試合終了後、ダメージの大きいミヤビは医務室に直行していた… ミヤビはサキを心配させまいと気丈に振る舞った後、気を失った… それからどれくらい時が経ったのだろう… 「…痛っ!」 ミヤビは身体中に走る痛みに耐え兼ねて、目が覚めた… ぼーっと天井を眺めながら、両手両足の具合を確かめてみる… 両手は、痛みがあるものの、自由に動かすことが出来る… 両足は、というと、両手とは違ってピクリとも動かない…まるで、錘でもついているかのようだ… (…ちょっと…これって…まずいんじゃない!?) 足が動かないのが不安になったミヤビは、足元に視線を落とす… …道理で動かない訳だ… ミヤビの足元には、看病疲れか、サキが突っ伏して眠っていた… ミヤビは自由になる上半身を起こすと、サキの寝顔を見つめ、そしてサキの髪を撫でた (…サキ…ありがとう…!) すると、ちょうどそこへモモがやってきた 「あれ?ミーやん起きたの?」 「…うん…まだ傷は痛むけど、大丈夫だよ!」 「だったらいいけど…ミーやんかなりの重傷だったんだよ。サキの『白魔法』で大分回復してるけど…」 モモに言われて、ミヤビは改めて全身を見てみる …どこもかしこも包帯だらけだ…巻き方がかなり滅茶苦茶なのは、不器用なサキが巻いたからだろう… しかし、サキの思いやりの気持ちが、ミヤビには嬉しかった… 「後でちゃんとサキにお礼を言うんだよ!…二人のこと、すごく心配してたから!」 「わかってるよ…」 「なら、よし!」 そう言って、モモはそのまま隣で休んでいるであろうユリーナ達のベッドへ向かっていった… 看病疲れのサキに感謝するミヤビ… そして、ふと気付いたのが… 「…うぅん…ミヤ…」 そう、ミヤビの傍にはりしゃこが一緒のベッドで寝ていたのだ… りしゃこもミヤビ同様に包帯でぐるぐる巻きにされていた…きっとサキのせいだろう ミヤビはそんな姿のりしゃこを見て、とても愛しさを感じた… 昔は、何をするにもミヤビの後ろにピッタリとついて回るくらい甘えん坊だったりしゃこが、今では一人前の魔法使いなのだ… (…おっきくなったよね…) ミヤビは、幸せそうに寝息をたてて寝ているりしゃこの髪をそっと撫でる… そして、ふとミヤビは思い出した… (…頑張ってくれたりしゃこにごほうびをしなくっちゃ…!) 最初はミヤミヤしようかと思っていたが、ちょっとりしゃこには早すぎる気がしたので 結局、軽くりしゃこの頬にキスをすることにした… (…助けてくれてありがとう!りしゃこ…) 横を向いてるりしゃこの頬に唇を寄せる… しかし、ミヤビも人の子、いざ、事に及ぶ段階になると、流石に躊躇してしまう… それでも、意を決して、りしゃこの頬にキスをすべく唇を寄せた! …が、運命の悪戯か… 「…うぅ〜ん…ミヤ…大好き…」 りしゃこが寝返りをうってしまった… そこへミヤビの唇が重なる… 思いがけず、りしゃこの唇とミヤビの唇が重なりあった… さらに間が悪いことに、唇に違和感を感じたりしゃこが、ふと目を覚ます…! 「…ん…!ミヤ…!…や、やぁぁぁー!」 一瞬にして、医務室が絶叫に包まれた! 「…全く…何?…この大騒ぎの原因は?」 気持ち良くうたた寝をしていたところを邪魔されてご立腹のサキ 「…ハイ…スミマセン…」 ミヤビはただひたすらペコペコと頭を下げ続けた… まさか、騒ぎの原因がりしゃことチューをして騒がれた…なんて口が裂けても言える訳がない… だから、ミヤビは訳を聞かれても答えないように、サキに頭を下げ続けた… 「…いい?…ミヤは怪我人なんだから、あんまり騒がないでちょうだい!」 と、サキからお灸を据えられた… (…なんとか逃げ切れた…) 内心ホッとしたのも束の間、今度は騒ぎを聞きつけたモモ達が大挙してやってきた…! 「ねぇねぇ!何の騒ぎ?」 早速、モモが食い付いた 「…んーとね、いきなりミヤとりしゃこが叫び声をあげたから、ワタシが目を覚ましてしまった…ってコト…」 サキが事の顛末を語り出すと、目を輝かせるモモ達… 「…ねぇ、りしゃこ?…ミーやんに何か変なコトされなかった?」 モモがいきなり核心を突く質問をりしゃこにぶつけた…! 「…!」 図星を突かれ、思いっ切り焦りまくるミヤビ 「…ミヤが…!ミヤが…!」 顔を真っ赤にして恥じらうりしゃこ… いきなりの『ビンゴ!』にwktkなモモ達… それを、 「…わあぁぁぁーっ!」 とミヤビが揉み消そうとするも、 「…チューしてくれたの♪」 と、りしゃこが言い切ってしまい、間に合わなかった… その瞬間からだろうか、急にみんながミヤビを見る視線が冷たくなったのは… 一方、別の医務室では… 「…アイリーナ…アイリーネ…大丈夫かい?」 