温泉と吹雪が混ざり合って発生した湯煙の中から、様変わりした双子の姿が現れた… 
「…もう、これで終わりにするよ…!」 
「…全力で…いくよ!」 


身を守るためのフードを脱ぎ捨てて、背水の陣で挑む…二人は覚悟を決めたようだ…この試合で全てを出し尽くす…と 

ミヤビとりしゃこも様変わりした双子に警戒心を強める… 
「…速攻でいくよ、りしゃこ!」 
「…うん!わかったもん!」 
そう言って、二人同時に双子に突っ込む…!…迷いは敵だ…と言わんばかりに… 
「…いやぁぁぁーっ!」 
「…はぁぁぁーっ!」 
ミヤビとりしゃこ、二人が前後に並んで強硬突破の体勢を取った!



ミヤビが道を切り開き、りしゃこが斬り込む…!優勢な今だからこそ、勢いで試合を制する作戦に打って出た…! 

が、一方の双子はアイリーネ一人が二人を迎え撃つ構えだ…!…そのアイリーネの後ろには、術の準備をしているアイリーナの姿が… 
「…りしゃこ!一気にボケちゃんを潰すよ!」 
「…うん!」 
ミヤビとりしゃこが息を合わせ、一直線になってアイリーネに突進する! 
「「…食らえ!合体魔法・『フェニ』っ!?」 

バシャッ!! 

派手な音を立てて、二人は何かに足をとられて転倒した…! 

「…引っ掛かったね!…『ウォーターハザード』に!…ペナルティとして、一休みしてもらうよ!」 
そう言い放つと、アイリーネが地面に手をつく! 
「…吹き飛べ!『お仕置きゲイザー』!」



勢いのある内にケリをつけるべく、ミヤビとりしゃこがアイリーネに突進する! 
…が、突然発生した水溜まりに足をとられて転倒してしまう… 
「…一休みしてもらうよ!『お仕置きゲイザー』!」 

「…ちょ!…やーっ!」 
「…ま、ま!…きゃあっ!」 
抵抗も虚しく、ミヤビ達は水溜まりから吹き出した間欠泉によって、再度後方へと吹き飛ばされた… 

「…イタタ…?…ミヤ?…ね、ねぇ…ミヤ?」 
りしゃこのすぐ傍でミヤビがぐったりとして動かなくなっていた… 
「…ねぇ!ミヤ!…起きて!…ねぇ…?」 
すぐ傍に行ってミヤビを揺さ振って起こそうとする…が、気を失っているのか、起きる気配がない…! 
そこへ、双子の声がする… 
「「…りしゃこ…これで終わりにするよ…」」 
ミヤビに気をとられている隙に双子の準備が済んでしまった…!



「…どうやら、ミヤビちゃんはダウンしたみたいだね…」 
「…最後は、アタシ達の“新技”で終わりにするよ!」 
「「見ててね、パパ!…新技・『インパクト・ヒット・トール』!」」 
アイリーナが杖を手にすると、アイリーネが巨大な水球体を圧縮させて小さな球を作り上げた 
そう、双子は父親・トールの得意技をモノにしたのだ! 
「…いっけぇ〜!」 

パシュッ!! 

インパクト音を残して、球が一直線にりしゃこに向かっていく 

「ママ…力を貸して!」 
りしゃこが地面に手をつくと、『黄色の石』が光り、『土の壁』が出現した! 

ボスッ!! 

『土の壁』に球がめり込み、なんとか防御が間に合った… 
が、球のスピンが止まらない!



双子が放った父親譲りの“新技”・『インパクト・ヒット・トール』… 

インパクト音を残して、球は目にも止まらぬ速さで一直線にりしゃこに向かっていく! 
それをりしゃこが『土の壁』を作り上げて防御した…!のだが…球のスピンが止まらない! 


「えっ!…やだ!?…やだ!?」 
まさかの事態に慌てふためくりしゃこ… 
「「突き抜けろぉ〜!」」 
球がりしゃこに直撃するように、と祈るように叫ぶ双子… 

守る側も攻める側も必死の想いで祈る…が、勝利の女神は残酷にも、どちらか一方にしか微笑まない… 
そして、その決着がついた… 

ボコォォォ!! 

