いよいよ、『魔導大会』が開会した… 神妙な面持ちで、司会進行を聞くりしゃこ達… 「…それでは紹介しましょう!…決勝トーナメント進出を決めた12チーム・24名の乙女たちです!」 (…何か、『その他大勢』みたいな言われ方だなぁ…) と、りしゃこ達は思った… それでも、大観衆は歓声で以て応えてくれた… そのことが、とても嬉しかった… だが、その後に大歓声が発生する… 「…それでは、長らくお待たせしました!…『新生・暁の乙女』の入場です!」 大観衆の大歓声が、大きなうねりとなって、コロシアムに鳴り響く… それも、致し方ない… 何せ、『暁の乙女』は、ここ、王都・ハロモニアでは、『ハロモニアの守護者』であり、『生ける伝説』でもあるのだ… きっと、『暁の乙女』のメンバーと戦う時は、『敵地』での戦いとなり、やりづらいことが容易に想像出来る… 『暁の乙女』のメンバーが整列すると、司会のマコっちゃんが改めて、大会開催の宣言を行い、ルール説明を始めた… ルールは… @二人一組 A二人の競技者が戦闘不能、若しくはギブアップを宣言した時点で決着 B但し、競技者を過度の傷害を負わせた場合は失格 と、なっている… ルールが説明された後、早速、決勝トーナメントの第1回戦の抽選が行われた… チームのリーダーが次々とくじを引いていく… まずは、『暁の乙女』から…次にヨッシーノ達、そしてりしゃこ達、最後に怪しい4人組がくじを引いた… それぞれのチームが引いたくじを、大会運営スタッフが一度、回収する… 「…では、選手には、一度退場して頂きます!」 マコっちゃんのアナウンスで、全員が退場していく… その後は、コロシアム側の待合室で待機する格好となった 待合室に着くなり、 「…大丈夫かなぁ…?」 と、サキがこぼす… 「…どーしたのよ?」 と、モモが尋ねると、 「…だってさ、ウチら同士が鉢合わせにならないのかな?と思って…」 と、サキは心配で心配でならない… 「…まぁ、大丈夫でしょ!?」 と、暢気に構えるモモ… すると、 「…では、第1試合…サキ、モモ組VSマイミン、エリカン組!」 と、発表されてしまった… 「「あ゛〜〜〜っ!」」 待合室に叫び声がこだました… 仲間同士での潰し合いが起きないか?と心配するサキと、暢気に構えていたモモ… だが、第1試合はサキ、モモ組VSマイミン、エリカン組になってしまった… よりによって、EXーZYX同士の戦いとなった… 実のところ、今までずっと、マイミン達と本気で戦ったことはない… しかし、マイミン達がどれだけ敵に回すと恐ろしいかも知り尽くしている… 最悪の場合、共倒れ…ということもあり得る… 「…じゃあさ、この際、思い切って『棄権』を…」 「…ダメだ!」 サキに『棄権』を促すモモの言葉を遮り、マイミンが異を唱える… 「…えーっ!?どぉしてよー!?…『戦略的棄権』なのよ!?アタシ達で星を潰し合ってる場合じゃないのよ!?」 と、力説するモモ… それに対して、 「…よく考えてみろ。…このトーナメントに出たくても出られなかった奴らの無念と…哀しみを…」 たった一言だけ残して、そのままコロシアムに向かっていったマイミン… 「…試合開始まで、あと5分です!急いで下さい!」と、係員も急かしてくる… その短い時間の中で、サキが出した答えは…!? 戦略的棄権か、それとも試合に挑むか…2つに1つ…その厳しい選択の岐路に、サキは立たされていた… モモのいうことは一理ある…前々から、戦力温存を唱えていたのだから… サキ達が早めに棄権することで、りしゃこの回復役に回れる…そうすれば、目標達成にグンと近づくだろう… だが、マイミンの言葉…多くの脱落者の無念を考えれば、彼女達の代わりに舞台に立つことは、何よりの罪滅ぼしになる… 残り時間はあとわずか… コロシアムには、すでにマイミン、エリカンの姿があった… 以前に、街を救ったヒーロー?