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黒魔術師りしゃこ(45)【州*‘ -‘リ】

1 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 09:12:19.33 O
       ___
      `ヽ,  `ヽ
      _,, ‐''"-‐-ヽ-‐、
     ( _.;/oノハヽo));ノ
         州*‘ o‘リ  あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば
          /^^>介<ヽ
ミミミミ、    /__ソ ヽ/~).ヽ
ミミミ}〉》ヨ≠=====し'J========
.三彡"   `´⌒⌒⌒^´^`


2 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 09:33:37.25 O
《登場人物1》
州*‘ -‘リ【りしゃこ】
主人公。魔法使いの卵。
天涯孤独で孤児院にて育つ。
『母親に会いたい』という夢を叶えるため、優勝者の願い事が叶うという『魔導大会』に参加するべく旅に出る。
『光』の魔法使い。
ノノl∂_∂'ル【ミヤビ】
魔法使い見習い。
りしゃこと同じく孤児院で育つ。
りしゃこのお姉さん役。
『炎』の魔法使い。
川´・_・リ【サキ】
りしゃこやミヤビの監視役兼保護者。
『水』の魔法使い。
ル*’-’リ【モモ】
りしゃこ達が旅の途中で出会い、行動を共にする。忍者。
『火』の忍法を扱う。
从o゚ー゚从【マァ=サ】
母性愛溢れるマッチョ妖精。魔法よりも肉弾戦が得意。
【土】の魔法を使う。
从*’w’)【マイハ】
華奢な妖精。マァとは対照的に魔法が得意。
【氷】の魔法使い。
川*^∇^)|【ユリーナ】
エルフ。 性格はかなり気まぐれでマイペース。
【雷】の魔法使い。
从*´∇`)【チナリ】
エルフ。人懐っこい性格だがやや騒々しい。
【風】の魔法使い。

3 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 09:42:47.23 O
《登場人物2》
从*・ゥ・从【マイミン】
武闘家。とても強いがあまり頭はよろしくないのが玉に瑕。
【炎】の魔法を知らず知らずのうちに使っている・・・
リl|*´∀`l|【エリカン】
マイミンのパートナー。常識人だが、実はマイミン同様、あまり頭はよろしくない。
【氷】の魔法使い。
洲*` v ´)【アイリーナ】
州´・ v ・)【アイリーネ】
双子の天才魔術師。双子ながら性格は正反対で、アイリーナは勝ち気、アイリーネはおっとりしている。
【水】の魔法使い。
リ|*‘ヮ‘)|【メーグル】
占い師兼魔術師。訳あってりしゃこの旅を陰ながらのサポートをしている。
【水】の魔法使い。
リ ・―・リ【チッサー】
りしゃこ達が初めて訪れた街で出会った元気いっぱいの女の子。商人の娘。
ノソ*^ o゚)【ナッキー】
りしゃこ達が途中で出会ったメイド。なぜかトラブルに巻き込まれやすい。
ノk|‘−‘)【カンニャ】
大富豪の一人娘。無口で寂しがり屋。そのためか、性格はかなりエキセントリック。
(o・ ・)【マイ】
子供であることすら武器にする計算高い悪戯っ子。温泉宿の娘。頭の回転の速さは大人顔負け。

4 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 09:46:44.07 0
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: ::::::::::: * 。+ ゚ + ・
          ∧ ∧.  _::::。・._、_ ゚ ・  糞スレだから直ぐ落ちるのもしかたないさ
         /:彡ミ゛ヽ;)(m,_)‐-(<_,` )-、 *
  >>1  → / :::/:: ヽ、ヽ、 ::iー-、     .i ゚ +
        / :::/;;:   ヽ ヽ ::l  ゝ ,n _i  l
   ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄E_ )__ノ ̄

5 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 11:05:32.31 O
《登場人物3》
【ユーコ】
女王。怖い。『救世主』としてりしゃこを呼び寄せる。
【ヤスス】
女王に仕える大臣。苦労人でいい人。
【アツコ】
女王のお庭番にして忍者。諜報活動で女王の手助けをしている。
【ヤグー】
元・ハロモニア王国の特殊部隊・『EX=ZYX』の長官。黒幕?

※『暁の乙女』
王都ハロモニアを守護する女の子だけの警護隊。女の子達の憧れの的の存在。
【アイオーラ】
現・隊長。剣士。基本に忠実な正統派。
【ガキシャン】
現・副隊長。剣士。努力の人。多彩な技を持つ。
【レイニャ】
特攻隊長。半獣人。忍者。自慢のスピードで相手を撹乱する。
【キャメイ】
正規兵。行き当たりばったり・・・もとい、臨機応変な戦いを得意とする。
【サユミン】
正規兵。腹黒い・・・もとい、緻密に計算された戦いを得意とする。
【コハ】
孤児院で生まれ育った平凡な村の娘・・・だが、コハには大きな秘密が・・・
【キラリちゃん】
コハのもう一つの顔。
数少ない【光】の魔法を使う魔法少女。けっこう自信家。
【ミッツー】
名門の僧侶の娘。摩訶不思議な法力を使う。
【ジュンジュン】【リンリン】
武闘家コンビ。ジュンジュンが剛、リンリンが柔の技を使う。二人のコンビネーションは息ピッタリ。

6 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 11:18:16.96 O
ゴトーに向けて放った魔法をいとも簡単に斬り捨てられて、愕然とするミヤビ

しかし、幸か不幸か、火球を放ったことで、ゴトーの視界にミヤビが入った
一瞥をくれた後、一歩、また一歩とミヤビの方へと歩を進めてきた

(ここまではメーグルの計画通りだけど・・・どうしよう・・・あんな化け物相手にどうやって攻めれば・・・?)
闘技場内にいるであろうメーグルの姿を探すべく、外に目を向けたミヤビ

その刹那、ゴトーが動いた!

ヒュンッ!!

ほんの僅かな隙をついて、ゴトーが早業の一撃をミヤビに食らわせた!

「うっ!?」
肩口に走る激痛に、思わず悶絶するミヤビ
痛む箇所に手をやると、生ぬるい感触がした
血だ・・・
見てみると、鋭利な刃物で切られたような綺麗な傷痕だった

(まさか、あんな遠くから!?)
ミヤビが驚くのも無理はない
現時点での二人の間合いは20〜30mはあろうか、という距離だ
見たところ、ゴトーの得物は手にした金属片ただひとつ
物理的には攻撃を届かせるのは不可能だ
だが、事実、ミヤビは傷を負った・・・

(やっぱり、化け物なの!?)

7 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 11:22:09.16 O
慌てふためくミヤビを嘲笑うかのように、ゴトーは少しずつ距離を縮めていく
そしてまた、手にした金属片を振るう

ヒュンッ!!
「痛っ!」
鋭い痛みがミヤビの大腿に走る
手をやると、先程と同じく鋭利な刃物で切られた傷痕が・・・
「こ、来ないでっ!」
恐れのあまり、後退りを始めるミヤビ
すると、ゆっくりとした歩調のゴトーが少しずつ歩を早めてきた
「いやぁーっ!」
堪らずミヤビは火球をゴトーに放つが、その抵抗も虚しくゴトーの一振りによって掻き消されてしまう
(どうすれば・・・どうすればいいの!?)

一方、アベナッチと対峙しているりしゃこは・・・

「えいっ!」
「・・・フシギダナ」

ボンッ!!

「また相討ち、だもん・・・」
りしゃこの放つ魔法の数々がアベナッチの魔法に次々と相殺されていく
「こんなこと続けてても意味がないんだもん・・・メーグルは何を考えているんだもん!?」
同じことの繰り返しに、りしゃこは徐々に苛立ちを覚え始める・・・
「ええいっ!・・・このっ!」
苛立ちが頂点に達した時、りしゃこはアベナッチに向けて今までの倍の魔力を込めた魔法をぶっ放した!

8 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 11:38:56.20 O
苛立つ感情に任せて放った炎の魔法は勢いよくアベナッチに襲いかかる!
「いけぇーっ!」
会心の手応えに思わずりしゃこも叫んでしまう
燃え盛る炎はみるみるうちにアベナッチを包み込んでゆく・・・
「やったもん!」
予想以上の結果にりしゃこは大喜びする・・・が、その喜びはやがて驚愕へと変化する

「・・・ステキダナ」
アベナッチを包み込んでいた炎は勢いが弱めたかと思うと、アベナッチの両手に納まっていった
そしてその炎をそっくりそのままりしゃこへとお返しした
「えっ!?」
りしゃこの放ったそれよりも激しく燃え盛る炎がりしゃこに襲いかかった!
「きゃあああーっ!」


そして、ハロモニア城・某所―

りしゃこ達が苦戦する様に満足気な笑みを浮かべる者がいた
「うん!完璧ですぅ!
あとはあの二人の心さえ折れてしまえば・・・」
アベナッチとゴトーを操る者・コンは計画通りに事態が進行してることに満足していた
その後の自分の運命も知らずに・・・

9 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 12:03:22.97 O
「でも、呆気ないですねぇ〜♪私達の”世界征服計画”もこんなに簡単に達成しちゃうなんて♪」
「そうだな・・・ホント、呆気ないなぁ〜」
「!?」
「やっと尻尾を捕まえたよ、]](ダブルクロス)・・・いや、コンちゃん!」
「!!」

まさかの女王・ユーコ自らの登場に、図星を突かれたコンは言葉を失った
「コンちゃん・・・『何で!?』って顔しとるけど、ウチにはあんたらの計画ぐらいはお見通しや!」
「!!」
すぐに言葉が出て来ないコンを尻目に、ユーコは言葉を続ける
「昨日もウチらのミーティングに上手く潜り込んたつもりやったみたいやけど、バレバレやったで」
「・・・女王様、いつ頃からお気付きになってたんですか・・・?」
動揺する気持ちを抑えながら、コンはユーコに問いただした
「そんなんあんたらがアジトの偵察から帰ってきた時からや!
うまく“変装”したつもりやろけど、生憎ウチはもう何年も女王やっとるんや
あんたがサトタとすり替わったことくらいすぐわかるよ」
「・・・そうでしたか・・・滑稽ですよね、ワタシ・・・」

10 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 14:13:24.42 O
「コンちゃん、あんたがミキ帝達とつるんで何を企んでるか、ウチにはわかる・・・」
「・・・」
「せやけど、アホなことはやめとき!“アレ”はあんたらの手に負える代物とちゃう!
下手したら、この世界さえ破滅させる“パンドラの箱”や!
悪いこと言わへんから・・・考え直すんや!」
押し黙るコンに、ユーコが諭す

だが・・・
「ごめんなさいっ!・・・もうワタシ、後戻りできないんですっ!」
そう言うや否や、コンはユーコの隙を突いて“物見の塔”の小部屋から出ていった
(逃げなきゃ・・・早く逃げなきゃ!)
城の中心部へと繋がる階段を足早に駆け降りていくコン
息を切らせてもつれる足に喝を入れながら、ただひたすら長い階段を駆け降りていった

そして、ちょうど連絡通路に差し掛かった時だ
「待ってたよ、コンコン・・・」
「アイちゃん・・・ガキさん・・・!?どうして、ここに!?」
コンの視界に飛び込んできたのはかつての同期・アイオーラとガキシャン・・・そして、後輩の『暁の乙女』のメンバー

コンを目の前にして、哀しげな表情をしながらアイオーラとガキシャンはコンに“宣告”した
「女王様の命令・・・」
「“謀反人”・コンを捕縛せよ・・・」

11 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 15:49:25.47 O
休憩中

12 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 17:20:17.53 O
かつての同期であり、旧友であるアイオーラ・ガキシャンとの邂逅・・・
ただ、それは非情なる再会となった・・・

カチャリ・・・

無言のまま、腰に帯びた剣を抜くアイオーラとガキシャン
そして、その剣を目の前にいるコンに向けて、スッと突き出す
『抵抗すれば、斬る』
二人の無言の意思表示だ
その二人に倣って、他のメンバーも次々と得物を手にとってコンに差し向けた


「アイちゃん・・・ガキさん・・・みんな・・・」
ユーコを振り切って逃げ延びた、と思っていた矢先だけに、コンの精神的ショックは大きかった

全身の力が弛緩したようにその場にへたり込み、終には観念したのか、床に両手をついたまま固まってしまった・・・

「“謀反人”・コン・・・確保っ!」
せめてもの情けか、コンの捕縛には、隊長・副隊長自らが行うこととなった


静けさの漂う場内で、コンの捕縛が粛々と行われている・・・
聞こえるのは、縄と衣の擦れ合う音と、作業を行っている二人の息遣い・・・
時折、洟を啜るような音が入り交じるくらいだ

しかし、その静けさが突如、打ち破られてしまった

13 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 18:08:42.74 O
「・・・ううう」
何の前触れもなく、突然、コンが唸り始めた

「?」
「・・・ヴヴヴ」
「!?」
徐々にその唸り声が人間のそれでないことにアイオーラ、ガキシャンは気付き始める

「・・・ヴヴヴオォォォーッ!!・・・グアァァァァーッ!!」
そして遂に、コンが人間ではない“何者か”に変貌したことを二人は確信した
「!!・・・不味いっ!みんな散ってっ!」

ブチッ!! ブチブチブチッ!!

