双子を見捨てて控え室を後にしたものの、手持ち無沙汰なりしゃこ達… と、そこへ大会運営スタッフがやってきた… 「…え〜と、ミヤビ選手、りしゃこ選手、出番ですよ!試合開始まで、あと10分です!」 スタッフの言葉に慌てるりしゃこ達… うっかりしてた… まさか、自分達の出番がもう来るなんて… 急いで支度と心の準備を整え、闘技場へと向かうりしゃこ達… そして、闘技場にたどり着いた…! そこには、大観衆による、割れんばかりの大歓声が待っていた! 慣れない観衆に戸惑うばかりのりしゃこ達… それでも、高鳴る気持ちを押さえようと、観衆を見回してみる… すると、 「…おーい、りしゃこ!頑張れよ!」 「…応援してるからね!」 観衆席の中に、オ・カール姉妹やナッキー、アリ氏の姿があった…! ぎこちないながらも、みんなの応援に対して手を振って応えてみせた… その間に、向こう側の通路から、対戦相手が出てきた… その相手とは…? 闘技場に立つりしゃこ達の前に、対戦相手がやってきた… 「…みなさん、こんにちはー!」 なんと!りしゃこ達の対戦相手の一人が、登場するなり、大観衆を前にして、堂々とアピールしてるではないか!? この大舞台で、この立ち振舞い…並みの神経の持ち主では出来ないことだ… 彼女は天然なのか?それとも、大物なのか? 「…ちょっとぉ〜…止めて下さいよ、センパ〜イ…恥ずかしいですよぉ〜…」 それをもう一人が、気だるげに止めようとする… 「…ハイハイ、わかったわよ!…ホント、ミッツーは恥ずかしがり屋なんだから!…いつまでたっても、それじゃダメだぞ!」 「…コハ先輩が異常なんですよぉ〜。ワタシだったら、恥ずかしくて、とてもあんなコト、出来ないですぅ〜」 「…まぁ!何ですって!」 まるでコントのようなやりとり…それを大観衆の前で平然とやってのけるのだから、相方も、相当の天然か、大物に違いない… 「…コホン…。自己紹介が遅れました…。アタシはコハ。…コハ=ルンバ=クスミ!そして、彼女が…」 「…ミッツー=イジューショク…。ミッツーと申します!」 りしゃこ達の対戦相手は、『暁の乙女』新メンバーのコハとミッツー… データのない、全く未知数の相手だ… 外見からすると、二人ともまだ幼さの残る、今どきの女の子…という印象だ… しかし、エリート集団『暁の乙女』に加入しているくらいだから、それ相応の実力はあるかと推測できる… じっと二人を凝視するりしゃこ達… すると突然、 「…コハねーちゃんがんばれー!」 「…ぜーったい、勝ってねー!」 と、可愛い応援団の声が聞こえてくる… その声がした方を向いてみると、そこには 『がんばれコハねーちゃん!』 の旗が立っていた… よくよく見ると、その旗は、あちこちつぎはぎだらけで、お世辞にも綺麗とは言えない… 場内からは、心ない大人の失笑が洩れていた… だが、コハは胸を張って、子供たちの声援に手を振る… 「…みんなー!おねーちゃん、頑張るからねー!」 大観衆と大歓声に迎えられたりしゃこ達とコハ達… コロシアムを埋め尽くす大観衆の中に、りしゃこ達、コハ達は、可愛い『コハ応援団』を見つけた… 大きな応援旗には、 『がんばれコハねーちゃん!』 の文字が踊っている… だが、立派そうに見えた旗だが、ところどころにつぎはぎの跡があって、ややもすればみすぼらしくも見える… きっと、子供たちの手作りなのだろう… それを、誇らしげに見つめるコハ… そんなコハのことが気になって、ミヤビが話しかける… 「…ねぇ…あの子達は?」 「…うん!コハのね、弟や妹達だよ!」 