行方を眩ましたマイミン達の後を追って、控え室に向かったヨッシーノ達… 
控え室には、すでにりしゃこ達も集まっていたが、マイミン達の姿を見なかったかと言う… 

「…みんな!あいつらはまだ遠くに行ってないだろう…急いで探そう!」 
ヨッシーノの号令とともに、みんなが一斉にコロシアムから飛び出した… 


それから数時間後―りしゃこ達がまだ捜索を続けている頃 

閉めきられた薄暗くてカビ臭い部屋の中、一人の少女が目を覚ました 
「…うっ!…痛っ…!」 
痛みの残る横っ面に手をやり、部屋の中を見回した 

広くもないが狭くもない部屋の中に、机と椅子があり所狭し、と様々な本が散乱している… 
そして何故か、バカでかい『匣』が三つ 

「…なんだ?こりゃ?」 
少女はあまりにも不自然な三つの『匣』の存在が気になって仕方がなかった… 

(…調べて、みるか…) 
少女が立ち上がろうとした時に、とても恐ろしいことに気が付いた… 



薄暗い部屋の中、目を覚ました少女は、部屋を調べようと起き上がった 
そこで初めて、とても恐ろしいことに気が付いた… 


(…えっ!?) 
少女は目を疑った… 
それも無理はない… 
何故なら、少女が今まで横たわっていた場所は、実は『匣』の中…と気付いたからだ… 

(…ま、待てよ!?…てことは…?) 
少女は足りない頭脳をフル回転させて、頭の中を整理していく…が、 

(…やべぇ!) 
何者かが、部屋に向かってくる物音がした 

まだ、現状が正確に把握出来てない内に動くことは、多大なリスクを背負うことになる… 
それは避けなくてはならない… 
とりあえず、少女はやり過ごすために再び『匣』の中に横たわった… 

すると、部屋の扉がギィィィーと、軋む音をたてて開いた 
そこに誰かが入ってきた… 
そして、椅子に腰掛け、突然、バンッ!!と机を叩いた 
「…あーっ!…もお、本っ当に腹が立つ!」 
そう言うと、『部屋の主らしい者』は、ボリボリと音をさせながら、何かを食べ始めた… 



『部屋の主らしい者』は部屋に戻ってくるなり、怒りを露にして自棄食いを始めた… 


「…もうちょっとで上手くいくところだったのにぃ〜!…ワタシの計画は完璧だったのにぃ〜!」 
怒鳴り散らす声とともに、食べるスピードもアップしていき…あっという間に完食したようだ 

ようやく満腹感で怒りが収まったであろう『部屋の主らしい者』は、少女の傍まで近づいてくる… 
(…一体、何者なんだコイツは…!?) 
少女はそう思いながらも、何があっても動揺しないように精神を統一させた 

そこへ、不意に『部屋の主らしい者』が少女の『匣』を覗き込む… 
「…もう!あんたの所為よっ!」 
そう言うと、突然、少女の鳩尾を思いっ切り殴った! 
「…ぐぇっ!」 
殴られた少女がまさかの一撃に呻き声をあげた…! 
だが、まさかの少女の呻き声を聞いた『部屋の主らしい者』は悲鳴をあげた…! 
「…っ!…この手前っ!」 
少女がついカーッとなって起き上がってしまった… 

その時、少女の目に飛び込んできた『部屋の主らしい者』の正体は… 



少女が見た、『部屋の主らしい者』の正体は… 

(…誰だっけ?) 
どうやら、少女は脳ミソが筋肉で出来てるらしい… 

「…ど、どうして、目を覚ましたの!?」 
『部屋の主らしい者』は明らかに狼狽えている 

少女はバカなりに考えた 
(…何かマズそうだな…) 
少女の、そこからの行動が早かった! 
まず、騒ぎを起こされる前に、『部屋の主らしい者』の喉元に地獄突きをぶち込む! 
「ぐぇっ!…げほっ!げほっ!」 
喉を潰して叫ばれないようにした! 
続いてお返しとばかりに鳩尾にパンチを食らわせる! 
「うぐっ…!」 
身体がくの字になったところでチョークスリーパーで締め落とした! 

ここまで、僅か10秒足らずの電光石火の早業…! 
『究闘不敗』の面目躍如である…! 