「全体っ!構えっ!」
まるで妖気すら漂う“コン”に対しての包囲網を解かないアイオーラ達
しかし、その厳重なハズの包囲網を嘲笑うかのように、“コン”は目にも留まらぬ超スピードで易々と潜り抜けてしまった・・・

「あっ!?」
「アイヤーッ!?」
完全に虚を突かれた格好のメンバー達

「しまったっ!みんな、追って!・・・急いでっ!」
「「ハ、ハイッ!」」
頭がパニックになりそうな中、アイオーラは号令をかけることで、辛うじて平静さを保つことができた

「くそっ・・・!」
「アイちゃん・・・気を落とさないで・・・
アタシ達も早く追っかけよう?」
「う、うん・・・」

14 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 18:26:32.04 O
一方、闘技場では・・・


「きゃあっ!」
「いやぁ!」

「・・・」
「・・・」

りしゃこ達はメーグルの作戦通りに動いてはいるものの、想像以上の戦闘能力にてこずっていた

(強い・・・強すぎるわ!)
(どうすれば・・・どうすればいいんだもん?)

ミヤビはゴトーの“間合いの謎”を、りしゃこはアベナッチの“魔法の倍返し”を攻略出来ずに躓いてる
このまま打開策が見つからないと、敗北するのは日の目を見るより明らかだ

((・・・どうしよう!?))
二人は思わず天を仰いだ

すると、奇跡が起きた・・・!
(ミヤビ・・・ゴトーさんの“間合い”なんてただのまやかしよ!
あの剣で斬れないような、飛びっきりの魔法をぶち込んでやんなさい!
りしゃこ!・・・アベさんは相手の魔法を反射的に使うのは得意だわ
でも、それが墓穴を掘る原因になる!
あなただけの魔法・・・今こそ使う時よ!)
二人の頭の中に、声が響く

((ありがとう・・・神様!))
(バカッ!ワタシよ!メ・ー・グ・ル・よっ!)

15 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 19:06:46.22 0
あら久しぶり

16 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 19:16:23.23 O
>>15
恥ずかしながら帰ってきました
規制がゆるくなって落ちやすくなって大変です
ぼちぼちやっていきますのでまた覗いてやって下さい

17 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 20:14:49.14 O
((なーんだ、メーグルか・・・))
神様からの啓示、という思惑が外れてガッカリするりしゃこ達
そのあからさまなガッカリ感に、メーグルは
(なんですって!?ムキーッ!・・・後で呼び出しだから!)
と、拗ねてしまう

(あ、やばっ!・・・拗ねちゃった?)
(あちゃー・・・)
メーグルが拗ねたのが声色から感じとったりしゃこ達は、メーグルをヨイショし始めた
(あ、ゴメン!ウソウソ!)
(そ、そうだもん!メーグルの指示を待ってたんだもん!)

すると、メーグルも人の子、
(・・・んもう!わかってるじゃない♪)
と、急に機嫌が直った
(やれやれ・・・)

メーグルの機嫌が直ったところで、改めて指示が下った
(ミヤビ・・・まずはサキの“石”の力を借りて、水の防御壁を作りなさい
ワタシの予想だと、ゴトーさんの“遠距離攻撃”では、この壁は破れないわ
だから、ゴトーさんはきっと間合いを詰めてくる・・・そこへ強力な魔法をぶち込んでやるのよ、いい?)
(わかったわ!)
(りしゃこの場合は、みんなの“石”の力を借りて、次々に魔法を変えていく・・・
そして最後に取って置きの、誰にも真似出来ない魔法をぶち込んでやるのよ!わかった?)
(うん!)

18 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 20:55:40.51 O
ハロモニア城内・物見の塔―

そこには女王・ユーコとメーグルが黒い『水晶玉』を前にして会話のやりとりをしていた

「ふう・・・何とか間に合いました・・・」
「そっか・・・お疲れやったな!」
「ええ、あのままだったらコンさんの“思うつぼ”、でしたから・・・
でも、女王様、まだ厄介な仕事が残ってますよ?」
「そやな。早いとこ何とかせんと、りしゃこ達がやられてしまうからな!」
「急ぎましょう!」
「・・・メーグル」
「ハ、ハイッ!」

「あんたが仕切るな!」
「ス、スミマセン・・・」


そして、闘技場では・・・
りしゃこ達がメーグルの助言通りに反撃に打って出ようとしていた

(サキ・・・力を貸してね・・・)
今までの怖れや不安といった“雑念”を消して、ミヤビは集中力を高めていく
いつも傍にいたサキの魔法を思い描きながら・・・

ただ、この一見無防備な状態を見逃す程、ゴトーは甘くなかった
ツカツカと歩を進めながら手にした金属片を振り抜いた!

ヒュンッ!!

ゴトーの斬撃はミヤビへと届いた
が、しかし、ミヤビを傷つけることはなかった

19 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 21:29:06.79 O
  __
  `ヽ, `ヽ    ,.-,、
   ,.' -─-ヽ.  i(゚。ソ ・゜゚・*゚・*:.。. .。.:*
  < ノノハヽ> ゞ
   川*^∇^)|| / <ちちんぷいぷいのぷいっ
  ( (i/wkつつ/
  `/ / !_i_〉i/
  く_/_,ルノ /

20 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 21:35:22.66 O
(防げた・・・!?)

ゴトーの斬撃より早く、ミヤビは水の防御壁を完成させていた
ただ、なにぶん急拵えなので、サキの立派なそれとは程遠い、お粗末なものであった
しかし、それでもゴトーの斬撃は防げたのだ

(どうしてこんなので防げたんだろ・・・?)
ミヤビは首をかしげ、作り出した防御壁を見てみる
と、そこにゴトーの“謎の斬撃”の正体を発見した

「何、これ・・・?」
ミヤビの視線の先には、幾つかの小さな金属片が散らばっていた
そして、それらのひとつひとつが魚の鱗のような形状の鋭い刃となっていたのだ

(これが謎の斬撃の正体・・・)
突然、遠い間合いから斬りつけられた時はパニック状態に陥っていたが、謎が解ければ何てことはない
すっかり自信を取り戻したミヤビは前方のゴトーをしっかりと見据える
一方のゴトーは、というと、今までの余裕の態度を捨て去り、一気にカタをつけるべくミヤビな急接近し始めた

(さっきはまんまと騙されたけど、今度はこっちの番だよ!)
目をカッと見開いたミヤビは二つの“石”を握りしめ、強く念じ始めた

21 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 22:13:19.48 O
(サキ、モモ!力を借りるよ!)
急速に接近してくるゴトーを見据えて、ミヤビは“間合い”を待った

(5・・・4・・・3・・・今だっ!)
目前に迫ったゴトーに向けて、ミヤビは“煙”を放った
「!」
ある程度の抵抗を予測していたとはいえ、急に視界を奪われたゴトーは一瞬、たじろいでしまう
初めてみせる隙だらけのゴトーの姿・・・


ところ変わって控え室―

「「いっけぇ〜っ!」」
無防備なゴトーに襲いかかれ、と言わんばかりにサキ、モモが絶叫した

しかし、中継用の水晶玉に映し出されたのは、何もせずに距離をとったミヤビの姿

「ん〜もうっ!何やってんのっ!?・・・絶好のチャンスだったのに〜!」
ミヤビが何もしなかったことで悔しがるモモ
その様子をはた目で見ていたマイハが
「あれで、良かったと思うの・・・」
と、ポツリと呟く
「何?それってどーゆうコトッ!?」
興奮してるため、語気が荒くなっているモモに、マイハが諭すように語りかけた

「だって、ミヤビは次の魔法への“溜め”が十分じゃなかったから・・・
だから、“溜め”を作るために離れたと思うの・・・」
「ふぅーん。でさ、マイハ・・・ひょっとして、“溜め”と“ため”をかけてるの?」
「!」

22 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 22:59:23.59 O
休憩中

23 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/09(日) 23:41:16.72 O
(まだだ・・・まだ、“溜めが足りないっ!”)

火と水の力を組み合わせた“水蒸気”で目眩ましをしたミヤビは、次の布石を打つべくゴトーから少しずつ遠ざかっていった

(次は・・・何とかして“罠”を仕掛けないと・・・)
ゴトーに気取られないよう、ゆっくりと移動してゆく
が、しかし

ヒュォンッ!!

突如、水煙の中から金属片がミヤビの頬をかすめた!
「きゃあ!」
まさかの一撃にミヤビは声をあげてしまう
すると、水煙の中から金属片に続いてゴトーがゆっくりと姿を現した

(何故っ!?何故アタシの居場所が・・・!?)
自分の居場所を正確に察知したゴトーをミヤビは不思議に思った
そして、ゴトーの姿を改めて見直した時、ミヤビは思わず息を呑んでしまった

(な、何なのっ!?)
ミヤビが驚愕するのも無理はない
ゴトーは己が目を閉じていたのだ

古来より武術の達人は、五感を遮断し、神経を研ぎ澄ませることにより、相手の気配を察知することがある・・・
とミヤビも以前、どこかで聞いたことがあったが、それを目の前でやられるとは思ってもみなかった

24 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 00:21:44.14 O
目を閉じたまま、ゴトーはミヤビに近づいていく

『暁の乙女』きっての剣士に接近されることは、即、“死”を意味する
そこで、ミヤビが取った行動は・・・

(くっ!・・・お願いっ!近寄らないでっ!)

ブゥンッ!!

「!?」

手にした“真紅の杖”を水平に薙ぎ払った

ミヤビが接近戦用に準備していた炎の剣の魔法『キラーソー』
術者の意思に従ってその形状を変える、謂わば実体のない“魔法の剣”・・・
ミヤビは接近するゴトーに向かって咄嗟に『キラーソー』を具現化し振るったのだが、
その苦し紛れの行動に思いがけずゴトーはその場から飛び退いた
そして距離を取りつつ、周囲を周りながら、ミヤビの隙を窺っている・・・

腕利きの剣士のゴトーにしては過剰なまでの警戒・・・その奇妙な行動に、ミヤビは訝しがる
が、しかし、その疑問は再度“魔法の剣”を振るうことで解決した

ブゥンッ!!

ゴトーは“魔法の剣”を自らの金属片で受け止めることなく、大きく飛び退いて斬撃を回避したのだ

25 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 00:39:11.11 0
乙乙

26 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 00:44:21.49 O
懐かしい

27 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 01:42:27.16 O
>>25
乙です

>>26
まだまだ頑張ってます

28 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 02:36:47.75 O
二度に渡り、ミヤビの斬撃を大きく躱すゴトー・・・

(もしかして・・・!)
何かを確信したミヤビは、今度は自ら近寄って『キラーソー』を薙ぎ払った

「!」
するとやはり、またも大きな動作でゴトーは避けた
(やっぱりそうだ!)
確信を得たミヤビの心に自信が漲る

(ゴトーさんも、アタシの“魔法の剣”を斬るのは出来ないんだ!)
だが、しかし、事態が好転した訳ではなかった
(でも・・・これじゃあゴトーさんを近寄らせなくするので精一杯、だよね・・・ハァ・・・)


そして一方のりしゃこ

(アタシだけの魔法・・・!)
メーグルの言ったその言葉の意味を考えながら、目の前の敵・アベナッチに次々と魔法を放っていく
・・・が、いずれもいとも簡単にアベナッチにコピーされ、相殺されていく

しかし、幾度かその行動を繰り返していくうちに、りしゃこは“あること”に気付いた
それは、りしゃこが魔法の動作に入った際には、手にした戦輪(チャクラム)での攻撃を一切してこないのだ
普通であれば、隙だらけの詠唱の状態を攻撃をするのが定石だ
しかし、それをしてこない・・・
そこでりしゃこはある“作戦”を閃いた

29 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 04:05:00.09 O
寝ます

30 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 07:25:18.73 0
おはよ〜

31 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 07:33:56.42 O
>>30
おはようございます

32 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 10:15:40.05 O
再開

33 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 10:46:09.87 O
(じゃあ、これならどうだもん?)
幾度となく放った魔法のすべてを相殺されたりしゃこが“賭け”に出た

手にした杖を水平に突き出して構え、目を閉じて呪文の詠唱を始める
傍からみれば、まるで無防備すぎる姿・・・
にも関わらず、アベナッチは隙だらけのりしゃこを攻撃するどころか、りしゃこと同じ行動を取り始めた

(やっぱり・・・思った通りだもん!)
りしゃこは内心ほくそ笑んだ
密かに仕掛けた一か八かの“賭け”の第一段階に成功したのだ
あとは今、詠唱中の“魔法”をアベナッチに真似されないかどうかだけ・・・


そして、りしゃこは最後の“賭け”の賽を振った・・・
「行くよっ!合体魔法・『フェニックス』!」

りしゃこは手にした杖を構え直して、全身で“気”を受け入れる体勢を取る
すると、まばゆいばかりの光がりしゃこの身体を包み込んでいき、やがて、光のローブを身に纏った魔術師へと“変身”した・・・


(これなら、きっと真似出来ないんだもん!)
ところが・・・
そう思っていたりしゃこにとって、目の前で信じ難い出来事が起きていた

34 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 11:38:22.37 O
「ステキダナ・・・」
謎の呪咀を呟いたアベナッチも、りしゃこ同様、まばゆいばかりの光が包み込んだ
そして、形状こそ違えど光のローブを身に纏ったのだ
「う、うそ・・・!?」
焦ったのはりしゃこの方
アベナッチにプレッシャーを与えるつもりでやった“変身”だったが、容易に“コピー”されてしまったのだ
動揺してしまい、言葉が途切れた瞬間、今までカウンターばかり繰り返していたアベナッチが、いよいよ牙を剥き出しにした

「・・・」
無言のまま手にした戦輪を水平に構え、りしゃこに向かって投擲した!

