マイミンとエリカンの仲間割れに目をつけたミキ帝達が、早速『スカウト大作戦』に乗り出した… 

まずは、二人の不仲を決定的にさせる一芝居を打ち、仲違いさせることが肝心だ… 
そのため、ミキ帝、アヤヤ、コンの三人は水晶玉で二人の行動を監視しながら追跡する… 

そして、ようやく二人のうち、エリカンの姿を見つけた… 
後を追っているマイミンはまだ追い付いていない… 

またとないチャンスがミキ帝達に訪れた…! 


エリカンの様子を三人が監視していると、失意のエリカンは道端のベンチにへたり込んだ… 
心身ともに弱りきっている今がチャンス…!後はマイミンの女癖の悪さをアピールすればだめ押しになりそうだ… 

そこで、参謀・コンが作戦を実行する準備にかかる… 
精神を統一させ、呪文を詠唱するコン… 
そして、詠唱を終え、魔法を実行すると、コンの顔が全く別人の顔に変化した…!…そう、“変装”したのだ…! 

「…どーですか?お二人さん?…ワタシの変装…完璧でしょ?」 
コンが胸を張って言うだけのことはある、見事な変装ぶり…思わずミキ帝達も感嘆の声をあげる… 

「…すごいね、コンちゃん!」 
「…そっちの方が美人かもよ!?」 

「…何ですって!?」



マイミンより早く、エリカンを発見したミキ帝達… 
二人を仲違いさせる絶好のチャンス到来だ…! 

そこで、不仲にだめ押しする一芝居を打つべく、策士・コンが変装をした… 
その“変装”ぶりには、ミキ帝、アヤヤも感嘆するほど… 

その準備を終えた少し後くらいに、ちょうどマイミンが接近してきた…! 
シナリオを書いたコンがミキ帝達に、 
「…いいですか?二人はしばらくの間、エリカンをこっちに来させないようにして下さい…後はワタシが全部やります…!」 
と、進言した… 
「…了解…」 
「…じゃあ、こっちは見張っとくよ」 

そして、三人はそれぞれの持ち場へと別れた… 


一方、何も知らないマイミンが、ようやくエリカンの近くまでやってきた… 

「…バカ野郎!…一人で突っ走りやがって!…おい、エリカン!…どこだー!…出て来ーい!」 
マイミンの叫び声が静かな街外れに響き渡る… 

「…マイミン?…呼んでる?」 
マイミンの叫び声を感じ取ったエリカンが声のする方を振り向いた… 

更に一方、マイミンをマークしていたコンが、作戦を実行すべく、マイミンに接近した…!



マイミンの叫び声に反応するエリカン… 
役者と舞台は揃った…後は芝居が上手くいくかどうか… 
愛憎渦巻く『コンちゃん劇場』の幕が開いた…! 


「…エリカン!…おい、エリカン…!…くそっ!」 
呼べど出てこないエリカンに苛立ちを覚えるマイミンの前に、一人ね清純そうな少女が… 
…もちろん、少女の正体はコンなのだが、自分の関心事以外は興味を示さないマイミンには知る由もない… 
その少女が突然、マイミンの前に立ちはだかり、 
「…マイミンさん…ひどい…!…ワタシとは遊びだったんですか?」 
と切り出した…もちろん、コンのでたらめなでっち上げである… 

「…ハァ!?…誰だお前!?」 
苛ついた口調で少女(コン)に食ってかかるマイミン… 
しかし、少女も、 
「…ワタシのコト…忘れたなんて…ひどい…ひどすぎますぅ〜…」 
と言って、ハラハラと涙をこぼす…もちろん、ウソ泣きだが… 

ところがマイミン、身に覚えがあるのか、つい、黙って考え込む…それでもやっぱり思い出せない… 
会ってもいないのだから当然、なのだが… 

そこへ、マイミンにとっては運悪く、コンにとっては運良くエリカンがやってきた…!