と、屈託のない笑顔で答えるコハ… 弟や妹達…というものの、その数は10人くらいはいるのだ… ミヤビはハッと感付いた… きっと、コハもりしゃこやミヤビと同様、孤児院で育ったに違いない… ミヤビの様子に気付いたコハが語る… 「…ワタシ…孤児なの…」 コハが語る… 「…ワタシ…孤児なんだ…!」 明るく振る舞っているコハの、隠された暗い過去…と、思いきや、 「…でも…ワタシ良かった…って思ってるの!…だって、弟や妹がたーっくさん!いるんだもん!」 と、あっけらかんと言い放つ… ミヤビはコハのポジティブ・シンキングが羨ましかった… ミヤビは親がいなくて寂しい想いをしてきたが、コハのようには考えられなかった… その、真っ直ぐで、逞しい明るさが…眩しかった… 「…ワタシの夢はね…シスターを楽にしてあげたいんだ! 弟や妹がたくさんいるから、きっと…シスターは大変だったと思うから… だから、『魔導大会』で優勝して…有名になって…ワタシみたいな孤児が寂しい想いをしなくて済むようにって…」 熱く語るコハを見つめるミヤビ… 彼女には、弟や妹達、シスターのため…負けられない『理由』がある… だけど、ミヤビにも、世界を護る…という、譲れない『理由』がある… 正々堂々…手加減なしで戦う… ミヤビは、そう心に誓った… お互い、『譲れないもの』のために戦うミヤビとコハ… その『想い』を闘志に変えて、試合に挑む… 審判のヤススのチェックが終わり、いよいよ試合開始だ… 「…両チームとも、準備はいいわね?…それでは…始め!」 ヤススの号令と同時に、またも闘技場の環境が変化し始めた! 急に真っ暗になっていく… 「…わ、わ、わ!」 「…何!?何なの!?」 「…ミヤ〜!怖いもん!…ムギュ…」 「…こ、こらりしゃこ!?変なトコ、触っちゃダメ〜!」 両チームが暗闇でパニックになってると、そのうち、暗闇の中に、キラキラと光が輝き始めた… 星だ… 一つだけでなく、二つ、三つ…あっという間に暗闇の空が満天の星灯りに照らされた… 「…どうやら…今回は夜のステージね…」 落ち着きを取り戻したミヤビが分析する… 「…いや〜!怖いよ〜怖いよ〜!」 「…コハ先輩、大丈夫ですよ!もう終わりましたから…」 「…えっ!?そうなの!?」 コハ・ミツはコハが暗闇を恐がっていた… (…ホントに…大丈夫なの…この子達…!?) と、疑問を感じたミヤビだった… 闘技場が『夜のステージ』へと変化した… 満天下の素敵な星空に思わず驚嘆する両チーム… だが、変化が起きたのは、闘技場の背景だけではなかった… 「…コハ先輩!とっても素敵な星空ですねぇ〜」 「…うん!なんだか気分もウキウキのキラキラリン☆彡だね!」 「…え!?…先輩…今、なんて言いました!?」 「…うん?『ウキウキのキラキラリン☆彡』って、言ったんだけど…。なんだか気分がいいから変…」 「…ちょっと待ってください、先輩!…それって…まさか…!?」 「…どうしたのミッちゃん?何か問題でも?」 「…い、いえ…」 そんなコハ・ミツのやりとりを見て、ある種の疑念を感じたミヤビ… (…何か…隠してるわね、あの二人…!) そして、決断した! (…相手は隙だらけ…先手必勝!) ミヤビは、母の形見である真紅の杖を手に、コハ・ミツに襲いかかった! 「…遠慮はしないよ!」 虚を突かれたコハ・ミツが防御に入る… ミヤビの狙いは、『秘密』を持つコハ… 試合が始まったにも関わらず、会話をしているコハ・ミツ… その二人の隙を突いて、攻撃を仕掛けるミヤビ… 母の形見である『真紅の杖』を手にして… 「…うわぁぁぁー!