担架で運ばれて、ベッドに並んで横たわっている双子を慈しむように見つめる父親のトール… 父親の立場としては、娘達が『魔導大会』で敗退したことは残念ではあったが、父親の予想以上に成長した我が子の姿は嬉しかった… トールは、今は傷つき、疲れ果てた娘達のしばしの休息を見守ることに努めた… …が、突然、隣の医務室から叫び声がしたため、双子が目を覚ましてしまった… 「「…パパ…!」」 双子が伏し目がちに父親を見つめる… きっと二人は、 『…ごめんなさい…負けちゃった…』 と、言おうとしたのだろう… そんな二人の気持ちを察して、トールは二人の頭を優しく撫でて… 「…よく頑張ったぞ…!…お前達は、パパの宝物だよ…」 と、ただ一言だけ、労いの言葉をかけた… 一方、別の医務室では… 「…アイリーナ…アイリーネ…大丈夫かい?」 担架で運ばれて、ベッドに並んで横たわっている双子を慈しむように見つめる父親のトール… 父親の立場としては、娘達が『魔導大会』で敗退したことは残念ではあったが、父親の予想以上に成長した我が子の姿は嬉しかった… トールは、今は傷つき、疲れ果てた娘達のしばしの休息を見守ることに努めた… …が、突然、隣の医務室から叫び声がしたため、双子が目を覚ましてしまった… 「「…パパ…!」」 双子が伏し目がちに父親を見つめる… きっと二人は、 『…ごめんなさい…負けちゃった…』 と、言おうとしたのだろう… そんな二人の気持ちを察して、トールは二人の頭を優しく撫でて… 「…よく頑張ったぞ…!…お前達は、パパの宝物だよ…」 と、ただ一言だけ、労いの言葉をかけた… トールとミヤビの父親・『ヒイロ』…そして、双子とミヤビ… その、親子二代に渡るライバル関係の因縁に、トールは運命めいたものを感じずにはいられなかった… と、同時に、双子にとっての、競い合えるライバルとの巡り合いに、トールは神様に感謝せずにはいられなかった… 双子の頭を撫でながら、トールはふと、気付いたことがあった… ミヤビとりしゃこの二人が、試合で重傷を負っているのを… そこで、トールは見舞いとお礼を兼ねて、二人のいる、隣の医務室へと向かった… コンコン… 扉をノックして、 「…入るよ!」 と、二人のいる医務室へ入っていったトールだったが、そこで見たものは… 「…ロリ」 「…スケベ」 「…変態」 仲間から、言葉責めを受けているミヤビと、そのミヤビの傍で上機嫌なりしゃこが… 「…ど、どうしたんだい!?」 なんとか冷静さを取り戻したトールがサキ達に問いかけた 「「…!」」 その場にいた全員がようやくトールの存在に気付いた 「…わ!?…あ、あの…」 「…な、何にも…ないですよ…ね、ねぇ…ミヤ…」 「…う、うん…な、何にも…ないです…ハハ…」 全員がなんとかその場を取り繕う… 「…ま、まぁ…何でもなければ別にいいんだけど…」 と、前置きをして、改めてトールはミヤビとりしゃこに礼を言った… 「…ありがとう…二人と出会えたお陰で、あの娘達がとてもイキイキしてるよ…ありがとう…!」 トールはミヤビとりしゃこに礼を言った… トールがミヤビとりしゃこにお礼を言った 「…二人と出会えたお陰で、あの娘達がとてもイキイキしてるよ…ありがとう…!」 「…いえ…そんな…」 と、照れくさそうに笑うミヤビ りしゃこもはにかんだ笑顔を浮かべた 「…あの、ワタシ達も、あの娘達と出会えて良かった…って思ってるんですよ!」 とサキが言った 「…ワタシ、同年代の娘と勝負したことなかったんですけど…あの二人に負けた時…すごく悔しかったんですよ…」 モモが思い出したかのように 「…あ〜っ!そういうこともあったよね!」 と相槌を打つ… 「そうそう!第一印象サイアクだったよね〜!」 と、チナリが続ける… 「でもさ〜、あの二人…けっこうツンデレだよね!」 と、ミヤビが口にすると、みんなが一斉に、 「…そうそう!」 「…あるある!」 と、口を揃えて言った… 「…あのさ…これナイショの話なんだけど…」 と、次はユリーナが切り出す 「…あの二人にね、『お揃いの服で可愛いよね!』って言ったら、顔を真っ赤にして怒り出したんだけど…」 「…だけど?」 「…すっごく照れてたんだよね〜!」 「…え〜っ!?」 「…うっそ〜!?」 双子が居ないことをいいことに、双子の秘密の暴露を始めるりしゃこ達… そこで突然、扉が開いた! 双子が居ないことをいいことに、双子の秘密の暴露を始めるりしゃこ達… そこで突然、扉が開いた! 