マイミンと少女が口論している最中に、エリカンが姿を現わした… 

パッと一見しても、マイミンに疑惑がかかるシチュエーション…そこへ、だめ押しとはかりに、 
「…ワタシのコト…捨てるんですか?…ひどいです…マイミンさん…イヤです!…離れたくありません!」 
と言って、少女は未練がましくマイミンに抱きつく… 
この一言、人動作が決定打となった…! 
今までにない怖い目付きでマイミンをキッ!と睨みつけると、思い切り怒りと怨念の籠もった平手打ちをかました! 

バチーン!! 

乾いた音が、静かな街外れに響く… 
そして、大声をあげて嗚咽し、元来た道を戻っていくエリカン…! 

「…待て!…待てよエリカンッ!」 
事の重大さに気付いて、エリカンの後を追おうとするマイミン… 
しかし、少女(コン)がマイミンにしがみついて離れない…! 

「…ちょっと!?…何しやがる!?…離せ!…離せよ!」 
と、少女を振りほどこうとするが、意外なほど、少女の力は強かった…! 

そこでマイミンの頭に疑念が生まれる…これは『罠』か?と…



マイミンとエリカン…二人の仲違いが決定的、となった… 
事の重大さに気付いて、エリカンの後を追おうとするマイミン… 
しかし、少女がマイミンにしがみついて離れない…! 
そこでマイミンの頭に疑念が生まれる…これは『罠』か?と… 

「…おい!離せ!…いい加減にしないと、ぶっ飛ばすぞ!」 
といきり立つマイミン… 
しかし、少女は離さないどころか、マイミンの顔を見て、ニヤリと笑った… 

そのにやけ顔にムカッ腹が立ったマイミンは 
「…!…てめえ!何がおかしい!」 
と言って、殴りかかろうとする…! 

すると、少女に変装したコンが突然、 
「…ウフフ…ウフフフフ…アハハハハ…!」 
と、笑い出した…! 

「…てめえ!」 
と言うなり、マイミンが拳を振り上げた…! 
…と、同時に少女の顔がドロドロ…と、溶け崩れ始めた…! 
「…う、うわっ!?」 
多少の事では動じないマイミンが怯んでしまった… 
その様子を見て、コンは満足感を感じ、マイミンに 
「…あなた…ワタシ達の『仲間』になってもらうわよ…!」 
と告げた…! 

「…!…ふざけるな!…誰が貴様らと…」 
と、マイミンが言いかけた時に、 
「…おっと!…もう、お前はアタシ達の『仲間』になるしか選択肢はないのよ…!」 
と、背後から冷酷な響きの声がした…



正体を現わしたコンから、『仲間入り』を強要されるマイミン… 
当然、マイミンはその申し出を突っぱねた…が、 
「…おっと!…もう、お前はアタシ達の『仲間』になるしか選択肢はないのよ…!」 
と、背後から冷酷な響きの声がした… 

「…!」 

マイミンが素早く後ろを振り返ると、そこにはミキ帝が立っていた…! 

「…お、お前は…!」 
「…流石にワタシのことは知ってるみたいだね…『東西南北究闘不敗』のマイミン…」 
仰々しくマイミンを持ち上げるミキ帝… 
続けて、 
「…お前は強い…!…多分、ワタシ達といい勝負をするだろう…!そんなお前が欲しいんだ…!」 
意外にも、ストレートに“求愛”するミキ帝… 

しかし、マイミンの答えは変わらない… 
「…お前達だろ!?巷で噂の…」 
「…セクシーボーイ?」 
「…そうそう!…♪そ〜よ風に寄り添っ〜て〜!…って違〜う!」 

ゴツッ!! 