…ちょっと、タンマタンマ!」 不意を突かれて逃げ惑うコハ… あまりにも無防備に逃げ回る姿に、ミヤビはコハの事が、ますますわからなくなってしまった… (…ホントにこの子、『暁の乙女』のメンバーなの!?) かと言って、攻撃の手を緩めるわけにはいかない… 『真紅の杖』から、紅の炎が沸き起こる! 「…これで決めさせてもらうわよ!『ほのまら』!」 ミヤビの魔法の発動とともに、杖の先端から『炎の蛇』が出現した! (…えっ!?何これ?) ミヤビは自分の目を疑った…これが、『ほのまら』の正体だったなんて… 恐らく、『真紅の杖』の力によって、今までの魔法がパワーアップしたのだろう… 『ほのまら』もその影響でハッキリと具現化したに違いない… 感心している場合ではない!ミヤビは『ほのまら』にコハの追撃を命じた! 『真紅の杖』によって、パワーアップした炎の蛇『ほのまら』に、コハ追撃を命じるミヤビ… 『ほのまら』は、鎌首をもたげて一気にコハに飛びかかった! だが、 「…そうはいきませんよ!」 という声が… いつの間にか、『ほのまら』の進路を阻むように、ミッツーが立ちはだかっていた! ただ、コハ同様、あまりにも無防備すぎる… パワーアップした『ほのまら』の威力を考えれば、もし、直撃すれば、ただでは済まないだろう… それとも、防御に絶対的な自信があるのか… ミッツーの場合は後者だった…! 「…ミッツー流、絶対防御壁『アンチンキヨヒメ』!」 ミッツーが地面に手をつくと、周囲の土が盛り上がり、ドームを形成した! その形は、さながら『釣り鐘』のようである… 『ほのまら』がコハに襲いかからんとするも、『アンチンキヨヒメ』の前に侵入を阻まれてしまった… なおも『ほのまら』が『アンチンキヨヒメ』を壊そうとして、とぐろを巻いてみたが、ビクともしなかった…! 「…もお!あと少しだったのに…!」 と、悔しがるミヤビ… ミヤビの必殺技『ほのまら』は、ミッツーの『アンチンキヨヒメ』の前に阻まれてしまった…! 悔しがるミヤビ…しかし、攻撃の手を緩めるつもりはない! 「…締め付けろ『ほのまら』!」 ミヤビの声に反応して、再度、とぐろを巻いて、『アンチンキヨヒメ』を壊しにかかる『ほのまら』… 全然ビクともしないまま、1分、2分…と時間が過ぎてゆく… すると、『絶対防御壁』を謳っていた『アンチンキヨヒメ』の周囲にヒビ割れが入り始めた…! ミヤビの顔が、思わず綻ぶ… 「…『絶対防御壁』なんて言ってたけど…まだまだ、ね!」 『ほのまら』に力を注いでいるミヤビの額から、うっすらと玉のような汗が滲む… だが、額に汗しても構わずに、まだまだ『アンチンキヨヒメ』を壊しにかかる… そして… バキバキッ!! 遂に、『絶対防御壁』を誇った『アンチンキヨヒメ』が崩壊した…! 精神力と集中力を消耗したのか、その場にへたり込んだミヤビ… 『絶対防御壁』を誇ったミッツーの『アンチンキヨヒメ』が破壊された…! だが、その代償は大きく…精神力と集中力を消耗したミヤビは、その場にへたり込んだ… しかし、それでも気丈に壊れた『アンチンキヨヒメ』の跡を凝視する… 土煙が収まり出すと、そこには二つの人影が…! ミヤビは内心、ホッとした…偶然とはいえ、人を殺めたくはないものだ… だが、ホッとしたのもつかの間、とんでもないことが起こった! ミッツーの『アンチンキヨヒメ』を破壊した跡を凝視するミヤビ… 土煙の向こう側には二つの人影が… だが、あの『密室』の中で、とんでもないことが起きていた! 