それから程なくして、食堂では… 


「…しっかし、ホントよく食べるよな〜…」 
ヨッシーノが呆れ顔でマイミンが食事を平らげていく様を眺めていた… 
「…いやぁ〜!何せ丸一日何も食べてないもんで♪…あっ!おかわり!」 
これには、メンバー一の大食漢・マァも舌を巻く… 
「…見ているだけでお腹一杯…だとゆいたい…」 

そして、食事を平らげたマイミンはすっかり上機嫌だ「…はぁ〜!食った食った!」 
満足そうにお腹をさするマイミンに、ヨッシーノが話しかけた 
「…じゃあ、この二日間のこと…話してもらおうか…」 


しばらくして、食堂にメンバーが集まった 
りしゃこ達の他、ヨッシーノ達、また、発見者のサトタとア・ヤーカも加わった 

「…まずは、ミキ帝のアジトから脱出した時のことだけど…」 
ヨッシーノはいきなり本題から切り出した 
「…どこなんだい?」 

だが、マイミンは即答した… 
「…覚えてない…」 
その答えに、やや拍子抜けするも、ヨッシーノは更に質問を続けた… 
「…どんな些細なことでもいい…何か特徴でもあれば、調べはつくんだ」 

そう言われて、マイミンも再度、思い出そうとする… 



「…あっ!」 
突然、マイミンが叫び声をあげた 

「…何か…思い出したのか?」 
ヨッシーノが問いつめた 

「…『匣』だ…!」 
「…『匣』!?」 
マイミンの予期せぬ答えに一同がポカンとしている 

それでもお構い無しに、マイミンはまくし立てた 
「…そうだ!…『匣』だ!…おい、聞いてくれ!…オレは『匣』の中に閉じ込められてたんだ…多分…」 

だが、一同の困惑はますます広がるばかり… 
「…あの…どういう…こと?」 
みんなの気持ちを代弁して、リカサークが尋ねた 

「…あ、ああ…自分でもまとまってないけど…ただ、すげぇモノを見たんだ!」 
「…すごい…モノ?」 
マイミンの発言に、みんなが固唾を呑む… 

一同が静かになったのを見計らって、マイミンが切り出した… 
「…あの二人…アベナッチとゴトーが…『匣』の中に…入ってたんだ…」 

しばらく沈黙があった後、リカサークが叫んだ 
「…な、なんですって!?」 

『匣』の中に入ったアベナッチとゴトー…それが何を意味するのか、全く何だかわからなかったからだ 

「…まるで…棺桶に入った死体のようだったんだ…」 



『まるで、棺桶に入った死体のように動かないアベナッチとゴトーを見た』 

マイミンの、その発言に、一同が混乱する… 

何故、アベナッチとゴトーは『匣』の中なんかに入っていたのか? 
その訳が、誰にもわからなかった… 

「…アベナッチとゴトーを見たのは…確かなのか?」 
ヨッシーノが念を押す 
「…ああ…確かに、あれはアベナッチとゴトーだ…」 
マイミンは力強く言い切った 
もちろん、マイミンが嘘をついている様子は微塵もない… 
一体、何故、アベナッチとゴトー、マイミンは『匣』の中に入っていたのか…? 
謎は深まるばかりだ… 


しばらくして、サキが尋ねた… 
「…ねぇ?…その『匣』って、部屋にいくつあったの?」 
ふと考えて、マイミンが答えた 
「…三つ…オレが入ってたヤツを入れると、四つ…だな」 

「…じゃあ、マイミンは全部の『匣』の中身は見てないの?」 
「…あっ!…そうだ!…最後の一つだけ見てない…途中で邪魔が入ったから…」 

「…だったら、その最後の一つが、エリカンのものだったかも知れないわね…」 
唐突にメーグルが言った 

「「…!」」 
その場にいた全員が一瞬にして黙り込んだ… 



メーグルが推理を展開していく… 

「あくまでも、憶測でしかないけど…」 
と、前置きしながら 
「…『匣』が四つあって、アベさんとゴトーさんの組があったなら…もう一組ははマイミンとエリカンしかないじゃない?」 
と、言った 