鈍い音がした… 

「…ムカつく…!…お前達だろ!?…ハロモニア王国の破壊を企ててる集団は!?」 
核心を突く質問をするマイミン… 

ミキ帝は嬉しそうに答えた… 
「…よくわかってるじゃないか?…お前も仲間に入らないか?」



「…お前も仲間に入らないか?」 
マイミンに改めて『仲間入り』を促すミキ帝… 

だが、マイミンの回答は変わらない… 
「…お前らの仲間に入るくらいなら、『美勇団』に入った方がマシだ!」 

あまりにも痛烈なカウンターに、言葉に詰まったミキ帝… 

しかし、すぐさま反撃に出る… 
「…よ〜し!…じゃあ、お前をホントに『美勇団』に入れてやる!」 

「…うぐっ!?」 
今度はマイミンが言葉に詰まった…まさか挙げ足を取られるとは思ってもいなかっただろう… 

このまま、ガキの口喧嘩レベルの応酬があるかと思われたが、そうはならなかった… 

「…ミキタン!?…何遊んでんのよ!?」 
背後からの声に反応し、ミキ帝とマイミン、二人が同時に振り向く… 

その先には、当然のようにアヤヤがいた… 
「…ミキタンも遊んでないで、さっさと用事を済まそうよ!?」 
と、かなりご立腹の様子だ… 

「…おい!…言っとくけど…今のオレは、か〜な〜り!機嫌が悪い!…覚悟しろよ…!」 
と警告をするマイミン… 

だが、アヤヤがその言葉をそっくり返した… 
「…機嫌が悪いのは、アタシも同じなのよ!…マイミン…あんたもゴチャゴチャ言ってると…どうなっても知らないわよ…!」
「…マイミン…あんたゴチャゴチャ言ってると…どうなっても知らないわよ…!」 

マイミンの態度に痺れを切らしたアヤヤが、再度、『仲間入り』を強要する… 

「…わかってるだろ!?…答えは『No』だ!」 
とうとうマイミンが怒りを爆発させ、アヤヤに殴りかかった…! 

「…でやぁぁぁーっ!」 
鍛練されたマイミンの正拳突きがアヤヤの急所・正中を襲う…! 

バシッ!! 

…しかし、その拳がアヤヤにヒットすることはなかった… 
いとも簡単に正拳突きはアヤヤに止められたのだ… 
そして、アヤヤは掴んだ腕を捻り上げ、マイミンを地に伏させた…! 

「…くっ!」 
体術に絶対的な自信を持っていたマイミンを、赤子の手を捻るかのようにあしらったアヤヤは、そのままの体勢で、ミキ帝、コンに指示する… 

「…ちょっとミキタン、コンちゃん!…『アレ』、持ってきて!」 
「…ハイ!」 
「…了解!」 

二人が魔法陣を描き、呪文を詠唱すると、そこには…



体術に絶対的な自信を持っていたマイミンを、赤子の手を捻るかのようにあしらったアヤヤ… 

そして、ミキ帝、コンが描いた魔法陣から出てきた『モノ』に、マイミンは怒りを露にした…! 

「…『コレ』に見覚えは…あるよね?」 
アヤヤが傷口を抉るようにマイミンに尋ねる… 

すると、アヤヤによって、地面に這いつくばらされていたマイミンが、咆哮とともに立ち上がり始める! 
「…うおぉぉぉーっ!」 

「…え?…あっ!ちょっと!?…マジで!?」 
腕関節を極めて、上から押さえつけてたアヤヤが驚く…! 
関節を極められた状態から無理をすれば、激痛と同時に脱臼や骨折をするのだ… 
そのリスクを犯してまでもマイミンには、立ち上がらなければならない理由があった…! 

「…はあぁぁぁーっ!」 

ゴキィィィ!! 

…マイミンは立ち上がった!…大きな『代償』と引き換えに… 
そして、関節を極めていたアヤヤを振りほどくと、魔法陣から出てきた『モノ』の傍へ駆け寄った…! 

