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【週末限定】黒魔術師りしゃこ(32)【州*‘ -‘リ】
- 1 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 10:46:11.87 O
- 週末限定で
- 2 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 10:52:03.41 O
- 《物語のあらすじ》
魔法と幻想の国・ハロモニア。
ある一人の少女の物語。
少女の名前はりしゃこ。
りしゃこには夢があった。
『母親に会いたい』という夢が。
その夢を叶えるために、りしゃこは旅に出る決心をした。
目指すはハロモニア国の王都・ハロモニア―
一年後の今頃、王都では魔法使い達による十年に一度の『魔導大会』なるものが開かれるらしい・・・
そして、その栄えある優勝者は、ハロモニア女王により願い事が叶えられると―
十歳の誕生日を迎えたりしゃこは、夢に向かって旅立つ。
そんな少女の物語。
- 3 名前:名無し募集中。。。 :2008/05/11(日) 10:59:24.60 0
- おかえりやす
- 4 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 10:59:36.98 O
- 《登場人物》
州*‘ -‘リ【りしゃこ】
主人公。魔法使いの卵。
幼い頃、母親と別れ、孤児院で育つ。
『母親に会いたい』という夢を叶えるため旅立ちを決心する。
感受性豊かで誰よりも優しい女の子。
世にも珍しい『光』の魔法の資質を持つ。
ノノl∂_∂'ル【ミヤビ】
魔法使い見習い。
両親はエリート魔導師だが、訳あって両親と別れ、りしゃこと同じ孤児院で育つ。そのため、りしゃこには姉のように慕われる。
りしゃこが旅立つにあたり、一緒に旅に出る。
両親から受け継いだ紅の『炎』の魔法を操る。
川´・_・リ【サキ】
孤児院でのりしゃこやミヤビの監視係兼保護者。魔法使い。
真面目で努力家。読書を好む。
りしゃこ、ミヤビとともに旅立つ。
癒しの『水』の魔法を使う。
ル*’-’リ【モモ】
りしゃこ達が旅の途中で出会った行き倒れ。
恩人であるりしゃこ達に恩返しをするため一緒に旅をすることに・・・
物怖じしない性格で我が道を行くタイプだが、けっこう気配り上手な面も。
『火』の魔法?を扱う。
- 5 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:00:54.31 O
- 《登場人物2》
从o゚ー゚从【マァ】
妖精。しかし、魔法よりも肉弾戦の方が得意。
温厚で包容力があり、りしゃこには母親のように慕われる。
大地を揺るがす【土】の魔法を使う。
从*’w’)【マイハ】
妖精。マァとは対照的に魔法が得意。
恥ずかしがり屋で人見知りする性格。
クールに【氷】の魔法を使いこなす。
川*^∇^)|【ユリーナ】
長身痩躯のライトエルフ。
本来は人間嫌いだったが、りしゃこ達との出会いで少しずつ心を開くように。
全てを貫く【雷】の魔法を駆使する。
从*´∇`)【チナリ】
長身痩躯のダークエルフ。
ユリーナとは対照的に人懐っこい性格。
いつの間にかりしゃこ達の仲間に。
全てを吹き飛ばす【風】の魔法を得意とする。
- 6 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:04:20.16 O
- >>3
ただいま帰りました!
べ、別に“ラ○グの人”に対抗するワケじゃないんだからっ!
・・・と時事ネタを入れてみる
- 7 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:05:58.36 O
- 《登場人物3》
从*・ゥ・从【マイミン】
武闘家。またの名を、『東西南北究闘不敗(マスターキュート)』。
卓越した戦闘能力と武術でどんな敵でも打ち倒す。
ただし、本能で動くタイプのため、あまり頭はよろしくないのが玉に瑕。
身体能力をアップさせる活力の【炎】の魔法を知らず知らずのうちに使っている・・・
リl|*´∀`l|【エリカン】
マイミンのパートナー。良き理解者にして保護者。
割と常識人で人当たりも良いが、マイミン同様、あまり頭はよろしくない。
『クールビューティー』を標榜としており、【氷】の魔法でマイミンのサポートに努める。
洲*` v ´)【アイリーナ】
州´・ v ・)【アイリーネ】
ハロモニア王国きっての天才魔術師。双子。
双子ながら性格は正反対で、アイリーナは勝ち気、アイリーネはおっとりしている。
同年代のりしゃこを密かにライバル視している。
双子ならではのコンビネーション技を得意としており、そこから繰り出される【水】の魔法は全てを流し去ってしまうほど。
- 8 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:07:11.07 O
- 《登場人物4》
リ|*‘ヮ‘)|【メーグル】
魔術師。訳あってりしゃこの旅のサポート役に。
頭脳明晰の切れ者。変装や諜報活動に秀でている。
変幻自在の【水】の魔法で敵を翻弄する。
リ ・―・リ【チッサー】
りしゃこ達が初めて訪れた街で出会った元気いっぱいの女の子。商人の娘。
りしゃこと意気投合してすっかり友達に。
ノソ*^ o゚)【ナッキー】
りしゃこ達が途中で出会った薄幸そうなメイド。
なぜかトラブルに巻き込まれやすい。
ある事件をきっかけに、今では見違えるほど明るくなった。
ノk|‘−‘)【カンニャ】
大富豪の一人娘。無口で寂しがり屋。そのためか、性格はかなりエキセントリック。
変な性癖を持っていることから、違った意味でみんなから恐れられている。
(o・ ・)【マイ】
子供であることを武器にする計算高い悪戯っ子。
頭の回転の速さは従姉妹のメーグルも一目置くほど。
- 9 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:09:02.31 O
- 《登場人物5》
【ユーコ】
ハロモニア王国の現・女王。
ハロモニア王国を守護してきたが、体力の衰えを理由に後継者探しの名目で『魔導大会』を開催する。
しかし、衰えたとはいえ、その戦闘能力は化け物クラス。
【ヤスス】
女王に仕える大臣。『魔導大会』では審判役を務める。
苦労人であったため、深い思いやりのある人格者。
攻撃より守りの魔法を得意とする。
【アツコ】
女王のお庭番。忍者。
諜報活動でユーコの手助けをしている。
【ヤグー】
元・ハロモニア王国の特殊部隊・『EX=ZYX』の長官。
様々な特別任務を請け負ってきた。現在はフリー。
陰でハロモニア世界の破壊と再生を目論んでいたが・・・!?