「「…ちょっと!あんた達…!」」 そこには、顔を真っ赤にしてる双子の姿が… そう、二人は扉の向こう側で聞き耳を立てていたのだ…! 「…何よ!アタシ達のこと、バカにしてたんでしょ!?」 と、アイリーナが言うが 「ううん、みんながね…二人がとーっても可愛い♪って噂してたの!」 と、モモが否定した 「…そうそう!素直じゃないところが、お姉さん達の可愛がりたい心をくすぐるのよね!」 と、ユリーナが付け加える… 「…まぁまぁ、そんなにカリカリするな…とゆいたい」 と、マァに背中を押されて、双子は部屋の中央に連れていかれた… 部屋の中央に連れていかれた双子に、ミヤビが声をかける… 「…いい試合…だったね…二人とも、ホントに…強かった!…多分、みんなが助けてくれなかったら…負けてた、って思う…」 だが、双子の反応は醒めていた… 「…そんな慰め…いらないよ!」 「…ミヤビちゃんは試合に勝ったから…そんなこと言えるんだよ!」 僅差で負けただけに、負けたとは思ってないだろうし、負けを認めたくないのだろう… しかし、試合はもう終わったのだ… 二人には、やり場のない怒りをぶつける場所がないのだ… そんな二人に 「…また…試合、しようね!」 と、りしゃこが言った… 「…何バカなこと…!」 アイリーナの言葉を遮って、りしゃこが続けた言葉は… 「…とっても…楽しかった!…だから…また、大会が終わったら…試合しようね!」 屈託のない笑顔で… 「…また…試合、しようね!」 と、りしゃこが言った… 拗ねている双子に向かって、屈託のない笑顔で、 「…また、試合しようね!」 と声をかけたりしゃこ… 双子はしばらく黙っていたが、やがて、バカ負けしたように 「…わかったよ…!…但し…!」 「…優勝しなかったら…呪ってやるからね!」 と、照れくさそうに吐き捨てた… ちょっと機嫌が直ったのが嬉しかったのか、 「…うん!」 と、言うが早いか、双子に抱きついた 「…やだ!…ちょっとよしてよ!」 「…きゃあ!…恥ずかしい〜!」 手足をバタつかせながら、恥ずかしがる双子を 「あ〜っ!照れてる照れてる〜!」 「ツンデレだよね〜?」 「可愛い〜!」 と、サキ達はここぞとばかりに双子をからかいまくる… そんな中、モモが突然、 「…ねぇ?ミーやんも行ったら?」 と、ミヤビに振った… 「…あ〜!ダメダメ!」 と、チナリが待ったをかける 「…どうしてだ、とゆいたい?」 と、マァがニヤニヤしながらチナリに尋ね返す… 「…だってぇ〜…」 「…わぁぁぁーっ!」 チナリが言いかけた言葉をミヤビが慌てて口を塞ぐ… が、 「…ミヤビは『キス魔』なの…」 と、マイハがボソッと言った… その一言を聞いた途端、双子がさらに暴れ出した…!「…やだ〜!変態やだ〜!」 「…離せ〜!スケベ〜!」 双子にまで『変態』と言われて、ミヤビの中の『何か』が壊れた… 「…うおぉぉぉーっ!」 …その後、医務室が地獄絵巻になったのは言うまでもない… ミヤビの“暴走”も収まり、医務室に再び平穏が訪れた…? 「…へぇ〜!そんなことがあったんだ〜!」 「…ミヤビちゃんってロリコンの隅にも置けないね〜!」 事の次第を聞いた双子は、ミヤビに精神的にいたぶる発言を言っていた… 「…ぶっ殺す!」 物騒なことを口走るミヤビを 「…まあまあ、落ち着いて♪ミーやんはノーマルだってわかったんだから…」 と、なんとかなだめようとするモモ…。だが… 「…こんなことになったのはモモのせいでしょ!?」 と、火に油を注いでしまった… さらに、苛立つミヤビの神経を逆撫でするように 「でもさ〜アタシ達って可愛すぎるから襲われるのも仕方ないよね〜♪」 「ねー♪」 と、わざとらしくミヤビに聞こえるように挑発する双子… そんな双子の挑発にも (…いつか必ず…犯す!) と、肩をワナワナとさせながらも堪え忍ぶミヤビ 挑発に乗ってこないミヤビが面白くない双子は更に 「「カッモ〜ン♪」」 と服をはだけてお色気ポーズをとる… (…もう我慢できない!) そして遂に、ミヤビの堪忍袋の緒が切れてしまった! 「…このぉ〜!」 と、叫ぶが早いか、双子に飛びかかった! …が、飛び込んだ先には双子はいなかった… 「…こらっ!」 双子の悪戯を見兼ねたトールが二人を元いた部屋まで引っ張っていったのだ… 「…ったく…!」 興奮醒めやらないミヤビの傍で、 「…あれって…あの娘達の…愛情表現なんだと思うの…」 と、マイハがポツリと呟いた… 「…まっさか〜! ミヤビは即座に笑い飛ばした…が、 (…あの娘達らしい…) と心の内で苦笑いした