として有名になっていたため、大歓声で迎え入れられた… だが、肝心のサキ達がまだ来ない… マイミンも、サキにはああ言ったが、もちろん、理屈としては、棄権しても仕方ない、と思っていたし、咎めようとは思ってなかった… (…致し方ないな…) とマイミンが諦めかけたその時! 「…ひゃあ〜!お待たせ〜!」 とサキ達が入場してきた… 戦略的棄権をするかと思われていたサキ、モモ組だったが、時間ギリギリでコロシアムに駆け込んだ… 内心、棄権するものだと思っていたマイミンが、 「…へっ!…臆病風に吹かれて逃げ出したかと思ったぜ!」 と、毒づく…が、その表情は当然、嬉しそうだった 「…ホント、素直じゃないんだから…」 と、相方のエリカンがさりげなく突っ込む… サキがこの決断を選んだのは、やはり、マイミンの言う通り、サキ達自身が『脱落者の想いを背負いたかった』からだ… それに、ここで『棄権』を選べば、きっと、また同じ決断を迫られる場面で逃げてしまう…それだけは嫌だった… 『戦略』でなく、『感情』を優先させたことは、青臭い、と言われるかも知れない… だが、自分達の心にウソはつけなかった…後悔したくなかった… 「…いい面構えだ…」 「…お陰様で、迷いが吹っ切れたからね…感謝するわ…」 「…でも、マイミンは、アタシ達をその気にさせたことを後悔するわよ!」 「…こっちも後悔したくなかったから、好都合よ!」 戦う前から火花を散らす両チーム… いよいよ、運命のゴングが鳴る! いよいよ、第1試合の始まりだ… 闘技場に、審判役の大臣・ヤススが上がる… 彼女もれっきとした、元・『暁の乙女』の一員…特に、現役時代は守りの魔法で数々のメンバーのピンチを救った…という… 今回の、魔法が飛び交うような危険な場所での審判には、守りに秀でた彼女がうってつけなのだろう… ヤススが両チームに、ルールの再チェックを行う… 両チームが黙って頷く… そんなやりとりが行われた… 「…ねえ、メグゥー?…アタシ、ずっと疑問に思ってたんだけどさ…」 と、ミヤビがメーグルに質問する… 「…何?」 「…マイミンって、ホントに魔法使えるの!?」 と、真顔で言った… メーグルが答える 「…まぁね。ちょっと、特殊なタイプなんだけどね」 ミヤビとメーグルが会話している間にも、着々と準備が進んでいく… ルールチェックを終えた後、審判役のヤススの合図で魔法結界が張られる… この魔法結界によって、外部からの乱入を防ぐと同時に、闘技場の魔法が外に漏れるのを防ぐのだ… 更に、結界が張られた後に闘技場の背景が突然、変化した! これには大観衆のみならず、競技者達もあっと驚く… コロシアム内が騒つく中、司会のマコっちゃんが解説を始める… 「…えー、今回は競技者達の『属性』のことを配慮しまして、『ステージ』がランダムに変化することになりました! 『属性』の恩恵を受けられるかどうかは運次第です!…で、今回は、星空が綺麗な『夜のステージ』のようですね…」 ステージが夜になった以外はこれといって『属性』の変化はなさそうだ… 「さぁ!」 「…始めるわよ!」 「…それでは、始め!」 ヤススの掛け声とともに、いよいよ、第1試合が始まった! 当然ながら、先手必勝、とばかりにマイミンはサキ達に向けてダッシュする 接近戦ではマイミンの右に出るものはいないため、サキ達としては、なんとか距離を置きたいところだ… そのため、サキ達の作戦としては、モモがマイミンの足止めをする間に、サキの魔法で、一気にカタをつける作戦だ… だが、その目論見は脆くも崩れてしまう… 確かに、モモがマイミンの足止めを忠実に行っている…が、肝心のサキが呪文の詠唱が出来ないのだ… 敵はマイミン一人ではない… サキが呪文を詠唱しようとするや否や、エリカンがロングレンジから攻撃を仕掛けてきた! 