その『鍵』となるりしゃこを手懐けようとする。
- 10 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:10:12.59 O
- 《登場人物6》
『暁の乙女』
王都ハロモニアを守護する親衛隊。女の子達の憧れ。
【アイオーラ】
現隊長。剣士。地味ながら堅実でそつのない戦い方を得意とする。けっこう抜けている。
【ガキシャン】
現副隊長。剣士。弛まぬ努力に裏打ちされた精度の高い技術の持ち主。しっかり者で“影の隊長”とも言われている・・・
【レイニャ】
特攻隊長。半獣半人。
王都ハロモニアにて『暁の乙女』にスカウトされる。
高い身体能力を活かして忍者になる。
りしゃこ達と顔見知り。
【キャメイ】
元・メイドだったが、王都ハロモニアにて『暁の乙女』にスカウトされる。
かなりの天然で思考回路がぶっ飛んでいる。
りしゃこ達と顔見知り。
【サユミン】
キャメイ同様、元・メイドだったが、『暁の乙女』にスカウトされる。
ブリッ子だが、その実、計算高いというか腹黒いらしい。
りしゃこ達と顔見知り。
- 11 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:11:23.23 O
- 《登場人物7》
【コハ】
孤児院で生まれ育った平凡な村の娘。・・・のハズが、なぜか『暁の乙女』にスカウトされることに。
実はコハには大きな秘密が・・・
【キラリちゃん】
コハのもう一つの顔。
数少ない【光】の魔法を使う魔法少女。
変身するまで時間がかかるが、その戦闘能力は『暁の乙女』内でも文句なしにトップクラス。
けっこう自信家。
【ミッツー】
名門の僧侶の娘。もちろん僧侶。
育ちが良いのか、礼儀正しい。
お転婆なコハのお目付け役になっている。
一風変わった魔法?を使う。
【ジュンジュン】
ハロモニア王国の僻地からやってきた大柄の少女。武闘家。
相方・リンリンとのコンビネーション技は高い完成度を誇る。
筋肉質な体躯を活かし、大きな得物・『青竜偃月刀』を軽々と操る。
【リンリン】
ジュンジュン同様、ハロモニア王国の僻地からやってきた小柄な少女。
相方・ジュンジュンとのコンビネーション技は高い完成度を誇る。
柔軟な体躯を活かし、『青竜刀』を器用に操る。
- 12 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:12:40.11 O
- 《登場人物8》
『輝く女神』
元・『暁の乙女』メンバーや他の部隊からのメンバーで結成された治安維持部隊。警察みたいなもの
【ヨッシーノ】
元・『暁の乙女』の隊長にして『輝く女神』のリーダー。
カッコつけのきらいはあれが、仲間思いの熱血漢。
【炎】の魔法で創り出したボールを蹴って操る・・・という、一風変わった戦闘スタイル。
スイッチが入ると別人格になることも。
【リカサーク】
『輝く女神』のサブリーダー。と同時に私設隊『美勇団』のリーダー。
頭の回転が良く、参謀役を務める。しかし、精神的に脆いところが難点。
植物を操る【土】の魔法が得意。
【コン】
元・『暁の乙女』のメンバー。設立以来の頭脳派として注目されるも、訳あって離脱。
その後、行方を眩ましていたが、最近になって突如、『輝く女神』に入団。
ヨッシーノやリカサークは歓迎しているが、入団した真意は如何に・・・
- 13 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:13:53.19 O
- 《登場人物9》
『美勇団』
リカサークが結成した私設団体。『美しく勇ましく戦う』ことをモットーとする。
メンバーの【エローカ】はトリッキーな戦い方を、【ユイヤン】はパワフルな戦い方を身上とする。
『女流怨鬼念火(めろんきねんび)』
ハロモニア国内の犯罪者取り締まり任務を請け負う。
安定した実力の【シバチャン=リア=ルガチャピン】、緻密なデータ分析を得意とする【ムラターメ=ラ=ゾーク】、
型にハマれば強い【マサエ=マサヲ】、ハロモニア随一の怪力の持ち主【サイトー=サン】・・・と実力者揃い。
その他・・・
【サトタ】【ア・ヤーカ】
『輝く女神』内でのサポート部隊。諜報活動、情報伝達を担当する。
- 14 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:15:03.66 O
- 《登場人物10》
『チーム・ノー・マーシー』
訳すると『無慈悲』。ハロモニア王国に復讐をすべく、ミキ帝が結成した。
【ミキ帝】
元・『暁の乙女』の隊長だったが、女王により解任される。そのことを恨んで復讐を企てる。
圧倒的な戦闘能力と好戦的な性格が人々の恐怖の的となっている。
【アヤヤ】
ミキ帝の親友にして、元・ハロモニア王国の傭兵部隊の隊長。
ミキ帝にひけをとらない戦闘能力とクレバーな頭脳を持つ。
【アベナッチ】
元・『暁の乙女』のエース。
相手の技を盗む特殊能力を持つ。
何故、ミキ帝達と行動を共にしているかは謎。
【ゴトー】
元・『暁の乙女』のエース。
金属を自由自在に形状変化させるという特殊能力を持つ。
何故、ミキ帝達と行動を共にしているかは謎。
- 15 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:18:22.72 O
- テンプレ終わりました。
初めての方のための質問も受け付け致します。
どうぞよろしくお願いします。
- 16 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:35:08.07 O
- そして、数分後と経たない内に、部屋から叫び声が響いた
「なんやて!?」
絶句したのはユーコ
今までのいきさつの中で、ヤグーが“失踪”したことを明らかにしたのだ
それを告げたヨッシーノの顔も、苦渋に満ちていた
ヤグーを溺愛していたユーコが、きっとこんな反応をすることは予測出来たから…
「…アッちゃんからそんな報告なんて、聞いてなかったで…」
肩を落としたユーコが呻くように呟いた
女王のお庭番・アツコもユーコを気遣って事実を言わなかったのだろう…
だが、それでもユーコは気丈に振る舞ってみせた
そして、
「…わかった…なぁ、他に重要なことを隠してないか?」
と、ヨッシーノ達に語りかけた
すると、メーグルが躊躇いながら、ユーコに重大報告を行った
「女王様…実は、ヤグーさんと同時に、『禁断の書』も見当たりません…!」
メーグルの一言に、その場の一同は声を失った…
と、同時に、ヨッシーノ達の視線は発言者のメーグルからユーコに移った
見ると、ユーコも今回の件にはさすがに動揺を隠し切れないでいる…