『部屋の主らしい者』をご丁寧に縛り上げて、少女=マイミンは、部屋の中の物色を始めた… 



『部屋の主らしい者』を縛り上げた後、マイミンは現状を把握するため、部屋の中を物色することにした 

小さなランプに照らされた薄暗い部屋で目立つものは、散乱した本と机と椅子、そして、三つの『匣』… 
当然、気になるのは、マイミンが目覚めた時に入っていた『匣』の存在… 
形といい、大きさといい、マイミンのそれと全く同じものだ 

(…まさか!?) 
嫌な予感が、マイミンの脳裏をよぎった… 
最悪の事態がマイミンの頭の中を支配する… 
心臓の鼓動が早鐘を打つ…! 

だが、マイミンは覚悟を決めた…例え、そこに『災い』が待ち受けてたとしても… 

マイミンは、一番手近な『匣』を開けた! 

まだ、胸騒ぎが止まない… 
しかし、腹を括って祈るような気持ちで『匣』の中を、ゆっくりと覗き込む… 

「…うおっ!?」 
覚悟を決めて『匣』の中を覗き込んだマイミンだったが、その中身には思わず声をあげてしまった… 



覚悟を決めて『匣』の中を覗き込んだマイミンだったが、その中身には思わず声をあげてしまった… 

「…何だよ…これ…?」 
マイミンが覗き込んだ『匣』の中には、見たことのある顔が… 

「…ゴトー…さん!?」 

『匣』の中には、ミキ帝の仲間・ゴトーが入っていた…! 

「…どういう…こと…なんだ!?」 
全く予期していなかった『匣』の中身に、マイミンはめまいを感じた… 

「…てことは…まさか!」 
続けてその隣の『匣』も開けてみた… 
今度はマイミンの予想通り、『匣』の中にはアベナッチが入っていた… 

だが、マイミンの頭はますます混乱するばかり… 

「…一体…どういうことだ…!?…さっぱりわかんねぇ…」 
冷静さを取り戻すために、一旦、深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとする… 
が、部屋の向こう側から、こちらに向かってくる足音が聞こえてきた…! 

(…マズい!) 
マイミンは咄嗟に、縛り上げておいた『部屋の主らしい者』を自分のいた『匣』の中へしまい込んだ… 



部屋に向かってくる足音に気付き、マイミンは、縛り上げておいた『部屋の主らしい者』を自分のいた『匣』の中へしまい込んだ… 

(…どこか…どこか隠れるところ…は…?) 

そうこうしてる内に、部屋の扉が開いてしまった…! 
「…ねぇー?コンちゃーん!?」 
聞き覚えのある声… 
それを聞くと、腹の底から怒りがこみあげてきて、堪え切れられなくなる…! 

「…あれっ!?…どこ行ったんだろ?」 
その一言を残して、再び扉が閉まった… 

(…あの野郎っ!) 
マイミンにとって、忘れられない『仇敵』…そう、ミキ帝の声だ…! 

そこでマイミンは瞬時に悟った… 
ここは、ミキ帝達のアジトということを… 

マイミンは徐々に思い出した… 
エリカンとケンカをして…エリカンをミキ帝達にさらわれてしまい…アヤヤに地面を這いつくばらされて…捕らえられてしまったことを… 

(…くそっ!) 
思わず部屋の壁を拳で殴りつけた… 



マイミンは徐々に忌々しい記憶を思い出した… 
そして、思わず部屋の壁を拳で殴りつけた… 


だが、アクシデント発生! 
「…コンちゃーん!?」 
扉が開いて、ミキ帝が再び部屋へ入ってきた! 
先程は部屋の死角に居てミキ帝をやり過ごしたマイミンだったが、今回は見事なまでに鉢合わせに… 

「…お前…!?」 
「…うおおおおーっ!」 
まさかの遭遇に、迎撃体勢の出来ていなかったミキ帝に、怒りに満ちたマイミンの拳が火を吹く…! 

バキッ!! 

見事に顔面に一撃をお見舞いした 
まだ状況が判断出来てないミキ帝に、マイミンが更に追い討ちをかけようとした時、 
「…ねぇ〜!?…ミキタン〜!?」 
今度は階下からアヤヤの声がした… 

(…ちっ!) 
舌打ちしながら部屋を飛び出したマイミン… 
素早く周りを見回して、階段を見つけて一気に駆け降りる… 

ちょうどマイミンが階段を降りた時に、今度はアヤヤと遭遇した! 