土煙が腫れて、満天の星空の下に現れたのは…ド派手にドレスアップしたコハの姿!! …その隣に、控えめにミッツーが立っている… 度肝を抜かれたのはミヤビ…あまりの変貌ぶりに、愕然とする… 「…な、何なの、その格好!?」 思わずミヤビがツッコミを入れる… だが、それも仕方がない…何せ、フリフリのレースのついたミニスカートのドレスに、肘まである手袋…頭にはティアラがのっかっている… 世が世なら、その出で立ちは、どこをどう取っても『アイドル』そのものだからだ… そしてコハが沈黙を破る! 「…じゃーん!…奇跡を起こす美少女魔法使い・『ミラクル仮面☆キラリちゃん』…誕生!!」 コハの前口上に、ミヤビは目眩を感じた… 先程の疲労に加え、この脱力感…またもやその場にへたり込んでしまった… 突然、姿を現した、『美少女魔法使い・ミラクル仮面☆キラリちゃん』… その、あまりの変貌ぶりに目眩を感じたミヤビ… 思わずその場にへたり込んだ… そんなミヤビの都合などお構い無しに、 「…さぁ、出たな…怪人・アゴゲルゲ!…この『ミラクル仮面☆キラリちゃん』が相手だ!…とう!」 と言って、ミヤビに突進する! 思いの外、コハ改めキラリちゃんのダッシュが速い! (…マズイ!…ここは退かないと!) そう思ったミヤビだが、先程のミッツーの『魔法結界』の破壊に、著しく精神力と集中力を消耗して、身体が言うことを聞かないのだ! すると、キラリちゃんの隣にいたミッツーが、頭を指差して自慢している仕草をする… 恐らく、事前に魔力の消耗させるために、ミヤビに結界を『破壊された』のではなく、『破壊させた』のだろう… (…ふん!…罠に引っ掛かったみたいね…!) 内心、腸の煮えくり返る思いでいっぱいのミヤビ… そうこうしているうちにも、キラリちゃんが目の前に迫ってきた! (…危ない!) ミッツーの頭脳プレーに引っ掛かったミヤビ… 予想外に精神力と集中力を消耗して、動けないでいる… そこへ、変身を遂げたキラリちゃんが襲いかかる! (…危ない!) 咄嗟に身を守るミヤビ… だが、ミヤビの前に何者かが立ちはだかった! カシィィィーン!! 「…大丈夫、ミヤ?」 ミヤビとキラリちゃんの間に割って入ったのは、りしゃこだった… 「…もお!今まで何してたのよ!」 と、少し拗ねてみせるミヤビ… 「…エヘヘ!アタシも『準備』してたんだ!」 と、キラリちゃんの杖による打撃を受け止めながら、りしゃこがそう言った… 「…そう…って!?…まさか、りしゃこ…!?」 ミヤビの顔色が変わる…まさか、ここで『切り札』を出すのか!? 「…じゃあ、行くよ!…『変・身!!」 そう言い終えると、りしゃこの身体からまばゆい閃光がほとばしった! その閃光が5秒間は続いただろうか…ようやく光が収縮した後、そこには、キラリちゃんに負けず劣らずドレスアップした美少女が… 「…世界の平和を守るため…この地球に愛を!…天才魔法美少女・りしゃこ!…誕生!!」 コハに続いて、『変身』したりしゃこ… りしゃこの、まさかの『変身』に驚きを隠せないコハ・ミツ… 「…助かったわ、りしゃこ…ありがとね!」 ミヤビが素直に感謝する… 「…ミヤ…じゃあ、りーちゃんが勝ったら、ごほうびたよ!?」 と、現金な返事をするりしゃこに、ミヤビは思わず苦笑いをする… そんな和やかなやりとりをしてるミヤ・りしゃとは対照的に、 「…ねぇ、ミッツー?…ワタシ、あんなの聞いてないよぉ〜!」 「…え〜っ!?ワタシも初めてですよ〜!」 と、動揺しているコハ・ミツ… しかし、そこは『暁の乙女』のメンバー…気持ちを切り替えて、再度、りしゃこ達と向き合う… 「…さぁ!…いざ、尋常に…勝負よ!」 