- 17 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:39:39.53 O
- 『禁断の書』が消えた…
「…ウソやろ!?」
明らかに動揺した面持ちで、再度メーグルに尋ね返したユーコ
だが、
「…いえ、事実です…」
と、振り絞るような声でメーグルは答えた
その答えに、ユーコのみならず、一同が沈黙してしまう…
そして、その衝撃の程は、直後にユーコが思わず頭を抱え込んでしまったことから容易に伺い知れた
暗く、重たい空気が部屋中を支配する
しかし、いつまでも続くと思われた沈黙がユーコの発言によって破られた
「…わかったわ。メーグル!『禁断の書』を最後に見たのは何時や?」
「…確か…ヤグーさんが居なくなる前です!」
少し考えて、ユーコが推論を述べた
「『禁断の書』を持ち出したんは多分…ヤグーやろな…」
その答えに、一同は驚いた
「…じゃあ…なんでヤグーさんは…?」
力なくメーグルがユーコに尋ねた
どうやら、いつもの頭の回転も、今回の件でうまく機能しないらしい
「簡単なハナシや…何か『弱み』を握られたからに違いない!」
「…『弱み』?」
一同の声が思わず上ずった
- 18 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:41:02.91 O
- 「そや…多分、ヤグは『弱み』を握られとったんやろな…『仲間』という『弱み』を…」
「『仲間』、ですか…?」
『弱み』の次は『仲間』…ヨッシーノ達の頭は混乱するばかり…
まだわからない様子の一同に、ユーコが答えを解説し始めた
「まぁ『仲間』っちゅうより『人質』やな。ヤグは『人質』を助けようとして、『禁断の書』を持ち出した…
あわよくば、ミキ帝達を『禁呪』で撃退しようとしてたんやろ…でも、それが失敗した…」
黙ってユーコの話を聞いていた一同だったが、ふと、メーグルが、
「…あの、『人質』って?」
と、ユーコに尋ねる
ヨッシーノも、
「…オレ達、誰一人『人質』を取られてないんですけど…」
と、続けた
「…確かに『あんたらの仲間』は人質に取られてないで…でも、ヨッシー…『ウチらの仲間』やったら?」
「…『ウチらの仲間』…?」
ユーコにそう言われて、ヨッシーノがハタと気付いた
「…あっ!」
「そう…そのまさか、や…」
ユーコが静かにそう言った
- 19 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:44:29.58 O
- 「…あの、ヨッシーさん…」
答えに気付いたヨッシーノに、メーグルが答えを求めた
「アベさんとゴッちんだよ…!」
苦々しい表情でヨッシーノは返答した
「アベさんとゴトーさん…ですか!?」
傍観していたエリカンも会話に参加する
「そや…あの二人や…」
そう言ったユーコが、してやられた…という表情をしていた
「…でも、これで大体のことがわかりましたね」
ふと、メーグルが洩らした
「…そやな」
その発言にユーコも相槌を打った
「どういうことですか?」
やや、話の筋道が見えていないヨッシーノは率直に答えを求めた
「…まず、アベさんとゴトーさんですが…あの二人は、何らかの理由でミキ帝達に操られています!」
「…!!」
ミキ帝達に操られていたマイミンとエリカンが反応する
「…確か、マイミンの話だと、ミキ帝達のアジトでアベさん、ゴトーさんを見たんでしょ?
…それも『匣』の中に入れられた…」
「…ああ」
メーグルの問いかけに、あの時のことを思い出しながらマイミンが返答した
「…その『匣』でわかったの…二人が操られている、ってね」
- 20 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:47:06.05 O
- 「…どうして、それがわかるの?」
操られていた時の記憶がすっぽり抜け落ちているエリカンは不思議がる
「…あの後、思い出したの。『禁断の書』の中に、『傀儡の術』があったのを…」
「『傀儡の術』…!?」
「そう…ある特殊な術を施して、『人形』…または『生き物』を操るものよ」
聞き慣れない言葉に首を傾げるマイミンにメーグルが解説した
「でも、その術と『匣』がどんな関係があるってんだYo?」
また次の質問が今度はヨッシーノから飛び出した
「『傀儡の術』の術には、かなりの精神力と集中力が必要です
ですから、術を長時間使うのは無理です
そして、もし、その操る対象が『生き物』だった場合、ちょっとした衝撃で術が解けるのを防ぐために、『匣』が作られたのよ
外界から入ってくる様々な『感覚』を遮断するよう…ね」
「…なるほど、ね」
メーグルの解説に一同が納得する
「…だとしたら、ヤグーさんはアベさんやゴトーさんが操られている、ってことを気付いて…」
「多分、なかったでしょうね…そして、動揺してる隙に…」
「…ミキ帝達に捕まってしまった…ってことか…」
「…そうね」
- 21 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:49:29.20 O
- 「…ちゅうことは、ヤグはミキ帝達の『人質』になっとるワケか…」
「そうなりますね」
「…じゃあ、『人質』を切り札にされたら、ウチらはあいつらに手も足も出ん…っちゅうワケやな」
「…悔しいですが、そうなってしまいます」
ユーコとメーグルが冷静にミキ帝達の今後の出方を分析する
そして―
「…よし!まずは『人質奪還』しかないな!」
ユーコが決断を下した
それに対し、一同が黙って頷く
「じゃあ、することは決まったから、後は作戦やな!…まずは、ヨッシー!」
「…ハイッ!」
「準決勝やけど…出来れば試合中にミキ帝達に揺さぶりをかけて欲しいねん」
「揺さぶり…ですか?」
「そや。試合で勝つのに越したことはないけど、こっちは向こうの“狙い”がわからんから…
それを、上手く誘導尋問して欲しいんよ…ヨッシーなら、出来るな?」
「ハイッ!」
「あと…ウチは可愛い“後輩”の手当てをしとくから、もし、何かあったら連絡するように!」
「「ハイッ!」」
- 22 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:51:35.92 O
- ユーコが立ち去ったのを見届けたメーグル達は緊張から解放され、ホッと一息をついた
だが、やらなきゃいけないことは山積みである
とりわけ、急務なのがミキ帝達に囚われたヤグー、アベナッチ、ゴトーの解放
人質をとられているとあってはりしゃこ達が『魔導大会』でミキ帝達相手に思い切り戦えるワケがない・・・
しばらく沈黙が続いた後、ようやくヨッシーノが切り出した
「次の試合・・・オレは勝負を捨てる」