「!」 
双子の球が、りしゃこの作り上げた『土の壁』をぶち破ったのだ! 
…その勢いを保ったまま、りしゃこの腹部に球が突き刺さる!



ドサッ!! 

声をあげる間もなく、りしゃこは悶絶しながら、ゆっくりとその場に崩れ落ちた… 

「…はぁ…はぁ…!」 
「…やったかな…?」 
「…た、多分…あの球は、内部で液体が激しく振動してるから、当たったらしばらくは動けない…と思うよ…」 
「…内部で振動が全身に伝わっていって…ダメージが蓄積されて立てなくなる…ってこと?」 
「…うん!」 
「…二人とも動けないから…アタシ達の…勝ちだよね?」 
「…そう…だよね?」 

互いの顔を見合わせた二人…未だに信じられない、という面持ちである… 
そして、審判・ヤススもりしゃこがピクリとも動かないのを確かめた… 

そして…



双子とりしゃこの攻守は…双子の球が、りしゃこの腹部に球が突き刺さり、りしゃこがその場に崩れ落ちたことで幕を閉じた… 

審判・ヤススもりしゃこがピクリとも動かないのを確かめた…そしていよいよ勝利宣告の時が来た… 

「…それま…」「…ちょっと待った!」 

ヤススが勝利宣告をする前に、横から『待った』が入った! 
まさかの声に、双子もヤススも声がする方へ、一斉に振り向く… 

すると、もう立っているのがやっとの様子のミヤビがいた… 
「…まだ…まだ終わってないよ…!」 
だが、双子やヤススにしてみれば、ミヤビがとても戦える状態だとは見えない 
「ちょっと、あなた…これ以上やると身体が…」「…わかってます!」 
再び、ヤススが言い終える前にミヤビが試合続行のアピールをした



ミヤビに歩み寄り、状態を確かめるヤスス… 
確かに怪我は負っている…が、目が完全に死んでいない…! 
「…どうなっても…やるつもり…ね?」 
「…ハイ!」 
ミヤビの強い意志を宿した瞳が、ヤススの顔をしっかりととらえる… 

しばらくして…ヤススは天を仰いで、大きくため息をついた… 
そして… 
「…いいこと?もし、次にダウンなんてしようなら、今度こそ…ドクターストップをかけるからね!」 
と、呆れたように言い捨て、双子の方まで歩いていった… 
「…ありがとうございます!」 
ヤススの粋な計らいに、ミヤビは深々と頭を下げた… 
ヤススから事情を聞いた双子も、再度、戦闘体勢に入った… 
「「…ミヤビちゃん…死んでも…知らないよ?」」 
「…覚悟はできてる…アタシも全てを…あなた達にぶつける…」



ミヤビが立ち上がったことで、試合続行の判断が下された 
「「…ミヤビちゃん…死んでも…知らないよ?」」 
「…覚悟はできてる…アタシも全てを…あなた達にぶつける…」 


試合続行を申し出てはみたものの、ミヤビの身体は既に限界に近づいていた 
殆んど、精神力のみで立っているようなものだ 
立っているだけでも、だんだん意識が遠退きそうになる… 

と、そこへ、不意に何処からか声が聞こえてきた… 
(…ミヤビ…) 
その声の語りかけに、ミヤビは遠退きそうになっていた意識を取り戻した 
(…誰?) 
ミヤビも声の主に語りかけてみた… 

(…私の名は…ヒイロ…ヒイロ=スカーレット…) 
(…誰!?…わかんない!) 
『ヒイロ』と名乗る人物であることはわかったが、全く知らない人だということにがっかりするミヤビ…



…しかし、 
(…お前の名前は…ミヤビ=スカーレット…) 
声の主・『ヒイロ』からの言葉に、ミヤビは心臓が止まるような思いだった…! 
(!…ちょ、ちょっと!…やだ…) 
(…やっと巡り会えたね…私の…可愛い娘…) 
『ヒイロ』の優しい語りかけに、何故か涙がとめどなく溢れては、頬を伝っていく… 

(…パパ!?…ホントに…パパなの!?) 
ミヤビが本当にパパかどうか尋ねてみた… 
(…ああ…お前の太股の付け根には、ホクロが二つ…あるだろ?) 
(…!) 
ミヤビは驚いた…確かにミヤビの太股の付け根にはホクロが二つある… 
この事を知っているのはミヤビ自身だけだ…! 