そう言うなり、キラリちゃんの方からりしゃこに接近してきた! 「…くらえ!…♪助けてダーリンくらくらりん♪…『薔薇蕾花(バラライカ)!!」 キラリちゃんが杖を振りかざす! すると、真っ赤なバラの花吹雪がりしゃこ達に降りかかる…! 10秒後… あっという間に辺り一面がバラの花びらだらけとなった! だが、それだけで、りしゃこ達はダメージを一切受けていない…! キラリちゃんの放った魔法『薔薇蕾花』…バラの花びらがりしゃこ達を覆い尽くす…! だが…ダメージは全くなかった…! 「…あれぇ〜!?…おかしいなぁ〜!?」 と、首をひねるキラリちゃん… 「…もお!コハ先輩、しっかりして下さいよ〜!」 と、ミッツーが注意する (…首をひねりたいのはコッチの方だよ!) と、心の中でツッコむミヤビ… 「…じゃあ、コッチの番だもん!…行くよ!」 と、りしゃこが宣言する! が… …何も起きない… ふと、ミヤビがりしゃこの方を見てみると、 「……zzz…zzz…」 なんと!立ちながら眠っていた…! 「…こら!りしゃこ!」 ミヤビがりしゃこを起こすために立ち上がろうとすると、急に、身体に力が入らなくなった…! 「…な、何これ…!?」 まさかの事態に慌てるミヤビ… 「…かかったわね、『薔薇蕾花』の甘〜い罠に!」 キラリちゃんとミッツーが不敵な微笑みを浮かべている…! 「…かかったわね、『薔薇蕾花』の甘〜い罠に!」 キラリちゃんとミッツーが不敵な微笑みを浮かべている…! 動けない二人を前にして、キラリちゃんが自慢気に語り出す… 「…やっぱり『正義のスーパーヒロイン』って、華麗に優雅に美しくあるべきだ!って思うの! …だから、無駄な労力を省くためにも、『薔薇蕾花』の『香り』で力を奪ってしまえば、後は楽チン!ってコト!」 人間の五感・嗅覚を通じて『脱力』を促す魔法『薔薇蕾花』… あくまでも、視覚を刺激した『花びら』はカモフラージュだったのか…!? 気付いたときには、もう遅い…! 美しい花には『棘(とげ)』がある…『薔薇蕾花』の場合は、『甘い香り』が『猛毒』だったのだ! あとはゆっくりと仕留めるのみ… キラリちゃんの華麗なるステージが、優雅なフィナ〜〜レを迎えようとしていた…! (…こ、このままでは…!…何とかしないと!) 薄れゆく意識の中で、ミヤビは必死にもがいた… …そして… 薄れゆく意識の中で、ミヤビは必死にもがいていた… (…このままじゃ、ダメだ!…負けたくない!…りしゃこを…何とか…起こさなきゃ!) そう思ったミヤビは頭をフル回転させる…そして… 「…りしゃこー!!…早く起きないと、ゴハン抜きだからねー!!」 と、ありったけの大声で叫んだ…! 「…!?」 これまで両チームの攻防を見守っていた大観衆から失笑が洩れる… (…もう!…りしゃこ、覚えてなさいよ!) と、恥ずかしさに顔を赤らめるミヤビ… そして… 「…イヤー!ヤダヤダヤダー!」 と、急に叫び出すりしゃこ… その叫び声に、闘技場の大観衆がドッと爆笑した! りしゃこは闘技場での試合中…というのを思い出し、ミヤビ同様、顔を赤らめた… 「…りしゃこ!…ようやく起きたわね!」 と、地面に這いつくばりながら、ミヤビが声をかける… ミヤビに気付いたりしゃこが、ミヤビの傍まで駆け寄る… 這いつくばっているミヤビに気付き、りしゃこが駆け寄ってきた… ミヤビが言う… 「…りしゃこ!…このバラの花びらには『毒』が含まれているわ!…早く吹き飛ばさないと…!」 