憎き仇敵・ミキ帝に一撃を食らわせ、アジトからの脱出を計るマイミンの目の前に、アヤヤが現われた! 

階段を駆け降りたスピードもそのままに、アヤヤに向かって飛び蹴りを放つ! 

「…とおっ!」 

ドスッ!! 

ミキ帝同様、突然のマイミン襲来に迎撃準備が整ってなかったアヤヤのドテッ腹に、マイミンの長い脚が突き刺さる! 

「…ぐほっ!?」 
腹部を押さえながらうずくまるアヤヤを尻目に、マイミンは出口を探す… 

(…くそっ!…もうちょっと時間があったら、あいつらをフルボッコにしてやんのに…!) 
悔しさを押し殺しながら、アジトの中を駆け回り、ようやく玄関ホールまでたどり着いた 

仇敵に止めをさせなかった悔いが残る中、 
「…ザマーミロ!…バーカ!バーカ!」 
と、捨て台詞を吐き捨てて、マイミンはアジトから走り去っていった… 

しかし、数分後…マイミンはふと気が付いた… 

「…ここって…どこ?」 
そう、マイミンは極度の方向音痴だった… 



マイミンがミキ帝達のアジトから脱出した頃― 


誰もがその存在を忘れていた『二人』は、ミキ帝達のアジトの捜索をしていた 

「…ねぇ〜?…本当にアテになるの!?」 
「…う〜ん…でも他に有効な情報が集まんなかったからねぇ〜…仕方ないじゃん?」 

そう会話しながら、すっかり日が暮れたハロモニアの城下町を歩くのは、サトタとア・ヤーカの二人… 

今回の『魔導大会』には参加せずに、『第三勢力』の調査に当たっていた『輝く女神』のメンバーだ 

「…でもさぁ〜サトタ、ミキちゃん達が『第三勢力』だなんて…信じらんないよね?」 
「…うん…だけど、あの『二人』が“クロ”だ!って言い張ってるし〜…」 
「…だってさ〜、あの『二人』でしょ!?…それも酒の席での噂話じゃん!?」 
「…そうだけど…でもね、あの『二人』の目撃談だと、ミキちゃん達の行動って…明らかに異常じゃない?」 
「…わかんない…とりあえず、その目撃した場所に行ってみないと何の手掛かりも無い訳だし…」 






サトタとア・ヤーカがミキ帝達のアジト探索に向かう前日の話― 


「…ここが、待ち合わせ場所なの?」 
「…そうだね」 
二人が到着した場所は、ハロモニアの中心地からやや外れた場末の酒場― 

店内を照らす仄かなランプの灯りが、柔らかくて暖かい光を放ち、落ち着いた雰囲気を醸し出す… 
落ち着いた、大人の隠れ家的な、とても感じのいいお店なのだが… 

「…いいお店なんだけど、さ…」 
と言うア・ヤーカに 
「…皆まで言わなくてもいいよ…」 
と、首を振りながらア・ヤーカに答えるサトタ 

そこへ、あの『二人』がやってきた… 
「おひさー!」 
「元気してたー?」 
かなりのハイテンション…せっかくの落ち着いた店内の雰囲気が台無しになりそうな勢いだ… 