ビュンッ!! シュルルル・・・
風切り音を立てて、戦輪がりしゃこに襲いかかった
「わっ!?」
不意を突かれたりしゃこは咄嗟にその場を飛び退き、戦輪の直撃を避けた
(危なかったもん・・・)
気を取り直してりしゃこはアベナッチの方へと向き直った
が、アベナッチの様子が先程とは違うことに気付いた

シュルルル・・・
「!?」
背後から迫る風切り音に気付き、りしゃこは咄嗟に身を伏せた

ブォンッ!!
りしゃこの頭上に、やはり風切り音が・・・
そう、りしゃこが一投目を避けた時には、アベナッチは次の二投目を投擲していたのだ

35 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 11:42:25.41 0
客少なっ

36 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 12:55:39.12 0
いるよ

37 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 12:57:34.61 O
語彙がないからオシャレな感想とか言えないんだ
ちゃんと見てるよ

38 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 13:08:07.59 O
>>35-37
遠路はるばるおこしやすです
今は時間の制約がないんでのんびりやってけそうです
反面狼依存症が悪化してパケ代がバカにならないのですが・・・

今からあげます

39 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 13:13:02.09 O
「た、助かった・・・」
アベナッチの二段構えの攻撃を避けたことで、りしゃこは安堵する
しかし、それも束の間、さらなる攻撃がりしゃこに襲いかかってきた

「ステキダナ・・・」
アベナッチがりしゃこを指差す
すると、

ドオォォォン!!
りしゃこのすぐ傍に雷が落ちた!
「うわっ!?」
直撃は免れたものの、その衝撃の威力でりしゃこは吹っ飛ぶ
「げほっ、げほっ!」
強かに身体を地面に打ちつけたりしゃこは咳込む

だが、容赦なくアベナッチの攻撃は続いた
「ステキダナ・・・」

ビュォンッ!!
突風がまるで空気の弾丸のように、りしゃこに向けて一直線に放たれた!

ドカッ!!
「・・・かはっ!?」
アベナッチの見事なまでの波状攻撃を避けきれず、ついにりしゃこは直撃を受けてしまった
「うっ・・・けほっ、けほっ!」
あまりのダメージにのたうち回るりしゃこ
それを冷静な、いやむしろ無機質な目で見つめるアベナッチ
そして、りしゃこがしばらくの間動けないであろうと確信したアベナッチは、頭上に得物の戦輪を掲げ、いよいよとどめの準備に入った

40 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 14:09:57.09 O
(う、動けないもん・・・)

痛む部位を押さえながらも、りしゃこはなんとか立ち上がろうとするが、身体に力が入らない


「りしゃこっ!?」

相棒の“異変”に気付いたミヤビがりしゃこの元に駆け寄ろうとした
が、しかし、当然ながらミヤビの前にゴトーが立ちはだかった

「お願い・・・どいてっ!」
必死の思いを込めて、眼前のゴトーめがけて“炎の剣”を薙ぎ払った
“炎の剣”を受け止められないゴトーは避けるしかない・・・ミヤビはそう踏んでいた

が、しかし、ミヤビの予測とは反対に、眼前のゴトーは立ちはだかったままだった
ただ、違っていたのはゴトーの手にしていた金属片がミヤビの肩口を貫いていたことだ

「うっ!」
激痛に耐え兼ね、ミヤビはうずくまる
薙ぎ払ったつもりの“炎の剣”は燃え盛ることなく、地面に落ちていた
そう、ゴトーはミヤビが剣を振り抜く瞬間に金属片を伸ばし、ミヤビの肩口を貫くことによって、攻撃を未然に防ぐことができたのだ

41 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 15:16:59.83 O
迂闊だった・・・

ゴトーが飛遠距離からミヤビに小さな金属片を飛ばしていたのは、
手にした得物が実際に遠い間合いからでも攻撃できることをカモフラージュするためだったのだ

激痛に耐え兼ね、のたうち回るミヤビを冷ややかな視線で見つめるゴトー・・・
そして、ゆっくりと得物の金属片を頭上に掲げ、振り下ろす動作に入った


りしゃこもミヤビも大ダメージを受けた直後とあって動くことすらままならない状態・・・
いよいよ、アベナッチとゴトー、二人による“処刑”の時を迎えようとしていた・・・


「ねえ!?チョーヤバいって!」
「わかってるわよ、そんなの!」

控え室に怒号が響き渡る
りしゃこ達の絶体絶命のピンチに、サキ達も苛立ちと焦りを隠せなかった

「ねえねえ、どーにかなんないの!?」
「もお!チーうるさいって!」
「何よ!そんな言い方しなくってもいいジャン!?」
「ほらほら!チーもギャーギャー騒いだってどうしようもないでしょ!?」
「・・・ちょっとお!?サキ、あんたも何そんなに冷たいこと言ってんの!?」
「チー!もうよしなって!」

42 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 16:05:43.74 O
控え室内のメンバーの苛立ちが頂点に達しようとした時・・・

「・・・みんな!静かにするのっ!」
叫んだのはマイハだった
日頃から物静かなマイハが激しい感情を露にしたことで、その場が静まり返った

「・・・今、大事なのは、このピンチを切り抜けること・・・」
「でも、どうやって・・・?」
「考えがあるの・・・マァ、ユリー、ちょっと力を貸して」
「えっ?い、いいけど・・・」
「何か名案があるのか?とゆいたい」
「ちょっと・・・ね。多分、うまくいくの」

そう言うと、マイハは中継用の水晶玉に手を置き、その向こうのりしゃこに呼びかけた
「りしゃこ?聞こえる?」
しばらくして、りしゃこが答えた
「聞こえる・・・でも・・・」
「諦めちゃダメッ!まだ手はあるよ」
「・・・あるの?」
「うん・・・いい、りしゃこ?今から“紫色の石”と“黄色の石”をしっかり握りしめて!」
「うん」
「次は・・・大変だけど、なんとか立ち上がってちょうだい」
「わかった・・・もん」


闘技場では、ふらふらになりながらも立ち上がったりしゃこに対してどよめきが起きていた
だが、同時に、観衆の大半がアベ、ゴトー組の勝利を確信していた・・・

43 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 17:38:53.61 O
州*‘ -‘リ

44 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 17:52:37.26 O
「ねえ、ユリー?“アレ”を使って!」
「わかった!」
「あと、マァは“アレ”をお願い・・・」
「任せろ、とゆいたい」

マイハがいつもの物怖じする性格はどこへやら、的確な指示を二人に出し、二人はそれを即座に理解する

「ねえ、チー?あの二人、大丈夫なの?マイハとの意思の疎通はうまくいってんの?」
「んー?大丈夫なんじゃなーい?」
「あんたねぇ・・・」
「ウチらダテに長い付き合いしてないから心配ないって♪」
「ねぇねぇ、それよりうまくいくの!?マイハの“秘策”って・・・」
「わかんなーい♪でも、あんな自信たっぷりなマイハを見るのは久し振りだから大丈夫だよ、きっと♪」


そして闘技場では・・・

りしゃこが立ち上がってきたことにアベナッチが一瞬動きを止めたくらいで、得物を振り下ろす動作は止めてはいなかった
アベとゴトーが得物を頂上まで振り上げたその時だ

「今よ、りしゃこ!一緒に叫んでっ!『ピリリ』っ!」
「『ピリリ』っ!」

りしゃこが頭上を指差し、呪文を唱えた
すると、驚くことに、アベナッチも条件反射で魔法を唱えていた

「・・・ステキダナ」

45 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 19:06:26.59 O
「『ピリリ』っ!」
「・・・ステキダナ」

りしゃことアベナッチ、二人の呪文が交錯する
そして、時を置かずして、天から閃光が二つ、降り注いだ

ドゴォォォンッ!!
ドゴォォォンッ!!


ひとつの閃光はアベナッチへ・・・そして、もうひとつの閃光はりしゃこではなく、ゴトーへと落ちた・・・

闘技場内の観衆は目を疑った
りしゃことアベナッチの呪文が交錯したなら、りしゃこが魔法を食らうハズ・・・

それは控え室にいたサキやモモも同様だった
が、二人は“カラクリ”を間近に見ていたので、“タネ”がすぐに理解出来た

「りしゃこに雷が落ちなかったのは、マァのおかげね」
「・・・うん」
「うまくいった、とゆいたい」
そう、りしゃこに雷が落ちなかったのは、アベとゴトーの二人が、金属製の武器を頭上高く振りかざしていたこと・・・
そして、マァによって雷を回避する魔法がりしゃこの全身を覆っていたのだ

「へぇ〜、マイハやるじゃん!」
「でも・・・あれくらいのダメージなら、あの二人は直に立ち上がってくる・・・
今のうちに、有利にしないと・・・」

46 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 19:39:26.32 O
「『有利に』って・・・?でもどうやって!?」
訝しがるサキが疑問を投げかけた

「『地の利』を活かすのよ・・・」
「ねぇマイハ、それってどーいう意味なの?」
「うん、武器の扱いは明らかに向こうの方が有利だよね・・・」
「そう、だけど・・・」
「でも、もし、その武器を封じ込めることができたら・・・」
「あっ、そーか!」
「うん、これならいい勝負になると思うの!」

「あのー・・・もしもーし!」
「ん?どうかしたのモモ?」
「『どうかしたの?』じゃないの!一体全体、何がどうなってるのか教えてよ!」
「ハーイ!賛成賛成!」
マイハとサキに置いてきぼりを食った格好のモモとチナリが質問する

「・・・今から闘技場内を悪天候に変えるの」
マイハは静かに答えた
「悪天候にする、って?」
「うん・・・さっきは準備不足だったからあの程度の雷だったけど、雨雲を作ることが出来れば威力はもっとパワーアップするし、
何よりあの二人は、落雷を恐れて迂闊に武器は使えなくなるわ」
「!・・・なるほど、ね!」
「へぇ〜、そ〜なんだ〜!」

二人が理解したところで、マイハは次の指示を出した

47 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 20:56:00.21 O
復帰

48 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 21:18:21.08 O
「ミヤビ、傷が痛むと思うけど、もうちょっとの間、辛抱してね」
「・・・うん」
「あのね、お願いがあるの・・・
ミヤビがさっきゴトーさんに目眩ましに使った水蒸気・・・あれをいっぱい作って欲しいの
・・・大至急」
「え?あれを?・・・でも、どうして?」
「後で説明するの・・・とにかく、あの二人が回復するまでに・・・早く!」
「・・・わかったわ」

マイハに促されるまま、ミヤビは手にした“青色の石”と“桃色の石”を使って辺り一面を水蒸気で覆い尽くした

「りしゃこ、あなたはアタシの“水色の石”と“緑色の石”を使って竜巻を起こして欲しいの」
「え?・・・でも・・・」
「・・・わかってる。でも、りしゃこなら出来るはず、きっと・・・
もっと、自分を信じて!」
「・・・うん!わかったもん!」

りしゃこもマイハの言うに任せて、竜巻をイメージし呪文の詠唱を始めた
すると、少しずつ冷たい風が巻き起こり、それがやがて渦巻き始め、水蒸気を取り込みながら小さな竜巻となった
だが、せっかくミヤビが作り出した水蒸気は遥か上空へと吹き飛んでしまった・・・

「ね、ねぇマイハ・・・これじゃ水蒸気作った意味ないジャン!?」
呆れるチナリにマイハは言った
「・・・いいの、これで」

49 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 22:07:28.23 O
やがて、落雷を受けて倒れていたアベナッチとゴトーがゆっくりと立ち上がり出した
まだ足取りはおぼつかないものの、深刻なダメージを受けてないのは見てとれた

「ね、ね!?あの二人、起きてきたよ!?どーしよどーしよ!?」
「ちょっとぉーサキ!慌てたって仕方ないじゃん!?」
「そうだ。落ち着けとゆいたい」
「マァ!あんたは落ち着きすぎよっ!何暢気にお菓子なんか食ってんのよっ!?」
「・・・もう大丈夫だよ、ほら・・・」
ひとりパニックになって騒いでいるサキを引っ張って、マイハは中継用の水晶玉の前まで連れていく
すると、そこにはいつの間にか天気が崩れて、雨雲が上空を覆っていた

「ふぉえ!?」
「作ったのよ、雨雲を・・・」
「えっ?・・・じゃあ・・・」
「うん。さっきまでのは雨雲を作るための準備だったの・・・」
「もー!早くそれを言ってよー!」
「・・・だって、時間がなかったから・・・」
「そうだそうだ!キチンと説明する義務はあるぞーっ!」
「・・・チー、あんたもわかってなかったの・・・?」
「えっ?・・・いやぁ!・・・ハハハ・・・」

50 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 23:10:33.47 0
保全しよう

51 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/10(月) 23:24:34.74 O
>>50
かたじけないです

52 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 00:49:06.96 O
巡回

53 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 03:24:33.76 O
変な時間に目覚めたよ

54 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 05:06:09.70 O
おはよう

55 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 06:27:52.37 0
おはようさん

56 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 09:19:25.51 O
闘技場内を覆い尽くすような雨雲の出現に、観衆はおろか、アベ、ゴトーの二人も驚きの表情を見せた
しかし、りしゃこ達の“意図”に気付きはじめた観衆が現れ、観客席がにわかに騒めき出す・・・

そんな周囲の声をよそに、りしゃこ達はアベ、ゴトーの二人にのみ集中していた
ゆっくりと起き上がるアベ、ゴトー・・・
それなりにダメージを受けてるように見えるが、まだその足取りはしっかりしていて、倒すまでには至らなかったようだ

そんな二人に対して、りしゃこが容赦なく“雷の雨”を浴びせかけた
(・・・ごめんなさいっ!)
轟音とともに幾条もの雷が闘技場へと降り注がれる

「「・・・!?」」
上空から降ってくる“雷の雨”をアベ、ゴトーの二人は逃げ回ることで回避しようとした・・・
が、予測不能の雷を避けることはできず、再度、電流をその身に浴びてしまった・・・

バタッ・・・

前のめりに倒れる二人・・・

(お願い・・・もう立たないで・・・)
戦いたくて戦ってる訳でない二人をもうこれ以上傷つけたくない・・・
そんな思いから、りしゃこは目を閉じて、必死に願った・・・

だが、悲しいかな、その“願い”は叶わなかった

57 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 10:20:49.79 O
「・・・」
無言のまま、ゆらりと立ち上がるアベとゴトー
二度も雷撃を受けたせいか、その足取りはおぼつかなくなっていた
それでも戦うことを止めずにふらふらになりながらも立ち上がってくるその姿が、かえって見ている者達には痛々しく映った

どよめきに気付き、りしゃこは目を見開くと、またも眼前には二人が立っている・・・

「・・・やだ・・・もう、やだ・・・!」
深い悲しみと底知れぬ恐怖に襲われたりしゃこは冷静さを失い、今まで以上の魔力をその両手に集中させ始めた
「・・・りしゃこ!」
りしゃこの異変に気付いたミヤビがりしゃこの“暴走”を止めに入ろうとする
しかし、それよりも早く、りしゃこの両手から再び“雷の雨”が放たれた

ドゴォォォンッ!! ドゴォォォンッ!! ドゴォォォンッ!!