なるほど…といった感じで一同が頷く… 

「…だったら、もう一度アジトに行けば…?」 
「…エリカンを奪還出来る…ってワケね…」 
マイミンの問いかけに、メーグルが答えた 

「…よし、やったぜ!」 
エリカン奪還の手がかりを掴んだことで、その場にいたメンバー全員が俄かに沸き立つ… 

だが、当のメーグルは、どことなく浮かない顔をしている… 
「…どうしたの、メーグル…?」 
心配そうにモモがメーグルに尋ねたことで、みんなの視線がメーグルに集中した 

みんなの視線が集まる中、一呼吸入れてから、また、メーグルが語り出す… 
「…でも…マイミンが脱出したことで、向こうも警戒してるでしょうし…それに…」 
「…それに?」 
「…もし、最悪の場合…エリカンを人質にする可能性もあるわ…」 

メーグルの“最悪のケースの予測”に、先程まで沸き立っていた雰囲気が次第に醒めていく… 



メーグルの“最悪のケース”に意気消沈する一同… 

だが… 

「…だったら、今すぐぶっ飛ばしに行こうぜ!」 
声高らかに言ったのは、マイミンだった 

「…でも、マイミンが脱出したのはついさっきなのよ!?…向こうだって、当然警戒してるわよ!」 
マイミンの意見に対して、リカサークは慎重な姿勢を見せる 

そこへヨッシーノが意見を述べる 
「…だが、マイミンの言うことも一理あるな…」 

「…ちょっと、ヨッちゃん…」 
リカサークがヨッシーノに意見しようとするが、ヨッシーノは 
「…いずれにせよ、“人質”は遅かれ早かれ奪還しなくちゃいけないんだから… 
それに、案外、今の方が向こうも慌ててるから、やりやすいかもYo?」 

すると、悲観論を述べていたメーグルも、ヨッシーノの意見に同調する 
「…向こうの体勢が整わないうちに奇襲をかけるのも、ひとつの手…かもね」 

今まで、慎重な姿勢を崩さなかったメーグルが積極策に賛成したことで、部屋の雰囲気も再び盛り上がる 

「賛成!」 
「アタシも!」 

その様子に、リカサークも決心した… 
「…じゃあ…パァーっと行きましょっか!?」 


「…よし!作戦会議だ!」 






一方、マイミンに逃げられたミキ帝達のアジトでは… 

「…タン?…ミキタン!?」 
誰かに揺さ振られて、ミキ帝は目を覚ました… 
「…あ、アヤちゃん…?」 
相方のアヤヤが心配そうに、ミキ帝の顔を覗き込む… 
「…ミキタン…大丈夫!?」 
「…あ…痛っ!…」 
マイミンに不意討ちを食らって、ミキ帝はしばらく気を失っていたようだ 
殴られた顔がズキズキと痛む… 

「…くそっ!…逃げられちゃったよ…」 
痛みよりも悔しさに顔を歪める 
「…仕方ないよ…アレは人間が飼い慣らせない“野獣”だったのよ…」 
あまり面には出さないが、落ち込んでいるミキ帝をアヤヤが慰める 

「でも、何で逃げ出したの?…あの娘の“術”がかかっているハズなのに…」 
と、ミキ帝が口にしたことで、二人はハッと気付く… 
「…ねぇ、アヤちゃん!…コンちゃんは!?」 
「あっ!」 
慌てて、二人はコンの部屋へと駆け足で向かう…マイミンの“制御”が不可能になったからには、きっと理由があるに違いない… 
階段を昇り、廊下を駆けていく間中、二人はコンの安否を危惧した… 


ようやくたどり着いたコンの部屋… 
扉は閉まっていて、人が動いている気配がしない… 

最悪のことを想定し、覚悟を決めて、二人は扉を開けた…! 



