






りしゃこ達が新たにマイと合流した頃― 


ハロモニア城― 

「…た、大変や!」 
そういって、ノックもせずに寝室に入ってくる人影が一つ… 
「…ん〜?アッちゃん?どないしたんや…?」 
「大変なことが起きたんよ、お頭!」 
「…ちょっとアッちゃん!『お頭』はアカン言うたやん?」 
「あ、そやったな…ゴメンゴメン…で、ユーちゃん…」 
「…それは砕け過ぎ!」 
「…失礼しました!女王様!こっそり偵察していたあの娘達ですけど…」 
「あ〜、あの娘らか…あの娘らがどないしたん?」 
「…それが…全員『護神石』を持ってたんです!」 
「…えっ!ホンマ!?」 
「ええ、ホンマですわ…本物の証拠である『共鳴』が起きてたんで…」 
「…そやったんか〜!…何とか間一髪で間に合った…ちゅう感じやな…」 
「…そうですね〜。後は上手くいくかどうかですね…」 

「…わかった!ありがとうアッちゃん!」 

ユーコが礼を言うと、人影はスーッとどこかへ消えていった…






りしゃこ達が新たにマイと合流した頃― 


ハロモニア城― 

「…た、大変や!」 
そういって、ノックもせずに寝室に入ってくる人影が一つ… 
「…ん〜?アッちゃん?どないしたんや…?」 
「大変なことが起きたんよ、お頭!」 
「…ちょっとアッちゃん!『お頭』はアカン言うたやん?」 
「あ、そやったな…ゴメンゴメン…で、ユーちゃん…」 
「…それは砕け過ぎ!」 
「…失礼しました!女王様!こっそり偵察していたあの娘達ですけど…」 
「あ〜、あの娘らか…あの娘らがどないしたん?」 
「…それが…全員『護神石』を持ってたんです!」 
「…えっ!ホンマ!?」 
「ええ、ホンマですわ…本物の証拠である『共鳴』が起きてたんで…」 
「…そやったんか〜!…何とか間一髪で間に合った…ちゅう感じやな…」 
「…そうですね〜。後は上手くいくかどうかですね…」 

「…わかった!ありがとうアッちゃん!」 

ユーコが礼を言うと、人影はスーッとどこかへ消えていった…






そして、一方、『輝く女神』の司令本部では、ヨッシーノとリカサークの二大巨頭が、入念に今後の打ち合わせをしていた… 


ハロモニア世界の『破壊』を目論むヤグーの野望を阻止しなくてはならない… 
だが、ヤグーとて、元・『暁の乙女』の一員… 
国民的ヒロインに対して、何の決定的証拠もない内に拘束したり、処罰したりなどの勝手なマネは出来ないのだ… 
すれば、自分達に処罰が下るに違いない… 

と、なると、ヤグーの『破壊計画』の実行現場を押さえるしかない… 
ヤグーの野望達成の条件は、「ハロモニア女王の『魔力』を奪い取って弱体化させ、『時空の歪み』を多数発生させる」こと… 
ただ、ハロモニア女王の膨大な『魔力』を引き継ぐ『器』が必要…そのために、ヤグーは『器』としてりしゃこを誘拐し、育て上げたのだ… 

りしゃこが『魔導大会』で優勝した直後が、ヤグーがクーデターを起こす最大の好機… 
そして、ヨッシーノ達がヤグーの野望を阻止する最大の好機… 

まずは、りしゃこが『魔導大会』に優勝することが『絶対条件』だ… 
幸い、ヤグーもヨッシーノもこの点では一致している… 
問題なのは、何も知らない『暁の乙女』に優勝されること…



『輝く女神』、ヨッシーノ達が考えているのは、ヤグーの野望達成を瀬戸際で阻止すること… 

ヤグーが行動を起こすとすれば、ハロモニア女王の『魔力』をりしゃこが引き継いだ時、ハロモニア世界の維持する力が弱まる…その時… 

ヤグーが野望を達成するためにも、また、その現場をヨッシーノ達が押さえるためにも、りしゃこの優勝は不可欠だ… 

だが、何も知らない『暁の乙女』に優勝されては、元も子もない… 
かといって、この計画を今の『暁の乙女』のメンバーに言ったところで一笑に付されるだろう… 
いや、まかり間違えば、ヨッシーノ達の計画が、ヤグーに漏れるリスクがある… 
そうなれば、今回の計画自体が台無しになってしまう… 


そう考えると、計画を立案する、優秀な『頭脳』が必要だ… 
そこでヨッシーノ達は『ある人物』を優秀な『頭脳』として迎え入れた… 

それが、元・『暁の乙女』のコン=ノイモスキー…過去のメンバー中、一番の頭脳派だ… 

また、ヨッシーノやリカサークとは入隊が一つしか違わず、仲の良い、『先輩・後輩』の間柄だ… 
今回は、二大巨頭にコンを加えた3人での話し合いとなる…



ヨッシーノとリカサーク、そして、コンの3人による打ち合わせが始まった… 

「…なぁコンコン…今のところ『乙女』の動きはどうだった?」 
「…そうですねぇ〜。至って普通ですよ!みんな真面目に練習してますよ〜」 
「…そうなんだけど…。例えば、怪しい動きなんかはなかった?」 
「…いえ、全然!今は新メンバーの特訓とやらでバタバタしてますから、とてもそんなヒマないと思いますよ〜!」 
「…そうだよな…。一生懸命練習してる『乙女』のメンバーには悪いけど、りしゃこを優勝させて、ヤグーの尻尾を掴まないと…」 
「…そうですよねぇ〜。世界平和のためには仕方ないんですけど…」 
「…それだけが残念よね…。国民のみんなの楽しみを、私達の都合で奪ってしまう訳だから…」