(…パパ…!…本当にパパなのね!) 
(…ああ…お前の父さんだよ!)



意識が朦朧とする中、ミヤビに語りかける声が… 
その声の主は『ヒイロ』と名乗った 
そして、その人物が明かしたのが…ミヤビの父親だという事実… 


ミヤビは声の主『ヒイロ』が何処にいるのか、辺りを見回す… 
すると、意外なところから声がする 
(…ここだよ…ミヤビ…) 
「えーっ!?」 
ミヤビが驚くのも無理はない。声のする場所は、ミヤビの手にしている『真紅の杖』から 
…正確には、そこにはめ込まれた『護神石』からだったのだ 

(…驚いたかい?…実は、父さんと母さんは、この世界とは別の世界にいるんだ…) 
「…うん…知っているよ!…この世界の安定のために、別の世界へ行った…って…」 
(…そうか…知ってたんだね。そのせいで、お前には、ずいぶん寂しい思いをさせてしまったね…)



「…ううん。いいの…だって、パパとママはこの世界のために頑張っているんだもん!」 
(…少しオトナになったね…ミヤビ。…そうだ!…今からお前にプレゼントを渡そう!) 
「…プレ…ゼント!?」 
(…この『力』を、お前の大切なお友達のために…使ってあげるんだよ…) 

そこで会話が途切れた… 

すると、次の瞬間、ミヤビの全身が真っ赤な炎に包まれた! 
「…きゃあぁぁーっ!」 

慌てふためくミヤビ…しかし、数秒後、落ち着きを取り戻すと、その炎が熱くないことに気づいた 
と、同時に、身体に変化が起きていることに気付く…






※ここからは、アイリーナ&アイリーネの双子ヴィジョンでお送りします 


「…覚悟はできてる…アタシも全てを…あなた達にぶつける…」 
と、大見得を切ったミヤビに対して、早速攻め込もうとする双子 
「…ミヤビちゃん!…覚悟!」 
手にした『蒼の杖』から水の刃・『クネクネ』を出して、再度、ミヤビに斬り掛からんとするアイリーナ 
が、 
「…ま、待って!」 
それを急にアイリーネが制する 
「…ちょっと!邪魔しないでよ!」 
せっかくのチャンスを止められ、ムッとするアイリーナ 
「…ね、ねぇ…あれ見て…」 
アイリーネが指差す方へアイリーナが目をやると、そこには奇妙な行動をとるミヤビの姿が…



「…あれ…ヤバくない?」 
アイリーネがそう呟いた 
アイリーネとアイリーナが見たものは…ミヤビが杖に向かって独り言を言っているのだ… 

「…頭が…おかしくなったのかな?」 
と、アイリーネはアイリーナに問いかける 
それに対してアイリーナは 
「…わからない…でも、隙だらけだから、アタシはやるよ!」 
とだけ答えて、再びミヤビへと向かっていこうとする… 

が、またしても、次の怪奇現象がアイリーナの足を止めた… 
突然、ミヤビの全身が真っ赤な炎に包まれたのだ! 

「…何!?何!?焼身自殺!?…いやぁぁーっ!」 
「…えっ!?…やだ!?マジ!?…ぎゃあぁぁーっ!」 
あまりにも衝撃的な光景に、双子は身動きどころか、一言も言葉を発することが出来なかった…






(…この『力』を、お前の大切なお友達のために…使ってあげるんだよ…) 
ミヤビと父親・『ヒイロ』の会話が途切れた… 
すると、次の瞬間、ミヤビの全身が真っ赤な炎に包まれた! 
…と同時に、ミヤビは自分の身体に変化が起きていることに気付く… 