部屋にいた誰もが唖然とした
「ヨッシーノさん!そんなこと・・・」
メーグルの言葉を遮り、ヨッシーノが続けた
「オレなりの考えなんだ。もし、オレ達が勝って、りしゃこ達も勝ってしまったら・・・あいつら、何をすると思う?」
「オレならやけくそになって大暴れ・・・!?」
ヨッシーノの問いに答えたマイミンがハッと気付く
「そう。自棄を起こされたら困るんだ。だから、油断させないとダメなんだ・・・あと少しで目標達成、だと」
「でも、リスクが大きすぎます!」
ヨッシーノの“決断”にメーグルが待ったをかけるが、ヨッシーノの決意は変わらなかった
- 23 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 11:55:58.72 O
- 「確かに勝負を捨てるのは惜しいYo・・・
でも、人質を奪還するためなら喜んで捨てさせてもらう」
その頑ななまでの決意に、メーグルが折れた
「わかりました。では、ワタシはりしゃこ達に今回の作戦の件を伝えに行ってきます」
そう言うと、メーグルはすぐさま部屋から出ていってしまった
「なぁ?アイツりしゃこ達の行き先なんて知ってるのかよ?」
「さーあ?」
ところ変わってりしゃこ達は―
「確かこの辺りなんだもん!」
「あっ!あったあった!」
「・・・けっこう、大きいね」
「・・・うん」
二人が訪れたのは双子のパパ・トールの邸宅
「たのもー!」
「バカッ!違うわよ!・・・『おはようございます』でしょ!?」
「えっ?だってマイミンが『他所様にお邪魔するときはこう言うんだ』って・・・」
「何言ってんの?それは『道場破り』に使う言葉よ!」
「どうしたんだい、朝早くから?」
「「わあっ!?」」
玄関の前でのすったもんだを聞きつけたトール自らが姿を現した
- 24 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 12:51:54.26 O
- 「えっ?・・・あ、あの・・・」
まさかのトールの登場になかなか言葉が出てこないミヤビ
それを尻目にりしゃこは
「おはよーございます!」
と挨拶してみせた
「やあ、おはよう!」
と、気さくに挨拶を返したトールが
「だいたい要件は察しがつくよ。キミのパパの件だろ?」
と、ミヤビの目的を言い当ててみせた
「ええ・・・アタシ、あの時、咄嗟にパパの魔法が使えたんですけど・・・
でも、また使えるか、不安だったんで」
「それで相談に来た・・・ってワケだね」
「あっ!そうなんです!」
「きっと相談に来ると思ってたから、待っていたんだよ。・・・ま、ここでは何だから、中へお入り」
りしゃこ達はトールに進められるまま、邸宅の中へと入っていった
中に通され、客間に案内された二人
「じゃあ、ちょっと待ってて」
と言われて、りしゃこ達はソファーに腰をかけ、トールを待つ
しばらくして、トールが古ぼけた本を手にして戻ってきた
「・・・あの、それは?」
恐る恐る尋ねるミヤビに
「これはね、炎の『魔法の書』だよ。
キミのパパに負けた時、悔しくってリベンジしようと思って勉強してたんだ。
・・・ちょっと使いそびれたけど」
- 25 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 12:53:57.48 O
- 「あ、あの・・・パパの『魔法』のことなんですけど・・・質問しても、いいですか?」
やや、遠慮がちにミヤビが尋ねた
「・・・あのパパの『魔法』なんですけど、ホントはどんな『魔法』なんですか?
アタシ、あの時、無我夢中で使えたんですけど、よくわからないんです・・・
また、使えるのか、心配なんです・・・」
ミヤビはこれから迎える準決勝戦、決勝戦に向けての不安な胸中をトールの前で曝け出したのだ
不安顔のミヤビに、トールは微笑みながら言った
「やっぱり、血は争えないね。瓜二つだよ、キミの『魔法』は・・・キミのパパのと」
「えっ?」
トールの意外な答えにミヤビは思わず素っ頓狂な声をあげてしまった
「うん。あれがほぼ『完成形』だよ。キミはきっと天才だな」
「いえ・・・そんな・・・」
トールの誉め言葉に、つい、顔を少し赤らめ、照れてしまうミヤビ
だが、トールは急に真剣な顔になって言った
「でも、キミなら気付いてると思うけど、あの『魔法』には“欠点”がある
それを何とかするのが課題だね」
その言葉に、ミヤビも神妙な顔つきになって
「ハイ」
と、頷いた
- 26 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 12:56:13.65 O
- 「ねーねーミヤー?“欠点”って?」
ミヤビとトールの二人だけの会話に退屈したのか、りしゃこが割って入った
「うん・・・」
「そんなの、わかり切ってるじゃん?」
「隙が大き過ぎるんだよね、隙が!」
「!」
言いにくそうにしていたミヤビに代わって、アイリーナとアイリーネの二人が答えた
「おい、二人とも・・・大丈夫なのか?」
「ん?もうへーきだよ、パパ!へーきへーき!」
「あんなへなちょこ魔法なんて、すぐ治っちゃうもんねー!」
『魔導大会』でりしゃこ達と“死闘”を終えたばかりだと言うのに、元気な姿をアピールしてみせた
が・・・
「怪我人はおとなしく寝てるもん!」
と、りしゃこに身体を突かれた途端、
「「!・・・」」
双子の憎まれ口も閉じてしまった
「だから言わんこっちゃない・・・ほら、おとなしくベッドで寝てなさい!」
と、トールにたしなめられながら、双子は部屋から“退場”していった
「でも、あの二人の言う通りなんですよね」
自嘲気味にミヤビがポツリと言った
しかし、トールはミヤビの言葉を否定する
「だからといって、そう悲観することはないよ」
- 27 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 12:58:05.15 O
- 「えっ?・・・だって・・・」
「いいかい?キミのパパが何故、ボクに勝ったのか、今から話すとしようか・・・」
遠い目をしながら、トールがゆっくりと語り始めた
「・・・あれはホント、してやられたよ。“若さゆえの過ち”って言うんだろうなきっと。
それまで、予選、本戦を相手を真っ向勝負でネジ伏せてきたボクは、決勝戦でもキミのパパ・・・
『ヒイロ』を勢いに乗じて“秒殺”しようと思ってたんだ
だけど、キミのパパはボクの考えを見透かすように、距離を取って戦ったんだよ・・・とても巧妙に、ね。
当時、『魔力』があり余っていたボクは自分の“力”を見せつけたくて仕方がなかった・・・
だから、彼の攻撃に怯むことなく、一直線に、とにかく攻めに攻めまくった