闘技場へと降り注がれる“雷の雨”・・・
しかし、それは一所に集中して降り注がれていた

「・・・何よ、あれ・・・!?」
ミヤビが目撃したもの・・・それは、りしゃこが放った“雷の雨”が、“あるもの”に向かって
まるで見えない磁力に吸い寄せられるように降り注いでいたのだ

58 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 12:05:52.41 O
控え室―


「あっ!?マズいっ!」
中継用の水晶玉で試合の様子を見ていたユリーナが突如、叫んだ
ユリーナの声に気付いたマァも
「やられた・・・とゆいたい」
と悔しそうに呟いた


「えっ?何が何が〜!?」
二人の落胆する様を不思議がるモモは二人に尋ねてみた
「知ってるよね?雷ってのは“高いもの”に落ちる特性があるのよ」
「へぇ〜!そうなんだ〜!」
「もしかして・・・知らなかった?」
「うん!知らなかった♪」
あっけらかんとするモモに、ユリーナとマァは閉口してしまう

が、すぐに気を取り直し、二人は話を続ける
「ゴトーさんはあの金属片を自分の背よりもずっと高く伸ばして雷を防ぐ“盾”にしたんだ・・・とゆいたい」
マァの話に何か閃いたモモが思ったことを口にした
「あっ!・・・じゃあさじゃあさ、もし、雷が落ちてきたら、アタシはユリーの傍に行けばOK、ってこと?」
「そうそう!ウチがモモの代わりに雷を受けて真っ黒こげになっちゃう・・・って、コラーッ!」

しまった・・・と思ったモモは逃げ出す体勢に入った・・・が、
ユリーナの両腕はモモの身体をがっしりと掴んで離さなかった

数秒後、モモの頬っぺたが真っ赤になっていたのはいうまでもない・・・

59 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 12:56:31.09 O
再び闘技場―


無数の“雷の雨”がゴトーの作り上げた細長い金属片に吸い寄せられていく様を、りしゃこ達は唖然として眺めていた


と、その直後、

トスッ!!
ドサッ・・・!!

ミヤビの耳に、何かが突き刺さる音と何かが倒れる音が聞こえた・・・
すぐさま音のした方を向くと、ミヤビの視界にうつ伏せに倒れたりしゃこの姿が飛び込んできた

「りしゃこっ!?」
頭で考えるより先に身体が動いていた
ぐったりとしたりしゃこの身体を調べてみると、背中に細長い棒状の金属片が深々と突き刺さっていた

「まさか・・・!?」
ミヤビがりしゃこに気を取られて無防備になったその刹那、

ヒュンッ!!

「・・・!」
ミヤビの頬を何かがかすめていった・・・
ひりつく頬に手を当ててみると、ヌルッとした感触と鉄の匂いが・・・

(ゴトーさんが!?)
素早く視線をアベ、ゴトーに戻してみるが、そこに二人の姿はなかった・・・

しかし、代わりにあの忌まわしき“戦車”が姿を表していた・・・

60 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 14:50:22.98 O
一時停止

61 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 15:06:25.02 O
目の前にあるのは凶々しい“鉄の塊”・・・
前回、ユリーナとチナリを轢き殺そうとしたあの戦車だ

凄まじいまでの突進力に、観戦していたミヤビも身震いがした代物・・・
いずれ、二人と試合をすれば遭遇すると思っていたが、出来れば遭遇したくはなかった
しかし、運命の悪戯か、よりによってりしゃこが戦闘不能、という最悪の事態に出現したのだ・・・


あの“鉄の塊”に自分の炎魔法など通用するのか?
力なく横たわるりしゃこを抱きながら、ミヤビは絶望的な状況に思わず天を仰いだ

だが、その時、ミヤビとりしゃこの両手から仄かな光が灯った・・・
「!?」
光っていたのはみんなから託されたあの“石”だった

(みんな・・・!)
ふと、ミヤビの頭にみんなの顔が思い浮かんだ
“石”から洩れてくる仄かな光が、自分達への無言のエールのように見えてきた

(・・・!)
目を閉じ、深呼吸して、ミヤビはカッ!と目を見開いた
負ける訳にはいかない・・・逃げる訳にはいかない・・・みんなが応援してくれている・・・!
そう思うと、不思議と勇気と力が湧いてきた

(あの二人だって、さっきまでふらふらだったから、きっと苦しいハズ・・・!)
目の前の戦車を凝視しながら、ミヤビは強く念じ始めた

62 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 16:19:27.07 O
(冷静に・・・あの戦車の弱点を考えなきゃ・・・)
目の前の戦車を観察しながらミヤビは頭をフル回転させる

重厚で頑強そうな装甲には物理的魔法は全く通用しそうにもない
さながら、甲冑を身に纏った騎士・・・といったところか

「・・・!?」
そんなイメージを抱いた時、ふとミヤビの頭にある日の出来事が思い浮かんだのだ


―あれは今から一ヶ月ほど前・・・
ミヤビとりしゃこが『輝く女神』のメンバーと合同で最終特訓に励んでいた時のこと

ヨッシーノとヨッシーノ一派の中でも随一の重装備を誇るユイヤンとの練習試合

自慢の盾と鎧に身を固めたユイヤンに対し、ヨッシーノはプロテクターはおろか、着のみ着のままの格好で試合に挑んだのだ

あまり武術、体術の心得のないミヤビは、装備の差からヨッシーノの敗北を予想していた
だが、予想に反し試合に勝利したのはヨッシーノの方であった


その記憶が甦った瞬間、ミヤビは閃いた

63 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 17:17:47.85 O
『えっ?何でユイヤンに勝ったのか?って?』
『まぁ、理由は二つ・・・一つはフットワークの勝利、かな?
素早い動きで相手を撹乱してヒット&アウェイ
どんな強力な攻撃も当たんなきゃ意味がないからね!』
『で、もう一つは・・・』

フラッシュバックする記憶を辿っていく・・・

(あの戦車がユイヤンさんだとして、ウチらがヨッシーノさんのように戦えば・・・
でも、りしゃこのケガじゃフットワークは使えない、か・・・)

さらに記憶を溯っていく


『で、もう一つは・・・』
それを思い出した瞬間、ミヤビの顔つきが変わった
(これなら・・・!)

そして、眼前の戦車を睨み付け、闘志を露にする
(もう、これで終わりにするよ!)
迷いの吹っ切れたミヤビが呪文の詠唱を始めると、それに呼応するかのように、戦車も動き始めた


『で、もう一つの勝因は・・・ま、相手が自滅しちゃったんだけど・・・
重装備の重みに耐えかねて転倒してくれてラッキーだったYo!
・・・にしても、鎧の重さで地面に穴がボコッ!って開いちゃうモンなんかねぇ・・・』

64 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 18:19:22.40 O
アベ、ゴトーを乗せた戦車がまさに突進を開始しようとした瞬間、ミヤビは両手を天にかざし、魔法を解き放った

「みんな、力を貸してっ!『エアリアル・レイジ』ッ!」
ミヤビが呪文を発したその途端、上空に広がっていた雨雲からスコールが降り出した

「・・・!」
動き出そうとした戦車だが、突然の大雨に視界を阻まれ、突進を躊躇ってしまった



―控え室

ミヤビのまさかの行動に、メンバーは騒然とする
「ちょっとお〜!?ミーやんたら何やってんのよ!?」
「ホントよ!あんな大雨降らせたら炎の魔法の威力なんか落ちちゃうじゃない!?」
「ほら、キャプテンもモモも落ち着いてっ!」
「これが落ち着いていられますかっての!」
サキやモモが指摘する通り、雨天の中での炎の魔法はコントロールが難しく、かつ威力も弱まってしまう
炎の魔法を得意とするミヤビが、自らその状況を作り出したことはほぼ自殺行為に等しい訳だ

しかし、狼狽えるサキやモモを尻目に、マイハはポツリと呟いた
「でも、悪くないかも・・・」

65 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 19:11:28.87 O
晩ご飯

66 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 20:03:10.78 O
大雨の降りしきる中、ミヤビはりしゃこを抱き抱えたまま戦車の出方を伺っていた

「りしゃこ・・・勝とうね・・・」
ミヤビはぐったりとしたりしゃこを気遣い声をかける
すると、
「勝とうね・・・絶対!」
「りしゃこ!?」
気絶していたハズのりしゃこがうっすらと目を開け、ミヤビに返事をした

「大丈夫なの!?」
「・・・うん!」
ケガが痛まないワケがないのに気丈に振る舞っているりしゃこをミヤビはギュッと抱き締め、そして
「今から言う通りに動いて欲しいの・・・」
と耳打ちをする

と、その時、今まで動きを止めていた戦車が遂に動き出した

「準備はいい?」
「うん!」
迫りくる戦車をしっかりと見定めながら二人は頷き合った

ガラガラガラッ・・・!!

大雨でぬかるんだ足元もお構いなしに勢いよく戦車は急接近してくる
しかし、りしゃこ達はその場を動こうとしない
いや、むしろ『待ち構え』ているようにすら見える

やがて、りしゃこ達と戦車の距離が、あとわずか10数メートルになった時、二人は動いた

67 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 21:07:54.93 O
(戦車の最大の“武器”はどんな攻撃も寄せ付けない重厚な装甲と、突進による圧倒的な破壊力・・・
だけど・・・それは諸刃の剣!)

間近に迫った戦車を前に、ミヤビは地面に手をつき、りしゃこも手を添えて魔法を発動させた

「飲み込んじゃえ!『アビス・ホール』ッ!」

ガコッ!!

大きな震動とともに、何かが崩れる音がした・・・

そして、続けて聞こえてきたのが耳をつんざくような、金属片が軋んで壊れる音・・・

グワッシャァァァ!!


「・・・やった!」
安堵の表情を浮かべた後、ふとミヤビはりしゃこの顔を見つめた
「・・・うん!」
傷口が傷まないハズはないのに、微笑み返すりしゃこ
「・・・この“石”のおかげだね。ありがとう、サキ・・・マァ・・・」

二人の両手に握りしめられてたのは、水を司る“青色の石”と、土を司る“黄色の石”・・・
そう、ミヤビが己の魔法を棄ててまで大雨を降らせた狙いは、地面を過剰な水分で脆くさせ、
その弱った地面に重厚な戦車を通過させることで、地崩れを引き起こさせることだった
そして思惑通り、戦車は自らの重みにより、落とし穴へと転落していった・・・

68 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 22:25:06.62 O
地崩れによって発生した落とし穴へと転落していった戦車・・・
その直後、大きな金属音が場内に響き渡ったので、戦車が壊れたことはほぼ確実だ
もちろん、中に乗り込んでいたアベ、ゴトーのダメージは言わずもがな、である
「ふぅ・・・」
“一仕事”を終えて、束の間の休息を取る二人
あとは審判・ヤススの声が発せられるのを待つのみ
だが、落とし穴を覗き込んだヤススの口からは、試合終了の言葉が発せられなかったどころか、唖然としているようにも見えた

「まさか・・・!?」
すぐさま二人は落とし穴へと向かい、中を覗き込んだ
その刹那、

シュババババッ!!
穴から何かが一斉に発射された!
「わっ!?」
二人は咄嗟に傍につっ立っていたヤススの陰に隠れた
「わっわっ!?・・・な、何すんのよっ!?」
迫りくる弾幕に対してヤススは慌てて防御壁の魔法を発動させてやり過ごした

パラパラパラ・・・
防御壁に阻まれて地面に落ちたのは小さな金属片の数々
あの二人も最後の最後まで試合を棄てていなかったのだ

69 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 23:09:35.60 O
℃フラゲ

70 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/11(火) 23:30:32.44 O
ヤススを“盾”にして何とか弾幕を避けた二人
しかし、その二人に弾幕の第二波がすかさず襲いかかる

シュババババッ!!
「うわっ!?」
「いやっ!?」

ドスドスドスッ!!
「うぅ・・・」

最初こそヤススという“盾”で金属片の散弾を回避できたが、第二波を身体中の至るところにモロに浴びてしまった・・・

バシャッ・・・!!
降りしきる大雨の中、二人は水溜まりにつっ臥してしまった
そして、陥没した落とし穴からアベ、ゴトーの二人が這い上がってきた

「くっ・・・!」
立ち上がって迎撃体勢を取ったミヤビに対し、ゴトーがそのどてっ腹を思い切り蹴り上げる

ドスッ!!
「・・・っ!」
強烈な痛みが腹部を襲い、ミヤビはもんどりうって悶絶しだした
「ぐえっ!」
ダメージが深く、地面に這いつくばっていたりしゃこをアベナッチが踏みつける
苦しがるりしゃこ達だが、ゴトー達はお構い無しに二人をいたぶり続けた

71 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 00:49:01.15 O
ゴトー達のいたぶりに対し、耐え忍ぶりしゃこ達・・・

その一方的とも言える暴力の非道さに観客は言葉を失い、場内は静まり返っていた
だが、その静けさが一瞬にして悲鳴に変わった

カチャリ・・・!!