覚悟を決めて、部屋の扉を開けた二人… 

ギィィィーと軋む音を立ててゆっくりと開いていく… 

「…コンちゃん!?」 
ミキ帝が、少し開いた扉から顔を覗かせ、中の様子を伺う… 

薄暗い部屋の中に、コンの姿はなかった… 

ミキ帝が後ろを振り返り、アヤヤに向かって、首を振り、 
「…いないね…」 
とだけ呟いた 

それを聞いたアヤヤは、 
「…ミキタンは部屋の中を探して…アタシは表を探してくる!」 
そう言い残して、足早に階段を降りていった… 


アジトに取り残されたミキ帝は、仕方なくコンの部屋の中を探し回ってみることにした… 

だが、読書家で勉強家のコンの部屋はほぼ書斎であり、そんなに間取りは広くはない… 
加えて、大量の書物が所狭しと散乱しているため、コンの姿を隠すような場所はほとんどない… 
強いて挙げるならば、散乱した書物の下、か、一組の机と椅子の下、ぐらいである… 

「…ちっ!面倒臭ぇな!」 
足元に散らばった書物を足蹴にして、コンが本の下に埋もれてないか確認する… 
しかし、コンは本の下には埋もれてなかった… 

次は机と椅子の下を覗いてみた… 
だが、ここにもコンの姿はなかった… 



書物の下にも、机と椅子の下にもコンの姿はなかった… 

と、なると、姿を隠す場所などない… 
いや、あった… 

そう…『匣』… 

だが、ミキ帝は、『匣』を調べるのはとても躊躇われた… 
確かに、ミキ帝は『匣』の中身が何なのか、を知ってはいる… 
だが、『二人』の姿を見るのが嫌だったのだ… 
『匣』詰めの『二人』は、まるで棺桶に入った、ぬくもりを感じない死体のように見えてしまう… 
今まで、何度も見てはいるが、こればかりはどうしても慣れることが出来ない 


しばらく躊躇っていると、突然、 

『ゴトゴトッ…!』 

と、音がした… 

だが、部屋の中に居るのはミキ帝ただ一人…物音など、聞こえるハズがない 

だが、 

『ゴトゴトッ…!』 

先程より、もっと大きな物音がした…! 

この時点で既に、ミキ帝の冷静さは失われようとしていた… 
「…ち、ちょっと…何…何なのよ…!」 
いつもの威勢の良さはどこへやら… 
傍から見れば、今のミキ帝は、外敵に取り囲まれ、すっかり怯え切った仔鹿のようだったに違いない 

次第に大きくなっていく物音…それに怯えるミキ帝… 
「…やだぁ〜…怖い〜!」 
…そう、ミキ帝は極度の怖がりだったのだ! 



誰もいないハズの薄暗い部屋に、物音だけがこだまする… 
それも、徐々に大きくなっていく… 

その物音に怯えるミキ帝… 
本当は、ミキ帝もわかっていた…物音の発生場所は… 
ただ、怖くて見れないのだ… 

ずっと躊躇っていたミキ帝に、不幸が襲いかかってきた! 


バカッ!! 

突然、『匣』がひとりでに開いたのだ…! 

「…ぎゃあぁぁぁーっ!」 
今までにない大声で絶叫したミキ帝は、そのまま腰が砕けたようにへたり込み、そして、気を失った… 


それから後… 

突然開いた『匣』の中から、一人の少女が出てきた… 
この部屋の主である、コンだ… 
そう…今から数時間前に、マイミンの手によって縛り上げられた上に、『匣』詰めにされてたのだ… 

ようやく自力で縄をほどいて『匣』を開けると、突然、叫び声が聞こえるではないか… 

コンも、部屋の中で、何かとてつもないことが起きている…と怯え出した… 

だが…今、何もしなければ、いずれ自分の身に危険が振りかかる可能性がある… 
そう考えたコンは、中の様子を探る前に、『ある行動』に打って出た… 



コンは中の様子を探る前に、『ある行動』に打って出た… 

外の気配にびくびくしながらも、呪文を素早く詠唱する… 

数秒後…コンのいる『匣』とは違った別の『匣』から、一人の少女が出てきた… 
その少女こそが、マイミン達が捜しているエリカンだった…! 