キミのパパは防戦一方だよ。それはボクとは違って、予選、本戦ともに僅差で勝った試合ばっかりだったからさ。
・・・でも、それが『罠』だった
肩で息をする彼を追い詰めたボクは最後の大技・『ウォーター・ハザード』で一気にケリをつけようとした・・・
でも、その瞬間、突然彼が“牙”を剥いた!その極限まで研ぎ澄ました“牙”を・・・!」
- 28 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 12:59:20.62 O
- 「ボクが最後の大技の動作に入った瞬間、彼も攻勢に打って出たんだ。
今まで防戦一方だったから、始めはやけくその玉砕戦法だと思っていた・・・でも、違った。
彼はまず、ボクに追尾式の火炎弾を放ったんだ。
それも、立て続けに、2発、3発と・・・
ボクの最後の大技には相当の“溜め”が必要だった。
だから、それまでに、ボクは彼を十分に弱らせたつもりだったけど、それは“ブラフ”だった。
執拗に迫ってくる火炎弾にリズムを崩され、結局、ボクは彼にとどめを刺すチャンスを失ってしまった。
そんなボクとは全く正反対に、彼にはチャンスが訪れた・・・隙だらけのボクを仕留めるチャンスを。
彼は火炎弾から逃れようとしているボクの前に立ちはだかって、さらに巨大な炎の剣で斬りつけてきた。
恐らく決勝戦のために隠してきた“切り札”だったんだろう・・・
見たことのない技に不意を突かれたボクは、そのまま連続して彼の技を受けてしまった。
そして、怯んだところを炎の鎖で動きを封じられて、最後は『スカーレット』でとどめを刺されてしまったよ。
結局、ボクは、彼の思う通りに操られてしまったワケさ・・・」
- 29 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 13:02:49.72 O
- 「あ、そっか!」
ひとしきりトールの話を聞き終えたミヤビが急に叫んだ
「隙がデカいなら、『逃げられない』ようにしてから当てればいいんだ!」
「その通り!」
答えがわかったミヤビにトールはニコッと笑った
「相手の動きを封じ込めたら、いくら隙がデカくても当てることは出来る、ってことね!」
「そう!・・・あとはキミのパパがボクにやったような手順で相手を追い込めばいいだけだよ」
ミヤビの導き出した“答え”にトールも満足気だ
「よかったね、ミヤ!」
「うん!」
悩み事が解決して、りしゃことミヤビの表情も、つい、綻んでしまう
「ありがとうございました!」
「いや、また、遊びにおいで!いつでも歓迎するよ!」
トールに見送られながら、二人は邸宅を後にした
「よし!悩み事も解決したことだし・・・りしゃこ、遊びに行こっか!」
「うん!」
悩み事も無事解決して、すっかり浮かれている二人の背後から突然、
「・・・そうはいかなくてよ!」
と、呼び止める声がした
「メ、メーグル・・・!?」
- 30 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 13:05:10.26 O
- 「お楽しみのところ申し訳ないけど・・・ミヤビ、今日はワタシに付き合って欲しいの・・・」
いつになく、真剣な顔つきでメーグルが言った
すると、
「やだ〜っ!ダメ〜ッ!」
突然、りしゃこが癇癪を起こした
「ち、ちょっと!りしゃこ、落ち着いて!」
いつものりしゃこらしくない様子にミヤビが慌ててなだめた
「ま、待って!りしゃこ、そんなに怒んなくても・・・」
予想外のりしゃこの抵抗にメーグルも狼狽える
が・・・
「・・・ミヤとメグは二人っきりでイチャイチャするんだもん!?」
りしゃこの言葉に、刻が止まった・・・
「あ、あのねえ・・・」
脱力し切ったメーグルがため息をついて口を開いた
「・・・いいこと?ワタシはミヤビとイチャイチャするつもりはないわよ!
明後日の準決勝の打ち合わせに“付き合って”っていう意味だったのよ!」
拍B*‘ o‘リ アバッ
てっきり、“二人っきりの密会”だと思っていたりしゃこは、思わず驚きの声をあげてしまった
「ホント、そそっかしいんだから・・・」
「ゴメンね、メグ・・・」
ミヤビにたしなめられて、申し訳なさそうに謝るりしゃこだった
- 31 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 13:09:17.69 O
- 「ゴメンね、りしゃこ。とても大事なことだから、ミヤビを借りるけど、いい?」
「・・・うん!」
「じゃあ、ミヤビ、ちょっと場所を移すよ」
「・・・ええ」
メーグルに連れていかれる格好でミヤビはりしゃこと別行動することになったが、
別れ際、ミヤビは、りしゃこがふと寂しそうな表情をしたのが気になった
「・・・行っちゃった」
独りぼっちになったりしゃこがポツリと呟く
そして、行くあてもなく、街の大通りをトボトボと歩き出した
行き交う人々が、家族や恋人同士でとても楽しそうにしているのを見てると、
りしゃこは不意に切なさを感じた
ハロモニアに来てからの忙しい日々の中で忘れていたが、『親捜しの旅』ということを思い出したのだ
『魔導大会』が終われば、りしゃこ達の旅も終わる
そうなったら、きっと、目的を果たしたみんなは、自分達の『家族』の元へ帰ることだろう
でも、『家族』のいない自分には、帰る場所はあるのだろうか・・・
そう思うと、りしゃこは胸苦しさを覚えて、思わず泣き出しそうになった
- 32 名前:名無し募集中。。。 :2008/05/11(日) 13:25:32.73 0
- 乙
- 33 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 14:06:43.29 O
- >>32
乙であります
平日は保全もままならないので、ここぞとばかりに蔵出ししてます
- 34 名前:名無し募集中。。。 :2008/05/11(日) 15:50:07.26 0
- がんばってね
- 35 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 16:15:53.70 O
- >>34
ええ。ストックが尽きるまで。
- 36 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 17:06:26.11 O
- すると、突然、
「あ、おねえちゃんだー!」
人通りの多い中で、子供達の叫び声がした
「あー!ホントだー!」
「ホントだー!おねえちゃんだ!」
きっと、仲の良い姉妹が久しぶりの再会を喜んでいるのだろう
でも、自分には関係ない・・・と思い、りしゃこは気にも留めなかった
・・・が、
「おねえちゃ〜ん!」
ドスッ!!