今までりしゃこ達をいたぶっていたゴトー達が手にした得物を頭上高く掲げたのだ

“処刑”の合図・・・そう直感した観客の悲鳴がこだまし、場内を埋め尽くす
その中には泣き出す子供もいた程だ

あとは二人が手にした得物が振り下ろされるのを待つのみ・・・
そんな中、期せずして場内からりしゃこ達に檄が飛んだ


「「コラーッ!二人とも何やってんのよっ!」」
観客が声のした方を振り向くと、そこには大会でりしゃこ達と死闘を繰り広げたアイリーナとアイリーネの姿が・・・

そして、また別の方からも檄が飛んだ
「ねえ、夢を叶えるんでしょ!?こんなところで負けちゃダメだよ!?
ほら、早く立って!立ち上がってっ!」
「お姉ちゃん、頑張れー!」
「負けるなー!」
同じく、死闘を繰り広げたコハと弟妹達の姿が・・・

そして、
「最後まで諦めるんじゃないぜ!起きろりしゃこーっ!」
「お姉ちゃーん!」
チッサー&アッスーのオ=カール姉妹の姿も・・・

72 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 01:43:27.80 O
休憩

73 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 01:45:07.93 0
補助

74 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 02:22:23.22 O
>>73
かたじけないです

75 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 04:42:25.83 O
おやすみりしゃこ

76 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 07:54:37.43 O
>>75
おはようございます

77 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 11:11:07.95 O
おきます

78 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 11:11:45.87 O
誰もがりしゃこ達の勝利を諦めかけていたところへ飛び込んできた親友達の“エール”・・・
その“エール”がそれまで悲鳴で埋め尽くされた会場内の雰囲気を一変させた

「おい、お嬢ちゃん達、頑張れーっ!」
「立てーっ!」
「ほら、しっかりしろーっ!」

やがて、俄かに沸き起こった声援は大きなうねりへと変わっていった
「「り・しゃ・こ!り・しゃ・こ!」」
「「ミ・ヤ・ビ!ミ・ヤ・ビ!」」

耳をつんざくような大声援に、苦しみ、もがいていたりしゃこ達の目に再び力が宿り出した


その光景を見て、アベ、ゴトーの二人は戸惑いの表情を見せる

そして・・・

「!?・・・・・・ぐっ!・・・ぐうぅっ!」
今までポーカーフェイスだったアベ、ゴトーの二人が突如、苦しみ始めた

「ううう・・・うわぁぁぁーっ!」
頭上高く掲げた得物を手放し、頭を抱え悶絶する
その尋常ではない苦しみ様に起き上がり始めたりしゃこ達は戸惑う

そこへ、りしゃこ達の頭の中に声が響いた
(ほら!今がチャンスよ!)

79 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 13:00:18.11 O
お昼

80 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 14:27:18.35 O
「だ、誰なんだもんっ!?」
りしゃこは語りかける声の主に問いかけた

(あんたねえ・・・!)
「バカッ!メーグルに決まってるじゃない!?」
「あ・・・」
(・・・あとで呼び出してお説教するからねっ!)

りしゃこ達とメーグルとの掛け合いに割って入る声が・・・

(コラーッ!あんた何やっとんねん!?早く伝言せんかいっ!!)
(ハッ、ハイッ!女王様っ!)
「「女王様っ!?」」
いきなり割って入った女王・ユーコにりしゃこ達も硬直してしまう

が、ユーコは二人に喝を入れる
(二人ともっ!ほら、ぼーっとしてるヒマなんかないで!
ウチが動きを止めてる今がチャンスなんや!早よトドメ刺さんかいっ!!)
「「ハッ!ハヒーッ!」」

ユーコの喝に後押しされるかのように、りしゃこ達はユニゾンで魔法の詠唱を始める
(もう少し・・・あと少し・・・!)

しかし、アベ、ゴトーも二人の周りで発生してる膨大な魔力に気付き、苦痛を堪えながらもりしゃこ達へと突進していく
「魚ぉぉぉーっ!」

(今だっ!いくよ!)
(うん!・・・勝つんだもん!・・・絶対、絶対っ!)
お互いの膨大な魔力がほぼ同時に解き放たれた!

81 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 16:02:23.26 O
しばしお待ちを・・・

82 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 16:14:15.99 O
「「紅蓮の炎で焼き尽くせ・・・
いくよっ!合体魔法・『スカーレット×スカーレット』ッ!」」
「「スベテヲ喰ライ尽クセ・・・
『Do it now(今すぐ死ねや)』!!」」

りしゃこ達からは真っ赤に燃え盛る不死鳥が、ゴトー達からは鈍い銀色に輝く巨大な鮫が出現した
そしで勢いよく飛び出し激しく両者の中間地点で衝突する!

「負けない!絶対っ!絶対っ!」
「魚ォォォーッ!」
互いの魔力と魔力、精神力と精神力、意地と意地、想いと想い・・・
その全てがぶつかり合い、会場内に伝わっていく・・・

二つの巨大な魔力は強烈な光を放ちながらしばらくは均衡を保っていた
だが、不意に異変が訪れた
「!?」
りしゃこ達の不死鳥をゴトー達の鮫が丸呑みしたのだ・・・
当然ながら、りしゃこ達を応援していた会場内の観客からは悲鳴があがる
しかし、不死鳥を喰らい尽くした巨大鮫はみるみるうちに膨れ上がっていった・・・
その膨張は目に見えて加速していき、それが臨界点に到達すると、大きく弾け飛んだ!

破裂して銀鱗をばらまきながら消滅していく巨大鮫・・・
一方、鮫の胃袋を突き破った不死鳥はそのままゴトー達へと突き進んでいく・・・!

83 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 16:20:23.03 O
「「逝っけえーっ!!」」

二人の祈るような絶叫に呼応して紅蓮の不死鳥はゴトー達に向かって力強く、一直線に突き進んでいく

「・・・!?」
合体魔法・『Do it now』で全ての魔力を使い果たしたゴトー達に、最早りしゃこ達の魔法を食い止める術はなかった・・・

まばゆい光を放ちながら向かってくる不死鳥を前に自らの敗北を悟ったゴトー達は身動ぎもせず、
あるがままを受け入れるかのように紅蓮の炎に包まれていった・・・

「・・・見事だ」
の一言を残して・・・


そして・・・
紅蓮の不死鳥がその役目を終えて姿を消し去った後には、力尽き倒れたゴトー達の姿があった
ピクリとも動かなくなった二人の姿に、会場内の誰もが戦闘不能と確信した

そして遂に、長きに渡る戦いに審判が下された
「・・・そこまでっ!勝者、りしゃこ・ミヤビ!」

その瞬間、会場からは万雷の拍手と大歓声が巻き起こり、二人を祝福した
みんなの歓びの声が疲れ切った身体に心地良い
緊張を解いたりしゃことミヤビはその場に座り込み、お互いの顔を見合わせて、そして満面の笑みを浮かべた―

84 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 16:24:24.01 O
戦いを終えた二人の元へ、サキ達が駆け付けた

「おめでとーっ!」
「よくやった!えらいっ!」
皆、りしゃこ達の勝利に表情を綻ばせている

「ふぅ・・・」
「疲れたもん・・・」
喜んで駆け寄ってくるメンバーにりしゃこ達も笑顔で応えた

だが、激しい戦いの代償は大きかった・・・

バタッ・・・

「りしゃこっ!?ミヤビっ!?」
サキが叫ぶ
緊張の糸が切れたのか、それとも力尽きたのか、ゴトー達に続いてりしゃこ達もその身を地面に横たえたのだ


「ちょっと?どうしたの!?
・・・スタッフゥー!担架っ!担架っ!ほら、急いでっ!早く早くっ!」
ゴトー達の容体を診ていたヤススが慌ててりしゃこ達の元へ駆け付け、大会スタッフに担架を促した

やがて担架が到着し、載せられて退場していく四人・・・
どうやら生命に別状はないことをヤススが観客にアピールし、会場内から安堵の声が洩れた
そして、力の限りを尽くして戦ったその四人に、改めて会場内からより暖かい拍手と歓声が沸き起こった・・・

そこでふと、ヤススが四人の顔を覗き込んだ
すると、ヤススの顔が思わず綻んだ
「あら、この娘たち・・・」
四人の顔は、皆、一様に満足気な表情を浮かべていたのだ

85 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 17:54:27.12 O
休憩中

86 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 18:58:05.31 O
州*‘ -‘リ


87 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 20:04:46.54 O
りしゃこりしゃこ

88 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 20:08:50.32 O
そして試合終了の同時刻―

「・・・うそ?」
「マジでっ!?」

アジトにてゴトー達の試合を水晶玉にて“監視”していたミキ帝とアヤヤが絶句した

「負け・・・ちゃったの・・・?」
「そうみたい・・・信じたくないけど・・・」
動揺が納まらない二人は口々にそう言い合った

ミキ帝、アヤヤの二人は自分達より弱い者は例えそれが先輩であろうとも見下し、蔑む・・・
といった傲慢なところがあったが、ことアベナッチ、ゴトーの二人には流石に一目を置いていた

昔、ミキ帝達は力試しに二人に挑んだことがある
二人が『暁の乙女』の歴代エースに相応しい力量の持ち主かどうか、純粋に試してみたかったのだ
当時、ミキ帝もアヤヤも頭角を現し、二人を追い抜かんか、という勢いだった
若さ故の・・・というのもあったのかも知れない

しかして、結果は惨敗・・・
傍から見れば善戦したかのように見えただろうが、力の差は歴然だった
それを肌で実感し、痛感させられた
そのことがあって以降、ミキ帝達は表に出すことこそしなかったが、ずっと、二人を“目標”として追いかけていたのだ・・・

だから時が経ち、再びゴトー達に勝負を挑んで勝利した時は二人して抱き合って喜んだ
それだけ“高い壁”だったのだ―

89 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 21:15:45.44 O
晩ご飯

90 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 22:11:44.56 O
ミキ帝達にとって“高い壁”であったゴトー達・・・しかし、その二人が敗北したのだ
それも、まだ幼さの残る二人の少女に・・・
その驚愕の事実を受け止め切れずに、二人はしばし茫然自失としていた

しかし、二人はやがて現実に引き戻されてしまう

「アヤちゃん!?早くあの二人を“回収”しに行かなきゃ!」
「・・・あっ!」
そう、ゴトー達はりしゃこ達との激闘によるショックで、コンの“秘術”の“支配”から解放されてるかも知れないのだ
それにもし、術が解けてなかったにせよ、ユーコによって“秘術”を“解除”されることも十分あり得る

せっかく手に入れた“持ち駒”を手放したくない・・・その想いから二人は準備もそこそこに得物を手にして表へと飛び出していった・・・

しかし、数秒後・・・

ガラガラガシャーン!!
ドスッ!! ドスドスッ!!
チュドーン!! ボカーン!!