そして、外れた腕関節も構わず、絶叫した…! 
「…エリカーーーン!!」 
…そう、そこにあったのは、『氷の棺』に閉じ込められた、エリカンだった…



ミキ帝とコンの魔法陣から出てきた『モノ』の傍へ駆け寄ったマイミン…! 
…そう、そこにあったのは、『氷の棺』に閉じ込められた、エリカンだった… 

「…エリカーーーン!!」 
外れた腕関節もそのままに、『氷の棺』に閉じ込められたエリカンに手をあてるマイミン… 

「…うっ!…くっ!…うわぁぁぁーっ!!」 
その場に崩れ落ち、誰の目を憚ることなく慟哭するマイミン… 

先程まで、マイミンを挑発していたアヤヤですら、その場に立ち尽くしていた… 
しばらくして、ようやく嗚咽が収まると、マイミンは俯いたまま、ゆらり…と立ち上がった…! 
そして、マイミンが俯いた顔を上げた時、ミキ帝達は一瞬、言葉を失った…! 

マイミンの目が、紅くなっていた…! 

「…まさか!?…『狂戦士化』!?…ヤバい!アヤちゃん!…早くコイツを止めないと…!」 
異常に気付いたミキ帝が叫んだ…! 

しかし、時、既に遅し… 

一度、『理性』という『鎖』から解き放たれた『猛獣』は野性の本能に従い、ミキ帝達に牙を剥いた…!



「…まさか!?…『狂戦士化』!?」 
マイミンの異常に気付いたミキ帝が叫んだ…! 

しかし、一度、『理性』という『鎖』から解き放たれた『猛獣』は野性の本能に従い、ミキ帝達に牙を剥いた…! 

「…うおぉぉぉーっ!」 
鬼気迫る形相で、ミキ帝達に立ち向かってくるマイミン…! 

「…迎撃準備!…コンちゃん…ウチらが足止めするから、隙を見て、『いつもの』頼むよ!」 
「…ハ、ハイッ!」 
ミキ帝の本気モードを感じ取り、コンも内心焦ってしまう… 

(…落ち着け…!…落ち着け…!) 
何度も自分に暗示をかけるコン… 

「…うおぉぉぉーっ!」 
怒りに任せて、突き、蹴りを繰り出すマイミン… 
先程は易々とマイミンを捻り上げたアヤヤも、『狂戦士化』したマイミンの猛攻に防戦一方となる… 

「…危ない、アヤちゃん…!」 
トンファー・ブレードを手にしたミキ帝が割って入り、1対2になったものの、マイミンの不規則な攻撃にてこずるばかり… 

そんな中、アヤヤが追い詰められてしまった…! 
そこに猛然と襲いかかるマイミン…! 
やがて、逃げ場を失い、アヤヤは壁を背にすることになる… 

と、その時、『理性』を失ったハズのマイミンの手が止まった…!



猛然と襲いかかるマイミンにアヤヤが追い詰められてしまった…! 
やがて、逃げ場を失い、アヤヤは壁を背にすることになる… 
だが、その時、『理性』を失ったハズのマイミンの手が止まった…! 

背後の壁に手をやるアヤヤ… 

「…!」 

それは壁ではなかった… 
手がひりつくような感覚…そう…エリカンを閉じ込めた『氷の棺』であった…! 
『理性』を失ったハズのマイミンの心の奥底に残ったエリカンへの『想い』が、拳を止めたのだ… 

そこに生まれた隙を、コンは見逃さなかった…! 
「…これで…止まって!」 
「…!?」 

コンの放った『黒い霧』が、マイミンを一瞬にして包み込む…! 
…そして、『黒い霧』が晴れると、『狂戦士化』していたマイミンは、糸の切れた操り人形のように力なく倒れた… 


「…ふぅ…!…危機一髪…」 
なんとか自分の役割を果たして、ホッとするコン… 
同様にアヤヤも胸を撫で下ろす… 
動かなくなったマイミンを、ミキ帝が慎重に縛り上げた… 

「…何か…後味が悪いね…」 
と、つい洩らしてしまうミキ帝… 
「…仕方ないよ…アタシ達の『復讐』のためには…ね…」 
と、アヤヤが慰めた…



コンの放った『黒い霧』が『狂戦士化』していたマイミンを無力化した… 
マイミンを縛り上げながら、ミキ帝が自らに言い聞かせるように呟く… 
「…アタシ達の…『復讐』のために…」 