コンは意識をエリカンに集中させる… 
すると、エリカンはコンの念じたままに、部屋の中の様子を探った… 

エリカンを通じて、コンは部屋の中の様子を把握する… 

その結果、部屋の中には今のところ、特に外敵の気配は感じられない… 

コンはふーっと一息ついた… 

とりあえず、難は去ったようだ… 
コンの魔法・『傀儡の術』は、他人の感覚を支配するため、多大な精神力を必要とする… 
(余談ではあるが、コンがよくお菓子を持ち歩いているのは、お菓子を食べることで、頭に糖分を与えて、脳をリラックスさせるためなのだ…) 

そして、安全を確認したコンは、『匣』を押し開けて、部屋の中に出た… 



エリカンを使って安全を確認したコンは、『匣』から出てきた… 

薄暗い部屋を見渡しても、外敵の姿はなく、部屋の中には、コンと、『傀儡の術』で帯同中のエリカン… 
それと、別の『匣』に入っているアベナッチとゴトーだけだ… 


先程までは、絶叫が聞こえたので身の安全ばかり考えていたコンだったが、落ち着きを取り戻すと、 
何故、自分が『匣』の中に入っていたのかを思い出そうとした… 

(…確か…ワタシは…夕食の時間まで調べものをしようとして、部屋に戻ったんだっけ…そして…) 
コンはようやく思い出した…自分の身に起きた屈辱を…! 

(…マイミン!…そうだ、マイミンが…!) 
怒りに肩をわななかせる… 
が、同時に不意に頭によぎったのが、マイミンの行方… 
コンはマイミンに襲われたのだから、マイミンは自分の“意思”を取り戻したことになる… 
当然、逃亡したに違いない… 
これは、かなり重大なミスだ… 

そうなると、ミキ帝とアヤヤから痛烈な叱責を受けるに違いない… 
(…ヤバッ!…早くマイミンを捜さないと!) 
そう判断したコンは、急いで部屋を出ようとした! 

その時だ! 



コンが部屋を出ようとした、その時だ! 


バタッ!! 

「…痛ーっ!」 
何かに足をとられて転倒したコン… 

「…もう!一体何なのよ!?」 
転んだことに腹を立て、足で踏んづけたものを見てみた… 

「…ぎゃあぁぁぁーっ!」 
コンは腰砕けになって力なくへたり込み、そのまま気を失った… 


コンが気を失う前に見たもの…それは、白目を剥いて気絶して倒れているミキ帝だったのだ… 
なるほど、一見すると、気絶したミキ帝が死んでいるようにも見える… 

ミキ帝とコンの、偶然が重なりあって起きた“気絶事件”… 
神の悪戯か…この“事件”が、思わぬ事態を招いてしまった…! 


30分くらい経っただろうか…コンを捜しに行っていたアヤヤがアジトに戻ってきた 

「ただいまー…」 
捜していたコンが見つからなかったので、ミキ帝のいる、コンの部屋に向かった 

「…どう?ミキタン?…コンちゃ…ん?……わっ!?」 
扉を開けるなり、白目を剥いて倒れているミキ帝とコンを発見したアヤヤは、あまりにも奇っ怪な光景に思わず叫んでしまった… 

だが、二人と違って肚が座っているのか、アヤヤは二人の元に駆け付けた 
「…ミキタン!?…コンちゃん!?」 



白目を剥いて倒れているミキ帝とコンの元に駆け付けたアヤヤ… 

気絶してる二人を揺すって叩いて、なんとか起こすことに成功した 

「…う…ううん…」 
「ミキタン!?…しっかりして!」 
「…あ、アヤちゃん…」 
「…良かった…!」 

ミキ帝の無事を確かめたアヤヤは嬉しさのあまり、ミキ帝に抱きついた… 
「ち、ちょっと…恥ずいんですけどっ?」 
照れながらも、まんざらでもないミキ帝ではあった 

「…う…う…あっ…」 
「…コンちゃん!?」 
「…ん…!…ぎゃあぁぁぁーっ!…ひいぃぃぃっ!」 
起きた途端、再び絶叫するコン… 

「…ちょっとコンちゃん…どうしたのー?」 
アヤヤが問いかけると、 
「…お、お化けっ!…ア、アヤヤさんの…う、う、後ろ!後ろっ!」 
コンが言うので、アヤヤが後ろを振り返ると… 

「…?」 
アヤヤの後ろには、ミキ帝しかいない… 
「…コンちゃん?…お化けなんて…いないよ?」 
アヤヤがコンに言うと、コンは、 
「…ミキさんの…お化け…後ろ…」 
と、答えた 