「・・・ケホッ!ケホッ!」
「罠仕掛けてたの・・・忘れてた・・・」
「それ、先に思い出してよ・・・!」

・・・気を取り直して再度表へと飛び出した二人
だが、その前には“障壁”が立ちはだかっていた

「悪いけど、ここから先は通行止めやわ!」

91 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 23:27:50.06 O
ヤバイ

92 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/12(水) 23:34:37.47 0
乙です
熊桃スレ書いてる途中で落ちた・・・orz

93 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 00:09:52.57 O
>>92
乙です
ドンマイ経済です

94 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 00:52:39.27 O
「くっ・・・!」
「あんたたち・・・」

ミキ帝達の目の前には女王のお庭番・アツコをリーダーに『輝く女神』のメンバー達が陣取っていた

「大方ゴッちん達を連れ戻しに行くつもりだろうけど、そうはさせないよ!」
とサイトーさんが言えば
「それに、ウチのリーダーにケガさせた借りも返さなアカンし!」
とユイヤンも腕をさする

「ハンッ!そんだけの頭数でアタシらを止められると思ってんの!?」
「じゃあ、オレ達が・・・」
「助太刀しますわよ!」

「!?」
『輝く女神』のメンバーとミキ帝達のにらみ合いに、マイミン、エリカンが割って入った

「この二人がここでやろうってんなら待ち伏せしてる意味なんてないからな」
「その通りですわ。アタシもまだるっこしいのは嫌いですし」
「オレ達もこないだいいようにコキ使われた恨み・・・今、ここで晴らさせてもらうぜ!」
そう言い終えるとマイミン達は素早く臨戦体勢に移った

「ちぃ・・・!」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ怒りを抑え切れないミキ帝・・・
そのミキ帝の肩に、アヤヤが手を置いた

「アヤちゃん・・・」
「ミキたん・・・落ち着いて」

95 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 01:34:38.99 O
よろセン!まであと少し

96 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 01:36:26.65 0
連投注意だ          補助

97 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 03:27:25.33 O
歯磨いて寝ます

98 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 05:25:22.76 O
>>96-97
かたじけないです

99 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 09:49:15.61 O
「くっ・・・!」
「あんたたち・・・」

ミキ帝達の目の前には女王のお庭番・アツコをリーダーに『輝く女神』のメンバー達が陣取っていた

「大方ゴッちん達を連れ戻しに行くつもりだろうけど、そうはさせないよ!」
とサイトーさんが言えば
「それに、ウチのリーダーにケガさせた借りも返さなアカンし!」
とユイヤンも腕をさする

「ハンッ!そんだけの頭数でアタシらを止められると思ってんの!?」
「じゃあ、オレ達が・・・」
「助太刀しますわよ!」

「!?」
『輝く女神』のメンバーとミキ帝達のにらみ合いに、マイミン、エリカンが割って入った

「この二人がここでやろうってんなら待ち伏せしてる意味なんてないからな」
「その通りですわ。アタシもまだるっこしいのは嫌いですし」
「オレ達もこないだいいようにコキ使われた恨み・・・今、ここで晴らさせてもらうぜ!」
そう言い終えるとマイミン達は素早く臨戦体勢に移った

「ちぃ・・・!」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ怒りを抑え切れないミキ帝・・・
そのミキ帝の肩に、アヤヤが手を置いた

「アヤちゃん・・・」
「ミキたん・・・落ち着いて」

100 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 11:13:19.53 O
州*‘ o‘リ<100

101 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 12:32:09.44 O
予想外の事態に歯噛みするミキ帝・・・
思い通りにいかない焦りと苛立ちから怒りに任せて飛びかかろうとした時、アヤヤがそれを制した

「ミキたん、ここは退こう・・・歩が悪すぎる」

既に腰に下げていた得物を抜き放つところまできていたミキ帝も、珍しく慎重なアヤヤの言動に行動を思いとどまった
「わかった・・・でも、どうするの?」

少し呼吸を置いた後、アヤヤが切り出した
「忘れたの?アタシらには“人質”がいるじゃない?」
「あっ!」
アヤヤの口から出た“人質”という言葉にピンときたミキ帝は思わず嬌声をあげ、ニヤリと微笑んだ

そして、改めて正面に向き直ったミキ帝はアツコ達に、
「ちょっとあんた達!」
と呼び掛ける

ミキ帝に『あんた』呼ばわりされてムッときたアツコが
「ちょっとアンタ!なんや!目上の人にそんな口のきき方はないやろ!?」
と憤慨するが、それでもお構い無しにミキ帝は一気にまくし立てた

「ちょっとあんた達、重要なこと忘れてるんじゃない?
・・・例えば、大事な“仲間”のこととか?」

「「!!」」
ミキ帝に言われて、アツコ達は改めて気付かされた
ヤグーやサトタが、まだミキ帝達の手の内にあることを・・・

102 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 12:38:12.43 0
黒魔術師りしゃこ(27)【州*‘ -‘リ】
http://yy21.kakiko.com/test/read.cgi/morning/1199935755/

103 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 13:28:46.99 O
「気付いたようね・・・“立場の違い”ってやつを!」
「くっ!」

まさかの立場の逆転に、今度はアツコが思わず歯噛みした
実のところ、血気にはやるミキ帝達を挑発し、アジトから引き離し、
混戦のどさくさに紛れてヤグー達を連れ出すのがアツコ達の“真の狙い”だったのだ
しかし、その目論見が脆くも崩れ去った上、弱みを握られてしまった・・・

「どうする、アヤちゃん・・・♪」
「そうねえ・・・!?」
「?・・・どしたのアヤちゃん?」
ミキ帝は何か名案を思いついたような様子のアヤヤを見つめる

「いいこと思いついた!!」
見つめるミキ帝にアヤヤは微笑んでみせた
そして、アツコ達の方へ向き直ると、とんでもないことを口走った
「アタシ達は、あなた達に、アベナッチ、ゴトー両名の身柄の引き渡しを要求する!!」

「「!!」」
アヤヤの一言に敵のアツコ達はおろか、仲間であるミキ帝でさえも絶句した

しばしの間、沈黙が続いた後、ようやくアツコが口を開いた
「ちょっとアンタ!自分何言ってんのかわかってんの!?」
罵声にも似たアツコの問いかけにもアヤヤは涼しい顔で答えた
「モチロン♪・・・そしてあなた達はアタシの要求に応えなきゃならなくなるのよ・・・!」

104 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 14:28:37.77 O
誰もがアヤヤの発言に何か引っ掛かるものを感じていた・・・
だが、それがスッと出てこないもどかしさ
それがアヤヤの次の一言で解決した

「別にいいのよ、あの二人がどうなったって・・・
最初から“仲間”なんかじゃないし・・・
でも、困るのはそっちじゃないの?・・・本当の“仲間”だからね
まさか放っておけないでしょ?」

「アヤちゃん・・・」
アヤヤの冷酷な発言に、味方であるミキ帝が一番動揺した
「それ・・・本気なの!?」
「うん、本気よ・・・」
ミキ帝の問いかけに対し、アヤヤは振り向くことなく答えた
「でも、それって冷たすぎや・・・」
「ミキたん!」
「!」
ミキ帝の言葉を遮り、アヤヤは言葉を続けた

「いい?ミキたん・・・
アタシ達は自分達の“意思”で戦ってる・・・わかるよね?」
「・・・うん」
「でも、あの二人は決して自分達の“意思”でこの計画に参加してるワケじゃないよね?・・・」
「・・・!?」
「そう、コンちゃんの“傀儡の術”で一時的に操られて“駒”として協力してもらってるだけ・・・
だから、もし“術”が解けたら、きっとアタシ達の前に“敵”として立ちはだかるわ!」
「・・・!!」
「わかって?・・・アタシ達の“仲間”はアタシとミキたん、そしてコンちゃんしかいないのよ」

105 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 16:01:59.79 O
「そうだったね・・・忘れてたよ・・・」
アヤヤの言葉に、ミキ帝は少し寂し気に呟いた

アベナッチとゴトー・・・
長い間、行動を共にしてきたことでミキ帝は二人が“仲間”だという錯覚に陥っていた
しかし、二人はアヤヤとは違い、志を同じくする“仲間”ではない
ただミキ帝がその力を利用しているだけの“持ち駒”・・・
その“持ち駒”に何の感情が必要だろうか?


落ち着きを取り戻したミキ帝はアヤヤの言葉をもう一度反芻した後、アツコ達にこう告げた

「アタシの“仲間”はアヤちゃんだけ・・・
いいよ、別にあの二人がどうなったって構わないよ・・・
もう“仲間”じゃないから・・・」
毅然としたミキ帝の態度にアツコは歯ぎしりをする

その様子を見て、ミキ帝は満足気な笑みを浮かべ、さらに追い討ちをかけるように言葉を続けた

「でも、そっちは平気なの?
ヤグーもサトタも大事な“”なんじゃないの?」

「くっ・・・!」
冷静になったミキ帝に痛いところを突かれ、アツコ以下メンバーは返す言葉なく悔しさを滲ませる

だが・・・

106 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 16:38:50.63 O
「やれるモンならやってみたらどうやねん?」

「「・・・!!」」

その場にいた全員が声のする方を振り向いた
その先には、城で待機してたハズの女王・ユーコの姿が・・・


「ユーちゃん・・・!」
「アッちゃん、お待たせ・・・」
まさに疲労困憊、といった様子のユーコ
しかし、その表情は明るかった

「うまくいったの!?」
「はぁ?ウチを誰やと思てんの!?『女王』やで、『女・王』!」
「じゃあ・・・!」
「ああ、バッチリや!」

ユーコの一言に、アツコ達は歓声で沸き返り、ミキ帝達はそのはしゃぎように唖然としていた

しかし、しばらくして状況を把握し始めたミキ帝が口を開く
「『バッチリ』って・・・まさかっ!?」
「そう、そのまさかや!
さすがにプロテクトが厳重やったから“解呪”するのに手間取ったけどな!」

「くっ・・・!」
まさかの結果に苦虫を噛み潰した顔になるミキ帝とアヤヤ
アドバンテージが無くなり、いつしか表情には余裕がすっかり消えていた
そして、さらに追い討ちをかけるようにユーコが合図した

107 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 17:44:28.40 O
州*‘ -‘リ

108 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 19:02:26.68 O
少し休憩

109 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 19:29:42.52 0
あばばばば

110 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 20:22:03.85 O
サッカー観戦中

111 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 21:34:39.30 O
「みんな!早くこっちに連れて来ぃや!」
ユーコの一声を合図に、数人の人影が背後から現われた

「・・・!!」

その数人の姿にアツコ達は歓喜し、ミキ帝達は茫然自失となった

「コンちゃん・・・!?」
それもそのはず、人影の中に捕縛されたコンの姿が・・・


「女王様・・・『反逆者』・コン、ここに捕えましたっ!」
『暁の乙女』を代表して、隊長・アイオーラが女王への報告事務的に行った
その口調や振舞いは、実に淡々としたものだった

しかし、ユーコは気付いていた
淡々と報告を行ったアイオーラではあったが、その心中は決して穏やかではなかったことを・・・

かつての“同期”・コンの王国への裏切り行為・・・そして、罪を犯したコンを自らの手で捕縛しなくてはならなかったことへの無念の思い・・・
アイオーラがユーコへ行った事務的な報告は、隊長としての威厳を保つため、
己の感情を押し殺しての精一杯の振舞いだったのだろう・・・

そんなアイオーラの辛い心中を察し、ユーコは労いの言葉をかけた
「ごめんなアイちゃん、嫌な役回りさせてもて・・・」

112 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/13(木) 22:52:17.11 O
しかし、アイオーラは気丈にも
「いえ・・・罪を犯した者を捕えるのもワタシ達の仕事です
それがたとえ親兄弟であっても“同期”であっても、です」
と答えた

「そっか・・・おおきにアイちゃん」
そう言うと、ユーコはアイオーラの肩をポンと叩いた
そして、改めてミキ帝達に向かって叫んだ

「あんたら!あんたらの“仲間”・コンは捕まえた!」
まさかの逆転劇にミキ帝達は悔しさのあまり、言葉に詰まってしまった

だが、次のユーコの発言に、今度はアツコ達も言葉を失った
「コンちゃんはそっちに帰したる・・・」

「ハァ!?どーいうつもりだぁ!?」
ユーコの意外な言葉にミキ帝も思わず聞き返した

「言うたやろ?・・・コンちゃんはそっちに帰したる、って
・・・但し!」
「但し〜?」
「その見返りとして、サトタとヤグを返してもらおうか!」
「!!」

突然、ユーコから持ちかけられた“取り引き”にミキ帝達は戸惑ってしまう
そして、互いの顔を見合せて『作戦会議』が始まった
「アヤちゃん、どうする?」
「・・・不味いよね」
「畜生!・・・あと一歩ってとこだったのに!」

113 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 00:02:30.99 O
MUSIC JAPAN見ようかな

114 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 00:34:35.89 O
いよいよベリ登場

115 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 01:33:27.10 O
ユーコからの“提案”、いや、“要求”に対し、答えに窮する二人

交渉の主導権を握ったユーコはさらに畳み掛ける
「ホラ、コンちゃん!・・・もう戻ってもええよ」
なんと、縛られているコンの背中をポンと押して、ミキ帝達の元へ行くように仕向けてるではないか

背中を押されたコンは一瞬驚いた表情をしてユーコの顔を少し見つめた後、俯き加減でゆっくりとミキ帝達の方へと歩き始めた
一歩、また一歩・・・
どこか躊躇いがちに・・・
きっと自分の失態に対する後ろめたさを感じているのだろう・・・それが痛い程窺い知れた


片や、その様子を眺めていたミキ帝達・・・
「・・・」
「どうする・・・?」
なかなか決心のつかないミキ帝に、しびれを切らしたアヤヤが問いかけた

しかし、それでも決心のつかないミキ帝
アヤヤの問いかけからしばし沈黙が続いた

「ミキたん!?」
業を煮やしたアヤヤが強く問うた
「・・・わかったよ」
沈黙を守っていたミキ帝がようやく口を開いた
そして、ミキ帝の口から出てきた言葉は、ある種意外なものだった