呪文の詠唱なら、エリカンより早い、と思っていたサキにとって、大きな誤算だ… サキを狙って、『氷の矢』が、次から次へと打ち込まれていく… そう、エリカンは魔法ではなく、魔法で生み出した『氷の矢』を弓につがえて打ち込んでいるのだ! これなら、わざわざ呪文を詠唱せずとも弓の技量があるなら魔法と同等の効果が得られる… 呪文の詠唱の速さなら、エリカンより上だと思っていたサキ… だが、エリカンは魔法で生み出した『氷の矢』によってサキに攻撃を仕掛けてきた! 先手を取られてしまう、という誤算が生じたサキ… このままでは、マイミンを引き付けているモモが危ない! だが、誤算が生じたのはサキだけではなかった… 「…フン!…ハッ!」 次から次へとパンチ、キックを繰り出すマイミンだが、何故かモモには当たるどころか、かすりさえしない… (…何故、オレの攻撃が当たらない!?) マイミンの繰り出す攻撃が、いつもと違って遅いワケではない… モモは難なくマイミンの攻撃を躱していく… マイミンは気付いていないが、実はマイミンの予想外の苦戦は、『夜のステージ』がそうさせているのである… 普通の人のマイミンとは違い、モモは『忍者』として常日頃、行動してきた… 当然、忍者の活動時間は『夜』…そのため、夜に慣れているモモとマイミンとで、その差がくっきり出たのだ… 互いの誤算が絡み合いながら、戦いは続く… マイミンの攻撃を次々と躱していくモモ… それに対して、攻撃が当たらないことに苛立ちを隠せないマイミン… 「…あんた、肉ばっか食べてるから『鳥目』になるのよ!」 と更に挑発するモモ… その一言に対して、マイミンは、 「…『鳥目』って…何なんだ!?」 と、素で答える… 思わず呆れるモモ… 仕方なく、 「…いい?『鳥目』ってのはね…、肉ばっか食べて、野菜を食べないとかかる病気よ!暗いところで目が見えにくくなるのよ!」 と、教えてやる… すると、 「…ああ、確かにオレは肉ばっか食べてたな…お前は『煮豆』みたいな、貧乏臭い食べ物が大好きみたいだけどよ…」 と、モモの食生活の嗜好をはからずもバカにしたマイミン… それにカチン!ときたモモは、 「…何よ!?『煮豆』はと〜ってもヘルシーだし、『畑のお肉』なのよ!…『煮豆』をバカにしたこと、後悔させてあげる!」 と、今までの様子見モードから、一転、やる気モードに切り替わった! 「…ツグナガ流忍術、秘伝・『蛍火』!」 様子見モードだったモモが、やる気モードへとシフトチェンジする… 「…ツグナガ流忍術、秘伝・『蛍火』!」 すると、モモの周囲から、無数の微かな光がふわふわと立ち上ってきた… 暗闇の中、儚げに光る様は幻想的でもあった… モモがスッと腕を前に突き出す… 「…さあ、行きなさい…『蛍』…」 モモの掛け声に従って、微かな光が、ゆっくりと真っ直ぐにマイミンに向かって飛んでいく… 「…へっ!これぐらい躱してやるぜ!」 言った通り、簡単に『蛍』を躱すマイミン… スピードもなく、直線的に動く『蛍』を躱すことはマイミンでなくても造作のないことだ… 「…何だ?大したことねぇな!」 と、マイミンがモモに向かって吐き捨てた時だ… 「…っつ!ぐわぁ…!」 突然、マイミンの背中に衝撃と痛みが走った! これが、モモが『蛍』と呼んだ、あの火の玉の威力と性能だ… (…確かに避けたハズなのに!) マイミンはそう思った…しかし、現実はダメージを受けている… 「…ウフフ…悩んでるわね…」 「…!」 モモの忍術・『蛍火』の術中にハマったマイミン… 避けたハズの『蛍』が、何故かマイミンにヒットしてしまう… いくら頑強なマイミンでも、無防備な部位を突かれては、よりダメージを受けてしまうのは当然だ… 何か手立てはないのか…?マイミンは無い知恵を絞って考えた… 「…じゃあ、次!」 モモの掛け声とともに、再度『蛍』が飛んでいく… 相変わらずの低スピード…難なくマイミンは躱す… だが、やはり、ほんの数秒後には、マイミンの無防備な部位にヒットしていく… 「…ほら、言ったでしょ?アタシを怒らせると後悔するって!」 モモが勝ち誇ったように言い放つ… 「確かにそうだな…。コイツはスゲーよ…」 と、前置きしながらも、 「…でも、最後に立ってるのは…オレだ!