やがて炎が消えた時、身体を真紅のローブが包み込んでいたことに気付いた… 
「…こ、これは?」 

今まで突然の出来事の連続に、呆気にとられて沈黙していた場内の観衆が騒つき始める… 
「…お、おい…見ろよ…あれ…」 
「…あ、ああ…あれは…」 
「…『緋(あか)の魔術師』…!」 

観衆の中から『緋の魔術師』の言葉が洩れ始める… 
それがやがて、少しずつ歓声へと変わっていった…



「…おい…じゃあ…あの娘は?」 
「…『緋の魔術師』の娘…ってことか!?」 
「…ホ、ホントかよ!?…10年前の因縁の対決、再び…かよ…!」 
「…マジかよ!? 
「…お!…それってスゲーじゃん!」 

場内がいきなり活気づき始めて…それがやがて大きなうねりとなって、熱狂の渦となった…! 
「…すごい…!」 
「…ホント…すごいね…」 
「…10年前のパパ達…こんなすごい場所で戦っていたんだ…」 
試合中にも関わらず、感慨に耽ってしまった三人… 
しかし、しばらくして三人は自分達のすべき使命を思い出して、最後の攻防の準備に入った…



因縁の試合が、10年の時を越えて実現した… 
観衆の中から、歓声が沸き起こり、渦となった… 


(…いいとこ、あと大技一発…ってトコかな…?) 
自身の体力の消耗具合から冷静に戦況を分析するミヤビ 
(…いい?こっちは数で有利だから、落ち着いていこ?) 
(…そんな悠長なこといってないでバーッと…!?) 
双子が作戦会議を開いている最中にミヤビが攻め込んだ! 

(…二人同時に始末しないと…だったら…今しかない!) 
それに対して 
「…力を分散させるより、集中させよう!」 
「…わかった!」 
数で有利な双子はその場で迎え撃つ体勢をとる 

(…これが…最後の攻撃か…パパ…お願い!…アタシを見守ってて!) 
形見の杖を両手でギュッと握りしめて、双子に急接近していく… 

(…ミヤビ…お前には守ってくれる友達が、傍にいるじゃないか…?) 
父親・『ヒイロ』の声に、ミヤビはハッと気付いた…



ミヤビの両手首には、サキとモモから預かった『護神石』が結びつけていたからだ… 
(…そうか…!ありがと、パパ!) 
父親の声に、何かを閃いた様子のミヤビ 

(…サキ、モモ…力を貸して!) 
双子との距離が詰まった時、ミヤビが両手首の『石』に意識を集中させた…! 

一方の双子は、りしゃこを沈めたトールの技・『インパクト・ヒット・トール』の体勢に移った! 
もちろん、アイリーネがりしゃこの時と同様、ミヤビの足止めに入る…! 

「…これでおしまいだよ!『スプラッシュ・ゲイ…ザァ〜』!?」 
突如として、ミヤビの迎撃体勢に入ったアイリーネが、バランスを崩してしまった…!



双子を仕留めるために、急接近するミヤビ… 
…と、それを迎え撃つハズのアイリーネだったが、突如としてバランスを崩してしまった…! 


「…まだまだぁ〜!」 
双子の魔法を食らって動けなくなったハズのりしゃこが、『黄色の石』の力を使ってアイリーネの足場を崩したのだ…! 
そのせいで、アイリーネは見事に転倒してしまう… 

「…よくも!」 
りしゃこの存在に気付いたアイリーナがりしゃこを攻撃しようと突進する…が 
「えーい!」 
全速力で疾走するアイリーナの目の前に『土の壁』が出現した…! 

ベシッ!! 

「…痛っ〜!」 
いきなり現れた『土の壁』に顔面を痛打してうずくまるアイリーナ 

「…ミヤ…あとは頼んだよ…!」 
身体がまだ満足に動かせないりしゃこにとっては、これが精一杯の抵抗だった



(…でかした、りしゃこ…!…試合が終わったら、ミヤミヤしてあげるから!) 
双子が動けない中、ミヤビがますます距離を縮めていく…! 