「…マイミーン!…エリカーン!…」 
二人を捜すりしゃこ達とヨッシーノ達が『犯行現場』に到着したのは、ミキ帝達が立ち去ってから10分後…だった… 

そんなことを知ってる訳がなく、懸命に二人を捜すりしゃこ達、ヨッシーノ達… 
「…見つかんないね…」 
と、モモが呟いた… 
「…そうだね…」 
サキも力なく答える… 

だが、それ以上に心配していたのは、ヨッシーノとリカサーク… 
「…まさか、あの二人がミキ帝達について行ったとかは…?」 
「…しっ!…そんなことを言うモンじゃないYo!」 
“裏切り”を危惧して口にしたリカサークをヨッシーノがたしなめた… 
リカサークの言うことはもっともだが、『チーム』を率いているヨッシーノにはサキやモモの気持ちを考えたら、そんなことは言えなかった… 

そして再度、自らを鼓舞するように、 
「…よーし!…みんなもうちょっと頑張るぞー!」 
と叫んだ…



ミキ帝達に連行されたとは知らず、マイミン達を捜すりしゃこ達… 
なかなか見つからず、意気消沈しそうなみんなを鼓舞するように 
「…よーし!…みんなもうちょっと頑張るぞー!」 
とヨッシーノは叫んだ… 


そして一時間後…とっぷりと日も暮れた…結局、りしゃこ達はマイミン達を見つけることは出来なかった… 
落胆するりしゃこ達に、 
「…ひょっとしたらあの二人…ひょっこり戻ってるかもYo?…だから、今日はもう遅いし、帰りなYo!」 
と、ヨッシーノは努めて明るく振る舞った… 

ヨッシーノがみんなを心配させまい、と、明るく振る舞っていたのがわかったから、りしゃこ達は主のいないヤグーの館へ戻ることにした… 


そして、館へ到着すると、ヤグー捜索に奔走していたメーグルが戻っていた… 
あまり、浮かない顔つきをしている…きっと、ヤグーの手掛かりがなかったのだろう… 

そんな中で、マイミン達の『仲違い』と『行方不明』をメーグルに告げるのは酷過ぎる…と、サキとモモは報告を躊躇っていた… 

だが、メーグルもサキやモモの様子を察して、 
「…何か…あったの?」 
と、尋ねてきた… 
サキとモモは、互いの顔を見合わせ、覚悟を決めてメーグルに事の一部始終を伝えた…



マイミン達の『仲違い』と『行方不明』をメーグルに告げるのを躊躇っていたサキとモモ… 
だが、メーグルが尋ねてきたので、覚悟を決めてメーグルに事の一部始終を伝えた… 

「…そうだったの!?」 
サキとモモの予想通り、メーグルはショックを受けた様子だ…その姿を見るのが辛かった… 

「…ゴメンね…アタシ達がついていながら…」 
サキとモモはメーグルに詫びた… 
実際、チーム名決定で浮かれていたのは事実だからだ…監督不行き届きと言われても仕方がない… 

だが、メーグルは二人を責めることはしなかった… 
ただ、黙って二人を抱きしめ、 
「…いいの…二人は一生懸命頑張ってくれたんだから…」 
と言った… 
その一言に、サキとモモは救われたような気がした… 

…と、突然、みんなの集まっている客間に、大挙して押し寄せる集団が… 

「「…デビュー戦、おめでとー!」」 
集団は、いつもの顔触れ…アイリーナとアイリーネ、オ・カール姉妹にナッキーにカンニャ… 
保護者として双子のパパのトールとカンニャパパのアリ氏もいる… 
それも料理をいっぱい持って… 