…何故なら…鍛えてるからだー!」 と、マイミンも苦境ながら言い返す… 「…じゃあ、この術を破らないとね!」 一方、サキはエリカンの遠距離攻撃に手を焼いていた… 呪文の詠唱より速く、魔法と同等の効果が得られる『氷の矢』による攻撃… サキはなかなかモモのフォローに入れずにいた… ふと、相方に目をやると、マイミンの上手をいくことが出来たようだ…が、ここでダメ押しが欲しい… 実は、サキ達には、サキの魔法のフォローがあれば、マイミンを沈黙させるようなコンビネーションがあった… しかし、エリカンに動きを封じられては、それも叶わない… (…なんとか、あの遠距離攻撃を封じなくては…) サキは必死に考えた… だが、スピードでは、どう考えてもエリカンには適わない… (…だったら、発想を逆転させて…『封じる』んじゃなくて、『隙をつくる』くらいなら!) エリカンの攻撃が止まるとすれば、まず、矢が尽きるか…いや、『魔法の矢』だから尽きることはないだろう… では、矢を放つのを止めるか…遠距離ではスピード差で無理だし、接近戦に持ち込もうにも、見切るのが困難で、無傷では無理だろう… なら、何かの原因で、エリカンが矢を放てなくなるのは? あった…!エリカンの足止めから逃れる術が…! エリカンの足止め包囲網を潜り抜け、モモに加勢したいサキ… 間断なく続くエリカンの攻撃を止める方法が…あった! 現在、闘技場では、サキとエリカンが、モモとマイミンが並行の位置で戦っている状態だ… それを把握した上で、サキが徐々に、後退りを始める… それを見たエリカンは、内心喜んだ…サキを後退させれば、モモに押されているマイミンのフォローに行きやすくなるからだ… ただ、サキの後退が、サキの策略とは知らずに… 薄暗い闇の中、『クールビューティー』なエリカンがほくそ笑んでいる顔をサキは見逃さなかった! (…油断してる!) そう踏んだサキは、エリカンの魔法の矢が降り注ぐ中、一気にモモの居る方へと走り出した! 当然の如く、条件反射でサキに向けて矢を連射するエリカン… だが、途中でハッ!と気付く! 「…マイミン!伏せて!」 エリカンの声に反応して、マイミンが咄嗟に身体を伏せる… なんとか辛うじて、同士討ちは避けられた… だが、そこにサキが狙っていた隙が生じた! 弓矢による攻撃が途絶えた僅かな数秒間…サキが呪文の詠唱を終えるのには十分な時間だった… マイミンを盾にするように、対角線上に移動することでエリカンの弓矢による攻撃を途切れさせたサキ… その、僅かな隙を突いてサキが呪文の詠唱を終えた… 「…いくわよ!…ピュアミスト!」 サキが前方にかざした錫杖から、霧状の何かが噴射された! 「「…しまった!」」 咄嗟にガードするマイミン… しかし…何も変化していない… 身体を調べてみる…特に異常はない… そこでマイミンは、 「…ハッ!この大舞台で魔法ミスかよ!?どんだけプレッシャーに弱いんだ!?」 と、挑発するマイミン… どこもかしこも痛くない…むしろ、ミストを浴びて爽快なくらいだ… 「…いいのよ、これで…アタシの中では成功なの」 サキは控えめに微笑んだ… 「…負け惜しみか!?」 「…そうじゃないわ…モモ、やっちゃって!」 「ハイハーイ!…行け!『蛍』達!」 モモの掛け声に反応して、『蛍』達が一斉にマイミンに向かって飛んでいく! そのスピード、数は先程の比ではない! 「…食らいなさい!ツグナガ流忍術、奥義『蛍の墓』!」 モモの忍術の『蛍』達が、マイミンめがけて一斉に襲い掛かる! そのスピードは先程までの比ではない… 加えて、『蛍』達が、全方位からマイミンを攻撃する! 一匹でさえ、手を焼いたというのに、それが一斉に…となれば、おのずと結果は知れている… 「ウオォォォォーー!!」 『蛍』達がマイミンに触れて爆発する!…薄暗い闇に閃光が走った! そして…防御をしていたマイミンが…ゆっくりと…前のめりに…倒れた…! ドサッ!! 「…嫌…嫌ぁ〜〜〜!!」 