直後、りしゃこの背中に鈍い痛みが走った
バランスを崩し、思わず、前につんのめってしまう
「痛〜い!」
すると、そこへ、今度は急に背中が重くなっていくのを感じた
「ぐえ・・・」
のしかかる重力の前に、りしゃこはまるで潰れたカエルのような呻き声をあげ、その場から動けなくなってしまった
何が起きたのか、さっぱり理解できてないりしゃこの耳に、今度は、
「こら〜!」
と、迫力のない怒鳴り声が聞こえてきた
「何やってんのよ、あんた達!ダメじゃない、人様に迷惑かけちゃ!」
(『何やってんのよ!?』はこっちのセリフだもん・・・)
やさぐれてしまい、つい、心の中で悪態をついてしまったりしゃこ
だが、怒鳴り声をあげた人物は意外なことを口走った
- 37 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 17:08:03.17 O
- 「あ〜っ!りしゃこじゃ〜ん?おっぱよー♪」
「・・・あいさつはいいから・・・弟妹を早くどけるもん・・・」
「あっ!ゴッメ〜ン!・・・こら、あんた達!早くりしゃこからどきなさい!」
「「ハ〜イ」」
りしゃこが耳にした“声の主”はコハだった
『魔導大会』の一回戦で戦って以来の再会になる
「ふぅ・・・」
“重力”から解放されて、すっかり疲れ切った声を洩らすりしゃこに、
「準決勝進出、おめでとー!」
と、言うや否や、弟妹達の代わりにコハが突然、抱きついた
「ぐ、ぐるじいもん・・・」
コハ達の波状攻撃に、先程まで元気だったりしゃこがぐったりとしてしまった
「だ、大丈夫!?」
「大丈夫じゃないもん・・・」
「ゴメンね!つい、嬉しくって・・・」
ぐったりとしたりしゃこを介抱しながら、コハが答えた
「・・・ところで、コハはどこ行くつもりだもん?」弟妹達を大人数引き連れたコハに疑問を持ったりしゃこが尋ねた
「うーんとね、みんなでお見舞いに行くんだよ!」
「お見舞い!?」
コハの言葉がりしゃこの好奇心に火を点けた
- 38 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 17:11:03.30 O
- 「お見舞いに行くんだもん?」
「そう、だけど・・・何か?」
異様に瞳をキラキラと輝かせているりしゃこを見て、コハは不吉な予感がした
(もしかして・・・余計なコト、言っちゃった☆カナ?)
そして、それは現実となった
「行く!」
「『行く!』・・・って、どこに?」
「お見舞いに、だもん!」
繁リ;o´ゥ`リ
(マ、マズい☆カナ?・・・センパイのお見舞いに“問題児”を連れて行ったら・・・大変だ〜!)
「ア、アハ・・・で、でもぉ、お見舞いってぇ〜案外たいくつで面白くないかも〜?」
そう言うことによって、なんとかりしゃこをお見舞いから遠ざけようとしたコハ
だが、りしゃこの“嗅覚”はコハの“嘘”の匂いを嗅ぎ分けた
「やだ!りーちゃんも行く!」
「ねーちゃん!りーちゃんもいっしょでいージャン?」
「そーだよ!いージャン?」
「いージャン?いージャン?スゲージャン!?」
弟妹達もりーちゃんの“同行”を後押しした
(ハァ・・・)
心の中でため息をひとつついたコハは、英断?を下した
「・・・わかったよ。いっしょに行く☆カナ?」
「行く〜!」
- 39 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 17:40:23.51 O
- 大多数の軽やかな足取りと、一人の重たい足取りが入り混じりながら、ハロモニア城までの道のりを進んでいく
(なんで・・・こうなっちゃったの☆カナ?)
つい、口が滑ったことを後悔しながら歩を進めるコハ
コハとりしゃこ・・・
二人は『魔導大会』で初めて出会ったのだが、コハの、りしゃこに対する第一印象は、
“大きな子供”という言葉がピッタリの“わがままっ子”であった
それが、再会していきなり『お見舞いに行く!』と駄々をこねた時点で見事に立証された訳であり、
これでは、『暁の乙女』見たさに『お見舞いに行く!』と駄々をこねた弟妹達と精神年齢が何ら変わりはないことになる
コハが
(先が思いやられるよお〜!)
と、軽く凹んでしまうのも仕方のない話だ
しかし、無情にも、コハ達はハロモニア城に到達してしまう
(ハァ・・・みんな・・・センパイ達に失礼を働かない☆カナ・・・?)
城門に入る前に、コハはまたしてもため息をひとつついたのだった
コハが城門をくぐり抜けると、門番の衛兵に許可をもらって、りしゃこ達を招き入れた
「いい、みんな?センパイ達・・・『暁の乙女』のおねえちゃん達はケガしてるから、
あまり騒いだり暴れたりしちゃダメよ?」
- 40 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 17:44:57.36 O
- 城門をくぐり抜け、場内の地下室へと一行は向かった
「ねぇー?マダー?」
「つかれたよー!」
「もお〜・・・もう少しだからガマンしてよ〜!」
愚痴る弟妹達をなだめながらコハが地下室の通路を道先案内する
「ホラ、みんな!ココだよ、ココ!」
コハが歩みを止めた場所は、重厚な扉の前であった
「いい?くれぐれもセンパイ達の迷惑にならないように、ね?」
「「うん!」」
弟妹達に混じってりしゃこも頷いた
コンコン!!
「失礼しまぁ・・・!?」
バタンッ!!
中を覗いたコハが突然、踵を返して弟妹達の方を向き直った
「ねぇー?どーしたのー?」
「おねえちゃーん?アタシ、お姉さんたちに早く会いたーい!」
「・・・あ、あの、ちょっと・・・今はダメ☆カナ?」
コハは弟妹達の催促を何とか躱そうとするが、けっこう長い時間歩き詰めの弟妹達の不満を解消できそうにない
そこへ、突然、
「失礼しまぁ〜す!」
「あっ!らめぇ〜!」
隙を突いて、りしゃこが“実力行使”に打って出た
ところが・・・
バタンッ!!
りしゃこもコハ同様の行動をとってしまった
- 41 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 17:47:15.63 O
- 「ねぇねぇ?どーしたの?」
「え?べ、別に・・・どうもこうもないないない・・・」
弟妹達の問いかけに必死に弁明するコハ
「とにかく・・・今はダメ、なのよ!」
「えーっ!?」
「いージャン、別に!」
「行こ行こ!」
「あっ!こらっ!」
コハの制止を振り切って、数に優る弟妹達が医務室に“突入”する
「失礼しまぁ〜す!」
ガチャッ!!
部屋に入って弟妹達が見たものは・・・
「ガキさんガキさん!・・・キャメが痛いところを擦ってあげます!」
「コ、コラー!?・・・そこはダメだって!」
「いいじゃないですか〜♪減るもんじゃないですし〜♪」
「・・・やっ!ダ、ダメ・・・」
「ヘッヘッヘッ・・・口ではそうは言ってても、カラダは正直だな♪」
「アイちゃん・・・サユミンのカラダの火照りを冷ましてぇ〜ん♪」
「ケガしてるんだからカラダが火照るのは当たり前やよ!