重かった雰囲気が、一気に幸せな空間に変わった…



りしゃこ達のデビュー戦のお祝いに、いつもの顔触れが押し掛けた…! 
それも料理をいっぱい持って… 
重かった雰囲気が、一気に幸せな空間に変わった… 


「…じゃあ、みんなのデビュー戦に乾杯!」 
カンニャパパのアリ氏の音頭で乾杯する… 

そして、みんなで今日の試合を振り返る… 
「…いやぁ〜!今日はホントにめでたいよ!」 
と、口火を切ったのは双子のパパ・トール… 
「…なんと言っても、みんな個性溢れる戦いぶりで、見ていて気持ち良かったよ!」 
と、手放しで絶賛した… 
だが、 
「…それに引き換え、ウチの娘どもは…!」 
と、次は双子のことでボヤき始める…まだ、おカッパ様の“憑依”にご立腹らしい… 
アリ氏も、 
「…いずれは、ウチの娘を出してみたいものですな…!」 
と、珍しく親バカぶりを発揮する… 

子供達は子供達で、色々と試合の話で盛り上がっていた… 


そんな中、サキ、モモの元にトールがやってきた… 

周りに気を付けながら、 
「…色々あったらしいね…彼女から聞いたよ…」 
と、二人にこっそり耳打ちをする…



今日の試合を振り返り、親バカぶりを発揮する保護者に、裏話で盛り上がる子供達… 
そんな中、サキ、モモの元にトールがやってきて、二人の労を労う… 

「…あの…トールさん…『彼女』って…?」 
サキ、モモ共に尋ねてみた… 
「…ああ、ヨッシーノくんだよ…」 
と、トールが答えた… 
「…なんでも、急に友達がいなくなって落ち込んでる…って聞いて、何か自分達もしてあげられないかって思ったんだ…」 

まさかのヨッシーノの気遣いに、二人は心から感謝するのだった… 


そして子供達はと言うと… 
「…りーちゃん、“変身”スゴかったよー!」 
「…エヘヘ…」 
「…双子の“変身”もスゴかったよな!…あ、あれは“変態”だったっけ?」 
「「…ぶっ殺す!」」 
「…ねえねえ!ウチらもけっこうスゴかったジャーン?」 
「…えぇ…!とってもカッコよかったわユリー!」 
「…ま、まあね…」 
「…あーっ!ナッキー!まるでアタシが活躍してなかったみたいな言い方ジャン!?」 
「…えー?そんなことないよー?」 
「…ナッキー!棒読み棒!読み!」 

試合の話で盛り上がってる中、突然、 
「…じゃーん!ここで、ニュースがありまーす!」 
と、言う声が…



大人も子供も試合の話で盛り上がってる中、突然、 
「…じゃーん!ここで、ニュースがありまーす!」 
と、言う声が… 

りしゃこ達が振り返ると、行方をくらませていたマイの姿が… 

そういえば、ここ最近、姿を見せていなかったことでりしゃこ達はすっかり忘れていたフシがある… 
それがここにきて、ニュースとは…? 

「…えへへ!…実は…むっ!?…むぐっ!?」 
しかし、その口はすぐに封じられてしまう…! 
メーグルをはじめ、ナッキーやチッサーに取り押さえられたのだ…! 

(…馬鹿っ!ナイショにするって話じゃない!?) 
(…だって、いいジャン!?…別に話したって…) 
(…ダメよ!…余計な心配をかけたくないの!…わかった!?) 
(…ちぇーっ!…つまんないのー…) 

…なにやら、みんなでマイを取り押さえながら、話し合いをしてる様子だ… 
そして話し合いが一段落したと思うと、みんなが一斉にパッと散らばる… 

その光景の一部始終をぼーっと見ていたりしゃこ達… 
じれたモモが、りしゃこ達の気持ちを代弁して尋ねる… 
「…で、結局、何のニュースなの!?」 

マイはメーグル達の視線を気にしながら、 
「…ううん!…何にもない何にもない…!」 
とだけ、言った… 

りしゃこ達は、マイの怪しい態度に首を傾げるばかりだった…