「…くっ!負けないよ!…ボケちゃん!」 
「…うん!」 
双子も動けないながらも、その場からの抵抗を試みる 
そして、ミヤビが双子の眼前に迫ってきた…! 
その時だ! 
「「…いっけぇ〜!『ツイン・ジェットストリーム』!」 
双子が息ピッタリに水流をミヤビに向かって放射した! 
それが、まるでレーザー光線のように一直線に伸びていき、ミヤビの胸を貫く! 
「…ミ、ミヤァ〜ッ!」 
その瞬間を目撃したりしゃこの悲鳴が、闘技場内に虚しくこだました…



ミヤビが双子の眼前に迫ってきた、その時! 
双子が放射した水流が、ミヤビの胸を貫いた! 

「…ミ、ミヤァ〜ッ!」 
その瞬間を目撃したりしゃこの悲鳴が、闘技場内に虚しくこだました… 


「…勝手に人を殺さないでくれる?」 
胸を水流で貫かれたハズのミヤビが身体が霧のようにスーッと消えていった… 

「…えっ!?」 
「…ウソっ!?」 
仕留めた…と信じきっていた双子が唖然とする…と、同時に焦燥感が募り始めてきた… 
「…ど、何処!?」 
「…に、逃げた!?」 

「…ここよ…」 
ミヤビの声がした…それも、双子の背後で…! 
「…迂闊だったわね…あなた達が見たのは、コレが作り出した幻影…」 
そう言って腕をスッと突き出す… 
そこには、サキとモモから預かった『護神石』が…



「…『青の石』と『桃色の石』の力を組み合わせて、陽炎を作ったのよ…」 

「…くっ!」 
「…このぉ!」 
悔し紛れに至近距離にいたミヤビに杖で殴りかかった…が、それも空を切った… 
そして、体勢を崩したところをムンズと掴む… 
「…この距離なら外さないわ…これがアタシの切り札・『スカーレット』!」 
そう言い終えると、ミヤビの全身が真っ赤な炎に包まれた! 

「…ちょっと!?…やだ!止めて!」 
「…やだよ!…止めて止めて!」 
双子が懸命にもがくが、ミヤビの手は二人から離れない…! 
「…『バーニング』!!」 
ミヤビの全身を包んでいた炎が、一瞬にして双子に燃え広がった…! 
「…きゃあぁぁーっ!」 
「…あぁぁぁ…」 

そして、燃え広がった炎も一瞬にして消えて…ミヤビが双子から手を離すと、双子は糸の切れた操り人形のように、その場に倒れた…



「これがアタシの切り札・『スカーレット』!」 
ミヤビの炎が、一瞬にして双子に燃え広がり…双子は糸の切れた操り人形のように、その場に倒れた… 


そして…双子は倒れたまま、動かなくなった… 

その状況から、審判・ヤススが宣告を行った 
「…それまで!…勝者、ミヤビ、りしゃこ組!」 

その宣告が終わった瞬間、ミヤビはそこで緊張の糸が切れたのか、それとも力が抜けたのか、そのまま闘技場にへたり込んでしまった… 

傍から見ても壮絶な試合…と判断されたようで、すぐに大会スタッフが応急措置のため、ミヤビ達四人を担架に乗せて退場していく… 
その退場の際、混濁する意識の中でミヤビが聞いたのは、大観衆による万雷の拍手と、歓声だった… 
「…おい!お前ら、マジすげぇよ…!」 
「…お姉ちゃんたち、カッコいいー!」 
「…いい勝負だったぞー!」



その大観衆からの声援が、疲れはてたミヤビには、最高に心地よかった… 
(…ハハ…!…こんなにみんな…応援してくれてるんだ…!…なんだか…嬉しいな…) 
ミヤビはそっと目を閉じてみる…耳を澄ませば、仲間のサキ達の声も聞こえるような気がした… 

『…ミヤビ!?…ミヤビ!?』 
『…ミヤビ!…起きろ!…ミヤビ!』 
…しかし…なんだか、とても喧しい…! 

「…ミヤビ!起きなさい!…死んじゃダメよ!」 
…気のせいではなかった… 
ミヤビは医務室に直行していたのだ! 
「…大丈夫!?」 
容態を心配して、サキが傍に駆けつけていた… 
ミヤビはサキを心配させまいと、痛みをこらえて言った 
「…大丈…夫…?」 
そう言い終えると、ミヤビは気を失った…