「・・・返してやるよ。但し、サトタだけだ!」
ユーコからの“要求”に全面的にではないにせよ、ミキ帝がすんなりと応じたのだ

116 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 02:39:53.28 O
寝ます

117 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 05:05:34.28 O
おはよう

118 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 08:01:44.99 O
州*‘ -‘リ


119 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 09:05:38.54 0
 

120 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 10:11:35.13 O
あげます

121 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 10:12:51.47 O
「ミキたん・・・」
ユーコの“要求”に潔く応じたミキ帝の姿勢にアヤヤも驚く
しかし、内心“要求”に応じるのでは、とアヤヤも考えてはいた
何故なら、今までの計画・作戦を一手に担ってきたのは他ならぬコンだったからだ
そして、その都度、多少の誤差はあれどミキ帝達の求める結果を出してきたのだ
それだけコンの“頭脳”としての役割は重要であり、これからもミキ帝達の参謀役として働くのは
ミキ帝達の“目的”が成就するまで変わることはないであろう
最早、それほどまでにミキ帝達の中でのコンの占める役割は大きくなっていたのだ

アベナッチ、ゴトーの“呪縛”が解けた今、ミキ帝達の最重要項目は『コンの奪還』、そのことに変わっていった
だから、ミキ帝はユーコとの交渉に応じる気になったのだ


しかし、人質の解放の“条件”にはミキ帝も譲れないものがあった
『ヤグーを返さない』・・・この点である
ヤグーはミキ帝達の計画に乗っておきながらも土壇場で裏切った“裏切り者”
加えて、人質の2対1の交換はあまりにもムシが良すぎるし、最後の切り札として、人質を一人は確保しておきたかったからだ

そんな“思惑”があって、ミキ帝はヤグーの解放だけは断固として応じないつもりだった

122 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 12:17:00.20 O
「ほう・・・あくまでもヤグは返さへん、っちゅうワケやな?」
ヤグーの解放を拒んだミキ帝にユーコがドスの利いた声で凄む

「呑めるワケねーじゃん!?何で2対1で交換なんだよ!?数が合わねーじゃん!?」
ユーコの威圧に怯まずミキ帝も我を通す

「いや、ヤグも返してもらうで!
そっちにとって、コンちゃんは大事な司令塔やからな!・・・それぐらいの価値はあるやろ?」
「そうだったとしても!
2対1は欲張り過ぎだろババア!」
「・・・なんやて?このくそガキ!何やったら今ここでやったるぞゴルァ!」

「ユ、ユーちゃんアカンて!・・・ほら、落ち着いて落ち着いて!」
ミキ帝の挑発に熱くなったユーコをアツコがなんとか制止する
対するミキ帝の方は血気盛んなミキ帝をアヤヤが引き留めていた


しばらくして・・・
落ち着きを取り戻した両者の間にアヤヤとアツコが入って交渉を進めていった
結局、ユーコのヤグーの引き渡し要求は通らず、サトタのみがユーコ達の元へ戻ってくる格好となった

「女王様・・・スミマセンでしたっ!」
「ええよ・・・済んだことはしゃあない
それよかアンタが無事戻ってきたことの方が大事やから・・・」

123 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 13:41:11.64 O
人質に取られたことを恥じ、申し訳なさげに戻ってきたサトタにユーコは優しく労いの言葉をかけた・・・
かのように見えたが、実はユーコは密かにサトタに耳打ちをしていた
(どやった?うまくいった?)
それに対し、サトタは
(ええ・・・なんとか・・・)
と返答した

その返答にユーコは
(そっか!ようやってくれた!)
と、思わず口角を弛ませた
が、それも束の間、すぐに顔を引き締め真剣な表情に戻った
そして、一言呟いた
「あとは頼んだで、メーグル・・・」


そして、一方のミキ帝達は・・・

「スミマセンでした・・・」
サトタ同様、俯き加減でコンは二人に“帰還報告”を行った
その姿にはいつもの暢気なコンらしさが微塵も感じられなかった
二人は落胆した様子のコンをしばし無言で見つめ、そして一度深呼吸をして、ただ一言だけ言った

「・・・帰ろう」
「!!」
ミキ帝達は叱責することなくコンを迎え入れたのだ

それまでずっと俯き加減だったコンが、今度はその場に崩れ落ち激しく嗚咽し出した
「・・・ごめんなさいっ・・・ごめんなさいっ!」
か細い声で呻くコンを、二人がそっと優しく手を差し伸べた


124 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 15:14:01.63 O
ちょっと休憩

125 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 16:57:03.13 O
帰宅したらあげます

126 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 18:12:01.46 O
「もういいよ・・・帰ろう」
「済んだことは仕方ないじゃん・・・ほら、立って!」
「・・・ハイ」

二人に抱き抱えられる格好で、コンはようやく立ち上がり、ミキ帝達と連れ立ってアジトへと戻っていった・・・

女王達とミキ帝達の主導権を巡る激しい駆け引きが終わり、やがて夜を迎えた

そしてミキ帝達のアジトでは―

コンコン・・・
「コンちゃん、入るよ?」
ガチャ・・・ ガチャガチャ!!
コンコン!! コンコン!!
「コンちゃん!?」
「何してんのアヤちゃん?」
「あ・・・ミキたん」
コンの部屋の前で狼狽えているアヤヤを見かけてミキ帝が声をかけた

「あのさ、コンちゃん元気なかったじゃん?
だから、アタシ様子見にきたの」
「見ればわかるよ
・・・でも今はそっとしておこう」
「ミキたん・・・」
「それにアタシらも自分の心配をしなきゃならないからね
正直、構ってるヒマはないよ」
「うん・・・」
「じゃあ行くよ!」

コンを巡っての重苦しい雰囲気から逃れるようにミキ帝はアヤヤをコンの部屋の前から引き剥がした

・・・今、コンの部屋の中で、ある『計画』が渦巻いていることも知らずに・・・

127 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 19:33:59.44 O
たくましい保全

128 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 20:01:34.29 O
>>127
かたじけないです

129 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 21:11:37.48 O
やべ

130 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 21:17:46.35 O
一方、ハロモニア城内


ガチャ・・・
「どう、ケイちゃん?」
「あ、ユーちゃん?」

ユーコが訪れたのはハロモニア城内の医務室
その室内でアベナッチ、ゴトー両名の看病してたヤススに二人の容体を尋ねた

「どう?」
「うん、まぁとりあえず大丈夫ってトコかな?
あとは二人の体力と回復力次第ね・・・」
「ケイちゃんホンマおおきにな
審判役から医務までやってもろて・・・」
「いいのよ。ユーちゃんのためならお安い御用だから!」
献身的なヤススの看病にユーコが礼を言う

そして、そんなやりとりがあった後、ユーコが“あること”を口にした
「・・・せやけどあの二人、あれだけの魔法をモロに食らってよう軽症で済んだなぁ・・・
ホンマ、“アレ”のおかげやろなぁ」

「あっ!アタシもそう思った!
多分“アレ”のおかげで軽症で済んだんだろな、って」
ヤススもユーコの“憶測”に同意する

「でも、今回不幸中の幸いやったんはミキ帝らが“アレ”のこと全然気付いてへんかったことやな!
・・・もし、“アレ”に気付いとったらウチら負けてたかもな・・・」

131 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 22:13:27.59 O
ユーコとヤススが“アレ”についての憶測を交わしているところに、急に背後のベッドから声がした

「んあ・・・?」

「!?」
その声に反応して二人が振り向くと、今まで眠りについていたゴトーが目を覚ましていた

「「ゴッちんっ!?」」
そう叫ぶや、嬉しさのあまり二人はすぐさまベッドに駆け寄りゴトーに抱きついた
「あっ・・・!」
起き抜けで思考が働かないゴトーは二人の突然の抱擁に戸惑ってしまう
「え?・・・あ・・・何・・・?」

ゴトーが状況が把握できてないのを察知したユーコは
「あ、ああ、そやったな・・・
まだ目ぇ覚めたばっかりで何もわからへんもんな・・・」
と気遣った後、改めてゴトーが元に戻ったことを心から喜んだ
「・・・おかえりゴッちん!」
ヤススも少し涙を浮かべながら
「ホント・・・おかえりゴッちん!」
と祝福する

その二人の喜びようにゴトーも状況が飲み込めてはなかったが幸福感に満たされつい泣き顔になってしまった
「うん・・・ただいま!」

132 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 23:01:08.63 O
猫と戯れる幸せな日々・・・

133 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/14(金) 23:43:28.24 O
深夜警戒

134 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 00:17:11.61 O
しばらくの間、三人が喜びを分かち合い嗚咽する中、また声が聞こえてきた

「・・・んん・・・もう・・・うるさいなぁ〜・・・」

三人にとっては懐かしい、朴訥で温かみのある声・・・
三人が揃って声のする方へ振り向いた
「「ナッチ!!」」

「・・・ん?・・・あっ!!」
起き抜けの目に飛び込んできた懐かしい顔ぶれにアベナッチは思わず驚嘆の声をあげた
そして、程なく驚嘆の声は嗚咽へと変わっていった

「うぅ・・・ユーちゃん・・・ケイちゃん・・・う・・・うわぁぁぁーっ!!」
「・・・ナッチ・・・もう大丈夫・・・大丈夫だから・・・」
「うぅ・・・えぐっ・・・ひっく・・・」
必死にしがみついて泣きじゃくるアベナッチを、ユーコは何も言わずにそっと温かく包み込んだ

アベナッチの慟哭が意味するもの、それは、長い間、閉ざされた闇の中に囚われ続けていた孤独と苦痛、
そして、闇からの解放による安堵・・・
そういった複雑な感情の爆発の現れなのだろう

しばし四人が再会の喜びを噛みしめている中、それまで静かだった医務室が急に騒がしくなったことで駆けつけた者達がいた

135 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 01:06:07.34 O
よろセン!までもうちょっと

136 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 02:03:13.95 O
ドンドンッ!! ガチャッ!!

「女王様!何事ですかっ!?」
突然の騒ぎに隣の部屋で待機していた『暁の乙女』アイオーラ、ガキシャンの二人が急ぎ駆けつけた

「あ、ああ・・・大丈夫大丈夫・・・うるさかった?ゴメンな、起こしてしもて・・・」
女王という体裁もあって、ユーコは普段の表情に戻して二人に答えた

「あ、いえ・・・私達なら平気です。てっきり女王様の身に何かあったのかと・・・」
「相変わらず生真面目なんだね」
アイオーラが恭しくユーコに話しかけているところへ割って入る声が

その懐かしい声のする方へ二人が振り向く
そして声の主を見た二人は硬直し、絶句した

「・・・ア、アベさん・・・!」
「ゴトーさん・・・!」

感極まった二人は顔をくしゃくしゃにして泣き出した
「うわぁぁぁーっ!」

そして二人の“姉達”の胸に飛び込んでいった

「うぅ・・・うぅ・・・」
顔を埋め、泣きじゃくる“妹達”を“姉達”は抱き止め、優しく包み込んだ

(ナッチもゴッちんもすっかりお姉さんやな・・・)
二人のお姉さんぶりにユーコも目を細めた

137 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 04:26:20.44 O
おやすみん

138 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 08:30:25.17 O
おはようございます

139 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 09:57:34.26 O
感動的な邂逅を終えた翌朝―


「いい?くれぐれも粗相のないようにね」
「これからあなた達の大先輩に挨拶しに行くから、しっかり頼むわよ!」
「「「ハイッ!!」」」

昨晩、長きに渡る“闇の呪縛”から解放されたアベナッチ、ゴトー達への挨拶に行くため、『暁の乙女』の現メンバーが医務室前に集合していた
まだ加入したばかりの現メンバーにとって、アベナッチやゴトーは雲の上のような存在・・・
なので、メンバーの雰囲気もいつもの和気あいあいとしたものではなく、緊張したものとなっていた

「いい?開けるわよ?」
隊長のアイオーラの合図に新メンバーが黙ってコクリと頷く
それを確認した副隊長のガキシャンが扉の把手に手をかけた
緊張の瞬間が迫ってきたことで固唾を呑む一同

だが、ガキシャンは次の瞬間、何を思ったのか、
「たのもーっ!!」
の掛け声一閃、勢いよく扉を開け放った

目が点になる一同・・・
後ろを振り返り、誇らし気に親指を立てるガキシャン
どうやら後輩達に度胸の良さをアピールしたかったようだ

だが、ガキシャンも含め、一同は扉の向こう側から飛び込んできた光景に更に目が点になってしまった・・・

140 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 11:15:03.84 O
ガキシャンが勢いよく開け放った扉の先に待っていた光景は・・・

(# `.∀´)y-~~ <ア〜ラいらっしゃい・・・
着替え中を堂々と覗くなんていい度胸してるわね・・・!

なんと、ヤススの裸体であった・・・
大先輩の裸を目撃したとあって、メンバー一同は思考停止状態に陥り、硬直してしまう
そんな中、扉を開け放った張本人のガキシャンが大事だと気付き、
「ス、スミマセンッ!」
と言い残し、慌てて扉を閉めた・・・

まさかのハプニングに動揺を隠せない一同・・・
特にガキシャンは閉めた扉の前で

    _, ._
ノlc|;・e・)|ly-~~ <これはマズイことになったのだ・・・

と、神妙な顔つきで呻くばかり・・・
メンバーは落胆するガキシャンをただただ眺める他なかった


と、そこへ、突然ゆっくりとガキシャンの背後の扉が開き出し、腕が伸びてきた・・・
驚きの表情を浮かべるメンバーと、そのメンバーの表情を見てハッとなり、後ろを振り向くガキシャン

「!!」
迫りくる腕から逃れようと飛び退く動作をするガキシャンだったが、時、既に遅し・・・
「捕まえた♪」
その言葉とともに、ガキシャンは扉の向こう側へと消えていった・・・

141 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 12:37:49.17 O
お昼ー

142 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 13:44:08.07 O
30秒規制に戻っててがっかり

143 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 14:44:51.89 O
初めて江戸の手毬唄U黒船Ver.とやらを見ましたが、あの浄瑠璃人形みたいなのは从*・ゥ・从なんでしょうか?
教えてエロい人

144 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 15:10:06.65 O
PCで2ch見てるとメガ疲れました・・・
PC向いてないかも・・・

145 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 16:38:42.78 O
だな

146 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 16:52:07.04 O
準備中

147 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 17:40:43.12 O
「ぎゃあああ〜っ!」

扉の向こう側からガキシャンの断末魔の叫び声が響き渡る・・・
密室で起きている想像もつかない惨劇に、新メンバー達はガクガク(((;゚Д゚)))ブルブルとなっていた・・・

そして3分後―
永遠に続くかと思われたガキシャンの絶叫が突然途切れた
誰もが“異変”に敏感に反応し、扉に耳をあて、部屋の様子を窺おうとした
その途端、扉がガチャリと開いてしまった!