「…ひ、久し振り…」 
ア・ヤーカが顔を引きつらせながら応対する 
「…もお、何よ〜?もっと喜んでよ!?」 
「そうだそうだ〜!もっと感動しろ〜!」 

まるで質の悪い酔っ払いのような二人をなだめたのがサトタだった… 
「…ホラホラ、アサミもミウナも店内で騒がない!」 



サトタとア・ヤーカが再会を果たしたのは、サトタの旧友でもあり、悪友のアサミとミウナ… 
いわゆる『気心知れた仲間』ということだが… 


「…ま、ま、とりあえず掛けて掛けて!」 
と、サトタが二人をやや強引ながら席に座らせた 
せっかくの落ち着いた良い雰囲気の酒場が、二人のハイテンションで大衆酒場に早変わりするのは忍びなかったからだ… 
二人が騒がないように…と、ア・ヤーカが質問を振る… 
「…ね、ね!…あのさ、サトタから聞いたんだけど、あの『話』って…マジ?」 
その質問に、二人の反応は… 
「…あ、『アレ』ね?とりあえず、そんなの後回し後回し!…あ、ミウナ、何にする?」 
「あたし、ビールで!…サトタは?」 
…全く聞いてなかった… 
更に、 
「あたしも同じので!…あ、ア・ヤーカは何にする?あたしらと同じのでいい?」 
「…そうねぇ…じゃ、ワタシも同じので…って、コラー!」 
サトタが二人に付き合ってしまったため、ア・ヤーカもペースに引き込まれそうになってしまった… 

(…ホントに、大丈夫かしら?) 



サトタとアサミとミウナ…三人のペースに引き込まれそうになり、思わずア・ヤーカは、 
(…ホントに、大丈夫かしら…ワタシ…) 
と、思い悩んでしまう… 


そんなア・ヤーカの気持ちなど三人は知るハズもなく、 
「…あ、あたしご飯頼むの忘れてた!」 
「出た!…あんたいつも酒呑む前にご飯頼むよねー…それって変だよ!?」 
「そ!絶対変だって!」 
「えーっ!?別にいーじゃん!?あたしはね、ご飯が無いと、お酒が呑めないの!」 
と、大騒ぎする始末… 

そこでア・ヤーカも実力行使に出る… 
「…痛っ!」 
突然、何の脈絡もなく飛び上がってしまったサトタ 
「…あれ?サトタ、どしたの?」 
ミウナに尋ねられるも、 
「…ん、な、何でもない何でもない…!」 
と、口をつぐんだサトタ 

足を踏まれて 
(…アヤカ痛いよ!…) 
涙目でア・ヤーカを睨むサトタを 
(…バカッ!任務を忘れちゃダメでしょ!?) 
と、逆に睨み返すア・ヤーカ… 

(…はぁぁー…先が思いやられる…) 
アヤカの悩みは尽きない… 



自由奔放な三人を相手に、苛立ちながらも忠実に任務を遂行しようと奮闘するア・ヤーカ… 
三人の話に合わせつつ、何とか情報を引き出そうと頑張ること二時間…ようやく本題に切り込むことが出来た 


「ところでさ…こないだ、二人はミキちゃん達が“怪しいこと”してるの目撃したって言ってたじゃん!?」 
さりげなくサトタから切り出した 

「あ、“アレ”ね…確かに怪しさ満点だったね!」 
「そうそう!…“アレ”って、何かの“儀式”だと思うよ、多分…」 
そう語る二人に 
「…何?…その“儀式”って?」 
と、ア・ヤーカが尋ねる 

それに対して、 
「多分…なんだけどさぁ…」 
と前置きしながら、 
「真夜中にね、ミキちゃんと、アヤちゃんと…あと、誰だっけ?暗くて見えなかったんだけど… 
その何人かが、『祭壇』みたいなの作って、篝火を点けていたの!これっておかしいでしょ!?」 
と、興奮気味にミウナがまくし立てる 
「そ!…それにさ、『今夜はいい“生け贄”が手に入ったよ!』って、ミキちゃんがすっごい嬉しそうに言ってたのよ!」 
と、アサミも熱弁を振るう… 



“祭壇”、“篝火”、“生け贄”…アサミとミウナの口から怪しさ満点のキーワードが出てきた… 
(…よし!しめた…!) 

内心喜びながらも、二人に怪しまれぬように、話題を掘り下げていくア・ヤーカ 
「…それってすっごく怪しいよね〜!」 
「そうでしょ〜!あたしらだって目を疑ったんだから〜!」 
ア・ヤーカの食い付きに嬉々とする二人… 
「…でね、“生け贄”って何だったの?」 
サトタも話題に乗っかる…が 
「…アハハ…それがさ…」 
「…見て…ないんだよね…これが…」 

(…あーっ!もう、ホンット、使えないわねっ!) 
二人の言葉に、表情にこそ出さないが、ア・ヤーカは落胆した 

(…ん?…でも、待てよ?) 
ふと、気になることがあって、ア・ヤーカは二人に更に質問をする 
「…何で“生け贄”が見れなかったの?」 
もし、一部始終を見てたのなら、“生け贄”も見てたハズ…と、ア・ヤーカはそう踏んだのだ 
「…それがミキちゃん達に気付かれて…ね!」 
「そうそう!その後、すぐにミキちゃん達に追っかけられたの!…ホント、すっごい怖かった!」 