さ、早くベッドから出るんやよ!」
「アイちゃん・・・サユミンのコト、キライなんですか・・・?」
「別に・・・好きも嫌いも・・・」
「やなのやなの!サユミンやなの!・・・『好き』って言ってくれなきゃやなの!」
「・・・知らないわよ!」
- 42 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 17:48:59.43 O
- コハの弟妹達の目の前で繰り広げられてたのは『暁の乙女』の“裏側”であった・・・
まさか、年頃の乙女達がベッドの上でちちくりあっているとは思ってもみなかったので、
コハとりしゃこはつい、その場を離れてしまったのだ
「不潔・・・!」
「だもん・・・!」
しかし、乙女達が何をしているのかわからない弟妹達は、しばし、その場で硬直したまま一連のやりとりをポカーンと眺めていた
そして、コハとりしゃこの方を向き直り、
「ねぇ?お姉さんたちってすごく仲良しなんだね!」
「ホントだー!」
「いいなぁー!アタシもいっしょのベッドで寝たい!」
と、のたまった
コハとりしゃこは弟妹達の勘違いにホッと胸を撫で下ろした
あれが“痴情”であることに気付かれずに済んだ・・・と
しかし、それも束の間、
「アラ?あなた達は・・・?」
小さな“侵入者”達に隊長のアイオーラが気付いた
「あわわ・・・ス、スミマセンッ!・・・この子達、アタシの弟妹達なんです!」
コハはすごい勢いでアイオーラの元へ行くと、大きく頭を下げて、いきさつを話し始めた
- 43 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 17:50:58.73 O
- 「へぇ〜!そうなんだ!みんなでお見舞いに来てくれたのね!」
突然、何の許可もなしにお見舞いに訪れたことで、てっきり大目玉を食らうかと思っていたコハにとって
いつもは真面目で規律にはうるさいアイオーラの、今回の反応は意外だった
それどころか、
「せっかくだから、みんなで遊びましょっか!?」
と、嬉しそうに言った
その言葉に、弟妹達は大いに沸き返った
「えーっ!?ホント!?」
「わーい!やったぁ!」
「遊ぼ!遊ぼ!」
「・・・ちぇっ。もっとガキさんとイチャイチャしたかったのになぁ〜・・・残念!」
「コラー!文句を言わない!・・・さ、早くどいたどいた!」
「ハイハ〜イ!」
「隊長・・・ホントにスミマセンッ!」
「いいんやよ。あっしは子供達は好きだし・・・それに・・・」
「・・・それに?」
「子供達との遊びは、女王様に治して頂いた身体のリハビリにもなるし・・・ね!」
「・・・!ありがとうございますっ!」
「じゃあ、みんな!これから子供達と中庭で遊びに行くやよ!」
「「ハーイ!」」
隊長の“命令”に従って、乙女達はいそいそと身支度を始めた
- 44 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 18:26:59.51 O
- 「じゃあね、みんな!何して遊ぼ?」
中庭に到着するなり、隊長のアイオーラが子供達に質問する
「鬼ごっこ〜!」
「かくれんぼ〜!」
「なわとび〜!」
子供達も、めいめい好きな遊びをあげていく
「じゃあ、最初は鬼ごっこね〜!」
「「ハーイ!」」
かくして、『暁の乙女』達と子供達によるリハビリを兼ねた遊びが始まった
「ほーら♪つっかまえたー♪」
「きゃあ!」
「ホラホラホラ!つかまえちゃうぞ〜♪」
「ガキさんガキさん!とってもお似合いです♪」
「コラー!キャメ!なんてことゆーの!」
「隙あり!」
「ぐぎゃあ!」
「ちょっと、あんた達!お姉さんにカンチョーしちゃダメ☆カナ?」
「・・・コハ、アンタでしょ!?子供達にカンチョーを教えたのは・・・!」
「え?いや、あの・・・アタシじゃない☆カナ?」
「ウソおっしゃい!」
「そうですよ、コハ先輩。ウソは良くないですよ」
「あ!ミッツー!告げ口したわね!」
「えーっ!?そんなことしてませんよー?」
あっという間に大人も子供も関係なく、思い切りはしゃぎ回ったのだった
そして、その様子をずっと見ていた“影”の存在が・・・
- 45 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 18:35:43.60 O
- 『暁の乙女』達と子供達が無邪気に遊び回っている中、その様子をずっと見ていた“影”の存在が・・・
「ハァ・・・キラリちゃんに会いたいニャア・・・」
物陰から、一人ため息をついていたのはレイニャだった
「『魔導大会』は惜しかったけど、とってもカッコよかったニャア!
『最大奥義!きらりん☆彡レボリューション!』
・・・なんちゃって♪」
手にした鉤爪を魔法の杖に見立てて軽やかに振り回す・・・
どうやらレイニャはキラリちゃんがすっかりお気に入りのようだ
「それにしても、あのフリフリの衣装・・・とっても可愛かったニャア・・・!」
独り言を呟いているレイニャの瞳はうっとりとしていた
「でも、キラリちゃんが出てくるのは、いっつもコハの側からなんだニャア・・・
不思議なんだニャア」
レイニャはコハとキラリちゃんが同一人物だと気付いていないらしい・・・
「あぁ・・・キラリちゃんに会いたいニャアー!」
今度は絶叫とともに、キラリちゃんに会えないじれったさから床の上をゴロゴロと転げ回り始めた
傍から見れば、明らかにイタイ子である・・・
- 46 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 19:30:07.27 O
- 「コラー!何やってんの!?」
「フニャア!」
見境なしにゴロゴロと床を転げ回ったせいでレイニャはガキシャンに見つかってしまった・・・
「レイニャ!あんたは場内の見回り当番でしょ!?」
「ハイニャ・・・」
「いい?場内の見回りも『暁の乙女』の大事な仕事なのよ?」
「ううう・・・」
「まあまあ♪あまり怒りすぎると小ジワが増えますよ・・・女王様みたいに♪」
レイニャを叱りつけていたガキシャンをキャメイがなだめる
・・・が、
「ほほう♪」
キャメイの背後から不気味な笑い声がする・・・
しかも、その声はちっとも笑っていなかった・・・
「誰が『小ジワだらけのババァ』やて!?」
声の主はキャメイの首根っこをムンズと掴んだ
「・・・えーと、誰でしたっけ?アハハ・・・」
引きつった笑顔を浮かべながら、キャメイは恐る恐るゆっくりと後ろを振り返った
もちろん、背後にいたのは女王・ユーコその人だった
「ほほう♪陰口を叩くのは、この口か?この口か?」
「・・・ごめんなひゃい!いひゃい、いひゃいでひゅ!」
- 47 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 20:32:08.65 O
- 「女王様!今日は何の御用で?・・・事前におっしゃってたらワタシが伺いましたのに」
「ん?アイちゃん、そんな畏まらんでええよ。今日はこの娘に用事があったんや」
そう言って、キャメイの頬っぺたをつねっていた手を離し、代わりにりしゃこの腕を掴んだ
「え?」
「悪いけど、ちょっと借りるで!」
「「どーぞどーぞ!」」
「「おねえちゃんいってらっしゃーい!」」
「あ、ちょっと待つもん!」
「ええからええから♪」
たじろいでいるりしゃこをよそに、ユーコは腕を引っ張り、とある場内の一室に連れ込んだ
「お待たせ〜♪」
バタンッ!!