ドサドサドサッ!!

扉が開いた拍子に、隊長のアイオーラをはじめ、メンバー全員がヤススの部屋へと雪崩込んでしまった・・・
すかさずアイオーラが部屋の中を見回すと、仁王立ちになったヤススが見下ろす格好で

(# `.∀´)y-~~ <ア〜ラいらっしゃい・・・
今度は全員で覗くなんて、とてもいい度胸してるじゃない?

と、言い放った

動揺の収まらないメンバー達・・・
と、突然そこへ、新メンバーのキャメイが叫び声をあげ、絶句した

ただ、口をパクパクさせ、ヤススを指差すキャメイの不審な様子を見て、残りのメンバーはキャメイの指差す先を見てみた

「!!」

他のメンバーもキャメイ同様、絶句した
それもそのはず、ヤススの傍らには、虚ろな目をした、全身キスマークだらけのガキシャンがいたのだから・・・

148 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 18:37:58.86 O
ちょっと休憩します

149 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 19:44:22.35 O
飯食うから保全

150 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 20:33:54.27 O
今日は鍋

151 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 20:55:51.74 O
もはや廃人と化したガキシャンを見て、一同はヤススの恐ろしさに愕然とした・・・

“標的”を発見したヤススが舌なめずりをしながら一同に接近する・・・
その様に、一同はまるでヘビに睨まれたカエルのように金縛りにあって動けなくなってしまった・・・

まさに絶体絶命のピンチ・・・
しかしそこへ、“救いの女神”がやっと現れた
「あれぇ〜ケイちゃん?何やってるんだべさ?」

少し訛ってるが、温かみのある声・・・その声のする方を一同が一斉に振り返った
「あら、あんた達・・・?」
一同の背後にはキョトンとした表情のアベナッチとゴトーが突っ立っていた
二人にしてみれば、何故、朝早くからこんなに大勢が部屋の前に集合しているのか、さっぱりわからない様子であった

二人の姿を確認した途端、全員が慌てて起立し、直立不動の体勢で敬礼をした
「アベさん、ゴトーさん!・・・この度、新しく入隊しました新メンバーの紹介で伺いましたっ!」
隊長・アイオーラの発声の後、一同が“伝説”の二人に挨拶をした
「「「アベさん、ゴトーさん!はじめましてっ!
私達、お二人の“妹”ですっ!
今度とも、よろしくお願いしますっ!」」」

152 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 21:38:37.91 O
「んあ?・・・あ、ああ、よろしく・・・」
朝に弱いのか、やや気の抜けた返事のゴトー
それとは対照的に、
「あら〜!みんな元気だね〜っ!あ、アタシはナッチ!みんなよろしくね〜♪」
と、アベナッチはとても嬉しそうに“妹達”を笑顔で迎え入れた

((よかった〜!))
大はしゃぎするアベナッチの様子に、新メンバーは失礼なく挨拶ができたことにホッとし、胸を撫で下ろした
和気あいあいとした雰囲気に包まれる医務室・・・
しかし、茫然自失としていたガキシャンが目を覚ましたことで、またもや騒々しくなってしまう

「う、う・・・アベさん・・・うわぁぁぁーん!」
いきなり飛び起きたかと思うと脇目も振らずにアベナッチに突進していき、おもむろにアベナッチの胸に顔を埋めると、
「アベさぁ〜ん!ヤススさんがひどいんですよぉ〜!」
と、普段の副隊長としての凛々しい姿とはかけ離れた猫なで声で、アベナッチに甘えるではないか!

「ちょっとぉ〜・・・ガキさんみんなが見てるよ!
ホラ、泣かない泣かない♪」
日頃からガキシャンを妹のように可愛がっているアベナッチではあったが、この甘えん坊ぶりには辟易してたしなめてしまう

153 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 22:37:04.78 O
流れ早っ!

154 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 23:20:28.11 O
州*‘ -‘リ

155 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/15(土) 23:59:53.55 O
「ちょっとぉ〜ガキさん!何やってるんですかぁ〜!」
誰もがドン引きするアベナッチとガキシャンのアツアツぶりに割って入る者が現れた

「あ、キャメ・・・」
「『あ』じゃないですよ、もお!アタシというものがいながら何イチャイチャしてるんですかあ!」
新メンバーとして加入して以来、ガキシャンに可愛がられてきたキャメイがいてもたってもいられずに癇癪を起こしてしまったのだ

すっかり膨れっ面のキャメイ・・・誰の目から見てもご立腹なのは明らかだ
普段は飄々としているだけに機嫌を損ねると質の悪いタイプなだけに、ガキシャンも
    _, ._
ノlc|;・e・)|ly-~~ <こ、これはマズイことになったのだ・・・

と、神妙な顔つきで呻くばかり・・・

だが、神妙なガキシャンとは対照的にアベナッチはニコニコとしている
そんな様子が癇に障ったのか、
「ちょっとぉ!?あなたも何笑ってるんですかあ!?」
と、キツイ口調でキャメイが食ってかかる

(((あちゃ〜・・・)))
せっかくのいい雰囲気が、ガキシャン、キャメイの二人によって台無しになろうとしていた
誰もが先輩であるアベナッチがキャメイに激怒するものだと思っていた
ところが・・・

156 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 00:45:23.16 O
流れ早いわ・・・

157 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 00:47:00.82 0
作者さん乙です

158 名前: ◆LUGh2GKwx2 :2008/11/16(日) 01:16:32.91 O
>>157
乙です
とりあえず元気してます

しばらくは暇が出来たんでだいぶ話を進められそうです
これからも頑張ります

159 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 01:58:35.70 O
よかったよかった

160 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 04:17:39.81 O
へーちょ

161 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 05:50:42.30 O
おはようございます

162 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 08:13:45.38 O
準備中

163 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 10:00:12.05 O
「あ!あんたが噂のキャメちゃんかぁ〜!なまらめんこいべさ〜♪」

周囲の予想とは逆に、キャメイの登場に大はしゃぎのアベナッチ
そして小走りでキャメイに近づくや否や、突然抱擁する

「え!?あ、ちょっと・・・」
アベナッチの突然の抱擁に唖然とするキャメイ
唖然としたのはその場にいた一同も同じであった
言うなれば、血で血を洗う修羅場になってもおかしくない場面で、無防備に相手に突っ込むなんて常識では考えられないからだ
しかし、それをアベナッチは容易くやってのけたのだ

「信じらんない・・・」
目の前で起きている不思議な光景をポカーンと眺めている新メンバーに、ゴトーがおもむろに語り出した
「あれがね、ナッチのもう一つの“魔法”・・・」
「もう一つの・・・“魔法”・・・!?」

「ガキさんから聞いてたのよ!『可愛い後輩が入ってきてとっても嬉しい』って!
だからナッチもねぇ、とっても楽しみにしてたのよ!どんな可愛い“妹達”なんだろう?って・・・」
「は、はぁ・・・」
喜びを爆発させて興奮気味に語るアベナッチに対して、キャメイは怒気を削がれた格好になっていた

164 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 11:53:49.43 O
休憩中です

165 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 13:18:37.18 O
「ナッチのもう一つの“魔法”はね・・・『人の心を盗んじゃう魔法』なんだ・・・」
ゴトーがポツリと呟く
その言葉を耳にした新メンバーは、改めて目の前の二人のやりとりを凝視した

「・・・でさ、ガキさんがね、いっつも『キャメ』『キャメ』って言っててねぇ〜!
だから、ナッチも『キャメ』ちゃんがどんな娘なのかな〜?って会えるの楽しみにしてたのよ!」
いつ途切れるとも知れぬアベナッチの喜びのマシンガントークに、
キャメイは怒りを通り越して呆れる他なかった
しかし、そんなキャメイの頑なな心もやがて緩やかに氷解していく・・・

「・・・あ、あの、アベさん・・・」
「あ、ゴメンね・・・ナッチついつい嬉しくってさ・・・
キャメちゃん、これからもねガキさんのこと、お願いね!」
感極まったのか、涙ぐみながら語り続けるアベナッチ
傍から見れば他愛のない言葉のやりとりだったかも知れない
しかし、アベナッチの、ガキさんの喜びを我がことのように喜ぶ姿、
自分の気持ちを拙いながらも必死にそれを伝えようする姿が胸を打ったのだろう・・・
やがて、いつしかキャメイの目にも光るものが・・・

166 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 14:01:54.14 O
飯食うから保全

167 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 15:04:32.23 O
おやつ

168 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 16:20:15.43 O
「あ、あのっアベさん・・・!」
アベナッチのマシンガントークが途切れた直後、ずっと聞き役に回っていたキャメイが口を開いた
そして、思いの丈を打ち明けた
「・・・ゴメンなさい。アタシ、イヤな子ですよね・・・」
俯き加減で、か細い声でそう呟くように言った
天真爛漫なアベナッチに対して、嫉妬を妬いていた自分を恥じたのだろう、そう言うのが精一杯だった

しかし、アベナッチは予想外の反応をする
「・・・何が?どしたのキャメちゃん、急に改まって〜!?」

その反応に、一同は思わずずっこけそうになった
だが、アベナッチと付き合いの長いゴトーやヤススはコクコクと頷きながら、
「さすがナッチだわ!やっぱ天然だね」
「あそこまで鈍感なのがナッチだよね」
と、感心する

「ハ、ハハッ・・・」
二人のアベナッチの性格分析に、一同は妙に納得しながら力なく相槌を打った

アベナッチの何気ない言葉に、ポロポロと涙をこぼすキャメイ
そんなキャメイをアベナッチは優しく頭を撫でて、
「ホラ、笑って!せっかくのめんこい顔が台無しだべさ!」
と、言った
その後、キャメイは堰を切ったかのようにポロポロと大粒の涙をこぼしながら、アベナッチの胸で泣きじゃくった

169 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 17:34:48.37 O
危ない危ない

170 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 18:27:51.14 O
しばらくして―

キャメイが泣き止み、医務室が和やかな雰囲気に包まれた
そんな中、ふと、隊長のアイオーラが
「あの、お二人はどうして早朝から部屋に居なかったんですか?」
と、疑問を投げ掛けた
他のメンバーもアイオーラの問いかけに頷いた
激闘の翌日だというのに朝早くから外出していたのは一体・・・?
そんな素朴な疑問が頭の中に浮かんでいたのだ

その問いかけに、二人は恥ずかしそうに答える
「うん・・・ちょっとトレーニングを、ね」
「そうそう、身体が鈍ってないか、気になっちゃって・・・ね」

二人の意外な言葉に、一同は驚きを隠せなかった
激闘後だというのに、その翌日にはもうトレーニングを再開するタフネスぶり・・・
と、同時にその意識の高さに深く感銘を受けたのだった

「それにね・・・」
ポツリとゴトーがこぼした
「早く“あの子達”をサポートしてあげないとね!」
「“あの子達”って?」
「うん・・・りしゃこちゃん、って言ったっけ?
アタシ達のせいで、この世界が危機に陥ってるんだがら」
「あの・・・“アタシ達のせい”って・・・!?」

171 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 19:00:41.67 0
補助機構

172 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 19:53:51.61 O
シチュー焦がしたorz

173 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 20:46:42.90 O
昨日のカレー食った

174 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 22:08:50.93 O
あげます

175 名前:名無し募集中。。。 :2008/11/16(日) 22:13:11.58 O
ガチャリ・・・
「ういぃぃぃ〜・・・邪魔するでぇ〜」

「「女王様っ!」」
突如、何の前触れもなく女王・ユーコがふらりと部屋に入ってきた

「いや、守衛に聞いたらみんながこの部屋に集まってるってな・・・
で、みんながおるからこの際、新しくわかったことを報告しようと思ってな」
そう語るユーコの顔は曇っていた

「それで・・・報告、というのは?」
「ああ、そのことやけど・・・ナッチ、ゴッちん、みんなに説明したってくれるか?」
「うん・・・」
「いいよ・・・」


「じゃあ・・・アベさんとゴトーさんは・・・」
「そう・・・『時空の歪み』に巻き込まれてしまったの・・・」
「そして、気を失っているところをミキ帝とアヤヤに拾われた・・・っていうワケなの・・・」
「そう・・・だったんですか・・・」
アベナッチ、ゴトーの二人が語る“事実”に、『暁の乙女』のメンバーは驚きながらもしっかりと受け止めていた
しかし、ユーコから次に語られた“事実”には思わず耳を疑ってしまった

「そして、最悪なことに“古の邪神”が目醒めてしもたんや・・・!」


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