二人からの答えはア・ヤーカの予想通りだった 



アサミとミウナが“儀式”の最中でミキ帝達に見つかってしまい、結局、何があったかがわからずじまい… 

しかし、それでも何もなかった今までと比べれば、一歩前進だ 

(…まだ、もうちょい情報が引き出せる!) 
ア・ヤーカは一番気になる点を質問した 

「…ミキちゃん達って、どこでそんな“儀式”をやっていたの?」 
…ひょっとしたら、そのすぐ側に、ミキ帝達のアジトがあるかも知れない…ア・ヤーカは“読んだ”のだ 

酒で口が滑らかになったアサミとミウナの二人は 
「…えーとね、ハロモニアの郊外にある湖のほとり…だったよね?」 
「うんうん!…でも、何であそこで“儀式”しようとしてたのかなぁ…」 

「…Thank you 二人とも!ホント、Good jobだわ!」 
すっかり大はしゃぎするア・ヤーカだが、いきなり騒ぎ出したため、急に酔いが回って倒れてしまった… 


以上のことが、昨晩、ア・ヤーカ達の間で行われたやりとりである 

そして、今晩は“現場検証”のために、二人はハロモニア郊外に向けて移動中だった 



ア・ヤーカとサトタが向かったのは、ハロモニアの郊外・北西部にある湖のほとり… 

そこを目指して移動中だった… 
「…ねぇ、ミキちゃん達って、今日もその“儀式”?、やってるのかなぁー?」 
「…どうだろねー…でも、これぐらいしか情報が無いわけだし…行ってみないと始まらないよ」 

そう会話しながら、ハロモニアの街の門がある付近までやってきた 
ここから外に出て、アサミとミウナに教えてもらった湖のほとりまで行くハズだった… 

だが、予定が狂った… 

「!…誰か倒れてる!」 
最初に気付いたのはサトタ 
ア・ヤーカが何の警戒も持たずに倒れた人の元に駆け寄った… 
「大丈夫?…しっかりして!?」 

ア・ヤーカが倒れた人を抱え起こした途端、サトタは息を呑み、一呼吸してから叫んだ…! 
「アヤカ!…それ…マイミンだよ!」 

「…ええーっ!?」 
驚きのあまり、抱えていた手を離してしまったア・ヤーカ… 
ア・ヤーカの手を離れたマイミンは、重力に逆らうことなく、地面へと落ちていった… 

ゴツン!! 

ア・ヤーカとサトタの周辺にだけ、鈍い音が聞こえた… 
「…ち、ちょーっ!?」 
「…ヤバ、ヤバいって今の音!」 



ア・ヤーカとサトタがマイミンを発見してから約二時間後… 


(…痛っ!…痛ってえ…!) 
頭部の痛みにマイミンは目を覚ました 
すると、周りにはりしゃこ達が取り囲んでいた 

「…マイミン!大丈夫?」 
サキが真っ先に声をかけた… 
「…あ、ああ…」 
周りを取り囲む仲間に唖然としながら、やや気の抜けた返事をするマイミン 

「「良かった〜!」」 
マイミンがまともになったことでみんなの顔が綻ぶ… 
だが、 
「…でも、喜んでばかりじゃいられないぜ」 
そう釘を刺したのは、ヨッシーノ 
「…まだ、相方がアイツらの人質なんだろ?」 
その一言に、マイミンがハッとする… 
「…そうだ…!…エリカンだ…!」 

今にも飛び出しそうなマイミンを、ヨッシーノがなだめる… 
「…マイミン…とりあえず今日は身体を休めて、明日に備えよう…」 
「…明日…って?」 
「出来れば、明日にでもミキ帝達のアジトに突撃をかけたい…そのための情報整理をしたいんだ… 
マイミンには、何があったのか…とか、その辺のことをいろいろ聞きたいし…」 
ヨッシーノの提案に頷き 
「…わかった」 
と、了承したマイミン… 

「…でも、その前に、腹ごしらえしねえとな!」