いつものクールビューティーなエリカンが血相を変えて、マイミンに駆け寄る… だが、その行く手をサキが阻む… 「…悪いケド、これって“決闘”なのよね!」 「…早くマイミンを助けたかったら…今すぐ降参しなさい…」 サキとモモの言葉がエリカンの心に痛烈に突き刺さる… ショックのあまり、茫然自失のエリカン…その間にも、刻々と時間は過ぎてゆく… そして、ようやく現実に戻ったエリカンが言葉を発しようとする… 目の前でマイミンが倒れてショックのエリカン… そして、ようやく現実に戻り、言葉を発した… 「…わかったわ…だけど、その前に聞かせて…。その『技』の秘密…」 エリカンの言葉に、サキとモモが答える… 「…アタシの故郷には、『蛍』って虫がいるの…。とっても綺麗な水を好むの…。だから、その習性を活かして…」 「…アタシがマイミンに浴びせた魔法・『ピュアミスト』は、綺麗な水を霧状にしたもの…。それを全身に浴びたマイミンは…」 「…『蛍』達に群がられてしまったワケ…」 「…じゃあ、最初にマイミンに襲い掛かった『蛍』のスピードが遅かったのは?」 「…マイミンの『汗』に反応したみたいけど、あまり綺麗じゃなかったみたいね…あれだけスピードがゆっくりだったもの!」 モモがそう言うと、サキが…そして、エリカンまでもが、プッ!と吹き出してしまう… だが… 「…ほぉ〜…オレの汗が汚い、ってか!」 と、サキとモモの背後から地獄の底から響くような声がした… サキとモモが、恐る恐る後ろを振り返ると、そこには、よろよろとしながらも立ち上がってきたマイミンの姿が…! 「…さぁ…どうお仕置きしてくれようか…!」 サキとモモの背後から、地獄の底から響くような声がする… 二人が恐る恐る後ろを振り返ると、そこにはマイミンが! 「…正直、スゲー効いた…だけど、オレは負けない!…勝つ!」 そう言うと、突然、二人の胸を鷲掴みにするマイミン… 「…ちょ、ちょっと!何すんのよ?」 「…や、やだぁ!離して!…変態!」 二人の胸を鷲掴みにしたまま、マイミンがニヤリと笑う…さながら『悪魔の微笑み』だ… 背筋に冷たいものがつたうのを感じる二人… 「…この距離なら間違っても逃がさないぜ!」 なんとか脱出を試みても、マイミンの手が胸に食い込み、逃げられない! 「…ちょっと、アタシ達の胸が大きいからって、僻まないでよ! その一言の毒舌が、モモの断末魔の叫びとなった… 「…俺のこの掌が真っ赤に萌える!…勝利を掴めと轟き叫ぶ!!…『爆熱!ゴォォォッド・フィンガァァァー!!』」 高速振動するマイミンの掌が衝撃波を生み出し、そのうねりがサキ達に零距離で炸裂する! 身体に振動波の余韻が残り、満足に動くことが出来ないサキ達… ここでヤススが宣告する 「…勝負あり!…マイミン、エリカン組!」 審判のヤススがマイミン達の勝利を宣告した… 「…ふぅ…予想以上に手強かったぜ…」 と、マイミンが言う… 「…商売と同じで、タダで負けるワケにはいかないのよ!」 と、やられても毒づくモモ… 「…スベったわね…」 と、モモのギャグにダメ出しするサキ… そんな和やかになりつつある雰囲気を打ち壊したのがエリカンだった… 「…マイミン!…ちょっと来なさい…!」 「…な、何、エリー?」 「…あなた…どさくさ紛れにサキとモモのおっぱいを弄んだでしょ!?」 「…してねーよ!」 「…で、どうだった?けっこう大きかった?」 「…まぁまぁ…カナ?…個人的にはもっと揉み応えがある方が…?」 「…ほほ〜う…じゃあ、控え室でゆ〜っくり…じ〜っくり…た〜っぷり聞かせてもらおうかしら?」 と『氷の微笑み』を浮かべるエリカン… それを見て、サキ、モモは背筋が冷たくなった… でも、一番背筋が冷たい思いをしてるのはマイミンに違いない… マイミンを引きずりながら退場するエリカン… まるで『ドナドナ』のようであった… サキとモモは、黙って、マイミン達を眺めていた… 〇マイミン、エリカン―サキ、モモ×