ハロモニア世界を守るためとはいえ、国民行事を犠牲にしなければならない無念… 
そんな思いがよぎって、ついつい、ヨッシーノとリカサークの口数が少なくなってしまう… 

そんな二人とは無関係に、「…あ!そういえばですねぇ…」と、話を進めるコン… 

「…『護神石』って知ってますぅ?」と、突拍子もない質問をするコン… 
その言葉を聞いて、つい、リカサークが、 
「ええ!知ってるわよ!」と自慢気に答える… 

「さすがリカさん!物知りですねぇ〜!」と、すかさずコンが持ち上げる… 
「…まぁね…」とスカさながらも、誉められてまんざらでもないリカサーク 
「…で、その『石』ってどんなのなんですかぁ〜?」と、聞かれて、 
「未知なる力を秘めている、神秘的な石よ!」と、答える… 
「何でも、神様のご加護で災いから身を護ってくれるから、その名前がついたらしいの…」と、自慢気にどうでもいいウンチクまで話す… 

「…じゃあ、リカさんは本物の『護神石』って、見たことあるんですか〜?」 
と、コンが質問すると、 
「…あるわよ〜!見たことぐらい…」と、口を滑らせるリカサーク…



コンの、 
「『護神石』を見たことあるんですか〜?」の質問に対して、 
「…あるわよ〜!見たことぐらい…」と、つい、口を滑らせるリカサーク… 

「…へぇ〜!つい最近なんですかぁ〜?」と、さらに質問するコン… 
「…ええ!ワタシの親戚の子が持っててね…」と、答えるリカサーク… 
「…わぁ〜!ワタシも見てみたいですぅ〜!」 

そんな二人の会話のやり取りに、 
「…あの…今後の対策の打ち合わせをするんだろ?」と、話を打ち切ったヨッシーノ… 
どうやら、イライラしてたようだ… 
リカサークはヨッシーノに「…アハ…ゴメンね!」と謝り、コンには、 
「…また今度ね!」と伝える… 

そして、その後は通常通りの打ち合わせとなり、夕方までかかった… 


そして、夜―






そして夜…ハロモニア某所にて― 


「ただいまですぅ〜!」 
「お、コンちゃん乙!何か収穫あった?」 
「…それがですねぇ…ジャーン!…実は、『護神石』の秘密を聞いてきました〜!イェイ!」 
「…へぇ〜、やるじゃん…。で、どんな内容だったの?」 
「…実はですねぇ…ゴニョゴニョ………」 

「…ふぅ〜ん…」 
「完璧です!!」 
「…でさ、誰がその『石』を持ってんのよ?」 
「…えーと、リカさんの親戚の子…ですが?」 
「ダーメ!そんなんじゃ、誰を狙ったらいいかわかんないじゃん!?」 
「…あ、そうですね…」 
「…なーにが『完璧です!!』だよ!この『ヘタレ豚まん』が…!」 
「…そんな…非道い!…『護神石』しか、持ってる人しか、わかんなかったのに…ウェ〜〜〜ン…」 

「…コラ、タン!何でコンちゃんを泣かすの!?」 
「…だって、中途半端な情報で、『完璧です!!』…って、バッカじゃないの!?」 
「…ちょっと、タン!…こっち来な!」 
「…あ、ちょっとアヤちゃん…痛い!引っ張んないで!」 
(…バカね…あの子はおだてたらほっといても仕事するんだから!…だからホメるのよ!) 
(…!…わかった!気をつける!)






時間は前後して… 


りしゃこ達はその日の夜、なかなか寝つけずにいた… 
今日は色んな出来事があり過ぎた… 

マイハの人間化… 

突然の、ハロモニア女王・ユーコとの出会い… 
目の前で『光の魔法』を使われた衝撃… 

そして、『護神石』の集結と、共鳴現象… 
りしゃこ以外のみんなは『属性テスト』を受けるまでは、『護神石』とは無縁と思っていた… 
だが、自分の身に着けている『石』の色が、自分の『属性』と一致し、形状が、りしゃこやミヤビの『それ』と同じだったことで確信した… 

自分達は『護神石』によって、導かれているのだ…と 
最初は、ただの偶然の出会いだと思っていた… 
それが一緒に時間を共有することにより、なぜだかまるで、昔からの『親友』のように思えてきた… 

みんなが一所に集う、というのが『運命』ならば、みんなでハロモニア世界を救うことは『宿命』なのか… 
…ぼんやりながら、そんな考えが頭に浮かんでは、消える… 

それを繰り返すうちに、りしゃこ達は、いつしか朝を迎えた…