この台詞に、ミキ帝は顔を引きつらせながら、コンの目の前に迫った… 

「…だ〜れ〜が〜お〜化〜け〜だって〜!?」 
そう言うや否や、コンの頭を“梅干し”をお見舞いする 



自分をお化け呼ばわりしたコンにお仕置きをしたミキ帝は、溜飲が下がったのか、平静を取り戻す 

そしてお互いが、何があったのかを話し合った… 


「…じゃあ、ミキタンはコンちゃんに驚いて気絶した訳で…コンちゃんはミキタンが死んでる、と思って気絶した…って訳ね…」 
「…ええ…」 
「…うん…」 

アヤヤに自分達の弱いところを知られてバツの悪そうな二人 
すると案の定、 
「…だらしないわね」 
と、バッサリ切り捨てられた… 

二人は内心悔しかったが、あれしきのことで気絶した己のお粗末さと、相手がアヤヤと言うこともあって、じっと我慢した 

しばらく二人の沈黙が続いた後、 
「…ところでさ、コンちゃん…」 
と、アヤヤの舌鋒の先がコン一人に向けられた 

「…ハ、ハヒ!」 
きっと“あの件”が追及されると察知したコンは、焦るあまり、つい、声が裏返ってしまった… 

「…マイミンのことなんだけど…」 
急に、アヤヤの目つきが険しくなった… 
覚悟はしつつも、緊張し、唾を飲み込むコン… 

アヤヤの口から出た言葉はやはり、 
「…マイミンが脱走したんだけど…!」 
の一言だった 

「…!」 
身体を硬直させ、再度、唾を飲み込むコン… 
一気に針のムシロだ… 



アヤヤにマイミンのことを追及され、硬直し、言葉に詰まるコン… 

そんなコンに苛立ち始めたミキ帝が 
「どうなんだよ!?」 
とさらに詰問する… 

だが、コンにしてみれば、部屋に戻った途端、マイミンに襲いかかられただけであり、 
何故、マイミンにかけた術が解けたのかなんか、到底わかる訳がない… 

コンも変に考えるのはやめて、素直に 
「…原因は…わかりません…」 
と、答えた 

すると、二人の反応は、コンの予想とは違っていた 
「…そっか…」 
「…じゃあ、仕方ないな…」 
てっきり叱責されると思っていただけに、コンは拍子抜けしたと同時に、ホッと胸を撫で下ろした 


「…じゃあ、とりあえず、部屋を片付けましょ!」 
アヤヤの号令で、散乱したコンの部屋を片付けることにした三人… 

しかし、しばらくすると、コンの顔が、みるみる間に青ざめていく… 

「…どうしたの、コンちゃん?」 
アヤヤが声をかけると、コンは力なく呟いた… 

「…エリカンが…エリカンが…いない…!」 



コンが重大な事実に気付いた…! 

「…エリカンが…エリカンが…いない…!」 

それを聞いた二人の思考回路は、一瞬、停止した… 

そして、間を空けて、 
「…え?…マ、マジでぇ〜!?」 
「…嘘だろ〜!?」 
と、絶叫した… 

ふと見ると、コンはすっかり萎縮して、小さくなっている… 

「…おい、コンちゃん!…頼むから 
リl|*´∀`l|<でも、嘘なんだよ! 
…って、言ってくれよ?」 
と、口走ったミキ帝は明らかに混乱している… 

それを聞いたコンは、 
「…リl|*´∀`l|<でも、嘘なんだよ…」 
と、テンパりながらもマネてみせた… 
やはり、コンも明らかに混乱している… 


そんなカオス状態に業を煮やしたアヤヤが、 
「…ゴルァ!ええ加減にせんかいっ!…ごちゃごちゃ言うとると、犯すぞ!…この雌ブタ共がっ!」 
と、キレて、二人を一喝した… 

「「…ス、スミマセン」」 
二人とも、すっかりシュンとしてしまった… 

だが、ドSのアヤヤが言った『雌ブタ!』、『犯すぞ!』という言葉に、隠れドMのミキ帝がジュン…!となったのは秘密である…