りしゃこは頷き、眼を閉じて、呪文を詠唱する… それまでりしゃこの寝呆けた姿に腹を抱えて笑っていたキラリちゃんとミッツーが、りしゃこの行動に気付く… 「…そうはさせないよ!…『きらりん☆彡クレセント・カッター』!」 キラリちゃんの『魔法の杖』から、三日月型の光の刃が現われ、りしゃこめがけて飛んでいく! りしゃこは呪文の詠唱中で微動だにしない! (…もらった!) 心の内でガッツポーズするキラリちゃん… しかし… バキィィィン!! 『クレセント・カッター』は何かによって、粉々に粉砕された…! 「…イヤ〜ン!…どうして〜!?」 と身悶えるキラリちゃん… 「…残念だったわね!」 キラリちゃんの魔法の刃『クレセント・カッター』が、何かによって粉々に粉砕された…! 「…イヤ〜ン!?…どうして!?」 と、身悶えるキラリちゃん 「…残念だったわね!…そうはいかなくてよ!」 ミヤビが、炎の刃『キラーソー』で粉砕したのだ! 「…ひ、ひどい…」 と、肩を落とすキラリちゃん… あまりの落胆ぶりに心配したミッツーが駆け寄る… 「…どうしたんですか、コハ先輩!?」 ミッツーの問いかけに、 「…あの人が…お友達を…殺したの!」 と、叫ぶキラリちゃん… ミッツーが、 「…あの、『クレセント何とか』が、コハ先輩のお友達なんですか?」 と尋ねると、 「…違うの!…あの人の友達が『クレセント・カッター』なのに、その友達を粉々にして…」 「…あのー、もしもし!?…アタシと『クレセント何とか』の、どこが友達なの!?…思いっ切り、初対面なんですけど!?」 と、二人の会話に割り込むミヤビ… 「…だって…あなた、横からみたら、『三日月』みたいだから…お友達かと…」 !! ノノl#∂Д∂'ル キラリちゃんにバカにされて、怒りに燃えるミヤビ! 先程まで、『薔薇蕾花』の毒で弱っていたのに、怒りによって元気になった… 『元気があれば、なんでも出来る!』…まさしく、『燃える闘魂』だ…! 「…アタシをバカにしたコト…絶〜っ対に、後悔させてやる…!」 と、鼻息の荒いミヤビ…この分だと、その鼻息で花びらも吹き飛びそうなものだが!? いきり立つミヤビに、 「…準備OKだよ!」 と、りしゃこが声を掛ける… 「…わかったわ…頼んだわよ!」 ミヤビの返事とほぼ同時にりしゃこが魔法を発動させる… 「…いけ!『フェニックス・トルネード』!」 すると、りしゃこ達の周りに旋風が巻き起こり、周囲の花びらを跡形もなく、吹き飛ばした! 「…これで…毒にやられる心配はなくなったわね…」 と、呟くミヤビ… ここにきて、形の上では、試合は振り出しに戻った… 『薔薇蕾花』が跡形もなく吹き飛び、形の上では、試合は振り出しに戻った… …が、 「…あ、あれ?」 やはり、身体の力が抜けて、うまく立てないミヤビ… 体力の消耗は深刻なようだ… 「…コハ先輩!…あの怪人・アゴゲルゲはワタシがやっつけますから、先輩は、あの『なんちゃって魔法使い』を倒して下さい!」 「…うん!わかった!任しといて!」 「…ミヤのことを『なんちゃって魔法使い』だなんてバカにする奴は、りーちゃんがぶっ飛ばすもん!」 「…りしゃこ…あんただよ、あんた…」 4人の思惑が一致?して、りしゃこVSキラリちゃん、ミヤビVSミッツーの組み合わせとなった… 「…さぁ、かかってきなさい!“妖怪・アゴゲルゲ”!」 「…誰が“妖怪・アゴゲルゲ”じゃ!…お前だって、“アゴゲルゲ”だろうが!?」 「…うっ…!…ひ、ひどい!…ワタシ、本当は気にしてるのに…」 「…今宵の『キラーソー』は血に飢えておる…刀の錆にしてくれるわ!!」 「…この、人の心を傷つける悪鬼羅刹め!…調伏してやる!」