図らずもりしゃこは密室に連れ込まれてしまった
「ど、どういうつもりだもん!?」
「どうもこうも・・・りしゃこ、あんたと二人っきりになりたかったんや」
ユーコはそう告げると、今度はおもむろに着ていた服を脱ぎ始めた
「・・・へ、変態!やだ!やだもん!」
りしゃこは狭い密室の中を逃げ回ろうとした
しかし、部屋の扉はユーコの背後にあり、ユーコを“攻略”しなければ脱出するのは不可能だ
りしゃこの抵抗などお構い無しに、半裸になったユーコがゆっくりと、りしゃこに近づいていく
- 48 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 21:45:26.30 O
- 「やだやだ〜!来ないで〜!」
無我夢中で喚き叫ぶりしゃこ
しかし、ユーコはりしゃこの顔を両手をしっかりと押さえつけながら語った
「ゴメンな・・・でも、りしゃこ・・・あんたに知って欲しいことがあるんや」
そう言って、りしゃこの目の前に、肌が露になった姿を曝け出す
「・・・!」
ユーコの姿を間近で見たりしゃこは声を失った
最初はパニック状態ではっきりとユーコの身体を見ていなかったが、今、落ち着いて見てみると、
ユーコの身体の至るところには、どす黒い紋様が凶々しく浮かび上がっていたのだ
「これはな・・・ウチの“魔力”を奪っていく“呪いの印”なんや」
静かにユーコが語り出した
「今から1年前ぐらいからやな・・・初めてコイツが身体に現れたんは
最初は、なんか痣ぐらいにしか思てなかったけど、
それが日を追うごとに増えていって・・・今じゃ身体全体に広がってしもたわ」
何故、ユーコはこんなことを自分に語りかけるのか、りしゃこにはさっぱりわからなかった
だが、ユーコの一言でそれが理解出来た
「こんなヤツに“魔力”を奪い取られる前に・・・りしゃこ、あんたにウチの“魔力”を託す!」
- 49 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 21:47:17.91 O
- 「アタシに・・・“魔力”を・・・!?」
りしゃこは、以前から自分が、女王の“魔力”を受け継ぐべき“器”であることをヤグーやメーグルから聞かされてはいたが、
いざ、改めてその“魔力”を受け継ぐこととなった今、その心の準備が出来ないでいる
「あの・・・ワタシ・・・」
ユーコに何かを言おうとして、それが言葉に出来ず戸惑っているりしゃこ
「わかってるよ・・・ゴメンな!あんたに重い“荷物”を託してしまうけど・・・
不安やねんな・・・ウチも先代から引き継いだ時はそうやったから」
ユーコはりしゃこの頭を優しく撫でて、軽く抱き寄せた
「でもな、ウチの“魔力”を託しているんはあんただけやないんやで!」
神妙な顔つきをしていたユーコの表情が少し綻ぶ
「ここだけの話やけど、『大会』でケガしたみんなの身体を治すフリして、少しずつ“お裾分け”はしてるんよ・・・こっそり、な!
でも、残りの全部はりしゃこ・・・あんたに託す
あんたは“特別な娘”やから・・・」
ひとしきり語り終えると、ユーコはりしゃこの両手をギュッと握りしめた
「ウチの“宝物”・・・受け取ってくれるな?」
- 50 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 22:10:23.50 O
- 「・・・うん!」
ユーコの問いかけに、りしゃこは力強く頷いた
「よしっ!ええ娘や!」
ユーコはりしゃこの両手を掴んで言った
「ええか?別にそんなキンチョーせえへんでええからな・・・
ウチが流す“魔力”を・・・う〜ん・・・どない言うたらええんやろ?
ま、とにかく、大きく息をスーッと吸い込むイメージで受け止めたらええわ!
ホナ、いくで!」
ユーコの合図に従って、りしゃこは目を閉じ集中し始めた
するとやがて、ユーコが掴んだ両手の部分から温かいぬくもりを感じ始める
きっとそれこそがユーコが女王となって以来護り続けてきた“魔力”なのだろう
その“魔力”が、まるで磁石のように、自然とりしゃこに引き寄せられているのがわかった
そして、流れ込んでくる“魔力”に、りしゃこは不思議な感覚を覚えた
―何故かとても心地よく、そして、懐かしい・・・
その感覚に身を任せていると、次第に何故か昔の色んな思い出がフラッシュバックしていく
それと同時に意識は遠退いていき・・・
気が付けば、りしゃこはユーコに抱き抱えられていた
- 51 名前:名無し募集中。。。 :2008/05/11(日) 22:12:48.55 0
- 乙でーす
- 52 名前:名無し募集中。。。 ◆LUGh2GKwx2 :2008/05/11(日) 22:12:53.96 O
- 「・・・ん」
「お!目ぇ覚ましたんか?・・・どや、気分は?」
「・・・よくわかんないもん」
「う〜ん、そうか・・・ウチの場合はけっこう気持ちよかったけどなぁ〜
で、なんか変わったことはなかったか?」
「・・・夢を見てた」
「・・・夢?」
「うん・・・なんか夢を見てた気がするもん・・・」
「・・・!やっぱり!」
「えっ?」
「いや、ウチもな、昔に“魔力”を引き継いだ時に昔の色んな記憶を思い出したんよ!
もう、ずっと忘れてた子供の頃の記憶なんかまで、な」
ユーコの発言にりしゃこは違和感を感じた
(・・・ない!・・・アタシには、ない!)
ついさっきまでの記憶を辿ってみるが、それでもりしゃこには思い出せない
子供の頃の記憶が!
りしゃこが覚えている子供の記憶は今から2〜3年くらい前まで・・・
そこから先は、いくら記憶の糸を辿っても思い出せないのだ!
もし、ユーコが言うように、昔の記憶がフラッシュバックしていくのであれば、当然記憶しているハズなのに・・・
「ん?どうかしたんか?」
「えっ!?・・・何でもないもん!」
ユーコの呼び掛けに、りしゃこは慌てて返事をした
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